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ばんえい名馬ファイル(9) シマヅショウリキ

若くして頂点に シマヅショウリキ

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96年ばんえい菊花賞   Photo●OPBM

 近年のばんえい記念(97年までは農林水産大臣賞典)の勝ち馬一覧を見ると、2度以上制している馬がいかに多いかに気づく。特に1997年のフクイチ以降は、2010年が初勝利だったニシキダイジンを別とすれば、いずれの馬も2年以上連続でばんえい記念の勝ち馬となっている。ごく限られた一部の馬しか勝つことができない、1トンという酷量を曳くばんえい記念は、ある意味でそうした特殊なレースなのだろう。

 シマヅショウリキも、高重量戦でこそ力を発揮する馬だった。それゆえか、2歳シーズンは24戦して5勝と、ごくごく平凡な成績しか残していない。

 しかし3歳シーズンを迎えて一変。6戦3勝、2着2回と好成績で迎えたのが、重賞初挑戦となった3歳一冠目のばんえい大賞典(96年7月)。牡馬ではもっとも軽い670キロ、トップハンデの馬とは30キロ差という軽ハンデ生かしての重賞制覇となった。

 定量のばんえいダービー(96年10月)は、この世代で早くからトップの存在と目されていたキタノビッグエースの4着。そして同じく定量のばんえい菊花賞(96年11月)でもキタノビッグエースが断然の人気になったが、シマヅショウリキは、その世代ナンバー1ホースに14秒3もの大差をつけて圧勝。一躍注目の存在となった。

 シマヅショウリキは、4歳シーズンにも3・4歳限定のポプラ賞(97年12月)を1番人気にこたえて堂々の勝利。その勝利によって出走権を得たチャンピオンカップ(98年2月)には、前年(3着)に続いて2度目の挑戦となった。

 この年のチャンピオンカップは、ばんえい記念が終了したあと、シーズン最後の重賞として行われた一戦。シマヅショウリキは軽ハンデながら、ばんえい記念の1、2着馬、フクイチ、ダイヤキャップという、当時の高重量戦では無敵を誇っていた2頭を相手に勝利し、古馬の一戦級が相手でも互角に勝負できるまでに成長した姿をアピールした。

 シマヅショウリキが最も輝いたのは、5歳シーズンに明け6歳で初挑戦となった、ばんえい記念(99年2月)だろう。

 このときは、すでにばんえい記念3勝を挙げているフクイチの引退レース。そのフクイチには、ばんえい記念3連覇に加え通算4勝という、いずれも史上初(当時)となる大記録がかかっていた。

 当時のばんえい競馬では、オープン馬といえども定年があり、フクイチにとっては最後の1年と覚悟して臨んだシーズン。岩見沢記念は4着、旭王冠賞は7着に敗れたものの、1月の帯広記念を圧勝し、まだまだ力は衰えていないことを示し、断然人気で臨んだ最後のばんえい記念だった。

 しかし4歳年下のシマヅショウリキが圧倒的な強さで世代交代をアピールする結果となった。

 初めて経験する1トンという酷量にもかかわらず、シマヅショウリキは先頭で第2障害をクリア。2番手のフクイチが障害を越えたとき、すでにシマヅショウリキは直線の半ばまで達していた。フクイチも懸命に追い上げたが、シマヅショウリキは17秒4という決定的な差をつけ、ばんえい記念初挑戦での勝利となった。

 6歳シーズンのシマヅショウリキは高重量戦で圧倒的な強さを発揮した。岩見沢記念(99年9月)は、同期のライバル・キタノビッグエースに、なんと27秒7もの大差をつけて圧勝。トップハンデで臨んだ帯広記念(00年1月)こそサカノタイソンの2着に敗れたものの、ばんえい記念(00年2月)では2着のサロマオーカンに9秒4差をつける完勝で、連覇を果たした。

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99年岩見沢記念   Photo●OPBM

 しかしこの年がシマヅショウリキのピークだった。7歳シーズンは、好走すれども勝ち切れないレースが続き、帯広記念(01年1月)こそ得意の高重量でサカノタイソンとの一騎打ちを制したものの、これが結果的に現役最後の勝利となった。

 7歳、8歳になってピークを迎えることが多いと言われるばんえい競馬にあって、シマヅショウリキは6歳シーズンをピークに、その後は引退レースとなる9歳シーズン(明け10歳)の03年1月までは苦しいレースが続いた。それは、やはり5歳シーズンという若い時期に、1トンという酷量が課せられるばんえい記念を制した反動であったのかもしれない。

 ばんえい記念をもっとも若くして制したのは、79年10月のキヨヒメ、88年11月のニユーフロンテヤ、翌89年12月のイエヤスが、いずれもに5歳。しかしこれは年が明ける前にばんえい競馬の開催が終了していた頃のことで、そういう意味では、明けて6歳、いわば5歳シーズンにばんえい記念を制したシマヅショウリキも、もっとも若くして同レースの覇者になった1頭といえる。

 5歳シーズンにばんえい記念を制したのは、歴代でもわずか5頭。シマヅショウリキが最後となっている。

 1トンのソリを曳くばんえい記念というレースが、いかに過酷なレースであるかを示す記録でもある。

文/斎藤修

(馬齢は、現在と同じ新年齢で表記)

シマヅショウリキ
1993年4月27日生 半血 牡 青毛
父 半血・ヒカルタイシヨオ
母 半血・クインダイヤ
母の父 半血・トヨサカイ
北海道中川郡池田町 金岡恒司氏生産
通算成績/154戦32勝(1995~2003年)
収得賞金/82,860,000円
重賞勝鞍/96年ばんえい大賞典(岩見沢)、ばんえい菊花賞(北見)、97年ポプラ賞(帯広)、98年チャンピオンカップ(帯広)、99年ばんえい記念(帯広)、北斗賞(北見)、岩見沢記念(岩見沢)、00年ばんえい記念(帯広)、01年帯広記念(帯広)

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