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やっぱり馬が好き(第45回) 旋丸 巴

幸せをかみ締めたウエスタンショー

 細川騎手が、そして、我らがリーディング騎手・鈴木勝堤さんが、カウボーイに変身!

 というような珍しい姿が見られたのが、1月26、27日。毎度お馴染みの「とかち馬文化を支える会」が、またまた帯広競馬場でイベントを開催したのだけれど、今回はウエスタン・スタイルの乗馬の達人が登場。愉快なゲームをしたり、ウエスタン乗馬の妙技を披露したり、と楽しいウエスタンショーを繰り広げたのである。

 このウエスタンショー、実は、馬インフルエンザ騒動で半年も延期になっていたから、企画に携わった私も、ずっとヤキモキし続けていた。結局、開催は、こんな厳寒期になってしまったけれど、両日、午前と午後、都合4回行われたショーは大好評。

 知恵の輪外し、蹄鉄投げといったゲームには小さな子供から年配のファンまで参加。ゲームの優勝者には、本革のベストや特製アポロキャップが贈られるというので、参加者は奮闘。その姿を見て観客は抱腹絶倒。最高気温マイナス4度という寒さも、観客の熱気で、この時だけは、どこへやら。

 ゲームが終われば、いよいよ本格的なウエスタンショー。ただし、ウエスタンとは言っても、この日、登場したのは有名牧場の競走馬馴致・調教にも携わる調教の達人=持田裕之さん。だから、このショーも、単なる西部劇ごっこではなくて、馬を自由自在に操る妙技を次々に披露。例えば、円馬場を走る裸馬を手招きで呼び寄せたり、小さく呼びかけるだけで寝転ばせたり……。乗馬してからも、手綱なしで、指差す方向に馬を走らせたり、急停止させたり、と、魔法のような馬術が続々登場するから、観客はア然、呆然。拍手を忘れるほど。

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ウエスタン乗馬の達人=持田さんにかかれば、手綱なしで指を差すだけで、馬は、その方向に進む

 そんなショーを見守る観客の中に、調教師さんや騎手さんの姿もあったから、ショーの終了後に、声をおかけした。

 「皆さんも、ウエスタンの馬に乗ってごらんになりませんか?」と。

 照れからか激しく拒否されていた騎手さん達だったけれど、しかし、調教師の服部先生の「ファンサービスだから」という言葉を受けて、果敢にウエスタン・スタイルに挑戦してくださったのが細川騎手。

 平素は巨大な輓馬を繰る騎手さんが、金色のクォーターホース(ウエスタン用乗用馬)にまたがったから、観客からはヤンヤヤンヤの声と喝采が巻き起こった。で、当の細川さんはと言えば、騎乗するまでは「いやぁ」などと恥かしそうだったものの、一旦、馬の背に乗ると、たちまちホースマンの血が騒いで、「ちょっと、歩かせてもいいかな」とクォーターホースの手綱を取り、前進、後退。かと思ったら、今し方までウエスタンショーで繰り広げられていた妙技=後肢旋廻まで披露。

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細川騎手はウエスタン乗馬の妙技=後肢旋廻に挑戦

 「馬が良く調教されてるから」と下馬した細川さんは謙遜されたけれど、「輓馬とは指示の仕方が違うんだね」と、騎手らしい分析もされていたから、さすがである。

 午後の部の終了時には鈴木勝堤騎手も同じく金色のクォーターホースにまたがって、またも観客は拍手喝采。

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我らがリーディング騎手・鈴木勝堤騎手も西部の男に

 一方、このウエスタンショーに出演した持田さん達も、調教師の服部先生に勧められて、リッキーに騎乗。ばんえい騎手がクォーターホースに乗るのも不思議な光景だったけれど、カウボーイ達が巨大な輓馬に騎乗するのも、これまた摩訶不思議な光景。周囲の人々から暖かい笑いが起こった。けれど、私一人は、その様子を見ながら、ちょっと胸を熱くなんかしていたりして……。

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リッキーにたまがるウエスタンの達人

 だって、当欄にも何度も記したけれど、「帯広競馬場から馬文化を発信する」というのが私の大いなる「たくらみ」なのである。輓馬も乗馬も平地競馬も流鏑馬も、みんなみーんな馬が主役。だから、全ての分野の垣根を取っ払い、馬を中心に集まった人々が全国に馬文化を発信できたらいいな。と、そんなことを考えてきた私の、その志が、この日、ちょっぴり具現化したようで、嬉しかったのである。

 実際、持田さん始め、この日、イベントに参加して下さってウエスタン関係者の人達からは「ばんえいが身近になった」という感想をもらったし、服部先生は「持田さんの技術に学ぶために、騎手や調教師で研修をしたいね」と意気込んでおられた。

 「大風呂敷ばっかり広げて」と、日頃、揶揄されている私だけど、たまには大風呂敷だって役には立つんだもんね~、と幸せをかみ締めたウエスタンショーだったのである。

    *     *     *

 と、実に幸せな2日間を過ごして、しかし、27日には、もうひとつ素敵なことがあった。

 ミサキスーパーの引退式、これである。

 名馬が引退してしまうのは寂しいけれど、しかし、引退式が実現したのは、ばんえい競馬にとっては画期的な出来事。

 今年から、ばんえいでは引退制度が廃止されて、従って、毎年行われていた引退レース「蛍の光賞」も、引退馬が勢揃いする「お別れ式」もなくなってしまった。だから、今季限りで引退するミサキスーパーも、ひっそりと競馬場を去ることになっていたのだが……。

 「それは、あまりにも寂し過ぎる」と、立ち上がった青年が2人。関係者に働きかけ、主催者に嘆願し、企画を立て、東奔西走の結果、実現したのが、この引退式なのである。つまり、2人の青年の奮闘がなければ実現しなかった引退式について、さて、これからタップリご報告しよう……。と思ったら、誌面が尽きた(というか、既に大幅に文字数超過)。

 かような次第で、ミサキスーパー引退式については、来月の心だ~!

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ミサキスーパー引退式。最後はファンとの撮影会

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