馬主への道 ~馬市場見学の巻~
うーん、やはり矢野・斎藤両巨匠にはかなわない。先日の大賞典の結果である。あれくらいの斤量差があっても小生はホクショウダイヤが押し切ると思ったのだが。まあ、済んだことは仕方あるまい。馬券や車券のことで真剣に悩んでいては身が持たない。はっきりいって、馬券・車券に関してはすっかりパンチドランカーになっている小生である。
さて、先だってのこのコラムで、「馬主になりたい人この指止~まれ!」と呼びかけたところ、早速関東在住のAさんから打診のメールをいただいた。これでまた一歩ばんえい記念制覇に向けて話が進んだのである。なんか話が大きくなっているのではと思う方もあるかもしれないが、オーナーを目指す限りはばんえい記念制覇こそが目標なのである。
さて、馬を入手する第一歩は市場からである。旋丸姐さんに煽られた小生は勇躍ホクレン十勝家畜市場の8月馬市場へと出かけたのである。軽種馬の市場と違って、こっちは押しボタン式……ということを小生が報告すると旋丸姐さんが既に宣言しているので、これはいわざるを得ない(^_^;) 市場で購入した名簿には「押しボタンスイッチ取り扱いに係わる注意事項」なんぞも掲載されている。そこで発見した馬市場トリビアである。「押しボタンスイッチの吊りひもは電波を送信するアンテナになっている」。へえ~。
馬市場にはばんえい競馬の関係者が多数来場している。西弘美騎手に「こんなところにも来てるの?熱心だね~」なんぞと呆れられた小生である。まあ、いわれてみれば確かに、熱心だわな。だが、しかし、西さん、バカにしたもんじゃありやせんぜ。将来われらが◎○▲号(馬名未定)が第××回ばんえい記念に歩を進めることにでもなれば「西さん、今度ひとつ乗ってみてくれませんかね」なんぞということがあるやもしれませんぜ。
2日目こそ旋丸姐さんに導師を勤めていただいたものの、初日は小生ひとりぼっち。一番悩み、そしてついに独力で解決できなかった謎が、例の階段状になった購買者席に行く通路である。上場される馬の繋養場所やセリ場への搬入通路は簡単にわかるのだが、購買者席の入口がさっぱり見あたらない。何度も建物の周辺をうろちょろした結果、結局、初日は購買者席への着席を断念した小生である。そもそも購買者席に行けなければ馬を買うことなんぞできやしない。なんせ前述の「押しボタンスイッチ取り扱いに係わる注意事項」にも「変な場所からスイッチを押したらダメよ」と書いてあるからね。
2日目、この重大な疑問はいともあっさり氷解した。というのも、購買者席に直接はいる入口なんぞはハナからないのである。ではどうやって購買者席に行くのか。なんと馬と人がびっしり並んでいる出場馬繋留レーンを、「ちょいとごめんなさいよ」と横切って行くしかないのである。
2日間の出場頭数は全部で551頭。うち、農用馬が410頭で小格馬が128頭。他に共進会セールというのがあってこれにも13頭出場した。小格馬というのはポニーやドサンコである。こっちの方は思わず手を出してしまいそうな5~10万円というお手頃価格の馬もちらほら。ポニーといえば、日本競馬界きっての美人調教師・谷あゆみ先生がポニーに熱い視線を送っておられる光景も目撃した。大小問わず馬なら何でもお好きなんでしょうね、きっと。
後日ホクレンさんに照会したところ、この2日間の市場成績は、農用馬の部の売却頭数は410頭中303頭。したがって売却率は74%。農用馬の最高取引額は105万円というのが2頭(いずれも牝馬)いて、逆に、最低価格は1歳牡馬で115,500円(桁間違いではない!)というのがいた。落札者は番号で示されるのだが、小生が見ていた範囲では購買者番号21番が落札する馬が多い。場内に掲示されていた購買者番号一覧表によると、21番は駒城となっていた。この会社は馬肉料理で有名な熊本の菅乃屋の関連企業である。
いずれにせよ、1歳牡馬なら100万円も出せばそこそこの馬を入手できることがわかった。ただし、これは100万円くらい小生がポンと出せるという意味ではない、念のため。さらに、難関・購買者席の入口もわかった。馬主として、オーナーズカップ出場→ばんえい記念制覇に向けたわが野望が着実に前進した2日間であった。最後にいろいろとご面倒をかけた旋丸姐さんに感謝!