28日メインは社台スタリオンステーション協賛・ネオユニヴァース賞「第1回きんもくせい賞」(3歳以上オープン 盛岡芝2400m)、13頭立て。
当初、笠松からコパノアグリグロ、オグリホットの登録があったが、前者は遠征を自重。オグリホットはJBCスプリントへ選出されたためにそちらへと回り、地元同士の戦いとなった。
(せきれい賞ゴール・サイレントグリーン 写真・佐藤到)
そうなると焦点はサイレントグリーン、ボスアミーゴの戦いに絞られる。サイレントグリーンはご存知、盛岡芝2400mの鬼。過去、同条件では9戦7勝2着1回3着1回と怖ろしいまでの数字を残してきた。また今シーズンも芝2400m戦は3戦3勝。特にトライアル・パンジー賞では4コーナーで前がふさがれる不利をこうむり、誰もが終わったと思った。しかし直線大外を矢のように伸びてきて1着をもぎ取り、周囲の度肝を抜いた。
改めてレースを振り返ってみる。サイレントグリーンは7番手インからレースを進めて3、4コーナーでも前に馬がいたため無理をせずに追走。直線を向いてスパートをかけようと思った矢先、ジョリーズジョーに進路を塞がれて最後方近くまで下がるアクシデント。板垣騎手、千葉博調教師もさすがに観念したそうだが、サイレントグリーンは態勢を立て直して大外に進路変更したら、そこからの末脚がけた違い。1頭だけ別次元のように伸びて他の馬をごぼう抜き。ゴール寸前でついには先頭に立って1番人気に応えた。
サイレントグリーンは芝の鬼とはいっても1600m、1700mの忙しい競馬では届かないケースが多いが、芝2400mには絶対の自信というより、神がかり的な強さを誇っている。
では死角はないのか。今年のサイレントグリーンが芝2400mに出ればどの馬も敵わない印象があるが、唯一不安点は前回の激走の反動がないか、どうか。現在7歳馬でも、まったく衰え知らずだが、前回の疲れが残っていないことを祈りたい。
一方、ボスアミーゴは昨年、ジュニアグランプリ(盛岡芝1600m)を快勝後、積極的にJRAに遠征を試み、4着が最高だったが、マズマズの成績を収めてシーズンを終了。今季初戦にG?・ニュージーランドトロフィーを選んで16頭立て13着。初めて二ケタ着順に沈んだが、タイム差は0・8秒差。直線の伸びは中央馬に決して見劣らなかった。
帰郷2戦の特別2連勝を飾り、JRA福島・白河特別は5着。その後は地元1本に絞ってオパールカップ1着、不来方賞3着、桂樹杯2着、そして前走・OROカップはコスモバルクの2着。すでに古馬相手にも互角以上の戦いを繰り広げてきた。
ボスアミーゴの不安点は距離2400m。血統的にも本質はマイラー、もしくはスプリンターで末脚勝負の持ち込んだ時に最も能力を発揮するタイプ。その意味でも2400mの距離は長いのだが、鞍上が折り合いに苦労した場面はほとんど見たことがない。
おそらく前半はスローで流れ、ラスト1000mからの勝負になるだろうから2400mもアッサリ克服できるに違いない。
以下は大きく離されたが、せきれい賞2着、パンジー賞3着コスモダーク、オープンでも通用の実績クルセイズ、あとは長い距離が合うワイルドシャトー、そして半年ぶりでも昨年の最優秀ターフホース・ジェーピーバトルにも敬意を評したい。
◎ ?サイレントグリーン
○ ?ボスアミーゴ
▲ ?コスモダーク
△ ?クルセイズ
△ ?ワイルドシャトー
△ ?ジェーピーバトル
3連単は11、1の1、2着折り返しから4、9本線。あとは2を押さえ少々
馬複は1−11、4−11、9−11、1−4
<お奨めの1頭>
11レース ガッサンアポロ
自慢の末脚が冴え渡り、3戦連続で連対。展開構わずに直線で確実に台頭する
