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馬券おやじは今日も行く(第17回)  古林英一

山ごもりのゴールデンウィーク

 世間はゴールデンウィークである。もちろん、小生も連休である。小生のことだから、GW中は競輪・競馬三昧だと思われがちである。確かに、われらが「ばんえい」は3~8日となんと6日間連続開催。おまけに、3~6日は岸和田記念競輪、3~5日は道営ホッカイドウ競馬の札幌開催まである。だが、しかし、6日間のうち、今年は競輪・競馬と無縁の3日間を送る羽目に陥ってしまったのである。

 というのは、3~5日の3日間、ひょんなことから上ノ国町の北大演習林にこもることになってしまったのである。

 「馬搬」という言葉をご存じだろうか? とりあえず、馬で運搬することが馬搬なのだが、ここでいう馬搬とは森林作業のひとつで、伐採した木を馬を使って搬出する作業のことである。

 かつての「ばんえい」は実役馬が競走馬として使用されていた。開催日数も今に比べれば格段に少ないから、賞金や手当でメシを食うなんぞということもできない。ごく一部の馬と人を除き、殆どの馬は普段地元で働いていた。こうした状況は1960年代半ば頃まで続いたのだが、馬の稼ぎ場所でもっとも最後まで重要だったのが山仕事である。

 ばんえい競馬草創期から名人の名をほしいままにした中西関松なんていう人は、早くから4つの競馬場を馬を連れて転戦した人だが、その中西にしても、1970年頃まで、シーズンオフには山仕事を続けていたという。

 林道の整備や作業の機械化が進展するにしたがって、馬は山仕事から消えていった。わが北海道は比較的早く馬による作業が見られなくなったというが、最近でも東北地方のごく一部には馬を使って作業をおこなっている人もあると聞く。

 今、北大の演習林で、技術の伝承的な意味合いで、馬を使った作業をおこなっている人が上ノ国にいる。小生は今回この作業の見学に行くのである。使用される馬の所有者は久末さんという人である。ばんえいマニアならこの名前に聞き覚えがあるかもしれない。スターエンジェル号の生産者である。山仕事をやってくれるのはこのスターエンジェル号の姉だと聞いている。また、作業を実際にやっているのは上ノ国町の太田垣さんという人で、馬好きということでは人後に落ちないお方である。

 次回のこのコラムではこの模様を写真入りでレポートしたい。ご期待あれ。

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