前回も報告したとおり8の、全レース終了後、菅原勲騎手の引退セレモニーが行われた。すでにニュース等でご存知だと思うが、3月31日付けで調教師免許を取得。早ければ4月21日から調教師として始動することになる。
引退セレモニーでは水沢農業乗馬部のニケ(競走名・ヒーローオブナポリ)に騎乗。おそらく最後になるであろう、青に白一文字の勝負服でファンの前を駆け抜けた。
続いてパドックでセレモニーが行われたが、最終レース終了後だったにもかかわらず約300名のファンが集まり、改めて菅原勲騎手の偉大さを実感させた。
騎手部会を代表して新会長の村上忍騎手が「常に私たちの先頭を走ってきてくれた偉大な先輩がムチを置くことはとても残念で、寂しく思います。これからは調教師として、岩手を代表する馬を育て、リーディングトレーナーを目指してほしいと思います。これからも一緒に、岩手競馬を盛り上げていきましょう」と送る言葉。
それを受けて菅原勲調教師は「リーディングトレーナーを目指すためには皆さんの協力が必要。騎手の皆さんとともに、ファンへいいレースを見せたいと思っていますので応援よろしくお願いします」と返すとスタンドから爆笑、熱い声援が飛び交う。さすが千両役者は最後まで人の心をガッチリとつかむ。
サプライズは皆川麻由美元騎手の花束贈呈。わざわざ埼玉から駆けつけ、その日のうちにとんぼ返り。「勝負服がきつくなった」と周囲を笑わせてくれた。
最後には騎手一堂による胴上げ。「これが一番怖かった。落とされるかもと不安だった」とコメント。ここでも集まった多くのマスコミ陣を笑わせてくれた。31年間の騎乗、お疲れ様でした。今度は調教師としてメイセイオペラのようなスターホースを送り出してほしいと心から願わずにはいられない。
14日メインはA級二組による「秋田駒ケ岳レース」(水沢1600m)、10頭立て。オウシュウサンクスが抽選モレにより俄然、浮上するのがブライティアピア。水沢6戦5勝の適性と順調なシーズン入りを前面に、好ダッシュを決める。
不安点は意外にも久々成績が振るわないこと。中央時代だけではなく、昨年の開幕戦も9着。馬券対象はおろか、入着もない点が気になるが、「昨年は苦手・盛岡でしたし、再開のメドが立たず中途半端な形でスタート。でも今年は順調そのものです」と担当厩務員。コース適性を信じる手だ。
次位候補は2つのパターンが考えられる。実績を重視すればツルマルヤマト、ダンストンリアル。ツルマルヤマトは昨年、北上川大賞典で2着確保。ダンストンジールは一昨年の重賞・岩鷲賞を優勝したほか、一線級相手にも勝ち負けを演じてきた。
ただシーズン始めのため、本来のシャープさを取り戻していないのも事実。凡走の可能性もあり、そうなると乗り込み万全のフレイムヴェイン、パブリックアフェアが上位に食い込んでくる。
両馬ともノーザンファームの生産馬で千葉幸喜厩舎の所属。フレイムヴェインは昨年度、B1戦を快勝してシーズンを終了し、今季も順調そのもの。まらパブリックアフェアは12月、小倉500万下以来の実戦だが、早い時期から乗り込み態勢はほぼ整った印象。「仕上がり早い牝馬」のたとえもあり、この2頭を上位視する手もある。
昨年、10連勝の快進撃を続けたラブルビー、実力右翼スクリームイーグルは絶対能力でアッサリもありえるが、攻め馬の反応がひと息。一度、様子見が妥当だろう。
◎(7)ブライティアピア
○(3)ツルマルヤマト
▲(10)ダンストンリアル
△(2)フレイムヴェイン
△(1)パブリックアフェア
3連単は7を1着固定に2、3着は3、10、2、1と手広く流したい
馬複は 3-7、7-10、2-7、1-7
<お奨めの1頭>
8R ジョーイモーテル
昨年度の最終戦を圧勝。レース振りにもスケールの大きさをうかがわせ、3歳オープン戦線に殴り込みをかける
4月8日、全レース終了後の水沢競馬場で菅原勲騎手の引退セレモニーが行われました。
3月31日付ですでに「菅原勲調教師」となっている勲騎手なのですが、1月の最終騎乗時は諸般の事情によりまだ「これで最後」と言うことができずに終わり、お別れができずにいたファンの方も多かっただろう・・・という事で行われた今回のセレモニー。勲さん自身も「こんなに来てくれたの!」と驚くくらいたくさんのファンの皆さんに集まっていただき、非常に良いセレモニーになった様に思います。
