21日メインは3歳馬による芝1700m特別「第32回ウイナーカップ」、10頭立て。このレースは社台スタリオンステーションが協賛し、優勝馬主には今年が初年度産駒デビューとなったゴールドアリュールの種付け権利が提供される。
ゴールドアリュールと言えば日本ダービーでタニノギムレットの5着入線後、ダートグレード競走に参戦。ジャパンカップダート(大井)で7馬身差のブッチ切りを演じるや、続くダービーグランプリも10馬身差で圧勝。一躍、ダート界の新星誕生と各方面から注目を集めるようになった。ジャパンカップ・ダートは古馬の壁に阻まれて5着に敗れたが、東京大賞典、フェブラリーステークスと連勝。
さあ、次は海外、ドバイ遠征だぞと期待されたが、折からのイラク戦争勃発で遠征を断念。そのうっ憤を晴らすかのように59キロの酷量を背負いながらアンタレスステークスを8馬身差。再びダートの王道を歩むはずだったが、帝王賞で不可思議な11着大敗。原因を探ったところ喘鳴症が発生していることが判明し、現役を引退。社台スタリオンステーションで種牡馬生活に入り、現在に到っている。
産駒は芝ダートを問わずに活躍中でホッカイドウ競馬のコバルトブルーが勝ち馬第一号に名乗り出ると、中央でもゴールドストレイン、タケミカヅチ、マイネルアトレと芝で固め打ち。また岩手でもセイントクイーンがフューチャー競走芝1000mで今季一番時計をマークするなど、芝ダートを問わずクォリティの高さをアピール。今後も産駒の活躍が非常に楽しみな種牡馬に数えられている。
(サイレントステージ 写真・佐藤到)
本題に戻る。ここは当然だが芝適性を重視してサイレントステージを主軸に推したい。今季は長期休養明けの影響で凡走を繰り返していたが、3歳芝ガーベラ賞で2着に入って以降は見事に復活。はまなす賞で待望のタイトルを手中にし、重賞・オパールカップはボスアミーゴの2着。続くダート戦では5着だったが、古馬に挑戦・桂樹杯では直線で不利を受けながらも3着、前走・サファイア賞は牝馬?1マツリダワルツの2着からこのレースに臨んできた。
今回、何といっても魅力は目の上のたんこぶ的なボスアミーゴ、マツリダワルツが不在。このメンバーでは芝適性で一歩リードの存在で、勝機はガッチリつかみたい。
カネショウエリートも適性なら決してヒケを採らない。元々、メイセイオペラ産駒では異色の芝巧者で注目され、芝ではJRA挑戦以外すべて入着を果たしている。岩手の芝では前々走・サファイア賞4着が最低の着順だったが、その汚名返上とばかりA2・FM岩手杯では強豪相手に2着と気を吐いた。
シュクジャンヌは地元重賞・ダービーグランプリは7着に敗れたが、これは土砂降りの雨で極端な不良馬場に泣いたもの。これが生涯2度目の着外となったが、今回は距離も1700mへ短縮。またはまなす賞ではサイレントステージ、カネショウエリートに次いで3着を確保と芝への対応力も十分にある。
ワンヌンの存在も不気味だ。南関東では2着2回3着3回と勝利を飾ることはできなかったが、岩手転入後はアッサリ2連勝。しかもダート1600m、芝1600mでそれぞれマークしたもので、終いの切れが冴え渡っている。これはレベル差も否定できないだろうが、それ以上に馬場の広いダート、切れ味が生かせる芝が合ったということ。タイムだけをみると平凡に映るが、本当にいい切れを持っており、もしかすると岩手で化ける可能性を秘めている。
他では大崩れなしサクラアリエル、そしてトーセンサンクスも押さえたいところ。
◎ ?サイレントステージ
○ ?カネショウエリート
▲ ?シュクジャンヌ
△ ?ワンヌン
△ ?サクラアリエル
△ ?トーセンサンクス
3連単は4を1着固定に9、7、2の折り返し。あとは10、5を押さえ
馬複は4−9、4−7、2−4、4−10
<お奨めの1頭>
11レース ホースメンレディー
岩手転入後はすべて3着以上のまとめ、依然底を見せていない。今回からC2へ昇級するが、まだまだおつりがくる。
20日からホッカイドウ競馬で好評を博している「スタリオンシリーズ」を岩手でも実施。その幕開けは2歳オープン馬による特別「日高軽種馬農業協同組合協賛 アドマイヤボス賞 第7回黄菊賞」(盛岡芝1700m)、10頭立て。
主軸はジェベルロバーツで動かし難い。当初、JRA東京・いちょうステークスへ挑戦する構想もあったが、JRAでは馬インフルエンザによる移動制限がまだ解除されていないため、この黄菊賞を使うことになった。
(ジュニアグランプリ 優勝ジェベルロバーツ 写真・佐藤到)
当然だが、9月16日、ジュニアグランプリ快勝後も順調に乗り込まれており、態勢は万全。距離が今回は芝1700mになったが、ほとんど不安要素にはならず、自身の連勝を4に伸ばすのみ。
