今年も残すところ今日1日。長いような短いような1年でしたが、最後はビシッと決めて新しい年に向かいたいというもの(と、ここまで書いて、去年もこんな出だしだったような気がしてきた・・・)。いや、決めましょう!
本命はこの馬・テンショウボスです。4歳馬にしてもはや岩手No.1の座を揺るぎないものにし、今シーズンは重賞2勝・特別3勝。グレードレースでも地元勢を引っ張る活躍を見せています。実績からすれば本命視が当然というものでしょう。
問題は状態面ですが、間隔を詰めた前走までとは違い、1ヶ月開いたおかげで順調に調整できたとの事。右回りがやや苦手とはいうものの、ここ2戦の内容は文句ないものですからね。昨年は同期のライバルに敗れて4着に終わりましたが、今度は掲示板の一番左を狙います。
対抗はサンシャインヘイロです。北上川大賞典、2500mという不利な距離にもかかわらずの3着には高い評価。距離短縮はもちろん好材料ですし、前走を勝って乗り込んでくる勢いも魅力。どんな走りができるか楽しみ。
3番手はサイレントエクセル。実力はテンショウボスとも互角。しかし前走・前々走と本調子になさそうなのが気になります。ただ、所属の千葉博調教師が31日で定年を迎え、このレースが厩舎最後のレース。有終の美を飾ってほしいところです。
以下は3歳馬から。まずマツリダワルツ。牝馬ながら3歳世代の中でもトップを争う存在に成長しました。水沢は得意だし距離も問題なし。もう一頭はハルサンヒコ。ダービーGPを勝ち、北上川大賞典2着という成績は普通に考えて古馬トップクラスにも遜色のないもの。長い距離・軽い馬場も得意でかつ枠順も絶好です。世代間の力差を考えてこの2頭は△扱いにしたのですが、3歳馬が古馬とどんな戦いをしてくれるか、実はこれが一番の楽しみなんですよね。
有馬記念なんかもそうなんですが、こういう年の瀬の〆のレースというのはえてしてその年の“世相”を反映した結果になりがち。
そう思って振り返ると、今年の岩手競馬は強い4歳世代が引っ張りつつ3歳馬の頑張りも目立った。2歳世代などは牝馬の活躍も目だったように感じます。となると桐花賞もやっぱり「4歳」対「3歳」・「牝馬」という図式になるのかも・・・そんな気がします。
さて買い目です。テンショウボスを信頼して1着固定で、サンシャインヘイロへの馬単7→12が本線。3連単にするなら他を3着の相手にして7→12→4、6、8。さあ、結果はどうなるのでしょうか?
◇お奨めこの一頭
5R:アイスカービング
昇級になったがこの馬のスピードはここでも通用する。
30日(日)メインはB3級馬による新設特別「第1回アテルイ賞」(水沢1800m)、8頭立て。
アテルイとは古代東北の英雄。7世紀当時、蝦夷(えみし)と言われた北東北はすでに独自文化を築いていたが、時の朝廷が支配領域を北に拡大(つまり侵略)しようとするのに抵抗。しばしば防衛のために戦い、反乱を起こし、また国境を越えて襲撃を行った。
最大の戦いは胆沢とその周辺の蝦夷との戦いで、780年に多賀城を一時陥落させた宝亀の乱の伊治呰麻呂、789年に巣伏の戦いで遠征軍を壊滅させた阿弖流為(アテルイ)らの名がその指導者として伝わる。朝廷は大軍で繰り返し遠征し、征夷大将軍坂上田村麻呂が胆沢城と志波城を築いて征服した。(Wikipedia参照)
長い間にわたって歴史に埋もれていたアテルイだが、近年、歴史の掘り起こし、再検証によってようやく正当評価がなされ、2005年には、アテルイの忌日に当たる9月17日に合わせて岩手県奥州市水沢区羽田町(旧・水沢市)の羽黒山に阿弖流爲・母礼慰霊碑が建立された。
