ここにきて岩手は朝晩がめっきり寒くなった。放射冷却現象の影響もあると思うが、23日朝の盛岡は最低気温が0℃4分。これは気象台のある地点での気温。山の中腹にあるOROパーク=盛岡競馬場は下界より2度から3度は低い。
つまり盛岡競馬場は氷点下を記録したことになる。それを裏付けるように朝、攻め馬に向かう厩務員の一人が車に乗ろうとしたら、窓ガラスにびっしり氷が張っていたという。
この日の最高気温は17℃4分。ひとまず昼は平均だが、寒暖の差が激しく競馬場向う正面の木々は一気に紅葉が進んでいる。まだ緑が多く残っているが、今週来週あたりが見ごろになりそう。画面越しでもいいので、競馬観戦とセットで紅葉を楽しんでください。
25日メインは岩手伝統の3歳重賞「第47回不来方(こずかた)賞」。舞台は盛岡ダート2000m。
岩手競馬で47回を数えるのは不来方賞と岩鷲賞の2レースのみ。しかし岩鷲賞は血種、クラス、条件が何度も変更。一貫し同じ条件(サラブレッド3歳)で実施してきたのは不来方賞のみ。本当の意味で岩手のダービーは不来方賞。これを頭の片隅にでも置いてほしいと思う。
主軸にダイワエクシードを指名する。2走前の東京ダート2100mを逃げ切り勝ち。ほかにダート1800mで3着1回の実績を残した。
これは明らかに不来方賞をにらんでのトレード。兄姉はコンスタントに白星を挙げ、シュテルンターラー2勝、スペシャルポケット2勝、シュテルングランツ3勝など活躍馬が多いのも心強い。移籍初戦でいきなり重賞制覇を狙う。
ヴァイキングは岩手デビュー2戦後、門別1勝、大井2勝、名古屋0勝を経て里帰り。未勝利ながらウイナーカップ(3歳)、フェアリーカップ(牝馬オープン)、ひまわり賞(岩手版オークス)、イーハトーブマイル(3歳)で2着4回。
唯一、連対を外したのは牝馬交流・ビューチフルドリーマーカップ9着のみと抜群の安定感を誇っている。しかも道中の手応えが悪くヒヤッとさせるのだが、結果は2着死守。能力の高さは相当なものと解釈していい。牡馬相手にも勝ち負け必至。
ゴッドバローズは福島芝1800mの2歳新馬戦を快勝。新潟2歳ステークスにも駒を進めた。初戦はパワーの要るダート克服がネックだったが、盛岡ダ1800mを1分52秒9の破格タイムで圧勝。単純に1ハロン分、13秒を足すと2分5秒9。これは不来方賞の勝ちタイムに匹敵し、アッサリも十分。
アクティブボスは中央2歳時は凡走の連続だったが、3歳を迎えて2着1回3着2回。成長の跡がはっきりうかがえ、転入初戦でロングスパートを決めて完勝。さらに上昇ムードで不来方賞を迎えたのが不気味。
カスミチャンは中央未勝利ながらダート1200m~1800mで幅広い距離で上位を確保。こちらも軽視できない。
◎(3)ダイワエクシード
〇(9)ヴァイキング
▲(7)ゴッドバローズ
△(11)アクティブボス
△(5)カスミチャン
<お奨めの1頭>
3R ペネトレイト
前走はスタートダッシュがつかなかった上、マークがきつく失速。しかし今回はメンバーが大幅に甘くなり、首位奪回に燃える
盛岡芝1000m重賞・OROターフスプリントのルーツは2009年にさかのぼる。元々は芝2400m特別だった『きんもくせい賞』を芝1000m・オープン特別に衣替え。
ウメノレイメイが2連覇を果たし、一躍注目の的。芝1000m戦のスピード、迫力がファンから熱い支持を集め、2011年に「OROターフスプリント」と命名された。
第1回から3回までは地元重賞で実施したが、昨年から地方競馬全国交流へ格上げ。今や岩手競馬の名物レースになるまで出世した。
昨年はトライアル・ハーベストカップを制したダブルスパークが優勝。2着にダイワスペシャル、3着にドリームフォワードが入り、地元岩手勢が上位を独占。3連単43500円の高配当で幕が閉じた。果たして今年はどんな結末が待っているか。
主軸選びに迷ったが、最終決断はクリーンエコロジーだった。中央5勝のうち3勝を芝1200mでマーク。北海道移籍後、門別1200m重賞・エトワール賞を豪快な大外一気で圧勝した。
レース間隔が開いたのと大外13番枠が気になるが、仕上げのすばらしさに定評がある田中淳司調教師のこと。遠征するからには自信ありと見ていいはず。地力上位。
逆転筆頭はエゴイスト。中央1勝からの転入だったが、初戦の盛岡ダート1400mで驚異的なダッシュ力を披露。前半3ハロン35秒1の超ハイペースで逃げた。
さすがに直線は一杯となったが、続くトライアル・ハーベストカップを逃げ切り完勝。初戦で見せたスピードはダテではなかったことを証明した。