27日メインはC1級・芝1700m戦「第9回岩木山賞」、10頭立て。勝敗のカギはもちろん盛岡芝の適性度だが、有力馬の実力が拮抗。どれを主軸にするか迷うところだが、ペルターブレスを狙ってみたい。
(ペルターブレス 写真・佐藤到)
ペルターブレスは昨年8月以降、白星から遠ざかっているが、今季2着3回のうち2回は芝1600mが舞台。ダートでは頭打ちのレースを繰り返しているが、芝に替わるとグッと安定感が増す。特に5走前のC1芝1600m戦ではタイキランデヴーの2着に入ったが、そのタイキランデヴーはB3昇級後も勝ち負けを演じ、それに0・3秒差2着ならここでも実力上位と見て間違いない。
ジョイフルモンジは今年7月、南関東1勝から転入し、当初格付けが最下級のC3。初戦こそ初コースに戸惑ったのか8着に沈んだが、以降は4勝2着2回と6戦連続で連対。前走はB3級との混合戦で5着に敗れたものの、今回は自己の条件C1戦。しかも3走前、C2芝1700mでは前半後方に待機し、向正面から一気にまくって3角で先頭。そのままゴールまで押し切って快勝。非常に強いレース内容だった。
オジジアンリョーコは詰めに課題があるが、相手なりに駆ける堅実さが身上。芝も今年から使い始めて2着1回3着2回と安定した成績を残してきた。直線で着実に台頭できるタイプで、よほどのスローにならない限り、勝ち負けに持ち込めるはずだ。
コスモアテナはC2からの挑戦だが、芝で2戦2着の適性を見込んで挑戦してきた。3走前には逃げてクールテイストの2着に粘り、ここでも先行策を取りたいところ。加えてメンバー中最軽量となる53キロの負担重量で出走できるのも強味だろう。
以下はタイム劣るが芝で切れる末脚を発揮するオートマーチ、初体験の芝だが、父がモンジューならむしろ合うローランモンジューもマークが欠かせない。
◎ ?ペルターブレス
○ ?ジョイフルモンジ
▲ ?オジジアンリョーコ
△ ?コスモアテナ
△ ?オートマーチ
△ ?ローランモンジュー
3連単は2、3の1、2着折り返しから4、7を厚め。あと8、9も押さえが必要
馬複は2−3、2−4、2−7、3−4、2−8
<お奨めの1頭>
8レース ウエスタンフォルス
1800m戦に実績がないのが若干気になるが、目下9戦連続で連対中。その勢いで克服できる
競馬にはまったく関係ありませんが、先週、真昼岳という山に登ってきました。真昼岳は岩手の西側にびっしりと連なる奥羽山脈のまっただ中にある1000mちょっとの山で、東北道沿いから見ると花巻のちょうど西方向に位置します。
岩手山や須川岳(栗駒山の岩手側での呼び名です)などの有名どころが並ぶ奥羽山脈にあって、真昼岳なんて聞いたことがないという方も多いと思います。正直、私も名前を知っている程度で、県境の峠から比較的楽に登頂できるということがわかったので「山行きのシーズンもそろそろ終わりだし、カル〜く行ってみようかな〜」ぐらいの気持ちだったのですが、これがなかなか面白い山でした。
真昼岳山頂は標高1060m。岩手と秋田を結ぶ林道の県境にある峰越峠の登山口まで来ると、標高差は150mほどしかありません。な〜んだ楽勝!かというとそう甘くはなく、いくつかのピークを登っては下るという、縦走コースの定番パターンになっていてそれなりの手応えというか足応えがあります。しかも稜線づたいの登山道は左右とも風雨による長年の浸食を受け所々切り立った崖になっていて、場所によっては植物の根っこでなんとか土を押さえているだけで、ほとんど地面じゃない!というようなところも……。スリルを楽しみながら足下に注意して歩きます。
