<次走へのメモ>
12月2日 社台SS協賛・スニッツェル賞「第6回寒菊賞」(2歳オープン 水沢1600m)
(写真・佐藤到)
1着 シェロ
大外からエイプリルボーイが逃げ、2番手リュウノフリーダム、外リザルトがハイラップを刻んで先頭集団を形成。シュロはそこから5馬身ほど後ろの4番手を追走し、エイプリルボーイが快調に飛ばしているのを見て3コーナーから早めスパート。直線は2頭のマッチレースとなったが、ラスト50mでエイプリルボーイを突き放して快勝。待望の特別タイトルを手に入れた。
「最近、ゲート出が悪そうだったので、スタートに気をつけた。今回、ブリンカーを外した影響か反応がひと息だったが、行き脚がついてからはいい伸びを見せてくれた。デビュー当時は馬っ気が強かったり、レースに集中しなかったり幼い面があったが、今回は成長確かなことを実感した。まだ伸びる馬なので今後も楽しみ」と小林騎手。
シュロは新馬戦4着に敗れたが、2戦目から2連勝。若駒賞、南部駒賞はいずれも4着だったが、小林騎手のコメントどおり荒削りの分、今後に期待を抱かせる内容を披露し、今回は人気に応えて快勝した。均整の取れた馬体、いい脚を長く使えるのが特長で年明けの金杯でも好走の予感。
2着 エイプリルボーイ
大外に入ったが、構わず果敢に先行。「ハイペースは分かっていたが、行きたがったので無理して抑えなかった」(阿部騎手)エイプリルボーイは2、3番手の馬が一杯になってもスピードは衰えず直線でも先頭。シュロが馬体を併せると再び内から伸びてきたが、最後は力尽きて2着。
「速いラップでも自分のペースで逃げれば渋太い」の阿部騎手コメントでもはっきり。エイプリルボーイはたとえハイペースでも強引に行った方が持ち味を生かせる。
デビュー戦・水沢850mを50秒9の今季一番時計で逃げ切り、2戦目・りんどう賞ではアイリッシュクインとの超人的ハイペースがたたって6着。そして前回は一転、控える競馬に徹して6着だったが、やはり現状は先行策がベストの印象。
3着 ゴールデンクリーク
シュロの直後につけたが、勝負どころで同馬に置かれてしまう。それでも直線で盛り返したが、2着からも0・5秒差3着確保が一杯だった。
4着 リザルト
旭川・エーデルワイス賞前後から調子を落として今回は2ヶ月ぶりの実戦。正直、本来の動きとは言えなかったが、ハイペースの3番手を追走して4着に粘れば上々。特別勝ち(若鮎賞)はダテではなかった。次走はもっと状態がアップするはず。
5着 フジプライド
前走・南部駒賞ではバトルアイの失速で前が詰まる不利があって7着。例によって前半は後方2番手に待機したが、3コーナーから早めにスパート。一瞬はいい感じで伸びてきたが、直線は案外の結果に終わった。小回り水沢では苦戦を強いられそう。
2日(日)メインは社台スタリオンステーション協賛・スニッツェル賞「第6回寒菊賞」(2歳オープン 水沢1600m)。このレースは正月1月2日に行われる重賞・金杯のトライアル戦でもある。
当初、南部駒賞を制したトーホウノゾミも登録もあったが、全日本2歳優駿(川崎)へチャレンジしたいとの意向があるために自重。一転して主役不在となったが、このメンバーならシュロにチャンス到来の一戦と見ていいだろう。
シュロ(中央赤帽):9月16日ホープフル競走優勝時 (写真・佐藤到)
デビュー戦・水沢850mは6頭立て4着に敗れたが、2戦目・水沢1300m、盛岡芝1000mと2連勝。前々走・若駒賞から表舞台に登場して出遅れを喫しながら、積極的なレースを披露。コンバットキックが豪快なマクリを決めて優勝したが、前が総崩れの中にあってただ1頭だけ4着と気を吐いた。また前走・南部駒賞では10番人気と低評価をはねのけ、前が2度詰まる不利を受けながらも4着に善戦。2戦とも非常に中味が濃い内容だった。
今回、南部駒賞の上位組が抜け、シュロが待望の特別タイトル奪取に王手をかける。
相手筆頭はフジプライド。3走前・りんどう賞でポツンと最後方から直線一気を決め、後の南部駒賞馬トーホウノゾミ以下を一蹴。周囲の度肝を抜いた。続く黄菊賞は初の芝で自慢の末脚が不発に終わり、前回・南部駒賞では4コーナー、ほぼ最後方まで下がったのが致命傷となって0・7秒差7着に沈んだ。
これは小回り水沢が合わないとも解釈できるが、決してそうではない。実際、水沢1400m戦で1勝をマークしており、あとは道中の位置取り次第。早めまくりに心がければ一気突き抜ける能力はあるはずだ。
