28日メインは3歳重賞「第11回イーハトーブマイル」(水沢1600m)。今週から戦いの舞台が水沢に替わり、コース適性も重要なファクター。また次開催に岩手クラシック二冠目・東北優駿(岩手ダービー)が控え、ミニアチュール、リッキーナイトなどはスキップ。よってダイヤモンドC出走組、上がり馬の戦いがテーマとなる。
主軸にケープライトを指名する。2歳時4勝2着2回3着1回。着外は芝交流・ジュニアグランプリのみで重賞・若駒賞優勝、金杯3着など抜群の安定感を誇った。今シーズンは3歳牝馬重賞・あやめ賞から始動したが、馬体重がマイナス15キロ。春先の牝馬は体調を崩すケースは少なくない。完全休養から運動を再開すると飼い葉が上がり、毛ヅヤもひと息。立て直しに時間がかかる。
結果も7着に終わり、1ヵ月半ほど休養。ダイヤモンドカップへ駒を進めてプラス8キロ。まだ本来の張りは取り戻していなかったが、回復傾向は確か。5着入線を果たした。今回もたっぷり休養を取ってイーハトーブマイルへエントリー。しかも輸送のない地元水沢もプラス材料。昨年実績でほかをリードし、復活のお膳立ては整った。
リスレツィオは北海道4戦3着1回から転入。下級条件へ編入も恵まれたが、圧巻の4連勝。一気に3歳A級も突破し、ダイヤモンドカップへ挑戦。4番人気に支持されたが、中団のまま6着。重賞の壁は厚かったが、経験値の差も大きかった。しかし今回は重賞挑戦2度目に加え、メンバーも緩和。前々走・水沢1600m1着タイムからも反撃必至。
タイセイヴィゴーレは中央5戦0勝から転入後、あっさり2連勝。勢いを駆って重賞・スプリングカップへ駒を進めたが、初重賞にとまどって9着。競馬が出来ず終いだったが、続く1戦を快勝。前走も2着に粘って軌道修正。自分の型に持ち込めないとモロい面あるが、逆にあっさりまでの可能性。
クレンジングナイトは北海道未勝利から昨年12月、転入戦を完勝。直後に南関東へ転籍して3、8着から再転入。初戦を圧勝し、前走はタイセイヴィゴーレの3着だったが、0秒1差。大勢逆転のシーンまで。
マツリダワールドは盛岡芝1000m・2歳新馬戦を快勝。以降は白星から遠ざかり、パワーの要るダートにも手こずっていたが、今季2着1回3着2回。成長確かなことをアピールしている。今回は相手が大幅強化だが、地力アップ疑いなし。
セイレジーナは今季2戦目3着をはさんで2度大敗。昨年、寒菊賞を優勝、金杯2着の迫力を取り戻せずにいるが、馬体の張りが戻れば侮れない。
◎⑪ケープライト
〇①リスレツィオ
▲⑧タイセイヴィゴーレ
△⑦クレンジングナイト
△④マツリダワールド
△⑥セイレジーナ
<お奨めの1頭>
4R セルゲイ
高知では精彩を欠いたが、大井で9勝マーク。岩手C2編入は明らかに恵まれた
23日(火)、「2023地方競馬ジョッキーズチャンピオンシップ」ファーストステージ盛岡は見ごたえ十分の2戦だった。優勝は浦和競馬所属の福原杏騎手。第1戦8着、第2戦1着で合計34ポイントを獲得。2位・落合玄太騎手に3ポイントをつけ、首位で園田へ向かう。
福原杏騎手「2戦目は人気だった青柳(正義=ファムファタル)さんをマークする形でレースをした。交わせるか交わせないかでヒヤヒヤしたが、勝つことができてすごくうれしい。前日、トレーニングセールで札幌競馬場へ行って昨年優勝した(武豊騎手の)手形を見て、自分もワールドオールスターシリーズに是非、出場したいと思って今日へ臨んだ。前回(2020年)出場した時は2着もなかったが、今回は勝てた上、ファーストステージを首位で通過できたので、このまま1位で地方競馬代表にも選ばれたいと思います」
第2戦優勝後、奥さんと赤ちゃんを呼んで記念撮影。おそらく隣にいるサラブレッドが大き過ぎて怖かったのだろう、大泣きしたが、終了後、父(福原杏騎手)が抱くとすぐにおさまった。何年後か、この写真を家族で見たら笑い話になるだろう。
現在、福原杏騎手はホッカイドウ競馬で騎乗中。「2歳戦が多くて学ぶことが多い。とても勉強になります」。2020年はコロナ禍の真っただ中でジョッキーズチャンピオンシップは盛岡2戦のみ。福原杏騎手はヤングジョッキーズシリーズへダブルで出場。あれから3年が過ぎ、この豪華メンバー相手に1着し、さらには首位通過は本当にうれしかったに違いない。
