今年で17回目を迎える「テシオ杯ジュニアグランプリ」。当初は東北3県交流で実施されていたが、第5回(2003年)から地方競馬全国交流に格上げ。2歳馬で芝適性を確かめることができる唯一のレースとして定着した。
最も名を馳せたのは第2回優勝ネイティヴハートだろう。中央初戦のアイビーステークスを勝ち、GII・京王杯3歳ステークス(当時)2着で朝日杯3歳ステークスの権利を獲得して3着。
年が明けてニュージーランドトロフィー2着後、NHK杯マイルカップ4着。なかなか重賞を手にすることができなかったが、2003年のオーシャンステークス(GIII)で悲願のグレードタイトルを手にした。
そして一昨年、プレイアンドリアルは東京スポーツ杯2歳ステークスで後の皐月賞馬イスラボニータとタイム差なし2着に惜敗。朝日杯フューチュリティステークスは大外もこたえて7着だったが、翌年の京成杯(GIII)を完勝。クラシック候補と騒がれたが、残念ながらそのレースを最後に引退を余儀なくされた。
昨年はパイロ産駒パーティメーカーが優勝し、今年の東京ダービー2着と気を吐いた。テシオ杯ジュニアグランプリは出世の登竜門。今年はどの馬が主役を演じ、その後どのような足跡をたどっていくのか。今から楽しみで仕方がない。
さて20日、今年のテシオ杯ジュニアグランプリ。北海道勢は例年以上に粒ぞろい。かつてない重厚な布陣で臨む。
キーパンチャーは今が旬のスズカマンボ産駒。子どもたちはほぼ例外なく気性が激しいが、走る方へ気持ちが向くと一気に頭角を現す。
デビュー2戦は6、2着。しかし3戦目から3連勝を飾り、ブリーダーズGJC3着。続いて札幌芝1500mのクローバー賞に挑戦して最後まで粘って0秒2差4着。初芝をまったく問題にしなかった。
不安点は船移動を含めた長距離輸送だが、うまくクリアーできれば最も勝利に近い存在となる。
プレイザゲームは今シーズンのホッカイドウ競馬開幕初日のスーパーフレッシュチャレンジを快勝。以降は足踏みを続けているが、クローバー賞で直線鋭く伸びて0秒6差7着。こちらも売り出し中のパイロ産駒。
ウッディタイガーは8月、新潟芝1400m・ダリア賞へ挑戦。2番手の積極策に出て日本一の直線長い新潟で0秒8差9着。11番枠はちょっと痛いが、非凡なスピードで大外を克服。父は2世代目をデビューさせたローレルゲレイロ。
サプライズハッピーは地元期待の1頭。トライアル・若鮎賞は入れ込みが激しくロスの多いレースだったが、直線で猛追。優勝メジャーリーガーにアタマ差まで肉薄した。続くビギナーズカップは成長の跡を見せて5馬身差で圧勝。一瞬の切れはここでも十分通用するはず。父は人気種牡馬ゴールドアリュール。
あとはコスモス賞(札幌芝1800m)0秒8差8着ミトノグラス(父グラスワンダー)、初芝でも適性ありそうなフジノパンサー(父ベーカバドはフランスをメインに芝6勝)が押さえ。
◎(8)キーパンチャー
〇(3)プレイザゲーム
▲(11)ウッディタイガー
△(7)サプライズハッピー
△(10)ミトノグラス
△(6)フジノパンサー
<お奨めの1頭>
5R コパノハミルトン
中央芝で逃げ粘って見せ場を何度も作った。C2格付けは恵まれたし、実績のある芝が舞台なら初勝利は当確
今週から舞台は初秋の盛岡。1ヵ月の水沢開催で自慢の芝コースは完全に修復。直線の攻防がさらに激しくなること必至。
さっそく開催替わり初日19日(土)に8R B2「CITY STORY」(芝1700m)、9R B2「オクトーバーカップターフチャレンジ」(芝1700m)の2レース。
翌20日(日)はC2戦2レースとメイン11R「第17回テシオ杯ジュニアグランプリ」(いずれも芝1600m)の3レース。21日(月)は第1Rの2歳戦「南部杯カウントダウン21」(芝1600m)、最終12RにB1「FM岩手杯」(芝1000m)を予定している。
改めて記すことではないが、芝とダートはまったく別。各距離、条件に芝巧者がずらりエントリーしている。地方競馬で唯一の芝競走にも注目してほしい。
19日メインは3歳馬による盛岡ダート1600m戦「第3回イーハトーブマイル」。フルゲート12頭で覇を競う。
主軸はシークロム。ローレルゲレイロの初年度産駒で中央デビュー。もまれ弱い面があり、中央3戦0勝に終わり今年4月に転入。逃げたスペクトルを徹底マークから競り落として快勝。移籍初戦を重賞制覇で飾った。
その直後、北海道へトレードされて北斗盃オヤコダカの2着。再び岩手へ戻り、芝・はまなす賞2着。自分の競馬ができれば芝ダートを問わないことを証明した。
芝交流・オパールカップは流れがきつく9着に沈んだが、古馬初戦のB1戦2着。快調に逃げたが、マイネルウィットにゴール寸前で交わされて2着。わずかハナ差の悔しい敗戦となった。
