牧瀬嘉葵が37期2車を捕えた
初優出の丹下昂紀と優出通算2度目の村田光希37期2名の動向も注目された今回の決勝。この両者が連なって逃げる展開となったが、人気に推された牧瀬嘉葵が5周回ホームストレッチで村田のインに入り2番手へ上がると、最周回6周3コーナーで丹下を差して先頭に立ち8度目の優勝。ともに初Vを狙った若武者たちの野望を打ち砕いた。
対抗人気になった川口裕司はゴール寸前に村田を交わして3着、予選~準決勝戦とスタート切れていた中原誠はフライングを喫してしまい速攻不発に終わった。
文/鈴木
高橋貢が技量の高さを見せつけた!
伊勢崎最終日は良走路で始まったが、途中で雨が降り、優勝戦は重走路での戦いになった。試走一番時計は佐藤貴の57。全国ランク1位の青山周は4番時計タイの61だった。
0ハン両者は序盤でペースを上げることができず、悪くないスタートを切った鈴木宏が早めに交わしていった。しかし、地元の重走路実績は断然の高橋貢が道中でインに切り込み先頭を奪取。レース中盤で青山周に競り勝っていた佐藤貴が猛追撃を見せたが、高橋貢が僅かな差で振り切ってみせた。
高橋貢は6月23日に浜松で優勝していたが、約一ヶ月ぶりに今度は地元でV。浜松の時はブチ走路だったが、今度は重走路。難走路での競走を積み重ねてきた経験値の高さを改めて証明した。通算優勝回数は217。オートレース界ではさまざまな記録が樹立されているが、この高橋貢の優勝回数を越えられる選手はそうそう現れないだろう。
山本翔が次節につながる快走を見せた!
3連勝で優出した0ハン単騎の中村晋は、ペースを上げることができず吉松憲に交わされてしまう。その吉松憲はマイペースの逃げに入っていた。20線は外枠の野本がスタート先行したが、1周を回る頃には山本翔が逆転していた。その山本翔はまず中村晋を交わすと、吉松憲との一対一の態勢に持ち込んだ。慌てて仕掛けることはせずチャンスどころを探っていると、残り1周の青旗でインに入っていく。そして、そのままゴール。後ろでは角南が吉松憲をゴール前でチョイ差しを決め準優勝となった。
山本翔はスタートで野本に行かれはしたが、落ち着いて対処できていた。試走が一番時計タイだったので、乗っていて余裕があったのかも。今年は6回の優出の内、3回目の優勝となった。優出の回数の割に優勝の回数が多い。これは大事なレースでの勝負強さを証明している。山本翔の次節はG2小林啓二杯。まだ記念のタイトルを獲得していないが、今の好リズムなら初タイトル獲得となるかもしれない。
有吉辰也が今年2度目の優勝を決めた!
0ハンから逃げた稲原良は好ペースで軽快な走りを見せていた。10線から先行した中村颯は、そのペースに付いていくのが一杯。他の選手もほぼ車を押し上げることができないでいたが、有吉だけはジワリと番手を上げていた。無理のない落ち着いた仕掛けで1車ずつ交わして行くと、逃げていた稲原良も冷静にパス。試走タイム断トツで一番人気に推されていたが、しっかりと期待に応えてみせた。
今年はすでに18回の優出があった有吉。その中で優勝は1回と、優勝戦実績ではやや物足りなかったが、19回目の優出で今年2度目の優勝を決めた。今は何節も連続で優出できており、エンジンは高い位置で安定している。乗り手の方も好リズム。次はG2小林啓二杯が待っているが、初日から好走を見せてくれそうだ。
伊藤信夫が久しぶりに優勝を決めた!
試走一番時計の伊藤信は33を叩き出し、二番手以下に3つ以上のタイム差をつけた。スタートも30線大外からカマシを決め、絶好の展開に持ち込めた。その後のレース運びも落ち着いたもの。前団では逃げる今田を和田が交わしていたが、伊藤信は楽に先頭まで浮上することができた。2着には和田が残り、3着は鈴木健を交わした花田が入線した。
伊藤信は約1年ぶりの優勝となった。本人の実力を考えればもっと前に優勝していてもおかしくないが、優勝するというのはそれだけ簡単ではないという事か。これで伊藤信は通算94V。100Vの大記録まであと6に迫った。すぐに達成とまではいかないだろうが、ゆっくりとでも着実に数字を積み重ねていくだろう。