先日、青森県のサラブレッド生産牧場を訪ねてきました。ちょうど今頃は、今年生まれたとねっ仔達が跳ね回っている時期。ぱたぱたとしっぽをふりながらお母さんを追いかける姿があちこちで見られました。
今は一生懸命お母さんのおっぱいにかぶりついている仔馬が、1年も経つとすっかり若駒に成長し、2年もすればレースに出るようになるのですから、馬というのはたいしたものですよねえ。1歳の夏や秋頃にはもう「古馬じゃないか!?」というくらい立派な体になる馬だっていますからね。あのとねっ仔達が大きくなったら、一体どんなレースをしてくれるのでしょうか。
ところで、とねっ仔のしっぽって、なんでカモノハシのしっぽみたいに平たいんでしょうね?あれがまた、かわいくて仕方ないポイントで・・・。
さて、月曜メインの岩洞湖特別は今シーズン初の芝の特別戦。ということで出走各馬の芝適性と枠順などを考えつつ、今回は本命に6枠8番タイキミスティを指名したいと思います。
タイキミスティはJRA未勝利から岩手に転入してきた馬ですが、すでに岩手の芝では昨年の田沢湖特別優勝をはじめ5戦2勝2着1回4着2回と堅実な成績を残しています。そもそもJRA時代にも、芝の未勝利戦を2戦して5着・6着とそこそこの結果を残していますから、もともと芝適性が高い馬なんですね。
芝は問題ない、B1級というクラスも問題ないとして、気になるのは6枠8番という枠順。盛岡の芝コースは基本的に外枠が不利ですからこの位置は微妙ではあります。しかし、以前勝った時はいずれも6枠からスタートしての逃げ・先行。内の馬の出方を見ながら行けるこの枠はむしろ都合がいいと言えるでしょう。
対抗格は思い切ってエイシンミランダを。前走を見るに「左回りがどうか?」と思うものはありますが、最近のこの馬の先行力からはいかにも好調さがうかがえますし、最内枠を引いたのもラッキー。少々絡まれても枠差を活かせます。
ゲンパチコジーンは外枠に入ってしまったのがちょっと残念。ですが、昨年のOROカップで4着という実績はメンバー中最右翼といえますし、前走を勝った勢いもありますから、引き続き警戒が必要です。
穴で面白いのはアリアンロッドとレタセモア。特に後者でしょうか。前走、レタセモアにとっては長い1800mで3着に粘った走りが妙に印象に残っています。ほとんど短距離ながら芝経験もありますし・・・。
ということで買い目は、今回はかなり力量が接近していると踏んで馬番8を含む1、3、7、11のBOXで。馬単・3連単はBOXをメインに使いつつ、できる限り手広くいきたいところです。
(文/テシオ編集部 横川典視)
4月29日、日高賞に続く3歳重賞は盛岡ダート1400mを舞台に行われる短距離戦「第38回岩鷲賞」。昨日も紹介したように、前日13日に「岩手ダービー ダイヤモンドカップ」トライアル・やまびこ賞があり、有力馬が分散。
とりわけダンディキングが早々と出走表明したため、逆転の目がありそうな有力馬は前日のやまびこ賞へ回った。
確かにダンディキングが七時雨賞、スプリングカップで見せた強さはけた違いだった。奇しくも2戦ともに大外枠へ入りながら、強引に先行策を取った。
特に七時雨賞では内に入った馬がハナを譲らない構えを見せたが、ダンディキングも徹底抗戦。前半3ハロン35秒台の超ハイペースを自ら形成して力で後続の追撃をねじ伏せた。
それがあったから続くスプリングカップでは12番枠から楽に先手を取り、そのまま逃げ切って圧勝。
よほど玉砕的な逃げタイプがいない限り、ダンディキングのスピードに立ち向かうのは難しいだろうと他陣営に思わせるに十分の内容だった。
そんなダンディキングに恐れをなした訳でもないだろうが、フルゲートにはならず10頭立て。しかも互角に戦えそうな相手はごくわずか。いかにもダンディキングに勝って下さいの一戦となった。
(写真・七時雨賞を快勝したダンディキング)
そんなダンディキングに死角がまったくなしなのか―。実は一つだけ不安材料がある。それは左回りへの適性だ。右回りがササり気味に走るのに対し、左回りになると外にモタれる傾向があるのだ。
思い出して欲しい。母ミスハクギンが現役時代、盛岡で走った時、3コーナーから外方逸走し、外ラチにぶつかって周囲をはらはらさせたことを。血は争えないもので、強弱はあるにせよダンディキングも左回りに不安を残している。
いや、昨年に若駒賞でアテストとタイム差なしの接戦を演じているではないか、と反論するかも知れない。
