日曜日のダービー、皆さんはいかがでしたか。この原稿は土曜日に書いておりますので、今の時点で私が知っているのは前日売り単勝1番人気がメイショウサムソンだ、という事まで。
ちなみに、私はこのダービー◎メイショウサムソン○ジャリスコライトで、後はマルカシェンクとアドマイヤムーン、ワイドの穴にパッシングマークというふうに行こうと思っております。果たしてどんな事になっているやら・・・。
世の中にG1は数あれど、やっぱりダービーは別格という雰囲気がありますよね。なんというか、見ている方も“ダービーダービー”と浮かれつつも、どこか厳粛な気持ちもするような。どこの国でも、ダービーの歴史がそのままその国の競馬の歴史に等しかったりして、ダービーの結果がそのまま競馬史の1ページになったりしますから、そういう“重さ”を感じてしまうのでしょう。
日本軽種馬協会の統計によれば、2004年に生まれたサラブレッドの数は8231頭。この頂点に立った馬は・・・?
さて、岩手の話に移りましょう。月曜日のメインレースは芝1600mで行われる田沢湖特別です。このレースも12頭立て、事実上のフルゲートで争われるうえにC2級とあって意外と難解なんですが、ここは芝実績の豊富さをかって1枠1番ビクトリームワンを本命に推します。
ビクトリームワンはこの2戦、芝の平場戦を使って連続の2着。これまで岩手の芝で11戦して1勝2着4回3着2回という成績の通り、なかなか勝ちきれない点があるのは確かなんですが、逆に言えば芝での堅実さは出走メンバー中の最右翼。好枠でもあり、先行できれば大崩れしないとみます。
対抗はタイキゼウス。昨年はオープンの芝で2着になった事のある馬だけに、前走の勝利は想定の範囲内。前々走は6着でしたが、最後方から大外を追い込んで2着ビクトリームワンに0.3秒差なら全く問題なし。この好調の要因は、C2級に下がった事に加え、全体的な体調の良さにあります。
成績を見て分かるとおり走破タイムはビクトリームワンと全くの互角ですから、この2頭の力も互角と考えた方がいいでしょう。
エンドレスシーンはJRA時代に短距離の芝でまずまずの走り。ダートの1600mは少し長い感じですが芝ならこなせそう。マイネルエクストラは雨が入っていくらかでも芝が重くなればチャンス拡大。エリノフラワーは、大外が明らかにマイナスにせよ芝適性の高さは証明済み。あとはベテラン騎手の腕に期待、というところ。
今シーズンの芝はどうもセオリーと違って外枠の方が有利な傾向。ということで3番手以下は真ん中から外で選んでみました。後は当日のコース状態に注意を。
買い目は1番ビクトリームワンを含めた4、6、9、12のBOXで。点数を絞るならいっそ12を外して1、4、6、9に絞って。
◇お奨めこの一頭
今回は穴でお奨め。最終で逆転を、という事で最終11Rに出走してくるウィンブローとリュウタローなんていかが?
どちらも展開に注文のつくタイプですが、最近そこそこの競馬をし始めているように状態は悪くない。5枠の2頭が人気しそうですが、どちらも盛岡マイルという条件ではちょっと割り引きたいだけに、ウィンブロー・リュウタローにも出番が来ていいと思いますよ。
28日(日)メインは、芝1600mを舞台に行われる3歳特別「第11回はまなす賞」。毎年、このレースから3歳芝路線がスタートするが、1、2着馬には7月23日、3歳芝重賞「第7回オパールカップ」(芝1700m 地方競馬全国交流)への優先出走権が与えられる。
注目はなんと言っても南関東帰りのオウシュウクラウン、重賞・岩鷲賞を快勝したブラックショコラの二強対決に尽きるだろう。
オウシュウクラウンはドバイ生まれのジェイドロバリー産駒で7月、デビュー戦の芝1000mを59秒4の好タイムで圧勝。しかも道中、ほとんど追ったところなし。そのスケールの大きい内容から、将来を背負っていくホープ誕生と周囲から言われたものだった。
ところが股関節炎に悩まされ、続くビギナーズカップ2着後、3ヶ月ほど休養。10月、若駒賞で復帰したものの、本調子を欠いて凡走。ようやく立ち直ったのは12月に入ってからで寒菊賞でダンディキング以下を封殺。1月2日金杯3着後に南関東へ転出した。