菅原勲騎手は1981年のデビュー。自分が岩手競馬に興味を持ち始めた頃にはすでに不動のトップジョッキーとなっており、誇張抜きに「岩手競馬=菅原勲」のイメージを持ったものです。
地方通算4127勝。それはもちろん岩手競馬の記録であり、菅原勲騎手がひとつ勝ち星を増やす毎に岩手の記録がひとつ更新されていくという、まさに前人未踏の路を切り開き続けた騎手でもありました。
いろいろな記録を持っている方ですが、その中でもトウケイニセイの南部杯3戦、メイセイオペラの南部杯やフェブラリーS制覇、トーホウエンペラーでの東京大賞典制覇、はたまた一昨年の南関東での短期所属騎手初の重賞制覇。そんな節目のシーンを自分の目で見る事ができたのは、この世界で働く自分にとって大きな財産だと思っています。
若い頃の武勇伝をあまり知らないのは残念ですが、それはおいおい教えていただく事にしましょう。
月曜10Rは3歳牝馬の特別・あやめ賞です。例年春先の牝馬戦線の開幕を告げるレースとして行われてきましたが、昨年は震災の影響で休止。2年ぶりの実施になります。"本番"の重賞は目前の4月30日、ここでの力関係が直結しそうなだけに重要なレースなのですが・・・しかし難解になりました。
その最大の理由が、昨年の2歳戦線を引っ張ったのが牡馬だったという事。牡馬に互して牝馬が重特を勝つまでには至らず、唯一牝馬で重賞の掲示板に入ったウエディングサクラが不在。結局同様の理由で非常に転入馬が多いメンバーにもなり、つまり力関係の比較が非常に難しくなっているのです。
ただ、逆に言えばそれによって、今回のメンバー中で唯一の特別勝馬・ワタリサンキストの実績も際だってくる・・・という事になります。
(1)ワタリサンキストは2歳牝馬の特別・プリンセスカップを制し、牝馬勢の中でただ一頭の高い実績を持つ馬。さらには重賞でも牡馬の壁こそ崩せませんでしたが出走した牝馬の中では最先着を果たしてきました。初対決となる相手も多数いますが、このメンバーなら"実績上位"を武器に押せるはずです。
相手は(7)サブリナラッシュに行きましょう。北海道時代の実績は間違いなく牡牝問わずトップクラス。あの成績をひっさげて南部駒賞あたりに来ていればそれなりの人気に支持されたでしょう。
問題は年を越してからの不振。前走で久々の勝利を挙げたわけですが、ようやく実力を発揮できたのかそれとも恵まれたのか・・・?とりあえず初コースの今回は一戦様子見という気もします。ひとまず2歳時の実績を買ってみますが・・・。
三番手には(6)ドクトルコスモを。昨季終盤の3戦はいずれも牡馬の一線級と戦っていましたが、その時のタイム差で見ると決して◎にもひけを取る感じは受けません。現にスプリングC4着のトーホクアローを破ってもいるわけですからね。
この馬の場合、力を出し切れる展開になるかどうかが悩みどころで、それさえ嵌れば面白い競馬をしてくれるでしょう。
後は(8)ハルトリーゲル、(3)エスプレッソ。この土・日は前走比の馬体重の変動が非常に大きい馬が目立ちます。当日の気配にも注意を。
●10Rの買い目
馬単(1)=(7)、(1)=(6)、(1)=(8)、(6)=(7)
昨年は震災の影響で開幕が5月14日までずれ込み、春の重賞・特別はほとんどが休止を余儀なくされた。8日メイン「スプリングカップ」もその一つ。
開幕週の日曜メインで定着していたスプリングカップは、シーズンの3歳クラシック戦線を占う重要な一戦。一昨年の覇者ロックハンドスターは圧倒的な1番人気に応えて圧勝し、復活なったダービーグランプリを含めて新三冠を獲得した。
それ以前にも3歳の主役を演じた馬がズラリと名を連ね、厩舎にとってもゲンのいい一戦。スプリングカップ復活を素直に喜びたい。
ただ、昨年の2歳チャンプ・アスペクトは盛岡に戻っているが、南関東転籍の疲れが取れないため馬体回復に専念。当分の間、出走を自重することになりそうだ。
