8月3日、青森県南部町の八戸家畜市場でサラブレッド1歳の八戸市場が開催されました。2005年以来の8月開催でしたがちょうどお祭りシーズンにぶつけたのが功を奏し、また暑さも和らいでもくれて盛況。上場64頭中27頭売却という好調な結果となりました。
最高価格840万円(税込)で落札されたのは新種牡馬ケイムホームの産駒でした。生産は青森・佐々木牧場、母はエムケイミラクル。そう、マヨノエンゼルの半弟にあたる馬です。
下見の段階から注目を集めていただけにセリ終盤の登場ながら活発に競り合いが進み、最終的にはJRAが840万円まで競り上げて落札。それまでの最高価格がグラスワンダー産駒の693万円、それをあっさりと超える価格に場内から歓声と共にため息が洩れました。
この馬のお母さんは02年の八戸市場に登場して岩手競馬の補助馬として購買されました。「レディーマジョラム2001」という血統名が今でも耳に残っています。
マヨノエンゼルは07年のこの市場に上場されましたが主取り。しかしその後の活躍は、岩手競馬ファンの皆さんならご存じの通り。現2歳のマヨノプリンセスも昨年のこの市場で購買されました。母子共に八戸市場や岩手競馬と縁が深い馬たちですよね。
この半弟の今後ですが、既にセリの翌日、青森から宮崎のJRA育成牧場へ向けて出発しています。宮崎で来年の春まで育成調教が進められ、順調に進めば来年のブリーズアップセールに上場、そこで購買されてJRAデビュー濃厚、という順序になるでしょう。
このルートで思い出すのはタムロチェリー。2000年の八戸市場でJRA抽選馬(当時)として購買され、翌年の小倉2歳SGIII、そして阪神JFGIを制しました。
あれからはや10年、そろそろ東北産のGI馬を・・・というのはまだちょっと気が早すぎますが、でもマヨノエンゼルの半弟ですしね。やっぱり期待してしまいます。
前走のJRA交流戦では1番人気に推されながら8着に敗退した(2)オウシュウサンクス。海千山千のJRA馬達のつくる流れに翻弄され、最後まで力を出せずじまいだったように思います。
しかし今回は再び地元馬のみの戦い。それもほとんどの相手はこれまでに秒単位で負かしたことがあるような馬で、相手には失礼ながら非常に与し易いという印象です。
自分としては正直な所、今季のオウシュウサンクスは昨年の一番良い頃の動きにはちょっと遠い状態だと思っています。とはいえそれでも、中間はしっかり調整できていますし、地元馬同士なら地力の差だけで押し切れる計算。やはりこの馬から、でしょう。
となると相手は◎と未対戦の馬から・・・という事に。そこで浮上するのが(3)タカラムーンです。B1の上位で勝ち負けできる点を再確認できた前走は価値の高いもの、真っ向勝負で◎を負かせるとまでは言いませんが、もし◎が前走のようにもたつくようなら・・・というポジションにはあると思います。
三番手となるともはやどっこいどっこい。ここは(7)マイネルサウダージ、(8)ビュレットライナーあたりの先行馬を拾うのがベターなのでしょうが、土・日の感じだと逃げた馬が止まりがちで強気になれず。この2頭にしてもむしろ「ハナ奪った方に勝ち目が無くなる」様な気がしてなりません。
では(1)モンセルバンの一発狙いか?しかしこちらもねむの木賞くらい走れば計算できるのですが、いかんせんその後の3戦が全てしんがり負け。
やはりここは◎中心、何かあるとすれば◎自身が自滅したような場合のみ・・・と考えるしかないようです。
●10Rの買い目
馬単 (2)=(3)、(2)→(7)、(2)→(8)
7日メインは3歳・芝2400mが舞台「サファイア賞」。地元同士の戦いならばシーグランディが実力の違いを見せつける。
シーグランディは冬場にJRAへ2度挑戦して連続11着。福島2歳ステークスで2着に食い込んだが、1800mでスローに落とされて折り合いを欠いたのも痛かった。その後、美浦近郊の牧場で休養に入り、5月15日、七時雨賞(盛岡ダ1800m)から始動。打倒ベストマイヒーローに燃えていたが、完敗3着。