その移籍初戦、オウシュウクラウンはブルーバードカップ(船橋)を逃げ切って見事優勝。しらさぎ賞はスタートで後手を踏んで5着に敗れ、羽田盃トライアル・クラウンカップ(4着)の3戦を経て再び岩手へ戻ってきた。
再転入初戦は5月15日、3歳B1級ダート1600m戦。有力馬がすべて岩鷲賞、やまびこ賞へ出走したため、メンバーが手薄。それもあっただろうが、4番手追走から直線に入って後続を突き放す一方。しかも2着に1・8秒差の大差をつけ、マークしたタイムが1分39秒5。
これは前々日(13日)、同条件で行われた3歳特別・やまびこ賞を優勝テンショウボスの走破タイムを0・2秒(1分39秒7)上回るものだった。当日、いかに馬場差があるにせよ、ほぼ馬なりで特別より速いタイムで走るのだからスケールは推して知るべし。今回、久々の芝だが、デビュー戦のレースぶりからも戸惑う心配は全くないと言っていいだろう。
(写真は5月15日、3歳B1戦オウシュウクラウン by Itaru Satoh)
逆転筆頭格はもちろん、ブラックショコラだ。今シーズンは七時雨賞から始動し、直線で猛追したが、ダンディキングのタイム差なし2着。続くスプリングカップではスタートで出遅れ、それが最後まで響いてダンディキングから離されること2.7秒差の3着。これでダンディキングに水を完全に開けられた格好となったが、コース替わった重賞・岩鷲賞で見事に雪辱。早め4番手追走から鮮やかな直線抜け出しを決めた。
今回はダートから芝へコースは替わったが、むしろブラックショコラには歓迎。過去、黄菊賞優勝を含め、盛岡芝は<2.2.0.0>と連対パーフェクトの実績。その黄菊賞では本調子ではなかったにせよ、オウシュウクラウンを5着に退けており、得意の芝で重賞・特別2連勝を狙っている。
この2頭が実力的に抜け、以下は大きく離れた評価になるが、デビュー2連勝を飾り、JRA函館ラベンダー賞に挑戦(7着)したナイキザフォース、船橋から再転入したサッカーボーイ産駒ノムラサッカーオー、切れる末脚が魅力のモエレタキシード、アドマイヤボス産駒デフェンスボスあたりを押さえたい。
3連単は7、8を1、2着折り返しで3着流し10、5、9
馬複は7−8、7−10、8−10、5−7、7−9
<お奨めの1頭>
7レース ワールドジャーニー
前回は4角先頭の強いレースで完勝。サクラローレル産駒の大型馬が本格化だ
(文・松尾康司/写真・佐藤到)
先日、映画「夢駆ける馬ドリーマー」を観てきた。ストーリーは省略するが、ずいぶん出来すぎたドラマだな―。多くの人がそんな感想を持つだろうなと思った。冒頭で“Inspired the fact”(事実に触発されて)と記していたが、まず現実ではありえないことが次々と起こるし、テンポがいいものだから難題があっさり解決されたように淡々と物語が進んでいく。
でも仕方ない手法だと思う。事実を克明に再現して、どれほど説得力が出るだろうか。アメリカ映画のいいところは事実に勝てないと分かったら、誇張してもいいから全体のリズムの方を重視する。
しかし、そんな中でもポイントはしっかり押さえている。例えばソーニャドールがブリーダーズカップ・クラシックに出走するのだが、当然のように人気はまったくなし。で、主人公は愛馬が単勝80倍つくのを最初、10$(確か)を買おうとしたが、257$に変更した。見事1着でゴールに入り、その257$の単勝馬券を父にプレゼントした。それが2万$をくれた父親へ対するお返しだった。
なぜ257$なのか。2万$を返すなら250$(×80倍)で十分だが、7$プラスするあたりがおしゃれだと思った。それが借りたお金の利子であり、感謝の気持ちでもあるのだろう。父子の信頼復活をそこでも表現していた。