この日は天気にも恵まれ、岩手・秋田の県境を進む登山道からは両県がよく見渡せました。秋田側は眼下に米どころ仙北平野の田んぼが広がり、大曲や角館の市街が確認できます。平地から急激に立ち上がるこの山はものすごく眺めが良く、その高度感は2000m級の山でもなかなか味わえないほど。今にも地面を蹴って空中に飛び出せば、そのまま滑空して美郷町あたりの田んぼのどこかに上手に着地できそうな、そんな錯覚に捕らわれかけます。(危ない危ない(^^;)
対して岩手側は山また山。旧沢内村の集落と、遠くかすかに北上市街が見えるものの、視界を占めるのは何重にも重なった山ばかりで、改めて岩手って山の多い県なんだな〜と思います。
休憩したり写真を撮ったりしながらゆっくり歩いて、頂上まで約2時間。行ってみるまで知らなかったのですが、東北のド真ん中に位置するこの山からは沢山の名峰を望むことが出来ました。もっとも目立つのは東北最高峰の鳥海山。その向こうにうっすら見えているのは月山でしょうか。かすかに見える秋田市街の先には男鹿半島の寒風山も望めます。ということは日本海まで見えているはずですが、残念ながら霞んで分かりませんでした。岩手側に目を転じれば、ウスユキソウで有名な早池峰山。南には須川岳と、水沢の方には馴染み深いであろう焼石岳も見えます。盛岡の方向を見ると、姫神山に紫波三山。紫波三山の中には、岩手競馬の特別レース名にもなっている南昌山があります(少しは競馬関係の話も書きませんとね^^)。北隣の和賀岳の向こうには秋田駒ヶ岳と、そして我らが岩手山も辛うじて見えました。岩手山は和賀岳の上からてっぺんだけをちょろっとのぞかせ、あの雄大な山容はすっかり隠れています。よくもまぁこんな絶妙な位置関係になったものです。
紅葉にはちょっと早いようでしたが、穏やかな秋の日に素晴らしい眺望を味わうことができ、とても得した気分になりました。登山コースとしてはマイナーな山ですが、アウトドアレジャーに興味ある方ならここはホントお勧めですよ。
(文/写真・佐藤 到)
<次走へのメモ>
10月20日 第7回黄菊賞(2歳オープン 盛岡芝1700m)
(写真・佐藤到)
1着 ジェベルロバーツ
1枠からセイントクイーンが好スタートを決め、2番手にエーシンリパージ、その外にエスブレット、中にテンショウベスト。ジェベルロバーツは出たなりのスタートから1コーナーでは5番手イン。3コーナー手前から徐々に3番手まで進出して早くも先行グループを射程圏に入れる。他の有力馬は荒れた芝を嫌って外に持ち出したが、ジェベルロバーツは内に進路を選んで直線入り口で先頭。あとは「単騎先頭に立つとソラを使う」(菅原勲騎手)なので、気を緩めずに追って2馬身差でゴールに入る。
「馬の状態が悪くなかったし勝負付けが済んだメンバーなので、まず負けないと思って乗った。みんなが外に行って内がポッカリ開いたので、そこを選んだが、余裕十分でしたね」と菅原勲騎手。
次走についてはJRAに適当なレースがあれば行きたいが、地元重賞・南部駒賞になる可能性が高いかも…と村上佐重喜調教師。またアドマイヤボス賞の副賞については「繁殖牝馬を持っているので、有効に活用したい」とオーナーの西村隆平氏。
2着 テンショウベスト
道中は3番手を進み、3コーナーでは先に動いて2番手へ。直線は外に持ち出してジェベルロバーツに一瞬だけ並びかけたが、その後の伸びが甘くまたもや2着。3戦連続でジェベルロバーツの2着に敗れる。
3着 エスブレット
前半は3番手外をキープしたが、直線では最内にコースを取って3着に食い込む。デビュー1戦(芝1000m1着)のみでの挑戦だったが、このメンバーで3着なら上々。
4着 カネショウボス
後方3番手に待機し、3コーナースパート。直線は大外からいい脚で伸びてきたが、3着エスブレットにはクビ差負け4着。
5着 フジプライド
今回は初の芝だったが、前回・りんどう賞(盛岡ダート1400m)と同様、後方2番手から直線勝負に賭けたが、先行有利のレースで自慢の末脚が不発。血統もスキャターゴールド産駒で芝よりもダート向きの印象。