続いて当日の話題あれこれ。第1戦は北海道代表・落合玄太騎手=チベリウスが快勝したが、担当厩務員は村上朝陽くん。実は落合騎手と朝陽くんは騎手学校の同期生だった。残念ながら体を壊して村上朝陽くんは騎手を断念したが、幾年が過ぎて優勝写真でいっしょに撮ることになった。その時、「岩本(怜騎手)もいっしょに撮りたい」と声をかけたのは彼も同期だったから。岩本騎手はすでにルームに戻っていたが、落合騎手と村上朝陽きゅう務員は盛岡で再会を喜び、友情を深めあった。落合騎手は2位を確保した。
高知代表・宮川実騎手は第1戦2着、第2戦9着。総合3位でファーストステージを通過した。1戦目に騎乗したキンジトーは前回1000m戦を快勝したが、ノド鳴り(喘鳴症)の持病を持っていた。今回は1200m戦で1ハロン延長がカギ。それで無理せず5番手外を追走し、直線鋭く伸びたが2着に終わった。
宮川騎手「距離延長を考えて前半は無理しなかったが、最後はいい脚を使っていた。もっと積極的に乗れば逆転があったかも」と反省の弁。ノド鳴りがあるのでベストの乗り方だと思ったが、本人は前向き。それもあって2戦目は逃げの手に出たと思う。結果は直線一杯9着だったが、いい競馬をしてくれた。ファンも納得したと思う。今回が初のジョッキーズチャンピオンシップ。ファイナルステージでの巻き返しに期待したい。
今週の岩手競馬
5月28日(日) 「第11回イーハトーブマイル」(3歳 水沢1600m)
5月29日(月) 「夢・希望・未来へ前進」(B1 水沢1400m)
5月30日(火) 「紫陽花賞」(B1 水沢1600m)
5月21日に行われた一條記念みちのく大賞典トライアル『あすなろ賞』はグローリーグローリが危なげのない戦いぶりで快勝。シアンモア記念の雪辱を晴らすと共に改めてみちのく大賞典の主役候補へと名乗りを上げました。
古馬の重賞としてはこれが唯一の盛岡ダート1800mという条件になるあすなろ賞。流れが落ち着きやすいとされる距離ですが、今回も逃げたユノートルベル、二番手スズカゴウケツの作る先行ペースはかなりのスローに。それを三番手で追走したグローリーグローリは前後の動きを見ながらじっくりと仕掛け、4角ではゴールドギアの強襲を受けたもののそれも直線の競り合いで凌いでゴール。シアンモア記念は2番人気に推されつつ5着に終わりましたが、ここでは赤松杯で見せた強さを改めて示した結果でした。
5月23日、今季最初の盛岡開催もいったん区切りとなるこの日のメインレースは夏のJRA札幌競馬場で行われるワールドオールスタージョッキーズを目指す地方騎手の戦い『地方競馬ジョッキーズチャンピオンシップ』、その開幕となるファーストステージが行われます。
地方競馬ジョッキーズチャンピオンシップは全国の地方競馬場から集まった12人のトップジョッキー達が札幌行きの切符をかけて今回の盛岡、7月6日の園田の2カ所のべ4戦を戦うというシリーズです。1戦目からしっかりとポイントを獲得していく必要がある厳しい戦い。それだけにレースも人気通りでは収まらない事が非常に多いレースともなっています。
ではまず第1戦、第11レースの『地方競馬ジョッキーズチャンピオンシップファーストステージ第1戦』ダート1200m12頭立ての予想から。本命は(8)チベリウスです。
昨年JRA未勝利から岩手に転入した同馬は盛岡で5戦3勝2着1回の成績を残し冬は南関東へ。そこでは勝ち星を挙げることができなかったもののこの春岩手に再転入して4着・2着となっていました。
父ロードカナロアという血統イメージ通りに短距離での安定感はなかなかのものがあり、この春の岩手での2戦にしても勝つことこそできなかったものの内容は上々と言えるもの。前走の1000mはちょっと短い印象もありましたし、ひとハロン伸びてよりベターな距離レンジに入る今回はこの馬の本来の力が発揮できると見ました。