相手も順当にテンショウベストが演じる。ビギナーズカップ、ジュニアグランプリと連続2着。惜しいところでジェベルロバーツに苦杯を喫しているが、これは牡馬と牝馬の完成度の差。馬格も480キロ以上と恵まれているし、何よりも天性のスピードが魅力。
またビギナーズC、ジュニアGPでジェベルロバーツは牝馬のアロウワンスがあってテンショウベストより負担重量が1キロ軽かった。しかし今回、両馬は同斤量の55キロ。前回・ジュニアGPで0・1秒差なら逆転の余地は十分にある。
セイントクイーンはデビュー戦で盛岡芝1000mを58秒7で駆け抜け、今季一番時計をマーク。その破格のタイムから前走・プリンセスカップで2番人気に支持されたが、空馬にも絡まれた上、自らハイペースを作ったために直線一杯となって4着に敗れた。これは初ダート、距離が1400mへ延長されたことも敗因と考えれば仕方なしの結果。今度は自信の芝に舞台が替わって巻き返しに転じて不思議なし。
りんどう賞でフジプライドは驚異の破壊力を見せ、直線一気に突き抜けて圧勝。いかに前半がハイペースだったにせよ、周囲の度肝を抜いた。その後、りんどう賞で3着に入ったピンクゴールドは2歳牝馬・プリンセスカップを見事優勝。フジプライドの勝利がダテではなかったことを証明した。
ただ、評価を下げてしまったのは初の芝が影響するであろうと踏んだから。本来、切れる末脚が武器なら芝でさらに本領発揮すると見るのが普通だが、案外、このタイプは芝に戸惑うケースが多い。果たして吉と出るかどうかだが、仮にアッサリ芝でも勝つようならかなりの器と見て間違いない。
カネショウボスはデビュー戦芝1000mで2着に入ったが、その後の2戦は7、5着。ちょっと足踏み状態の印象だったが、前回は中団キープから鋭く抜け出して快勝。これで弾みがついて黄菊賞にトライしてきた。父はこの冠となったアドマイヤボスで、ボスアミーゴを筆頭に盛岡芝の相性が抜群。思い切ってそれに賭けてみる手もある。
あとはタイムこそ平凡だったが、デビュー戦で余裕の逃げ切りを果たしたエスブレットも若干押さえが必要だろう。
◎ ?ジェベルロバーツ
○ ?テンショウベスト
▲ ?セイントクイーン
△ ?フジプライド
△ ?カネショウボス
△ ?エスブレット
3連単は3、9を1、2着固定で1、2が本線。あとは3、9の1、2着折り返しから1、2、6へ手広く流す手もおもしろい
馬複は3−9、1−3、1−9、2−3
<お奨めの1頭>
5レース タンポポプリンセス
当初、最終11レースの登録だったが、欠場馬が3頭出たために5レースへ移動。このメンバーは恵まれすぎた
秋は駆け足でやってくるといいますが、今年の秋は特にいい脚を持っているようです。つい1ヶ月前までは汗をかきながら「いつまで夏なんだよ!」と言っていたような気がするのですが、最近では夕方、長袖を重ね着していても寒いぐらい。朝の最低気温は5度前後という日が多くなり、ハクチョウの第一陣も渡ってきているそうです。氷点下の世界ももうすぐ目の前という感じですね。
街中よりやや高いところにあるオーロパークでは、場内や周辺の山々の樹木が紅葉を始めました。パドックを周回する馬たちを走路の方から撮影すると、背景には色づいた木々が入ります。またファンエリアからは見えませんが、レース後の馬が鞍を外す下馬所には、夕陽が差し込んで木の葉(シダレカツラかな?)が逆光に輝きとても美しいんですよ。写真に季節感が出て、どちらも私の好きな光景です。
(左:サイレントグリーン 右:マイネピルエット/区界賞優勝時)
ところでオーロ本場に行かれる方は、パドック脇の紅葉した木の一本に赤い実がたくさん付いているのをご覧になっていますでしょうか?この時期、赤い実がなる木はナンテンやナナカマドなどいろいろありますが、このパドック脇の木には「カンボク」という名札が取り付けられています。カンボク?カンボクってあまり高く伸びない雑木をひっくるめて『灌木』って言うんじゃないの??と思って調べてみたら、これは灌木ではなく『肝木』というスイカズラ科の木なのだそうです。なんでも止血剤や目薬の原料になったり、殺菌効果があって爪楊枝を作ったりするので、「肝要な木」というのが名の由来だとか。ふ〜ん、知らなかった。。。そういえば6月ごろにはアジサイに似た花が咲いていましたっけ。
盛岡開催も残すところあと1開催。ラストスパートは今年もまわりの山々が真っ赤に染まってレースに彩りを添えてくれるでしょう。
(文/写真・佐藤 到)
10月14日 第1回パンジー賞(3歳以上オープン 盛岡芝2400m)
(写真・佐藤到)
1着 サイレントグリーン