10月21日 第32回ウイナーカップ(3歳オープン 盛岡芝1700m)
(写真・佐藤到)
1着 ワンヌン
「馬なりでスタートしたら最後方になっただけ」(小林騎手)。前半はやや速いペースで進み、3〜4コーナーで徐々にスパートをかけて中団まで進出。直線は一旦外に持ち出すが、ラスト200mあたりで最内に進路を変更しながら、鋭く伸びて快勝。岩手3連勝目がうれしい特別制覇となった。「非常に激しい気性なのだが、芝の反応がすばらしい。返し馬の動きも全然違う」と小林騎手。
南関東では14戦0勝2着2回3着3回と白星に縁がなかったが、いきなり3連勝をマーク。初戦はダート戦で1着だったが、前回、そして今回と芝が舞台となってさらに末脚が冴え渡る。レベル差も確かにあるだろうが、それ以上に秘めていた能力が芝で開花したと解釈していいのではないか。
2着 サイレントステージ
前半は7番手インに待機し、直線半ばで先頭。理想的なレース運びでほぼ勝利をモノにしたかに見えたが、ワンヌンのイン強襲に屈して2着。これは勝ったワンヌンを素直に誉めるべき。
3着 サクラアリエル
サイレントステージの後ろにつけ、サイレントステージのスパートとほぼ同時にスパート。直線は大外から伸びてきたが、最後は決め手の差が出た。
4着 カネショウエリート
トーセンサンクスが逃げ、2番手インにゴッデスフラワー、中シュクジャンヌの外につけ、絶好のポジションにつけたかに見えたが、人気がなかった馬たちだったにせよ前が総崩れ。ペースが速かったために最後の伸びを欠いた。
夏のふみづき賞に対する秋のオクトーバーカップ。ダート3000mで争われるこのレースはセンリオーの逃げ切りに期待します。
水沢2000mで行われた猿ヶ石川特別を逃げ切ったセンリオーですが、実はダートでマイル以上を走るのはこの時が初めてでした。それが2着以下をちぎる強い勝ち方で優勝。その後芝2400mのハーベストカップでも5着に踏ん張ったところを見ると、4歳秋にして隠れていたステイヤーの血が本格化してきたとしか思えません。
センリオーの父ウイニングチケットは、自身は中距離馬でしたがスタミナ溢れる血統背景のおかげか産駒には長距離を得意とする馬が少なくありません。父は種牡馬を引退してしまいましたが、北の地で隠れたステイヤーの才能が花開くのかも。
そして、格上挑戦となるセンリオーはB1級57kgに対し53kgの恵量で出走できます。この4kg差は大きい。単騎逃げまであり得るセンリオーにとって有利な材料なのは間違いありません。
対抗は、素直にウエストサンオペラを採ります。ふみづき賞の2着馬でこの距離はお手の物のはず。前走大敗など7月頃の勢いにはない雰囲気なのと、ふみづき賞から2kg増となる57kgが気になって対抗格としましたが、その辺は鞍上が何とかしてくれるのでは。
コパノダヴィンチとプラジュニヤワンが気になります。まずコパノダヴィンチ、今シーズンはレース内容が安定していて常に上位を争っています。トワイニング産駒に3000mはどうかと思うのは確かですが、スローペースになれば上位に粘れるチャンスがあるでしょう。プラジュニヤワンは9歳秋となってさすがに急激な良化は期待薄ですが、それでも徐々に良くなってきています。もともと長い距離は苦にしない馬、鞍上も意外性があって要注意です。
買い目は3枠3番センリオーから2,4,5へ。少頭数・前残り傾向が強い事も踏まえ連単3頭で勝負。
◇お奨めこの一頭
5R:ラッキーハロー
前走は選抜戦だったし、勝ち馬がちぎって勝っただけでこの馬も2着争いに僅差で参加した。相手関係はかなり弱化しており、あとはスローに嵌らないかどうかだけ。