その結果から芝路線へ照準を絞り、3歳B1戦(ダ1600m)を叩いて芝特別・はまなす賞へエントリー。ゴール前でラブミープラチナに詰め寄られたが、貫禄で優勝。満を持して交流重賞・オパールカップへと臨んだ。
盛岡芝の実績が群を抜き、当然のように1番人気に支持されたが、北海道から参戦スタープロフィットに完敗。地元レディージャスミンにも先着を許し、3着に沈んでしまった。
この内容に陣営、小生もショックが大きかったが、よりによって大外10番枠からの発走。芝1700m戦は内枠が圧倒的に有利の傾向があり、じっくり後方待機策を採ったが、自慢の切れが不発に終わってしまった。
想定どおりの成長がなかったのか、それとも昨シーズンの疲れが残っていたか。いずれにせよ今回は勝つことはもちろん、内容も問われる一戦。2400mの距離は本質的に合わないだろうが、ここでは絶対能力が違う。反撃の狼煙(のろし)をあげることができるか。注目してみたい。
相手筆頭はスパルタン。昨年、北海道デビューの予定だったが、出走を取り消して岩手転入。芝2戦を2、1着にまとめて上々の滑り出しを切った。その後は重特では力が足りず、平場戦2着1回でシーズンを終了した。
今季スタートは3歳B1戦だったが、3、6着止まり。視界から外れつつあったが、岩手ダービー・ダイヤモンドカップでベストマイヒーローの2着。距離延長を味方に好走した。
続いてジャパンダートダービーへ挑戦したが、さすがに相手が強すぎてブービー14着に終わったが、自身には貴重な経験となった。帰郷後も反動がまったくなく元気一杯。好調キープでサファイア賞へ駒を進めてきた。
芝は先にも記したとおり問題なし。あとは2400m戦がどうかだが、体型的に明らかに長距離向き。忙しい競馬より間違いなく合うはずだ。
カギを握る1頭がリュウノキャンドル。北海道、南関東で通算3勝。東京プリンセスカップ13着後、留守杯日高賞へ参戦。相手関係から1番人気に支持されたが、初コースと輸送がこたえて4着。
南関東へ帰郷したが、競走除外となり、岩手入り。当初はひまわり賞へ出走予定だったが、岩手1出走以上の規定に引っ掛かり、3歳B1戦に臨み、好位抜け出しを決めて快勝。底力の違いを見せつけた。
ネックは言うまでもなく生涯初の芝。未知数のため凡走の可能性もあるが、父がプリサイスエンド、母父がサッカーボーイなら盛岡芝が合いそう。まとめて負かすシーンも十分。
レディージャスミンは水沢1勝、盛岡芝1勝。シーグランディといっしょに福島・きんもくせい特別に挑戦して1・7秒差10着。続く中山芝1600m・ひいらぎ賞も同じく10着に終わったが、直線ではマズマズの脚を使い収穫は少なくなかった。
その後は休養に入り、ダート戦から始動して8、4着。ダート適性も低かったが、仕上がり途上のため凡走したが、芝・はまなす賞3着。これで本来の動きを取り戻しオパールCでは積極的なレース運びを見せて4角で一旦先頭。直線でスタープロフィットに離されたが、2着を確保した。
前走・ひまわり賞はダートに替わった上、持久力が要求される2000m戦で6着止まり。この一戦が余計な印象は拭いきれず、評価を下げてしまった。
あとは芝2着2回のバクソクトレインも刑しできない。一戦目は逃げて2着、前走は後方待機策から直線鋭く伸びて2着。今回はメンバーが大幅に強化されたが、適性は上位馬に比べても決して見劣りはしない。
◎(4)シーグランディ
○(11)スパルタン
▲(9)リュウノキャンドル
△(8)レディージャスミン
△(2)バクソクトレイン
3連単は4を1着固定に11、9、8、2手広く流したい
馬複は 4-11、4-9、4-8、2-4
<お奨めの1頭>
1R エスプレッソ
デビュー戦はエトセトラの外方逸走に助けられたかと思ったが、2戦目のダート戦を舌を巻く強さで圧勝。これは大物だ
6日メインはB2級「オーガストカップ」(盛岡ダート1600m)。同型いても潜在能力が高いローランダイキチに期待する。