(セイントプラウド 写真・佐藤到)
さて本題。目下2連勝中セイントプラウドで主軸不動だ。今年5月から圧巻の5連勝を飾り、誰の目にも成長確かなところを見せつけた。その後、ややもたついた時期もあったが、距離が1800mへ延長された近2走を快勝。持ち味はいい脚を長く使える点で、忙しい競馬となる1400m戦では直線追い込んでも届かないケースが多かったが、ゆったりとした流れとなる1800m戦で本領を発揮し、しかも前で競馬できたことも連勝につながったといえる。
今回も同じ1800mが舞台に加え、ほとんどがすでに勝負付けが済んだメンバー構成でセイントプラウドが勝つお膳立てはほぼ整った。
相手筆頭にミズサワゲンキを薦めたい。ここ3戦は3着2回5着1回に終わっているが、うち2度は絶好調のセイントプラウドだから仕方なし。むしろ一連の粘り強さを評価するべきだろう。
前走は直線の伸びが案外に終わったマイディザートだが、上がりの競馬に持ち込まれたため。自身は38秒5の末脚を使っており、展開に恵まれなかっただけ。それ以前の3連続2着が本来の実力だ。
また前回快勝組イブキサンシロウ、ペルターブレス、水沢巧者マルニシャンハイも侮れず、8頭立てながら伏兵散在の一戦となった。
◎ ?セイントプラウド
○ ?ミズサワゲンキ
▲ ?マイディザート
△ ?イブキサンシロウ
△ ?ペルターブレス
△ ?マルニシャンハイ
3連単は5を1着固定に2、4の折り返し本線。あとは7、3、1を押さえ
馬複は2−5、4−5、5−7、3−7
<お奨めの1頭>
7レース エーブダンシング
自在脚を駆使して岩手3戦1勝2着1回。今回からA2へ復帰したが、叩かれながら上昇一途
29日(土)メインはC1級馬による「第1回種山高原賞」(水沢1600m)。この種山高原は奥州市・遠野市の両市と、上閉郡・気仙・東磐井の2市3郡にまたがった標高900mの高原で、宮沢賢治がこよなく愛した景勝地。
種山高原には県営種山牧野があり、牛・馬・めん羊の群れが高原の風景に一段と趣をそえ、宮沢賢治の
『種山ヶ原の/雲の中で刈った草は/どこだがおいだが/忘れだ/雨ふる/種山ヶ原の/せ高のぼうあざみ/刈ってで置ぎ忘れで/雨あふる雨あふる』の石碑が建っている。
(スーパーアンカー 写真・佐藤到)
本題に戻る。中心はスーパーアンカーで動かない。今年5月、中央0勝から転入し、大差ブッチギリで3連勝をマーク。けた違いの破壊力で周囲の度肝を抜いたが、脚部不安が発生して5ヵ月半の休養を余儀なくされた。ひとまず11月に戦列に復帰したが、さすがにレース勘が戻らず岩手で初黒星を喫して3着。しかし2戦目から当然のように勝ち上がり、2連勝で今回のレースへ臨んできた。
スーパーアンカーはどんな流れにも対応ができ、しかも強烈な爆発力が最大の武器。脚元さえ持てばA級入りも間違いなしの器だと断言できる。
軸は確定したが、次位候補が混戦模様だ。各馬とも一長一短でそれぞれ死角を抱えているからだが、筆頭にグランドサンデーを指名する。今年は3月の特別開催を快勝したが、その後はひと息のレースを繰り返し、7月のC1戦芝9着後、3ヶ月ほど戦列を離脱。しかしこの休養が功を奏し、復帰後は1勝2着3回3着1回と完全に本来の動きを取り戻してきた。前走もスーパーアンカーの2着を確保した点を素直に評価したい。
格上馬ヒカリボラゾンが前回、待望の今季2勝目をマークした。04年、中央3勝から転入し、A1でも1勝するなどしたが、その後、浦和、北海道と渡り歩いて05年、再び岩手へ戻ってきた。今季はC2へ降格してメンバーに恵まれながらも取りこぼしも多く、年齢的な衰えが隠せなかったが、前走は久々に強いヒカリボラゾンを見せつけた。