ケール(娘)も小生意気だけど可愛かった。あの演技は助演女優賞に選ばれても不思議ないだろうが、それ以上に牝馬ソーニャドールの演技がすばらしかった。ケールに寄り添い、彼女のかばんを口にくわえて散歩するシーンは最高だった。もしソーニャドール役の牝馬にアカデミー賞助演女優賞を与えたとしたら、こんなおしゃれなことはないだろうな。ウン。
実はこの映画、競馬関係者といっしょに観たのだが、彼は落馬のシーンで“アッ”と大きく叫んでしまった。その瞬間、肩をすくめて恥ずかしがっていたが、彼の気持ちがすごく伝わった。たかが映画のワンシーンに過ぎないが、とてもそうとは思えなかったのだろう…。
さて27日のメインはB1級馬による芝1700m戦「第32回石桜(せきおう)杯」、12頭立て。このレース名は、盛岡地方裁判所前にある桜の木が石を割ってきれいな桜を咲かせている石割桜(いしわりざくら)からいただいたもの。毎春、石割桜は盛岡を代表する観光名所となっている。
主軸にロイヤルプレミアムを指名。昨年10月、同条件(芝1700m)で行われたM&Kジョッキーズカップを快勝。その時のタイムは平凡だったが、後方待機策から直線一気を決めた末脚を評価したい。
逆転筆頭格はシラバス。盛岡芝は初めてだが、中央時代に芝で4、9、5着。その5着は岩手転入直前のレースで、0・4秒差と僅差に入っていたし、父がエルコンドルパサーなら芝への対応力も十分あるに違いない。
他に元A1級馬ナイキプレジャー、好調保つマルカンジョオー、盛岡芝1戦1勝センタージールを押さえたい。
3連単は11、9を1、2着折り返しに3着は7、8、6流し
馬複は9−11、7−11、8−11、7−9、6−11
<お奨めの1頭>
9レース ダンストーンアレス久々を叩かれた前走は2番手から抜け出して快勝。実績上位馬が完全復活をとげた
(文・松尾康司)
さて来週のブログのネタは何にしようか…。先日そんなことを考えながら車で盛岡競馬場の関係者ゲートを通ろうとすると、目の前の坂道になんとノウサギが!まるで日なたぼっこでもするかのように、道の真ん中で佇んでおりました。これは私に、先週に引き続きオーロパークの自然と野生について書けという天啓か!? というわけで、今回もネイチャーネタです。興味のない人はとばしてくださいませ。
実はノウサギ君、数年前には開催日の構内に出現したこともあります。あのときは装鞍所をまさしく「脱兎のごとく」駆け抜け、あやうく走路へというところでお縄になり、職員の獣医さんの手によって山へとお帰りいただきました。幸いにして装鞍所はちょうど空いている時だったのですが、馬という動物はあの図体にして意外と臆病。実際、私は放牧中の馬がキツネに遭遇して暴れ出すのを見たことがあります。レース前の競走馬がパニックにならなくて本当に良かった。
シーズン中、何度か必ず姿を見せるのはニホンカモシカ。たいていは向正面の斜面を歩いて草を食ったり、座り込んで休憩したりしています。見晴らしのいい場所に陣取ってのんびり周囲を眺めている様は、まるで競馬を観戦しているかのよう。また、厩務員や騎手が住んでいる宿舎のすぐそばに姿を見せたこともあります。警戒心は強いものの、慌てず人間をじーっと観察するようなカモシカの行動は、まさしく「森の哲学者」と呼ばれるにふさわしいですね。
このぐらい自然の豊かさを宣伝すると、今度は熊が出るんじゃないかと心配になる方もいらっしゃるかもしれません。確かに競馬場周囲の山は奥深い北上山地に直結していますし、岩手では毎年秋頃になると、何処どこの集落に熊が出たというニュースが聞かれます。なかには民家に侵入して冷蔵庫を開き、座り込んでリンゴを食べていた、なんていう話も実際ありましたし、オーロパークあたりならツキノワグマが競馬観戦に来てもおかしくないかも…いやいや、冗談ですよ。少なくともスタンドや観客エリアにやってくることはありませんから、オーロで美味しい空気を吸いながら競馬を楽しみたいと思った方は、安心してお越し下さいませ。