マルタカキラリーが先手を取ってスローに落とす。サイレントエクセルは後方3番手からの競馬。「今年はズブくなって前に行ける脚がなくなった。ただスローで掛かり気味にもなったので馬群の中に入れた」(板垣騎手)。一周目スタンド前、マイネルウェルスがスローの流れを嫌って先頭に立ったが、隊列はほとんど変わらない。しかしラスト1000mから徐々にピッチが上がり、サイレントグリーンも遅れないように少しずつ仕掛けたが、周囲が壁になってなかなか動けない。
3コーナーで馬群が一気に固まり、サイレントグリーンは外に持ち出そうとするが、その外ジョリーズジョーに進路を塞がれて4コーナーでは最後方まで下がってしまう(審議対象)。これでサイレントグリーンも一巻の終わりかと誰もが思ったが、大外に進路を変更するや一気に伸びてくる。ゴール前では横一線のゴールとなったが、サイレントグリーンが寸前でキッチリ交わして1着。あまりにもドラマチックな幕切れに周囲はあ然とし、改めてサイレントグリーンの強さを浮き彫りにさせる一戦となった。
「仕掛けどころではさまれたので自分も正直、ないかと。それに一完歩足りないと思ったが、よく届いてくれた」と板垣騎手。4コーナーで大きく不利を受けながら、良く態勢を立て直したものだと、つくづく感心。これで次走10月28日、きんもくせい賞(地方競馬全国交流 盛岡芝2400m)へも視界が非常に明るくなった。
2着 マツリダワルツ
サイレントグリーンをマークする形でレースを進め、3コーナーからスパート。サイレントグリーンが不利を受けたのを横目に自分の競馬ができたが、最後は決め手とキャリアの差が出た格好。
前走、3歳特別・サファイア賞(芝2400m)を快勝後、このレースに臨む。ただその時の走破タイムが2分34秒4で、古馬一線級に入ると見劣って通用するか若干不安もあった。しかし、今回はそれより遅い2分35秒6で決着したことで流れについていけたことも大きかったが、上がり勝負をしのいでのクビ差2着は価値がある。一戦ごとに確実に力をつけている。
3着 コスモダーク
6番手インの経済コースを進み、道中はまったく不利を受けず直線はまよわず内を選んでインを鋭く強襲。ゴール前まで勝敗がもつれ込んだが、惜しくも写真判定の末に3着に敗れた。やはり、せきれい賞でサイレントグリーンの2着はダテではなかった。
4着 ハルサンヒコ
2歳以来、久々に芝レースへ登場。最後方待機策を採り、直線は最内を通って伸びてきたが、あと一押しが足りなかった。もっとペースが速ければと惜しまれるが、芝巧者がズラリとそろった今回のメンバーで僅差4着なら上々。
5着 マルタカキラリー
OROカップは後方のままに終始したが、その反省をいかしたのだろう積極的に逃げの手に出る。1周目スタンド前でマイネルウェルスに交わされたのは予定外だったろうが、あわてず2番手に控える。それが直線の粘りに繋がった。
南部杯も終わり、秋の気配が日増しに濃くなっていくのを感じる岩手競馬ですが、この後もレース関係のイベントが目白押しです。
まず来週からは「スーパージョッキーズトライアル」が開幕。岩手からは小林俊彦騎手が参加しますが、WSJS切符を手にできるか注目。
そして来月早々の11月5日には「レディースジョッキーズシリーズ2007」の第1ステージが水沢競馬場で行われます。昨年3位だった皆川麻由美騎手、今年は地元スタートでどんな成績を残すでしょうか。
11月12日には「オッズパークグランプリ」が開催されます。1着賞金1000万円の興味もさることながら、このレースにはアラブ馬も出場可能という事。かつてのアラブ王国岩手でサラ対アラの激闘を見る事ができるかも・・・。
また、岩手のTOP2ジョッキー・菅原勲騎手と小林俊彦騎手はそれぞれ3500勝・3000勝へのカウントダウンが始まっています。少なくとも今シーズン中、早ければ11月中にも揃って達成となりそうで、この瞬間も見逃せないですね。
対抗は3歳牝馬のトーセンサンクスをとります。JRA所属時の実績からもやはり芝が合う馬。距離短縮も好材料で、ちょっと外枠なのが気になりますが、先手をとって押し切るシーンもあり得ます。
もう一頭も3歳馬、カネショウエリートを。芝は上手にこなすけれど本物の芝馬ではないので前走のような敗戦は仕方ない。この馬にしても距離短縮で好きなように動けるはずで、うまく流れを掴んでしまえば優勝圏。
割って入る差し馬勢とすればまずプリンセスワールド。芝で内枠に入ると揉まれ込んだまま出てこれないので、外枠の方がむしろ狙いやすいです。混戦になればなるほど一発のチャンスが増す馬だけに要警戒。ワイルドシャトーは盛岡ダートは苦手でも芝は別。A2にあがってきたばかりですが芝で切れる末脚には注意が必要です。
買い目は2枠2番クルセイズ、7枠7番トーセンサンクス、8枠8番カネショウエリートの3頭BOXで。5番6番は連のヒモとして。小頭数だし絞ってきっちり当てにいきましょう。
◇お奨めこの一頭
6R:レオヤマト
昇級戦になるがまだまだ見劣らない。相手は1、4、6の3頭から。