中央1戦0勝から09年に転入。骨折のため1年4ヶ月ぶりの実戦ながらハイタイムをマークして逃げ切り圧勝。デビュー戦が504キロだったが、545キロ。太め残りもあったが、成長分も大きかった。続く一戦も逃げ切ったが、再び骨折が判明して7ヶ月半の休養を余儀なくされた。
それでもオーナーが見限らなかったのは潜在能力を認めていたから。10年6月に戦列復帰を果たし、当初2戦は脚元と相談しての出走だったが、3戦目からエンジン全開。3勝2着2回の成績を収め、ようやく本格化を迎えたかと思った。
しかし、またもや脚部不安に陥り、休み休みの実戦。今季も仕上がり途上だったため3戦8、4、9着にとどまっていたが、前回は本来のスピードを発揮して逃げ切り3馬身差。待望の白星をマークした。
今回、ブライティアヘアー、ブラックベガスと逃げたい馬がいるが、ローランダイキチの能力が一枚上。仮にブライティアヘアー、ブラックベガスがハナを主張しても3番手でしっかり折り合いをつけ、2連勝濃厚と見た。
もしローランダイキチがハイペースに巻き込まれたらエスユーシルバー、センリグランピーにチャンスが到来。エスユーシルバーは移籍初戦の前走、馬体をきっちり絞ってマイナス7キロの536キロ。ペースにも恵まれたが、動きが軽快となって3着を確保した。
センリグランピーは常識にかからず絶対の信頼を置けないが、前々走の芝2着。前走ダート戦で3着。ようやく切れる末脚がよみがえってきた。これまで盛岡ダート3着が最高だったが、展開を味方に久々の首位を狙う。
あとは折り合いをつけるか、強引にでもハナを奪った際のブラックベガス、1枠に入り、揉まれると苦しいが、自在性の脚質を備えているドリームガイアもマークが欠かせない。
◎(6)ローランダイキチ
○(4)エスユーシルバー
▲(3)センリグランピー
△(1)ドリームガイア
△(7)ブラックベガス
3連単は6、4、3の3頭軸から1、7を3着押さえて18通りのフォーメーション
馬複は 4-6、3-6、3-4、1-6
<お奨めの1頭>
11R ネイチャーゼウス
前走は早めに交わされて失速5着だったが、これはマークがきつすぎた。大外に入ったのが気になるが、先手必至のメンバー構成。あとは菅原勲騎手の腕に託したい
一週間前になりますが、7月26日にJRA・岩手の騎手とポニーが釜石の保育園を訪ねたお話を。
前回のこの欄でもお伝えした『フレンドシップ3.11』のJRA福永祐一騎手・川田将雅騎手・藤岡佑介騎手と岩手の南郷家全騎手・山本聡哉騎手の保育園訪問。前日は夕方にトークショー、当日は盛岡を朝6時に出発して2時間半をかけて釜石入り、それから午前中に3カ所・午後に2カ所の保育園を回るというなかなかハードな行程でしたが、騎手の皆さんも、そして2頭のポニー君も、最後までがんばってくれました。
ポニーを見て、ポニーがひく馬車に乗って大喜びの子供たち。そして、そんな子供たちとずっと遊び続けてくれた騎手の皆さん。どの保育園でも、帰る時には「また来てね!」と言われました。ぜひまた行きたいものです。
また、JRAの騎手の皆さんは震災被災地を訪れるのも初めてということで、釜石市の災害対策本部を訪れて現状について説明を受けたほか、被害の大きかった釜石市中心部、閉鎖されたテレトラック釜石、さらに大槌町まで足を伸ばして震災被害の実態と現状を目にしてきました。
大槌町では折悪しく強い雨になってしまったのですが、そんな雨に打たれるのも忘れ、被害を受けた街を見つめたまま動こうとしない騎手の皆さんの姿が印象的でした。
彼らが何を感じたか、そのあたりの事は福永騎手がツイッターに、藤岡騎手はブログに、掲載されています。藤岡騎手のブログには前日のトークショーの事なんかも書かれています。ぜひご一読を。
昨年の覇者(4)ハッピートークは控えめに押さえまで。やはり昨年の今頃ほどの勢いが無い点、今週はやや逃げ馬に不利なコース状態という点でこうしましたが、しかし主導権握ってしまえば怖い馬に変わりはありません。そしてもう一頭、穴っぽく(12)ホクセツロマンを。転入後の成績はまだ何ともいいがたいものの、前走くらいに走ってくれば足りても良いはず。B級の馬を買うよりはこちらの方が目がありそう。
