4日(日)メインは社台スタリオンステーション協賛・ファルブラヴ賞「第27回若駒賞」(2歳オープン 水沢1400m)、10頭立て。
ファルブラヴは02年、ジャパンカップを優勝した他、香港カップ、インターナショナルステークス(イギリス)、ミラノ大賞典(イタリア)などG?レースを計8勝。03年にはイギリスの年度代表馬に選出され、大種牡馬フェアリーキングの代表産駒の1頭に数えられる。
04年、社台SSで種牡馬入りし、05年には93頭が血統登録され、今年6月12日にホッカイドウ競馬でモエレヒストリーが産駒第一号の勝ち馬になり、JRAでは同じ6月(30日)にピーチアイドルが中央初勝利を飾っている。ファルブラヴはオーストラリアのシャトル種牡馬でもあるが、一昨年はイギリスでけい養され、昨年から再び社台SSでけい養中。
本題に戻る。昨年まで若駒賞は重賞競走で実施されていたが、レース日程の変更などによって今年は特別(2歳のカテゴリーは変更なし)で行われる。
現時点での2歳トップは言うまでもなく重賞1勝、特別2勝を含めて目下4連勝中のジェベルロバーツだが、今開催はローテーションを考えて登録なし。よって今回の焦点は第2グループからどの馬が抜け出すかに尽きるだろう。
(テンショウベスト 写真・佐藤到)
主軸にテンショウベストを指名。7月、盛岡芝1000m・JRA認定競走を勝ちあがり、特別・ビギナーズカップ(水沢1400m)へ挑戦。当時はキャリア不足のために5番人気と低評価だったが、果敢に逃げてジェベルロバーツの2着を確保。以降も重賞・ジュニアグランプリ、黄菊賞と3戦連続ですべてジェベルロバーツの2着に入っている。
これはテンショウベストの詰めが甘いわけではなく、ジェベルロバーツとの完成度の差。480キロ台と馬格にも恵まれ、いずれ頭角を表す存在であることは間違いない。この一戦を勝って弾みをつけたいところだ。
逆転筆頭はピンクゴールド。デビュー戦・水沢850m戦は逃げ切ったが、2戦目・りんどう賞はスタートで出遅れて後方からの競馬。これでは持ち味が生きないと大方は思ったが、直線で鋭く伸びて3着。そして前走・プリンセスカップでも差し競馬に徹して直線鮮やかに抜け出して快勝し、初タイトルを手に入れたように一戦ごとに成長を遂げている。今回、小回り水沢へ替わってどんな戦法を採るのか興味深い。
ウィンエヴリーも大器ぶりを発揮している。デビュー前から評判が高かった馬だが、初戦はインディゴブルーとの叩き合いの末、惜しくもアタマ差2着。その後、ひと息を入れて2戦目、3戦目と芝ダートで逃げ切り2連勝を飾り、ついに表舞台に登場した。距離延長、初特別など未知数の部分は多いが、ここも突破できるようなら一気に頂点に立つ可能性も十分にある。
他にも前回、出遅れながらもウィンエヴリーの0・1秒差2着シュロ、黄菊賞で3着善戦エスブレット、プリンセスカップはスタート直後に落馬のアクシデントが痛かったミラクルジョンコの巻き返しなど伏兵も散在。馬券抜きでもおもしろい一戦となった。
◎ ?テンショウベスト
○ ?ピンクゴールド
▲ ?ウィンエヴリー
△ ?シュロ
△ ?エスブレット
△ ?ミラクルジョンコ
3連単は4、5、10のボックスが本線。あとは4を1頭軸に2着5、10、3着1、6、3
馬複は4−5、4−10、1−4、5−10、4−6
<お奨めの1頭>
10レース セイントプラウド
道中の手応えを見ると着すらも苦しいと思わせながら、直線で確実に台頭。連軸の信頼度は非常に高い
今週から舞台は盛岡から水沢競馬場へと替わり、11月3日(土)以降は全10レースで実施。それに伴って3日メインは9レース(発走15時15分)で行いますのでお間違いのないようにお願いします。
B1級馬による水沢1600m戦「第9回ノベンバーカップ」、10頭立て。中心はノーブルウィングで動かない。
今年1月、中央7戦0勝(うち1戦は川崎)から岩手へ転入し、連勝街道をまっしぐら。最下級スタートからいきなり6連勝をマークした。6月、B3級1800m戦で2着に敗れて連勝はストップしたが、これは岩手での距離経験が1400mまでだったため。それ以降は再び快進撃を続行中で目下4連勝をマークしている。今回、B1昇級初戦となるが、メンバー強化された感もなくここは自身の連勝を伸ばすのみ。
あえて不安点を捜せばマルワグランディ、ダンストーンアレスなど先に行きたい馬がそろったこと。ハイペースに巻き込まれた際に末が甘くなってしまう可能性があるが、元々が控える競馬もこなせるタイプ。マイル戦までなら安心していいだろう。