今回は同世代の戦いに加え、同世代3歳が相手。ここでは実績が群を抜き、順当に重賞2勝目を手にする。
ヴァイキングは岩手デビュー2戦から北海道で1勝、大井で2勝。笠松・新緑賞4着を経て里帰りしてウイナーカップはスペクトルの2着。
続いて古牝馬オープン・フェアリーカップへ挑戦し、先行馬が総崩れの中にあって直線で一旦先頭。見せ場を十分に作って2着を確保。
岩手版オークス・ひまわり賞は当然のように1番人気に支持されたが、折り合いを欠いた影響が大きく追い出してから反応ひと息。同僚ラブディーバに完敗だったが、2着を死守し敗れて強しの一戦だった。
前走・ビューチフルドリーマーカップは上がり勝負に対応できず9着だったが、相手が強く仕方なし。むしろこの経験が今回に活かされると判断した。
ピースワンポイントは岩手3勝2着3回と連対を継続中。中山ダート1800m・2歳新馬戦3着の実力を誇示している。強い時の内容と2着内容に落差があるのが若干気になるが、底を見せていないのは事実。重賞でも好勝負に持ち込める。
マイネルサフィルスは中央未勝利からいきなり6連勝の快進撃。古馬編入戦の前々走、馬群に包まれて7着に沈み、連勝ストップしたが、前走で挽回。跳びの大きい馬で盛岡の方がスムーズに競馬を運べ、ここが試金石の一戦となる。
クインオブザナイトはひまわり賞で直線鋭く伸びて3着。それがフロックではないことを前々走の大外一気で証明した。展開に注文つくが、前がやり合えば台頭十分。
トーホクライデンは近走、出遅れ方が激しいが、元々が相手なりに駆ける堅実さが売り物。直線長い盛岡は基本歓迎。
◎(3)シークロム
〇(4)ヴァイキング
▲(11)ピースワンポイント
△(9)マイネルサフィルス
△(5)クインオブザナイト
△(1)トーホクライデン
<お奨めの1頭>
6R モズフウジン
転入初戦の強さには舌を巻いた。走破タイムも文句なく、ここも一気逃げ切る
★ヴィーナススプリント/3歳グッドギアーが優勝
9月12日に行われた牝馬重賞『ヴィーナススプリント』は3歳馬グッドギアーが優勝しました。
グッドギアーおよび鞍上の齋藤雄一騎手は共に4月のあやめ賞以来の重賞制覇。このレースはまだ3回目ですが3歳馬の優勝は初。
★南部杯トライアル・青藍賞はナムラタイタンが貫禄を見せる
9月13日に行われた青藍賞。10月のマイルチャンピオンシップの地元馬トライアルでもあるレースは1番人気ナムラタイタンが2番人気コミュニティを寄せ付けず、今季3つめの重賞タイトルを手にしました。
●10Rの買い目
馬単(1)=(11)、(1)=(10)、(1)=(3)、(1)=(5)
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いよいよナムラタイタンが始動する。7月5日、水沢1400m重賞・岩鷲賞でラブバレットを完封。後にラブバレットはクラスターカップで3着入線を果たしたが、ナムラタイタンの胸を借りたことも好走につながったと思っている。
岩手転入後、ナムラタイタンが勝ったレースでどれが一番強かったかと聞かれたら、迷わず岩鷲賞と答える。
ラブバレットは8ヵ月の休養明け後、水沢2連勝を飾り、さきたま杯に挑戦。いきなりグレードレースでは厳しいと大方は見ていたが、見せ場を作って4着。全国でも通用することを証明した。
ラブバレット陣営にしてみれば、岩鷲賞はクラスターカップへのステップとして考えていたが、急きょナムラタイタンが出走を表明。ほかにもシアンモア記念を逃げ切ったライズラインもエントリー。結果的に今季一番のメンバー構成となった。
専門誌各紙はラブバレットを本命視した。ナムラタイタンの強さは十二分に認めていても赤松杯を勝ったが、レース後に脚部不安が判明。3ヵ月近くの休養を余儀なくされ、当初予定だったシアンモア記念、みちのく大賞典はすべて見送った。
しかしナムラタイタンは役者が違った。逃げたラブバレットを徹底マークから直線でアッサリ交わして完勝。
坂口騎手は「モズが逃げると、いつ止まるか分からないので中途半端な競馬をしなければならない。でもラブバレットは直線でも粘りを発揮するから交わすことに専念できる。だからレース運びが楽でした」とコメント。ナムラタイタンは完ぺきな内容だったと断言できる。
その後は予定どおり暑い夏を避けて休養。当初の予定どおり青藍賞へ名乗りを上げた。中間の動きは決して万全とは言えないという。それでも得意のマイルなら主役は譲れない。
昨年、南部杯へぶっつけで臨んだが、今年はトライアルを叩いて本番に臨む。そこへ向けて好発進を決めてほしい。