またアスペクトの三冠を金杯で阻止したファイトホーマーも出走を見送った。冬休み明け後、乗り込みを再開したが、動きがもう一つだったため大事を取ったもの。ベストマイヒーローの弟で今季飛躍を期待された1頭。万全の態勢での復帰を心待ちにしたい。
以上の2頭が欠け、主役不在のスプリングカップになりそうだったが、あにはからんや。JRAから新潟2歳新馬戦(芝1400m)を快勝したロッソコルサが転入してきた。
ロッソコルサは父デュランダル。叔母が東京盃優勝などで年度代表馬の座も射止めたベラミロード。デビュー戦を快勝後、新潟2歳S、京王杯2歳Sへ挑戦。結果は14着、10着に終わったが、新馬戦を2番人気で勝つのは並みの馬にできる芸当ではない。
ダート戦は一戦のみで16頭立て12着(1秒5差)と適性は未知数だが、先に記した血統なら問題ないどころか、むしろ歓迎。
もう一つの懸念材料は11月以来の実戦。千葉幸喜調教師に話を聞いてみたところ「馬場に入っても気が入らなくて心配だったが、併せ馬の追い切りをやってみたら反応が一変。これなら自信を持って送り出せる」とコメント。同じくスプリングカップに出走するワタリドラゴンを子供扱いにしたという。まずはお手並み拝見といこう。
相手筆頭はリアルサンボーイ。こちらは岩手のJRA認定競走を順当に勝ち上がったが、その後はチグハグなレースの連続。まだ体ができていなかったため休み休みにしか使えなかった。それで南部駒賞で9着に大敗を喫したが、2ヶ月ほどレース間隔を開けて出走した金杯でビックリ。まるで別馬のように張りの良さが際立っていた。
残念ながら金杯は0秒6差5着に終わったが、内容を振り返ればさほど悲観材料にはならない。なぜならリアルサンボーイ=菅原勲騎手はアスペクトをマークでレースを進め、インでじっくり待機。ところが目標にしていたアスペクトが早々と失速して出る場所をなくしてしまった。久々に菅原勲騎手が悔しがっていた。
今季は順調に乗り込みを消化し、心身ともに成長はっきり。小生も久々の再会を楽しみにしている。
ワタリドラゴンはデビュー3戦目から芝で3連勝。交流重賞・ジュニアグランプリでは北海道イブニングラッシュをアッサリ交わし、重賞ウィナーの仲間入りを果たした。その一方でダート戦を苦手としていたが、冬休み前の水沢1600m1着でようやく克服。理想は速いタイム決着で当日の馬場に注意してほしい。
ハンターはデビューが遅れた上、気性難を抱えていたが、それでも2勝マーク。陣営は昨年から本格化は今年と踏んでおり、このスプリングCに何としても出走させたかった。幸い最後の切符を手に入れ、初の一線級を相手にどんな競馬を披露するか興味深い。
トーホクアローの評価が下がったのはまだ仕上がり途上のため。どうやら叩き良化型のタイプのようだが、金杯で2着確保が底力。ここでは実績上位だけにノーマークにはできない。あとは北海道1勝ネイチャウィッシュもダートに戻って一発があるかもしれない。
◎(12)ロッソコルサ
○(2)リアルサンボーイ
▲(11)ワタリドラゴン
△(5)ハンター
△(4)トーホクアロー
△(7)ネイチャウィッシュ
3連単は12の1頭軸から2着2、11、5。3着に4、7
馬複は 2-12、11-12、5-12、4-12、7-12
<お奨めの1頭>
11R シャインリーオウ
昨年秋から圧巻の5連勝をマーク。C1からいきなりB1昇格だが、スケールの大きさは間違いなくA級
ついに岩手競馬も冬眠から目を覚ましました。昨年度当初は水沢競馬の見送りを余儀なくされましたが、12月5日から復活。師走を迎えてついに盛岡、水沢の両輪がそろいました。
例年だと3月に特別開催がありましたが、馬券発売システムの入れ替えのため開催なし。ほぼ3ヵ月間の冬休みを経て新年度がスタートを切り、全125日間の開催。また重賞レースも7つ増え、よりパワーアップした岩手競馬となること必至です。
開幕初日を飾るメインはB1級「岩手日報杯」(水沢1600m)。昨年は東日本大震災の影響で休止したレースだったが、今年は復活。これも通常シーズンに戻ったことを実感させる。
元A級、上がり馬が入り混じりなかなかの好メンバーだが、トーホクキングの中心は動かないだろう。デビュー当時からエンジンのかかりが遅く、追い込んでも届かずのレースを繰り返していたが、昨年秋についに本格化。B2特別・シルバーステッキ賞、師走賞を連勝後、報道推薦で重賞・桐花賞へ挑戦した。