軸は確定。相手筆頭にオンワードカルマを指名する。こちらも中央未勝利からの転入で編入時はB3級。そこで3戦2勝2着1回。A級入りを約束されるような内容だったが、脚部不安が発生して3ヵ月半の休養を余儀なくされた。ひとまず8月に戦列復帰を果たしたが、本調子を取り戻せず4、6着と凡走。しかし叩かれながら上昇を示し、2連勝マークと完全復活をとげた。身上とするのは展開構わずの豪快な末脚。このメンバーならハイペース模様も十分考えられ、一気突き抜けるシーンまで。
エーシンマリポーサは小倉・2歳新馬戦を快勝したものの、その後は凡走を繰り返して9月、岩手に新天地を求めてきた。初戦は盛岡芝1700m戦で0・5秒差3着、2戦目は盛岡ダート1800m戦も3着(0・1秒差)と2戦とも惜しいレース。父がプルピットと言えば04年、武蔵野ステークス、05年、マーキュリーカップ(盛岡)などを制したピットファイターが日本での代表馬。それならばダート歓迎は間違いなく、岩手で本格化を期待したいところ。
プラジュニヤワンは前回、3000m戦オクトーバーカップで逃げて3着。渋太いレースを披露したが、元々の主戦場は地元・水沢。しかも水沢マイル戦は8勝2着6回とベストの条件といっても過言ではない。
以下、シャープな切れを武器とするヒメツバキ、好調キープするタカノグラディウスも押さえが必要だろう。
◎ ?ノーブルウィング
○ ?オンワードカルマ
▲ ?エーシンマリポーサ
△ ?プラジュニヤワン
△ ?ヒメツバキ
△ ?タカノグラディウス
3連単は4を1着固定に2、6、5へ流し本線。あとは1、9を3着押さえ
馬複は2−4、4−6、4−5、1−5
<お奨めの1頭>
10レース ジェベルリーヴァ
ひと頃、精彩を欠いていた時期もあったが、現在は完全復活。しかも今回は7戦5勝と抜群の勝率を誇る水沢1400m戦
今年の紅葉はちょっと遅いようですね。例年なら盛岡開催の最後のあたりは真っ赤な山々に彩られているのですが、今年はまだ緑が残っているうちにラストを迎えてしまいました。
というわけで、またこの季節が巡って来てしまいました。「今シーズンの」盛岡開催終了、とカギカッコ内を強調して言わなければなりません。私個人の意見は昨年同時期ここに書いたとおり、岩手には競馬が存在するべきだということで変わってはいませんが、しかし去年はあれから土俵際まで寄り切られそうになり、なんとか持ちこたえたもののその後も相変わらず苦しい状況。まったく暗いニュースばかりでみなさんも気が滅入ることしばしばでしょう。
その一方、このところの岩手競馬は外部から明るい話題がもたらされていますよね。コスモバルク、タイガーマスク、スタリオンシリーズ、オッズパークグランプリなど、どれも本当に有り難いことです。これらの期待に応えるために自分は何をすればよいのか?私の貧弱な頭脳では良案浮かばず非常に歯痒い思いがするのですが、でもせめて私の周囲やネットで私の話を聞いてくれる方々に、岩手の競馬はいいよ、面白いよ、ということを伝えていきたいと思います。
話は変わりますが何年か前のシーズン終了後、岩手競馬ファンが集うある組織が、その年のベストレースを投票で決定したことがありました。そのときの一位は、ウツミジョーダンとトニージェントが死闘を演じた北上川大賞典。
さてシーズン途中ですが、今年度ここまでで、後にベストレースに推されるようなレースはと考えると、すぐには思いつかないという感じでした。もちろんいいレースはたくさんあって、例えばサイレントエクセルの活躍やマツリダワルツの末脚、豪雨のダービーグランプリなどが頭に浮かぶのですが、04年の北上川大賞典のような強烈な印象のレースというと、ちょっと物足りないかなと。ところがここ最近は大変見応えのあるレースが続いているように思うんですよね。サイレントエクセルが不利を跳ね返してゴール直前差し切った桂樹杯や、牝馬クルセイズの意外な粘りをボスアミーゴが捉えたきんもくせい賞、4歳どうしのライバルが4コーナーからデッドヒートを見せた赤松杯など。メインレース以外でも大逃げや思い切った後方待機策をとる騎手がしばしば見られています。先ほどは外から活気が注ぎ込まれているということを書きましたが、これは騎手や厩舎関係者など、岩手の現場の人間たちが良いレースを見せようと頑張っている現れなのではないでしょうか?