対抗は(4)ヤマショウキャット。マイルもこなしていますがより短い距離の方が力強い戦いを見せている印象。盛岡戦績が今ひとつな点も昨年の盛岡戦はほとんどがマイルでしたからいったん度外視、ここでは2~3歳時には盛岡・水沢の1400m以下で好走していたことを思い出したいですね。
そして三番手に(12)キンジトーを狙ってみます。人気薄で勝った前走だけではまだなんとも言えない段階も、昨年一時所属した門別での走りを見ればこの辺で通用しておかしくない馬だと言えるはず。前走でようやく調子を取り戻したということであればここでも注目。
以下、勝ち味の遅さはあるものの混戦向きのしぶとさを持つ(6)ホープホワイト、やはり短距離の方が合う(5)ダンストンレーヴを押さえに。
●11Rの買い目
馬単(8)=(4)、(8)=(12)、(4)=(12)、(8)→(6)、(8)→(5)
続いて第2戦、第12レースの『地方競馬ジョッキーズチャンピオンシップファーストステージ第2戦』ダート1600m。こちらの本命は(9)プリンスチャームを採りました。
前走は2着でしたが勝ち馬にマークされた結果でしたからむしろよく粘ったと評価したいところ。マイルにもメドを立てた内容でした。ここにはその前走で負かされた相手がいたり、騎手対抗戦だけにマークも厳しくなるでしょうが、それでも底力で・・・と期待しましょう。
相手は(2)ファムファタル。こちらは距離伸びて良さが増してきた近況。途中ずっと右回りの戦いが続いていた同馬でしたがかつてのJRA時代は左回りを苦にしていなかったように盛岡も初戦でこなしました。ここでもベテラン牝馬の地力が勝るという見方はもちろん可。
三番手は(4)ニューヴァージョン。岩手ではマイルを6度目の挑戦で克服。◎の所で触れたように一騎打ちの形で終始マークできた点、戦いやすかった面はあったにせよ、力を付けてきているという評価が必要なはずです。ここでも主力の一角。
(3)ナムラバンザイには今年の盛岡の馬場はちょっと深いのかもしれませんが、しかしマイルの方が持ち味が活きるタイプという点には注目。(12)アウティスタも同様のタイプでしょうが、こちらは距離を問わず手堅く戦える点が武器になると見ました。
●12Rの買い目
馬単(9)=(2)、(9)=(4)、(2)=(4)、(9)→(3)、(9)→(12)
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22日メインはA級一組「青葉特別」(盛岡ダート1600m)。一線級は前日の重賞・あすなろ賞へエントリー。またシアンモア記念を快勝したノーブルサターン、ほかにヴァケーション、ゴールデンヒーラーは一條記念みちのく大賞典へ直行。いわゆる手薄なA級一組戦となった。
本命はサザンジンジャー。中央未勝利、高知12勝・A級から転入。1月末まで実戦を使われてきた強みも生かして初戦をあっさり逃げ切った。2戦目は4着に沈んだが、ハナを叩かれたのが敗因。本来の粘りを発揮できなかったが、前回快勝。当初、5頭立ての予定だったが、1頭出走取り消しで4頭立ての少頭数。絶妙の逃げに持ち込んで1番人気に支持されたマイネルアンファンの追撃を完封した。
今度は盛岡ダート1600mが舞台。過去、デビュー4戦目の未勝利戦で東京ダート1600mを使って9着。それ以来、久々に加えて生涯2度目の左回りだが、今度も先手を奪えるメンバー構成。直線の上り坂に若干不安はあるが、そのまま押し切れると見た。
リリーモントルーは中央2勝クラスから転入後、9勝2着5回3着4回。馬券対象から外れたのはわずか4度のみと安定度一目。ただ今季は4、6、3着。堅実な差し脚に衰えが見え隠れするのは否定できない。前走3着も4頭立て。本来の動きを取り戻していない印象がある。しかし今回は8戦3勝2着3回3着1回と抜群の成績を残してきた盛岡マイル戦。仮にここでも好走できなければ年齢的な衰え。ベストの条件で正念場を迎えた。
ホワイトブライドは水沢2勝に対し、盛岡5勝2着5回。前走は得意の盛岡1600mで3番人気に支持されたが、2番手から一杯5着。粘りを欠いたが、先行馬が総崩れとなる速い流れがたたった一戦。自分のペースに徹すれば巻き返し必至。