この桐花賞は年度代表馬を決定的にしたカミノヌヴォーが圧勝したが、トーホクキングも4着に善戦。地力アップ目覚しいことをファンにアピールした。すでにオープンでも通用を証明し、B1は単なる通過点。ここで弾みをつけて重特戦線に殴り込みをかけたい。
逆転首位を狙うのが格上2頭リュウノケンシロウ、ダイメイジュエリー。リュウノケンシロウは桐花賞で大きく後じんを拝し、しんがり12着に終わったが、敗因は2000mの距離。コース問わず1600mが最も得意な舞台。A級から降格した点も怖さを倍化させる。
ダイメイジュエリーは昨年7月、大井から戻ったが、順調さも欠いてほとんど着外。それでも芝1000m重賞・OROターフスプリントで3着に食い込み、底力の片りんを披露した。今季から所属が板垣厩舎に替わり、意欲的な乗り込みを消化。展開に注文はつくが、スンナリの流れになれば強じんな粘りを発揮する。
ケイジーウィザードは無類のタフさと堅実さが武器。昨年も南関東から再転入し、格付けにも恵まれて8勝を荒稼ぎした。本質的には叩き良化型だが、水沢マイル<4.4.2.1>と抜群の安定感を誇っている。
ガッテンモントレーは不来方賞2着、牝馬交流ビューチフルドリーマーカップ3着。あと一押しが足りなかったが、切れる末脚で一気台頭まで。あとは水沢巧者ソノマンマも押さえたい。
◎(8)トーホクキング
○(4)リュウノケンシロウ
▲(5)ダイメイジュエリー
△(6)ケイジーウィザード
△(1)ガッテンモントレー
△(3)ソノマンマ
3連単は4、8の2頭軸から2着5、6。3着1、3のフォーメーション24点
馬複は 4-8、5-8、6-8、1-8、3-8
<お奨めの1頭>
7R サンワードナビ
B1から最下級C2へ大降級。しかも水沢1300m、1400mの適性抜群
2011年シーズンの岩手競馬もいよいよ今日でラスト。今季は例年実施されている3月の特別開催が投票システム入替作業のため行われず、今週が正真正銘(変な言い方ですが)シーズンラストという事になりました。岩手競馬はこれから4月7日(土)予定という来季の開幕まで、3ヶ月ほどの冬季休催に入ります。
特別開催が始まったのは2006年から。それ以前は今季同様1月から3月いっぱい開催が無く、春の調教始めも3月に入った頃に行われるのが通例でした。特別開催があるとそれが2月の半ば、「冬休み」といっても実質1ヶ月くらいしか無い感じで。
この恩恵を受けるのが冬季遠征に向かう騎手たちです。遅くとも2月下旬に厩舎作業に戻らないといけないとなるとなかなか腰が落ち着きませんが、3月に入ってもOKという事なら正味2ヶ月は使えますからね。
この冬に冬季遠征に挑むのは南関の村上忍騎手と佐賀の菅原俊吏騎手。特に菅原俊騎手は昨年福山に行ったものの正味6日くらいしか騎乗できる機会がなかっただけに、今年はじっくり乗れると楽しみにしているようです。
毎年1月下旬に川崎競馬場で行われる全国のリーディングジョッキーの対抗戦『佐々木竹見カップ』への、村上忍騎手の出場が決まった模様です。
高知競馬場で行われる全日本新人王争覇戦に出場する菅原辰徳騎手、そして佐賀競馬場で行われるM&Kジョッキーズカップに出場する阿部英俊騎手・関本淳騎手・南郷家全騎手・大坪慎騎手ともども、冬休みの間も岩手の騎手の活躍で盛り上がりそう。
そして。既報の通り皆川麻由美騎手が9日一杯で騎手生活にピリオドを打つほか、調教師への転身を目指す菅原勲騎手も9日が最終騎乗になる可能性が非常に高くなっております。
菅原勲騎手の足跡はもはや言うまでもありません。騎手引退となればイコール、岩手競馬のひとつの時代が終わる事でもあります。
皆川騎手は、勝ち星の数では菅原勲騎手に遠く及びませんが、"LJSのお笑い担当"と呼ばれたりもして全国のファンに与えた印象(衝撃?)は勲さんに勝るとも劣らぬ物があったのではないでしょうか。
9日の二人は、皆川騎手が3Rと7Rの二鞍、菅原勲騎手は4・7・10・11Rの四鞍の騎乗です。その瞬間、皆さんの目に焼き付けてほしいですね。