コミュニティは順調度が何よりも強み。シーズン当初はマイルの忙しい競馬が合わず、直線追込んでも入着止まり。いずれもメンバー最速の上がりを披露したにもかかわらずだった。
そのうっ憤を晴らしたのがあすなろ賞。1800m延長を味方に快勝。続いて岩手伝統のみちのく大賞典に駒を進めた。
舞台はベストといえる水沢2000m。早めマクリから2着モズに10馬身差をつけて圧勝し、さらにパワーアップしたことをアピールした。
マーキュリーカップは7着だったが、特別2戦でトップハンデをモノともせず快勝。2連勝の勢いに乗って青藍賞へ出走する。
繰り返すが、マイルは本質的に合わないが、昨年の青藍賞を優勝しているのでこなせる距離。2連覇を果たすか注目。
相変わらずモズの評価には迷っている。特に近3走とも凡走。あっさり交わされて馬群に沈んでいる。しかしモズは自分の競馬=直線まで逃げると二の脚を披露。涼しい季節に突入したのも不気味さを増す。
あとは青藍賞トライアル・すずらん賞3着アフリカンハンターをマーク。スプリンターだが、水沢ならマイルも克服できる。
同じ意味がテイクエイムにも言える。鞍上に目下リーディングジョッキー・山本聡哉騎手を指名したのも見逃せない。
◎(2)ナムラタイタン
〇(3)コミュニティ
▲(7)モズ
△(6)アフリカンハンター
△(8)テイクエイム
<お奨めの1頭>
7R カンヌ
目下3連勝と自慢のスピードが冴え渡っている。先週は逃げ馬受難の馬場だったが、それでもカンヌは勝つ
先週6日、2歳重賞第二弾「第33回ビギナーズカップ」はサプライズハッピーが5馬身差で圧勝した。
逃げたボーンインタイム、2番手チャイヨー、3番手外ポエムトウショウの先陣3頭を見て4番手インに控えたサプライズハッピーは、追い出しをギリギリまで我慢して4コーナー手前からスパート。内ボーンインタイム、中チャイヨーを横目に一気に交わすと、あとは独走状態。余裕を残して初タイトルを手に入れた。
前走・若鮎賞(芝1600m)でテンションが上がり過ぎだと判断した山本聡哉騎手は後方待機策を選択。早め先頭に立ったメジャーリーガーを捕えることはできなかったが、アタマ差まで肉薄。
レース後、山本聡哉騎手は「この競馬をしたことで学習したはず。次につながる内容でした」とコメント。そのとおりの結果を見事に出した。
「ゲート出がもう一つでしたが、少頭数でしたから思ったとおりのポジションが取れました。
前回(若鮎賞)で後方に控えて直線でいい脚を使ったので、今回もひと脚を使える競馬を心がけたら鋭く反応してくれた。
まだ道中でフラフラしたり気負いがあったりして幼い面がありますが、素材がすばらしい。これから成長していけばさらに強くなると思います」
また芝、ダートどちらが合いますか?の問いには「必ずひと脚を使うので、どちらも問題ない。あとは多頭数になったときの対応でしょうね」
サプライズハッピー。楽しみな2歳馬がビギナーズカップで誕生した。
12日メインはオープン牝馬「第3回ヴィーナススプリント」(水沢1300m)、10頭立て。主軸にナリタメロディを推す。
中央1勝(芝1200m)から転入後、3勝2着2回。前々走・フェアリーカップで9着に敗れたが、これは1800mが長すぎた上、マークもきつく仕方なしの結果。他はオール連対とスピードが冴え渡っている。
今回はスプリント戦らしく快速牝馬がそろい、展開は決して楽ではない。しかし1300mなら控える競馬でも我慢できると踏んだ。
逆転筆頭はグッドギアー。昨年、北海道1勝から転入後、大躍進。気性難を抱えながら今季も<3.3.0.2>の好成績。
2000m・ひまわり賞は6着に終わったが、古馬編入でA級馬に混じって2着確保は価値大。距離短縮はもちろん望むところ。
ツリーハウスは名古屋ダービー2着の看板を引っ提げて転入。初戦のひまわり賞は後方から差を詰めただけに終わったが、牝馬交流・ビューチフルドリーマーカップで積極的なレース運びから5着。メンバーを考えると大健闘だった。久々の短距離が最大ネック。
アマアマは前々走A級戦で2着。中央1勝2着3回をダート短距離でマークし、一発の可能性を十分秘めている。
ドナエテルニテは転入初戦、今回と同じ水沢1300mを逃げ切り完勝。相手は骨っぽくなったが、折り合いつけば軽視できない。
シェイプリーは3歳以来、超久し振りの短距離戦なので評価を下げてしまったが、フェアリーカップで鮮やかな直線一気を決めて快勝。前崩れなら台頭のシーンまで。
◎(6)ナリタメロディ
〇(2)グッドギアー
▲(10)ツリーハウス
△(1)アマアマ
△(3)ドナエテルニテ
△(5)シェイプリー
<お奨めの1頭>
4R サルバドールガロ
転入2戦3、2着だったが、タイム差なし。相手が大幅に楽になり、今度こそ首位を奪取する