以下、金沢B4から転入、2戦1勝2着1回にまとめているニシネホウジュ、前回はマークがきつく8着に失速したラブイズカヌマの巻き返し、水沢は信頼のコース、パールリングフォユが続く。
◎ ?スーパーアンカー
○ ?グランドサンデー
▲ ?ヒカリボラゾン
△ ?ニシネホウジュ
△ ?ラブイズカヌマ
△ ?パールリングフォユ
3連単は2を1着固定に、8、3の折り返し本線。あとは1、9、5を押さえ
馬複は2−8、2−3、1−2、2−9、2−5
<お奨めの1頭>
8レース ニシノグレイシャ
前々走は7着と凡走したが、前回2着が本来の実力。1800m戦は最も望む距離だ
満月過ぎの月に照らされて浮かび上がる岩手山です。
手前の田んぼにある雪は先週降った雪のなごりで、このまま根雪になるかもしれません。このところ12月にしては暖かい日が続いているような気がするのですが、日なたに積雪が残っているくらいであればそれほど暖かくもないのでしょうかね。どうも「今年もまた暖冬なんじゃないだろうか?」と心配が先に立ってしまいます。いや、もちろん寒さが厳しくないのはとっても楽なんですが……特に私のような安アパートに住む人間には……ホントに断熱が悪くてトイレに行くのも辛いんですよ。今シーズンはファンヒーターの灯油代も気になります……でもやっぱり冬は冬らしくびしっと寒くなってもらわないと、どこか気持ちが悪いんですよね。岩手らしくないですし。温暖化の問題も頭から離れませんし。
と、まぁそんな感じで年越しに向かう盛岡です。思えば記録的暖冬に始まった今年は、馬インフルエンザ、石油製品の高騰など、競馬内外で喜べないニュースが重くのしかかったまま過ぎた一年だったような気がします。もちろん最大は、後に覆ったとはいえ岩手競馬廃止がいったんは可決されたこと。これがその後、全ての関係者に非常に暗い影を落とし続け、本当につらい年となってしまいました。
先日、来年度の競馬存続決定の報が伝えられました。これにはほっと胸を撫で下ろす反面、頭の中の半分では素直に喜ぶことができませんでした。来年も黒字で運営する見通しが出来たとするその文面からは、万一売り上げが厳しくなったら今年と同じようにコスト調整すればなんとかなる、という意味に思えてしまいます。もう現場では悲鳴が上がっているのに…
ダービーグランプリもグレード返上が決定してしまいました。これもいま現在の状況や全国のレース体系を考えると十分納得のものなのですが、やはりこれまでの歴史を考えると、とても寂しいです。時代に合っていないからといって伝統を途切れさせても良いのなら、いまの岩手競馬そのものだって同じ立場ではないのか?そんな思いを拭い去ることができません。
しかし…です。
何事も岩手競馬本体の存続あってのことなのだ、と思います。存続しなければ、その時点でゼロなのですから。
いまはどんなにか細い未来でも、とにかく繋げていくことを第一に、その先で状況が良くなるように努力と祈りを続けるしかありません。
そんなわけでみなさま、来年も、よろしくお願いします。
(文/写真・佐藤 到)
24日の水沢競馬場では「横手のかまくら&東北五大雪まつりデー」と銘打って様々なイベントが行われます。すでに競馬場内には大きなかまくらが登場しているのですが、個人的な目玉はなまはげです。普通はお正月にしか現れないなまはげが、この日は特別に競馬場に登場。皆さんを脅かします・・・でなくて、表彰式のプレゼンターを務めるそうです。どうなるか?これが非常に楽しみ。馬が泣き出したりして・・・。