もう一つ思い出しましたが、先週は芝コースにヒバリのつがいが舞い降りていました。ヒバリは草原に草を集めてカップ状の巣を作りますが、人間が寝ころんでも気持ちいい芝の走路はまさにうってつけ。とはいえレースになれば当然、馬が地鳴りをあげて疾走しますから、そこには巣作りしないほうが…。それに急に足元から飛び立つ鳥に、馬が驚いてしまうこともあるかも知れません。この週末は毎日芝コースを使ったレースがあったので分かってくれるといいのですが、開催のない平日の間に営巣してしまわないか心配です。市街地に近いJRAの芝コースではこんなことってないんでしょうかね?何か対策をご存じの方がいましたら、教えて下さい。
5月20日、盛岡競馬第7レース、C1級戦で1着エフェクト(7番人気)、2着ミチノクヒーロー(11番人気)、3着タカトモポイント(2番人気)の順位で入線し、馬番連単9→12 330万8610円の高額配当を記録。これまでの馬番連勝単式の日本記録142万5860円(2003年8月3日 荒尾競馬7レース)、JRA記録102万1160円(2005年10月22日 東京12レース)を2倍以上も上回る馬単史上最高配当を記録した。
また岩手競馬においても、これまでの最高配当3連勝式単式173万540円(今年4月16日 8レース)を大幅に記録更新した。
この馬番連単9→12の的中票数は4万4832票中1票、発売場所はテレトラック安代だった。一方、3連単の的中者がなく、特払(とくばらい・的中者がいない場合、1票あたり70円を払い戻す制度)。これも筆者の記憶にはなく、岩手県競馬組合が設立以来、史上初めてであったと思う。
今年4月から岩手競馬でも3連勝式馬券が導入されたが、その効果はてきめん。日常的に高配当が続出し、一攫千金を狙うファンにはこたえられない結果となっている。
<次走へのメモ>
5月21日 第7回あすなろ賞
このレースも大波乱の結果で1着ベルモントシーザー(6番人気)、2着ニッショウウララ(10番人気)、3着ゲイリーエクシード(3番人気)の順で入線し、3連単51万9100円の高配当となった。
あすなろ賞 優勝ベルモントシーザー(写真・佐藤到)
1着 ベルモントシーザー
前半3ハロン36秒前半というハイペースの流れだったが、先行激化の3番手外を追走。しかし折り合いに課題を抱える同馬にとって、むしろ歓迎の展開となり、3、4コーナー中間で早くも馬なりで先頭。さすがにゴール前は一杯となったが、後続の追撃を3/4馬身差封じる。これで南関東から転入2連勝を飾る。
「掛かり気味だったのでペースが速かったことと、前に2頭がいる展開となったのが幸いした」と阿部英俊騎手。
移籍初戦はスローに落としたが、この時も掛かり気味。次走予定は6月4日、みちのく大賞典で距離が2000mだが、折り合いが難しい馬で距離は1600m前後がベスト。交流レース特有のハイペースになればベストだろうが、やはり距離が長いかもしれない。
2着 ニッショウウララ
ハイペースを無理に追走せず、馬群が切れた5番手インをキープ。元々は逃げタイプだが、盛岡は控える競馬も我慢できる。それでも守備範囲外の1800m戦で直線盛り返したのにはビックリ。好調サイクルをキープできたことと、年齢的(7歳)に落ち着きが出てきたことが2着好走につながったか。
3着 ゲイリーエクシード
道中は後方3番手を進み、向正面から徐々にスパート。4コーナーで射程圏に入れ、一旦2番手まで進出したが、最後のひと伸びが足りなかった。前走・緑風賞を勝ち上がりA2から昇級初戦だったが、昨年はオープンを張り重賞・北上川大賞典でも4着。盛岡回りは反応がすばらしく、次走・みちのく大賞典でも目が離せない存在となるだろう。
4着 レストオブセール
今回もスタートで後手を踏み、最後方からの競馬だったが、直線はまずまずの伸びを見せた。道中で置かれるのは痛いが、距離延長されればされるほどいいタイプ。展開に注文はつくが、前崩れになればみちのく大賞典でも浮上の可能性あり。
7着 ブラーボウッズ
後方2番手は前走・シアンモア記念とほぼ同じだったが、手ごたえがなく3コーナーで早々と終わった印象。そのシアンモア記念4着の結果から人気を集めたが、見せ場すら作れなかった。沢田騎手「今回はやる気が全然なかった。中間の調教が強すぎたかも」