南部駒賞8着カネショウボスはスタートで出遅れたのが痛かった。それでも直線で盛り返して0・8秒差にまとめ、若駒賞3着はダテではなかった。
エイプリルボーイの評価が難しい。デビュー戦のパフォーマンスが強烈だったからだが、2戦目・りんどう賞は超ハイペースがたたって6着に凡走。しかし約2ヶ月の休養明けの前走は控える競馬に徹して1秒差6着。スピード馬のイメージが強かっただけに、この脚質転換がどう出るか。うまく成功すればひと皮むけるかもしれない。
南部駒賞でシュロに次ぐ5着入線ゴールデンクリーク、スンナリ先手取れれば渋太さを発揮リュウノフリーダムも押さえが必要だろう。
◎ ?シュロ
○ ?フジプライド
▲ ?カネショウボス
△ ?エイプリルボーイ
△ ?ゴールデンクリーク
△ ?リュウノフリーダム
3連単は8、4の1、2着折り返しから1、10、9
馬複は4−8、1−8、8−10、1−4、8−9
<お奨めの1頭>
8レース エーブダンシング
岩手初戦は逃げて2着、2戦目は差し競馬から2着と自在性の脚質が武器。ここはメンバーに恵まれて勝機ガッチリ
12月1日(土)メインはC2級「第8回田瀬湖特別」(水沢1400m)、10頭立て。主軸対象はオンワードオウガ、アイスカービング、エスペランサロッホの3頭に絞られるが、実力伯仲。軸選びにちょっと迷ったが、オンワードオウガを中心に推したい。中央7戦0勝(うち2戦は地方交流・船橋で4、7着)から転入し、アッサリ2連勝をマーク。2戦とも余力たっぷりで好位抜け出しを決め、内容パーフェクト。走破タイムも文句なくC級卒業は疑いなしの器だ。
逆転筆頭はアイスカービング。こちらは中央6戦0勝2着1回の成績から岩手入りしたが、初戦の前走は1ヵ月半ぶりの実戦。その点で割り引かれて4番人気だったが、1コーナー過ぎから先頭に立ち、ネイチャーマインドとのマッチレースを制して快勝。レベルの高さは3着以下に10馬身もの大差をつけたことでも証明した。父がサクラバクシンオー、母父ニホンピロウイナーと父母両系から豊かなスピードを受け継ぎ、1400mの距離ベスト。同型さばいて連勝も十分にあり得る。
エスペランサロッホはメイセイオペラの三世代目産駒。北海道、名古屋でそれぞれ1勝をマークし、転入直前こそ8着に敗れたが、それ以前は3戦連続で2着を確保した。身上とするのはシャープな末脚。初戦でその切れが爆発、後方待機策から鮮やかなマクリを決めた。ペースが速くなれば一気台頭のシーンまで。
以下は3頭から離されているが、先行力を生かしたいエガオニサセテ、前回快勝で弾みついたミスターヒョードル、そして気配の良さでハリケーンベストンもひとまずマークが必要だろう。
◎ ?オンワードオウガ
○ ?アイスカービング
▲ ?エスペランサロッホ
△ ?ハリケーンベストン
△ ?ミスターヒョードル
△ ?ハリケーンベストン
3連単は2、7、5のボックスをお奨め。あとは2、7の1、2着折り返しから5、9、8を押さえ
馬複は2−7、2−5、5−7、2−9、2−8
<お奨めの1頭>
10レース トーセンコマチ
前回3着に敗れ、連勝は4でストップしたが、相手が強すぎた。このメンバーなら巻き返しに転じて当然
11月23日勤労感謝の日の3レース、満を持してフサイチギンガが初陣を迎えました。現在連載中の某漫画に出てくるメイセイオペラ産駒のように片側ブリンカーを装着して望んだレースの結果は、もう皆さんご存知でしょう。写真で見てもかなり馬群から離れてしまっているのが分かりますね↓
上の写真を撮った後、私はレンズを1着の馬に向けてゴールシーンを撮影し、次いで遅れてゴールするフサイチギンガを撮ろうとカメラを振りファインダーでギンガを探しました。すると驚いたことに、ギンガはもうすぐそばまで来ているではないですか。予想以上に近くて撮れませんでした。私の頭の中では「あれだけ蛇行したからもっと遅れて入線するだろう」と瞬間的に想定していたのですが、結果は勝った馬から僅かハナ・3/4身差。いやぁ〜確かにポテンシャルはありますね。これからが楽しみです。
話は変わりますが、このレースで脚光を浴びるフサイチギンガの陰でアスベルという馬もデビューしました。そのアスベルという名前を新聞で目にしたとき、はて、どこかで聞いたような……なにかの物語の登場人物だったような……と気になって帰宅してからネットで検索してみました。みなさんは分かりましたか?宮崎駿作品の大ファンという方ならすぐに思い当たったかも知れませんね。答えはアニメ映画『風の谷のナウシカ』に登場する、ペジテ国の王子(長の息子)でした。国を滅ぼされた怒りに駆られ、腐海上空でトルメキア軍の飛行艦隊を襲撃した、そう、あの少年ですよ!って、興味の無い方にはぜんぜん面白くないですよね、スミマセンm(_ _)m