岩手の危機を身近に感じ、手を差し伸べてくれる外部の人々。賞金が下がり、先行きも不透明で不安と戦いながらも頑張っている現場の人々。私も些細ながら出来ることをやらねばと感じます。あとは“お上”が真剣になってくれると良いのですが…
(文/写真・佐藤 到)
10月28日 第1回きんもくせい賞(3歳以上オープン 盛岡芝2400m)
(写真・佐藤到)
1着 ボスアミーゴ
大外からナイキアヘッドが果敢に逃げ、終始3馬身ほどのリード。芝2400m戦にしては珍しくペースが速く、ボスアミーゴは他の様子を見ながら中団インにつける。ラスト1000mから次第にピッチが上がり、ボスアミーゴも徐々にスパートをかけ、4コーナーでは大外を回って4番手まで進出。ラスト200mで先頭に立ったものの、さすがにゴール前の脚色は怪しくなったが、最後は気力を振り絞ってギリギリ粘る。
「この馬には距離が長いと思っていたので前半は折り合いに気をつけて乗った。3コーナーあたりから流れが速くなって自分もついていったが、早めに仕掛けた分、終いが苦しくなった。よく我慢してくれた」と菅原勲騎手。
菅原勲騎手のコメントどおり未知の2400mがカギだったが、「以前は掛かっていたが、今は折り合いがつくようになった」精神面の成長が大きく、ひとまず距離の壁を乗り越えた。このきんもくせい賞で今季のオープン芝競走が終了するため、今後、適距離(マイル前後)のレースがあればJRAへ積極的に挑戦したいという。
2着 サイレントグリーン
前半はセーブ気味に後方4番手に待機し、勝負どころの3コーナーでスパートをかけようと板垣騎手の手が激しく動いていたが、反応が一息。ラスト100mではボスアミーゴの完勝ムードだったが、直線を向いて外ガッサンカーネギーと馬体を併せて大外を強襲。前回・パンジー賞の再現かと思ったが、わずかアタマ差届かず2着に敗れた。
「今回はエンジンのかかりが遅かった。馬場が荒れていた上にやや重だったせいか、内を通った分、伸びを欠いたのかも。最後はいい感じで伸びてきたんだけど…」と板垣騎手。
3着 ガッサンカーネギー
あおり気味のスタートもあって後方からの競馬。サイレントグリーンの直後のポジションからスパートをかけ、大外からメンバー中一番の上がりを駆使したもののハナ差の3着。前回・パンジー賞も同条件で行われ、結果は6着ながらも0・3秒差。サイレントグリーンに次ぐ上がりタイムをマークしていた。
岩手転入2戦はダート戦で大敗を喫していたが、前走、そして今回と芝で巻き返しに転じた。やはり中央芝2600mで2勝、芝2000mで1勝した実績はダテではなかった。
4着 クルセイズ
終始3番手をキープし、直線は最内を突いて一旦抜け出すシーンもあったが、あとひと踏ん張りが足りなかった。「距離が長いかも」と阿部騎手。
10月29日 第33回赤松杯(3歳以上オープン 盛岡ダート2000m)
(写真・佐藤到)
1着 テンショウボス
予想どおり1枠からセイントセーリングが逃げたが、1周目スタンド前では最後方にいたダイワフォーチュンが1コーナーで一気にまくって先頭。しかし有力馬はこれに惑わされず所定のポジションをキープ。テンショウボスは一貫して5番手外を追走し、3コーナー過ぎから徐々に前に進出。4コーナーで早くも馬なりで先頭集団に並びかけ、ラスト200mでは内サイレントエクセルとのマッチレースに持ち込む。2頭の叩き合いは100m以上に及んだが、テンショウボスがジワジワと抜け出してゴールでは2馬身差をつける完勝となった。
「折り合いがつくタイプですし、いいところにつけられるので競馬がしやすかった。盛岡なら2000m前後が合いますし、手応えもずっと良かった」と小林騎手。
次走は11月12日、1着賞金1000万円「オッズパークグランプリ」(水沢1600m)と佐々木修一調教師。
2着 サイレントエクセル
終始3、4番手をキープしたが、いつもなら勝負どころから馬なりで伸びていくのだが、板垣騎手の手が動いて反応がひと息。それでも直線入り口で先頭に立ったニシノグレイシャを交わし、テンショウボスとの叩き合いに持ち込んだが、最後が甘くなる。2000mもこの馬には若干長いが、それ以上に道中の手応えひと息だったことが敗因だろう。参考までにサイレントエクセルの勝ちパターンは勝負どころから馬なりで先行に取り付けた場合が多い。
3着 ニシノグレイシャ
スタンド前は2番手、向正面は3番手外につけ、絶好の手応え。テンショウボス、サイレントエクセルがスパートしたのを見て4コーナーで早め先頭に立ち、内で必死に粘っていたが、最後は底力の差。それでもこのメンバーで3着なら上々。転入初戦の圧勝劇、そして今回の好走と岩手の重特でも勝ち負けできるメドが立った。
早いもので今シーズンのOROパーク開催も月曜日で終わり。今年は水沢→盛岡→水沢→盛岡と2ヶ月ずつ交互に開催されたせいか例年と感覚が違っていて、今週で終わりと言われると“えっ、もう!?”と思ってしまいます。
盛岡がラストという事は芝もラストという事で、残念ながらメインレースは芝ではないのですが、5・6・7Rの芝レースでじっくりお楽しみください。
◇お奨めこの一頭
9R・オッズパーク賞/キレアジサイコウ
盛岡では好走しつつも結果につながらず。しかし状態はここのところずっと良く、なんとかなりそうな気配に満ちる。盛岡初勝利なるか!?