しかし、あの時も逃げたがずっと外に何かしらの馬がいて、モタれる仕草を派手に見せなかっただけだったとも言える。
まぁ、終わってみれば要らぬ心配に終わると思うし第一、ダンディキングはここでは絶対能力が違う。断然の主役であるのは間違いない。
あえてダンディキングの死角を探してみたが、唯一、そこに付け入れる可能性があるとすればブラックショコラだろう。
七時雨賞はタイム差なし2着、スプリングカップは2・7秒3着に破れ、勝負付けは済んだ格好だが、持ち味の末脚は盛岡でより生きるはず。意外にも盛岡ダートは初めてだが、盛岡芝は4戦2勝2着2回とパーフェクト連対を誇っている。ダート適性も問題ない。
他の8頭はこの2頭から大きく離されてしまった感じだが、日高賞で案外の8着に沈んだパワフルビクトリはこのまま終わってしまうとは到底思えない。復活の期待を込めた3番手候補。あとはダンディキングと折り合いをつけ、スロー条件でムーンプライドあたりまでだろう。
3連単は1、3の1、2着固定。3着も10、9へ絞りたい
馬複は1−3の一点勝負
(文・松尾康司/写真・佐藤到)
13日のメインは3歳マイル特別「第25回やまびこ賞」。1着馬には「岩手ダービー ダイヤモンドカップ」への優先出走権が与えられる。
翌日14日にも同じ3歳馬による短距離重賞「第38回岩鷲賞」もあり、有力馬がそれぞれ適性を求めて二つに分かれた格好となった。
牝馬重賞・留守杯日高賞の上位3頭サイレントエクセル、ゴールデンパンジー、モエレタキシードはやまびこ賞を選んできた。
一方、スプリンカップ組では同レース2着テンショウボスがこちらに回り、留守杯日高賞とスプリングカップのレベル比較が重要なポイントとなる。
まず留守杯日高賞だが、サイレントエクセルは1月2日、金杯以来、3ヵ月半ぶりの実戦だったにもかかわらず、馬体重が金杯比マイナス9キロ。しかもスタートで出遅れを喫し、道中ハラハラさせたが、3コーナーからエンジンが全開となり、早め先頭に立ったゴールデンパンジーをゴール前でキッチリ捕らえて快勝。牝馬?1の底力を改めて誇示した。
2着惜敗したゴールデンパンジーの粘りもなかなかのものだった。逃げたムーンプライドを向正面で交わして先頭。そのまま押し切るかとも思ったが、前半のハイペースでスタミナをロスした分、最後の最後で伸びを欠いた。
日高賞はこの2頭のマッチレースとなったが、菜の花賞と同様に3着に突っ込んできたのがモエレタキシード。サイレントエクセルから1・1秒、ゴールデンパンジーから1秒差だったが、とにかくこの馬は末脚が切れる。
対するスプリングカップ。テンショウボスはダンディキングの2番手を追走したが、完敗と言える1秒差2着。しかし、3着ブラックショコラはさらに1・7秒差での入線で、大型牡馬が使うたびに力をつけていることを印象づけた。
以上を踏まえた上で主軸をどちらにするか迷うところだが、ここはサイレントエクセルを指名してみたい。
先にも記したが、日高賞は急仕上げだったため、中間に飼い葉が落ちてマイナス9キロ。確かにパドックでは馬体が寂しく見えたし、行き脚も途中までは本来のものではなかった。
それでも勝利をもぎ取ってしまうのだから、今回は牡馬相手でも中心に据えるのが妥当だろう。ただ、馬体重が前回よりさらに減っていた場合は要注意だ。やはり体がふっくらしないことには力を出し切れない可能性がある。
逆転首位まであるのがテンショウボス。スプリングカップはダンディキングが水沢マイル1分42秒7という驚異的なタイムで圧勝したが、テンショウボスが出したタイム1分43秒7も非常に優秀だった。
それに対し、日高賞=サイレントエクセルの走破タイム(同じ水沢1600m)は1分45秒0。馬場差を考えても机上ではテンショウボスが上回っている。しかも良化一途の大型牡馬でもある。
もちろんレース運びで一日の長ゴールデンパンジー、末脚が生きる盛岡に替わってモエレタキシードの一発も十分に考えられるだろう。他ではキヨシンピュア、ミステリーゴットを押さえ少々。
3連単は7、11を1、2着折り返しに3着流しで12、6、10、3
馬複は7−11、7−12、11−12、6−7、6−11
(文・松尾康司)
いわわししょう… 県外のほとんどの方は「ガンジュ賞」とは読めないのではないでしょうか? 岩鷲山(ガンジュサンあるいはガンシュウザン)とは、我が岩手県のシンボル、岩手山の古い呼び名なのです。岩鷲という名の由来は、春に山の積雪が解けて黒い地面が見えてくるとき、毎年決まって頂上付近に鷲が翼を広げたようなパターンが現れることにあります。このような「雪形」は全国に多くあり、各地で「これが現れたら田んぼに水を引く」などと農業の目安になったりもしています。そういえばJRAのレース名にもある福島県の吾妻小富士ではウサギの形が見られるといいますね。