一本調子の逃げタイプゆえマークされると厳しいが、願ってもない内枠3番枠を引き当てたのも強運。ダブルスパークと同じ道へまい進する。
インプレスウィナーは中央7勝。芝1400mで6勝をマークし、芝1200mでも2着1回。オーシャンステークス4着から高松宮記念に挑戦した実績を誇る。
OROカップは芝1700mが長く4着止まりだったが、今度の芝1000mは望むところ。コース2度目も心強い。
エーシンシャラクは転入後、芝1600m・桂樹杯以外はオール連対。ハーベストカップでも勝負どころでもたつきながら底力で2着をもぎ取った。1枠が微妙だが、経済コースを進めれればイン強襲を決める可能性も十分にある。
ミラクルフラワーは2歳時に知床賞、プリンセスカップと岩手重賞を驚異的なタイムで快勝した。芝も3走前の札幌芝1200mで経験して0秒7差9着。53キロの軽ハンデを生かして大物を食うか。
ケイアイアストンは短距離路線で古豪復活を誇示。ハーベストCでも巧みなレース運びで3着ならマーク欠かせない。
◎(13)クリーンエコロジー
〇(3)エゴイスト
▲(11)インプレスウィナー
△(1)エーシンシャラク
△(6)ミラクルフラワー
△(12)ケイアイアストン
<お奨めの1頭>
7R チョーハッピー
転入初戦で類まれなスピードで逃げ切り圧勝。ここでは走破タイムが違いすぎる
★マイルチャンピオンシップ南部杯はベストウォーリアが連覇!
10月12日に行われた『第28回マイルチャンピオンシップ南部杯JpnI』。今年は地方代表にもハッピースプリントやポアゾンブラックといったグレードレースで実績のある馬が参戦しましたが、結果はJRA勢が4着まで独占。勝ったのは1番人気ベストウォーリアでした。
2着はJRAタガノトネール、3着もJRAワンダーアキュート。4着JRAダブルスターで、5着に北海道ポアゾンブラック、6着に大井ハッピースプリントとなりました。
当日は盛岡競馬場内で様々なイベントも行われ、今年は岩手競馬唯一となるJpnIレースを盛り上げました。
●11Rの買い目
馬単(5)=(8)、(5)=(4)、(5)→(6)、(5)→(2)
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昨日に続いて南部杯の話。今回は売り上げ等の数字面を分析してみたい。
10月12日(月祝)の一日総発売額は666.319.800円。この数字自体は強調できる点があまりないが、南部杯単体(1R)は504.786.500円を記録した。
これは2013年の517.883.100円に次ぐ2番目。過去10年に限られているデータだが、それ以前は、もちろんインターネット発売などがない時代。1日の売り上げはともかく、おそらく南部杯28回でも1Rの売り上げは史上2番目だったと判断して間違いない。
また入場人員も前年を大幅に上回った。盛岡競馬場を訪れたファンは6,216名(前年比145・3%)。昨年、12年ぶりに開催したJBC盛岡は例外として大健闘。当日は寒波の影響で非常に寒い一日となったが、多くのファンが集まってくれた。
およそ10日の間でシリウスステークス、日本テレビ盃、白山大賞典とダートグレードレースが密集。有力馬が分散した中での数字だから、なおさら価値が高い。
東京競馬場の岩手競馬場外も南部杯発走時には101スタンドはごった返し状態だったという。南部杯のファンの認知は確実に上がっている。あとは関心を持って下さった方にどんな楽しみを提供でき、継続していただけるか。今年の南部杯がいい手本になった。
余談だが、盛岡競馬場にやって来たみどりのマキバオーは大人気でした。18日メインはB2級馬による芝1000m戦「もみじ賞」、12頭立て。
芝1000m戦はどんなクラスでも好評を博しているが、今回もB2級の芝巧者、短距離自慢がずらり顔をそろえた。
主軸にツキミチャンを指名する。昨年8月、中央未勝利から転入。2着1回が最高だったが、今年に入って本格化。通算6勝を荒稼ぎし、特に芝は5勝2着2回と、まさに盛岡ターフの申し子といっても過言ではない。
芝1000mも同じB2条件・姫神賞完勝で適性を証明済み。目下、芝で2連勝を飾っているのも心強い。
逆転首位を狙っているのがエイプリルラヴ。転入初戦の芝1600mを逃げ切り完勝。自らハイペースを形成しながら、そのまま押し切った。
中央2着1回は福島芝1200m戦なら距離短縮は望むところ。ヒロインの座を奪い取るか注目。