今回は『馬名蘊蓄』シリーズというより、ただのマニアッククイズみたいになってしまいましたね。しかし日本のアニメーションは子供向けの娯楽という枠を超て文化として定着し、いまや世界に影響を与えるまでになっています。またアスベルがデビューしたこの日、初の「全国総合アニメ文化知識検定試験(アニメ検定)」が実施され、アニメオタクも資格(?)として認められるまでになりました。
マニアックといえば競馬の世界も相当マニアックな方が多数いらっしゃいますが、「競馬知識検定」なんてあっても面白いんじゃないでしょうかね。さらには「競馬検定・岩手版」とかっていいかも。「陶文峰騎手の名前を中国語では何と読む?」「オーロパークの4コーナーで三野宮通騎手・現調教師をラチ外まで飛ばした馬の名前は?」なんて……(^^)
11月25日 第30回北上川大賞典(3歳以上オープン 水沢2500m)
(北上川大賞典ゴール 写真・佐藤到)
1着 テンショウボス
1周目1コーナーまでサンシャインヘイロが逃げたが、ハルサンヒコが交わして先頭。そこまでは平均ペースで進んだが、向正面からガクンとペースダウン。テンショウボスは終始4、5番手の外目を馬なりで追走し、折り合いもまったく問題なかった。
ハルサンヒコが快調に飛ばし、小林騎手は相手をその1頭と判断し、3コーナーからスパート。直線は逃げるハルサンヒコ、それを捉えにかかったテンショウボス、大外サンシャインヘイロの叩き合いとなったが、中テンショウボスの勢いが一番良く順当勝ちを収めた。走破タイム2分44秒2は1979年、スリーパレードのレコードにわずかコンマ1秒だっただけに、それが残念だったと言えば残念だった。
「内枠だったし、最近は出遅れ気味が多かったのでスタートだけを気をつけた。位置取りも出たなり。他がいかなければ自分が行こうとも考えていたが、レースを引っ張る馬がいたので、道中は折り合い重視で乗った。レース前は距離が若干心配だったが、テンに行かなくなった分、最後でも脚を使うようになった。最後は余裕があったので着差以上に強いレースをしてくれた」と小林騎手。
「秋以降はずっと連闘できて腰に疲れが残っているので、一息入れたい。次走はファン投票・桐花賞へ直行する」と佐々木修一調教師。
2着 ハルサンヒコ
1周目2コーナー手前から先頭に立ち、ガクンと減速。マイペースの逃げに持ち込み、ラスト4コーナーでも手応え十分。そのまま押し切るかとも思ったが、最後はテンショウボスとの力差が出て半馬身差2着に敗れた。
「逃げは流れが遅かったら逃げてもいいと鈴木調教師に指示されたからだが、距離が長い方が良さそうだし、軽いコースも合うのでは」と阿部騎手。
地元重賞で実施したダービーグランプリを強いレースで勝ち、待望の重賞制覇を果たしたが、その後の古馬挑戦・パンジー賞4着、前哨戦・赤松杯は6着に沈み、古馬オープンではまだ力不足の印象だったが、今回は得意の重馬場、長丁場適性、そして阿部騎手の好プレーもあって持ち味を存分に生かした。
3着 サンシャインヘイロ
好スタートから積極的に逃げの手に出たが、ハルサンヒコが前に出たので3番手インに控える。2周目スタンド前では掛かり気味になったが、関本淳騎手が必死になだめ、3コーナーでテンショウボスがスパートをかけたのを見てエンジン全開。4コーナーでは内から外へ持ち出していい感じで伸びてきたが、あと一押しが足りず3着惜敗した。
「折り合いにちょっと苦労したが、よく走ってくれた。これでオープンでも通用のメドが立ったのでは」と関本淳騎手。
初の一線級相手が、いきなり重賞でしかも未知の2500mなど不利な条件がそろったが、それを見事に跳ね返して3着は価値がある。毎年、この時期に好実績を残している馬だが、それにしても今回の善戦は評価でき、選ばれれば桐花賞にも挑戦してみたいと晴山調教師。
7着 ボスアミーゴ
きんもくせい賞優勝と3歳の若さを買われて2番人気の支持。道中はいつもどおり後方でジックリ待機し、2周目テンショウボスが動いたのと同時にスパート。3コーナーではマズマズの伸びを見せたが、直線ではさすがに苦しくなって馬群に沈んでしまった。これはダート適性と距離の壁だろう。