トキノパイレーツは3月競馬を完勝。好発進を決めたが、以降は5、3、3着。もう一伸びが足りないレースが続いているが、南関東A1に在籍した格上馬。積極策に出て首位を奪回したいところ。
ボウトロイは昨年、北海道から転入後、毎回勝ち負けを演じ、今季も3戦目から2連勝。叩かれながら本来の動きを取り戻した。メンバーは強化されたが、勢いで突破の構え。
ウインカムトゥルーは中央1勝、大井0勝、高知6勝から転入。初戦の栗駒賞で4着入着を果たし、シアンモア記念は9着。ただ前走タイムは同日のトキノパイレーツ、ホワイトブライドより上位。相手緩和されて反撃。
◎⑧サザンジンジャー
〇⑨リリーモントルー
▲③ホワイトブライド
△②トキノパイレーツ
△⑦ボウトロイ
△④ウインカムトゥルー
<お奨めの1頭>
6R ガッサンノリュウ
北海道1勝、南関東2勝馬が岩手C2編入は恵まれすぎる格付け。展開不問で好発進を決める
21日メインは岩手古馬の最高峰・一條記念みちのく大賞典トライアル「第24回あすなろ賞」(盛岡ダート1800m)。昨年、一昨年は水沢1900mを舞台だったが、今年は3年ぶりに盛岡で行われる。
過去にあすなろ賞(トライアルではない年も含む)、みちのく大賞典を同一年で制したのはメイセイオペラ、グローバルゴット、エンパイアペガサス、ハドソンホーネットの4頭。決して直結するとは言えないが、エンパイアペガサス、ハドソンホーネットが連勝していれば、それなりの成果があると見ていいだろう。
グローリーグローリは中央ダート4勝・オープン、障害1勝を経て転入。あっさり2連勝を飾り、重賞・赤松杯を制した。元々が跳びの大きいタイプで盛岡コースはさらに歓迎と目され、シアンモア記念で2番人気に支持されたが、結果5着。
レースリプレイを何度も観た。スタートで若干出負けを喫したため、位置を取るため中団まで押し上げたが、掛かって折り合いを欠くシーンがあった。それでもヴァケーションの後ろにつけ、直線で伸びてくると思ったが、優勝ノーブルサターンに0秒5紗5着に敗れた。
ただノーブルサターンは2馬身差で完勝したが、2着から5着までクビ、クビ、クビの僅差。2着スズカゴウケツとは0秒2差でしかなかった。それならば今回は巻き返し必至。むしろ気になるのはダート1800mは4戦すべて着外。距離克服がネックだが、盛岡1800mはペースが落ち着くケースがほとんど。首位奪回のお膳立ては整った。
スズカゴウケツは中央ダート1600m2勝、ダート1800m1勝。昨年10月、中央3勝クラスから転入。初戦を快勝したが、続くOROカップ7着後に名古屋に転籍。1勝をあげて今年4月に再転入。赤松杯は6着に終わったが、シアンモア記念で2着を確保した。中央3勝はすべて左回りでマークし、盛岡コースが合うのは確か。今度は重賞初制覇を狙う。
バスカヴィルは中央ダート4勝後、南関東へ移籍。一昨年、OROカップで3着に健闘した。昨年8月に岩手入りして1勝のみだが、重賞・青藍賞3着、準重賞・すずらん賞3着。赤松杯は7着だったが、その後はあすなろ賞へ照準を合わせて調整。東京ダ2100m快勝なら1800m延長も望むところ。
ゼットセントラルは昨年、中央1勝クラスから再転入。4勝2着5回3着2回。抜群の安定感を誇り、今季初戦も快勝。重賞・栗駒賞でも2着に気を吐いた。今度は盛岡1800m戦。ロングスパートが持ち味でスローに落とされた時に対応できるかだが、時計かかれば自力で台頭。
ブローヴェイスは昨年、中央未勝利から転入戦で3歳芝2400m重賞・サファイア賞を完勝。ダートに替わっても2勝と縦横無尽の活躍。今季2戦は着外だったが、仕上がり途上だったため。3戦目を快勝し、得意の盛岡戦を迎えたのが心強い。
ジェイケイブラックは昨年の2500m重賞・北上川大賞典を優勝。6歳にして悲願の重賞を手にした。休み明けを快勝して好発進。盛岡1800mなら差し脚を生かせる局面も十分。
◎(8)グローリーグローリ
〇(6)スズカゴウケツ
▲(1)バスカヴィル
△(5)ゼットセントラル
△(9)ブローヴェイス
△(2)ジェイケイブラック
<お奨めの1頭>
4R ジャンポール
休み明け3戦目を逃げ切って上昇一途。今回も同型不在で逃げ切り2連勝を飾る。