コスモケリアは今季3勝とも芝が舞台。夏以降は精彩を欠いているが、盛岡芝1000m<2.2.0.1>と適性抜群。多少、調子が悪くても芝1000m戦は適性重視がセオリー。
テンプトミーノットも芝1000m4戦1勝2着2回とベストの条件。前走に復調の兆しもうかがえ、首位戦線に躍り出るか。
ダイワスペシャルは今季3着2回。シャープさが影を潜めているが、昨年、芝1000m重賞・ハーベストカップ3着、OROターフスプリント2着。実績を考えるとアッサリあって不思議はない。
ハタノガイストは大差負けの連続だが、福島2歳新馬戦・芝1000mを逃げ切り勝ち。待ちに待った舞台で一発をもくろむ。
◎(7)ツキミチャン
〇(6)エイプリルラヴ
▲(9)コスモケリア
△(10)テンプトミーノット
△(11)ダイワスペシャル
△(5)ハタノガイスト
<お奨めの1頭>
9R アフリカンブルー
前走2着で連勝が8でストップしたが、出遅れが致命傷。しかも敗れたとはいえクビ差の惜敗なら評価ダウンにはならない。仕切り直し
先週12日、盛岡ダート1600mを舞台に「第28回南部杯」が行われ、単勝1・3倍の圧倒的1番人気に支持されたベストウォーリアが2馬身差で完勝した。
1枠を利してタガノトネールが逃げ、2番手エーシンビートロン、3番手ポアゾンブラック。少し離れてベストウォーリアが追走し、その外でダブルスターが徹底マークの戦法に出た。
互いに自己ポジションを譲らず、前半3ハロン34秒0の超ハイペースで推移。完全にサバイバル戦となった。
まずエーシンビートロンが脱落し、続いてポアゾンブラック。そしてダブルスターが次第に置かれ始め、直線はタガノトネール、外ベストウォーリアの叩き合いに持ち込まれた。
残り200m。ベストウォーリアがタガノトネールを交わすと、力強く抜け出して南部杯2連覇を果たした。
福永祐一騎手
「力がある馬なので自信を持って乗りました。終始、外からプレッシャーをかけられて楽な競馬ではなかったが、それに怯まない強さがある。最後は脚が上がったが、底力で持ちこたえてくれました。
たくさんの応援と支持を集めていたので勝つことができてうれしい。
次走目標はJBCスプリントとのこと。1200mでは少し置かれるかもしれないが、切れる脚を持っているのでこなせるかもしれない。レーススタイルが違う形になっても結果を出してくれると思います」
石坂正調教師
「前回(プロキオンS)、59キロを背負っても強いレースをしてくれたので成長続けているのを確認できました。
今年の南部杯は昨年より強いメンバーがそろったが、ここで勝てたのが心強い。
次走はJBCスプリントを考えています。昨年の結果から1800mから2000mは長い。体型的にもスプリンターの形になっていますからね。ベストは1400mですが、今なら1200mも対応できるのでは。最終的にはオーナーと相談して決めたいと思っています」
ベストウォーリアの今後の動向に注目してほしい。
17日メインはB1一組・盛岡ダート1600m戦「震災復興 子ども達に夢と笑顔を」。ブルロックに絶好の勝機を迎えた。
中央ダートで5勝をマークしてオープンへ在籍。昨年4月、南関東へトレードされ、白星を飾れなかったが、A2で2着3回。
この実績があれば岩手A級は勝ち負けだが、2戦2、3着。詰めの甘さに泣いている。それで前開催をスキップして立て直しに専念。満を持して出走する。メンバーも大幅に楽になり、ここは是が非でも勝ちたいところ。
コスモフィナンシェは名古屋から里帰り。使い詰めもこたえて未勝利ながら前々走・青藍賞4着。みちのく大賞典馬の意地を見せた。
前回抽選モレだったが、これがちょうどいい休養になったはず。地力から逆転首位も十分。
ニホンピロララバイは4月、5月と連勝を飾ったが、以降は精彩なし。夏負けも少なからず影響した。しかし白神賞3着で復調の兆し。マイルは微妙だが、こなせる距離。
マイネヴァイザーはFM岩手杯0秒5差4着、白神賞1秒差7着。いずれも自分の競馬ができなかったが、大敗せず粘り強さが目立った。今度はマイペースの逃げが打てる。
マイネルナタリスは4ヵ月ぶりの実戦を叩かれて変わり身必至。あとは1年1ヵ月の長期休養後、レースを使われながら徐々に上昇マウントマズル押さえ。
◎(4)ブルロック
〇(3)コスモフィナンシェ
▲(6)ニホンピロララバイ
△(8)マイネヴァイザー
△(5)マイネルナタリス
△(9)マウントマズル
<お奨めの1頭>
6R エアヴーヴレ
転入初戦を驚異的なタイムで逃げ切り圧勝。同じ1200mが舞台なら連勝もらった