岩手山は、分類で言えば成層火山に属し、あの富士山と同型の美しい裾野をもつ円錐状の山。しかし山体の西側に新火口が噴出したため、「南部“片”富士」と言われる女性的なボディラインと男性的な荒々しい山容をあわせもち、眺める方向によって大きく表情を変える山になっています。これがまた岩手山の魅力なのですね。ちなみに山岳信仰では岩手山は男の神様とされており、北上川をはさんで向かい側にある姫神山はその奥さん、そして南西の早池峰山は浮気相手との伝説があります。
私が岩手山に強い印象を受けたのは、受験を機に初めて盛岡を訪れ、岩手山と初対面したそのときです。3月のまだ冷たい風吹く中、地図を頼りに中央通りを試験会場へ向かっていくと、道の正面に、青空に真っ白く輝きそびえ立つ岩手山の姿が目に飛び込んできました。私の実家も蔵王山のふもと(旧上山競馬場の反対側です)でしたから雪山の美しさは見慣れているつもりでしたが、この景色はかなり感動しましたね。そして岩手山が盛岡の街なみと一体になり、欠かせない存在としてこの街の雰囲気がつくられていると感じました。
そのとき私は盛岡駅で列車を降りてまだほんの2〜3時間でしたが、駅前をとうとうと流れる北上川を渡り、そして街を見守るようにそびえる岩手山と向きあって、盛岡という街がすっかり好きになってしまいました。その後、私は念願かなって盛岡に住むようになり、そして様々な巡り合わせを経てこうして岩手競馬に深くかかわるようになりました。いま思えば、運命はあの白い岩手山からつながっているのだなぁと考えたりなんかして…。
(文・写真/佐藤到)
<次走へのメモ>
5月7日、第32回シアンモア記念
1着 エアウィード
3枠に入ったハツラツ、シンプウオペラが互いにけん制しながら先行する。ジョッキーの手は動いていなかったし、平均ペースかと思っていたが、意外や意外、前半35秒7とハイラップを刻んでいた。対して上がり3ハロンは38秒5で全体のタイムが1分38秒5と案外かかっていたのだから、2頭でハイペースを形成したことになる。
エアウィードはその先陣4番手を馬なりでキープ。昨年のマーキュリーカップでも前につけたことがあるが、本質的には差しタイプ。前走(まんさく賞)比、マイナス15キロと大幅に馬体重が減っていたが、前回が太過ぎたのだろう、今回は道中の手ごたえがすばらしかった。
3、4コーナーから早めに動き、直線入り口過ぎには先頭。いつもは単騎でハナに立つととぼける癖があるが、最後まで気を抜くことなく2着に1馬身1/4差をつけて完勝した。
勝因は得意の左回りに替わったこと、馬体が絞れたこと、早め積極策が功を奏したことの3点。次走を予定しているのも6月4日、同じ盛岡で行われる「第34回一條記念 みちのく大賞典」。距離がマイルから2000mへ延長されるが、昨年の北上川大賞典(2500m)を勝った実績もあり、まったく不安なし。盛岡回りには本当に自信を持っている。
(第32回シアンモア記念 1着エアウィード)
2着 タイキシェンロン
先行グループから離れた中団外をキープ。その内には1番人気インターセフォーがいて、それをマークする戦法。しかし3コーナーでエアウィードが動いたのを見て先にスパートをかける。直線でエアウィードを捕らえ切れなかったのは菅原勲騎手の「左回りだと決め手に欠ける」ため。それでも久々のまんさく賞を叩かれて気配上昇。それが2着の結果となった。
3着 インターセフォー
流れが速いと見て、離れた中団の先頭を進む。エアウィード、タイキシェンロンが動いた後、ワンテンポ遅らせてスパートをかけたが、最後の上り坂にも戸惑ったのか伸びがひと息に終わった。長距離輸送の影響もなく、馬体の張りも申し分なしでパドックで一際目立っていたが、「もう少し経験が必要かも」(石崎隆之騎手)ということなのだろう。
4着 ブラーボウッズ まんさく賞は中間の挫石で回避。スタートで出遅れ、後方2番手からの競馬となったが、直線の伸びがすばらしく4着に食い込んで力のあるところを見せた。
5着 シノブホマレ
11番人気と低評価だったが、ハイペースの中、先陣をキープして渋太く粘る。近3走の凡走は1900、2000mの距離が長すぎたのか、実績の高い1600mで5着入線を果たした。
(文・松尾康司/写真・佐藤到)