●10Rの買い目
馬単 (10)=(8)、(10)=(2)、(8)=(2)、(10)→(4)、(10)→(12)
岩手競馬の全レース予想を公開中!「岩手競馬・勝ちそーステーション」へ
31日メインは盛岡ダ1600m戦「すずらん賞」。例年ならば南部杯への道がこの一戦から始まるが、今年の南部杯は震災支援のテーマを掲げ、東京競馬場で開催。位置づけはちょっと変わったが、楽しみ一杯のメンバーが顔をそろえた。
昨年はゴールドマインが3番手抜け出しを決めて優勝し、2着サクラマジェスティ。馬複280円の順当レースとなった。また前年の覇者マヨノエンゼルはスランプから脱出できず6着。自問自答の日々を送っていた。
今年も以上の3頭がエントリーしてきたが、残念ながら今年は脇役に押されてしまった。ゴールドマインは昨年同様、マーキュリーカップ6着から駒を進めてきたが、1ヵ月半のゆったりしたローテーション。しかし今年は中1週とレース間隔が詰まり、追い切りでは絶好の動きを披露したが、▲評価に落ち着く。
ゴールドマインは中央4勝のうち3勝がダート1600mでマークし、条件はベストだが、新興勢力2騎の方が勢いがありそうだ。
その2騎とはマイネルプロートス、ギシアラバストロ。マイネルプロートスは中央ダート2勝500万下からの転入。デビュー4戦目から6回連続で1番人気に支持され、母がダイイチシガー。父が大種牡馬ブライアンズタイム。
母を記憶している方も多いだろう。イットー→ハギノトップレディ→ダイイチルビー→ダイイチシガーと流れを汲む"華麗なる一族"。中央では500万下にとどまり素質開花はならなかったが、岩手の水が完全に合った。
初戦・あすなろ賞は陣営も半信半疑だったが、直線豪快に抜け出して快勝。レース後は反動が大きく調子を落としたが、じっくり立て直しを図ってみちのく大賞典へ出走。陣営は自信満々で送り出したが、終始インに包まれて折り合いを欠きっ放し。高松亮騎手が必死に行きたがるのを抑えたが、制御できず6着に終わった。
しかし岩鷲賞で見事雪辱を晴らした。中央で芽が出なかったのは慢性的なコズミ(筋肉痛)があったから。厩舎は入念なウォーミングアップから馬場入れ後もダグ2周、キャンター3周。強い追い切りはやらず時間をじっくりかけて調整したのが幸いした。もちろんクーリングダウンも手抜かりなく、万全の態勢で臨む。
ただギシアラバストロの能力も相当なもの。中央ダート4勝、準オープンから転入でマイネルプロートスとは格が一枚も二枚も上。ただ勝ち星すべてが1400m以下。初戦の1800mの距離が若干不安視されたが、それをあざ笑うかのようにアッサリ逃げ切って完勝。能力が違えば距離もこなすことを証明した。
しかも今回は1ハロン短縮され、1600mが舞台。初戦1着後、このすずらん賞1本に照準を絞って調整を進めてきた。ここを勝てば一気に主役に躍り出る可能性も十分にあり、その意味でも目が離せない。
ワイルドキャットはあすなろ賞2着、みちのく大賞典、岩鷲賞と連続3着。岩鷲賞は2000mからいきなり1400mへ短縮され、ペースに戸惑った印象も否定できず見限るのは早計だろう。
あと気になるのは前走2着で復調の兆しがうかがえたサクラマジェスティだが、マイルの忙しい競馬は本質的には合わない。よって3着押さえ程度になる。
◎(3)マイネルプロートス
○(8)ギシアラバストロ
▲(1)ゴールドマイン
△(2)ワイルドキャット
△(5)サクラマジェスティ
3連単は3、8、1の3頭ボックスが本線。あとは2、5を3着押さえ
馬複は 3-8、1-3、2-3、1-8
<お奨めの1頭>
5R ウインハーモニー
昨年、大当たりしたトレーニングセール出身馬。こちらも仕上がり早く水沢850mで行われた能力検査で一番時計52秒5をマークした。初芝、初コースも問題にしない