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馬券おやじは今日も行く(第56回) 古林英一

どなたか教えてください

 征夷大将軍右近衛大将右馬寮御監淳和奨学両院別当源氏長者(せいいたいしょうぐんうこのえのたいしょううまのりょうぎょかんじゅんなしょうがくりょういんべっとうげんじのちょうじゃ)。落語の寿限無みたいですな。これは何かというと、徳川家康の官職なのだそうだ(岡野友彦『源氏と日本国王』講談社現代新書、2003年、53ページ)。征夷大将軍は歴史の時間に習うのでみなさん聞いたことがあるだろう。淳和院はいくつかの寺院とか陵墓を管理する機関、奨学院は貴族とか皇族の子弟の教育機関である(だったと思う。うろ覚えですみません)。したがって、淳和奨学両院別当というのは、これら二つの機関の長という意味である。源氏長者というのは源という姓を持つ一族の棟梁という意味である。右近衛大将というのは右近衛府という役所の長官。で、いよいよ、今回のコラムの本題である右馬寮御監である。

 なぜ、こんな話を始めたかというと、先だって、NPOとかち馬文化を支える会の専務理事つむじまる文豪より、馬文化を支える会で発行している馬文化新聞の原稿を書けという命が小生に下ったのである。今回は「戦争と馬」をテーマにしたいということなので、第二次大戦前に馬の生産から流通に至るまで大きな役割を果たしていた馬政局について書こうと思ったのである。結論からいうと、小生は締め切りまでに原稿をあげることができず、拙稿は次回回しとなったのである。ごめんなさい、つむじまる文豪m(_ _)m

 北清事変や日露戦争で欧米列強の馬に比べ劣弱さを露呈してしまったわが国の軍馬の改良を担うべく設置されたのが馬政局である。馬だけを担当する役所があったのである。この馬政局をつくるにあたって、活躍したのが主馬頭藤波言忠であった。

 ここで小生はつい脇道に逸れてしまったのである。主馬頭というのは宮内省にあった主馬寮という馬を管轄する役所のヘッドという意味である。では主馬寮ってなんじゃらほいということが気になり出したのである。

 で、ちょいと調べてみると、桓武天皇の頃に左右の馬寮(まりょう)という役所を統合して主馬寮となったが、後にまた元の二つになったとあった(和田英松『新訂官職要解』講談社学術文庫、1983年、144ページ)。では先にあげた徳川家康の官職にある御監とは? これはどうも頭(かみ)を統括する役職らしい。ところが、これは近衛大将が兼任するのが通例のようで、馬寮の事実上のヘッドはやっぱり頭とのことである。

 ここで源頼朝の父が左馬頭(さまのかみ)義朝だったことを思い出したのである。そういえば、足利尊氏の弟足利直義も右馬頭(うまのかみ)だったような...。さらに調べると、江戸時代には歴代の将軍が右馬頭とか左馬頭に任じられているという。こうなると、武士の役職としてはかなり高位の官職らしいということがわかる。

 前記『新訂官職要解』には馬寮の頭は「左右各一人、職掌は『大宝令』に「閑馬(うまやのうま)の調習・養飼、供御の乗具、穀草を配給し、及び飼部の戸口の名籍を掌る」とある」という。そもそもの職掌はそうなのだろうが、源義朝は果たして上記のような仕事をしていたのだろうか?

 足利直義が飼い葉の手当を指示していたとは思いづらい。さらに江戸に住む将軍家が朝廷の馬の訓練を統率していたとは思えませんわな。では、いったいいつまで馬寮なる役所が実際に存在し、ちゃんと馬を飼っていたのであろうか?

 左馬頭とか右馬頭なんていう官職がいつの頃からかまったく名目だけの官職になったことは確かなのであるが、江戸時代でも宮中行事で馬が使われている。あの馬はどこで誰が飼養していたのであろうか? 疑問は果てしなく広がってしまったのである。

 こりゃあ、ひとつ、わが研究室に鎮座まします『日本馬政史』をじっくり紐解くしかない......とやってるうちに、タイムアップで馬文化新聞の原稿が書けなくなってしまったのであります。

 こう考えてみると、中学や高校でいろいろな歴史的な事柄を習うのだが、始まりは教えてくれても終わりは教えてくれていないことに気がついた。今日明日とはいいません。とりあえず、馬寮っていつ頃まであったのか誰か教えてくれませんでしょうか?

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