先週5日、盛岡競馬場を舞台に「スーパージョッキーズトライアル2017」第1ステージが行われ、第1戦(ダート1600m)をアクティブボスで快勝し、第2戦(芝1700m)をマキシマイザーを2着に持ってきた中野省吾騎手が35ポイントを獲得。2位・真島大輔騎手に14ポイントの大差をつけて暫定首位で通過した。
しかも第1戦は5番人気ながら4馬身差で圧勝し、2戦目は7番人気で2着。いずれも好プレーが目を引いた。
実は伏線があった。4月29日、今シーズンの盛岡開催を記念して「南関東ジョッキーズフレンドリーマッチ」が行われ、中野省吾騎手も参戦。
第1戦(ダート1400m)で2番人気ハブーブに騎乗して14頭立て14着。2戦目(ダート1600m)は1番人気ブラックスナイパーでブービー13着。惨たんたる結果の盛岡初騎乗となった。
いずれも1枠に入り、内に包まれて自分の競馬ができずに終わったが、その反省を今回に活かしたに違いない。
名ジョッキーの条件は失敗を糧に次はしっかりと結果を出すこと。中野省吾騎手、今後の動向に注目していきたい。
11日メインは「第37回岩手ダービーダイヤモンドカップ」(水沢2000m)。ベンテンコゾウが北海道二冠を獲り、三冠を目指すため今回も不在。一見すると手薄な岩手ダービーかと思ってしまうが、おもしろいメンバー構成となった。
主軸はサンエイリシャール。昨年の若駒賞でベンテンコゾウを退け、唯一の黒星をつけた強豪。その後は精彩を欠いたが、反動も大きかったようだ。
それはやまびこ賞にも言える。スプリングカップを豪快なまくりで完勝したが、やまびこ賞では伸びを欠いて2着。キングジャガーに逃げ切りを許した。
敗因はレース間隔が詰まった上、馬体重も大きく減らしたこと。反動が大きいタイプと見て間違いないだろう。
その意味で今回のように1ヵ月半のレース間隔は理想。馬場が先行有利にならない限り、まくり切れると判断した。
キングジャガーの成長力には目を見張るものがある。デビュー当時が474キロに対し、やまびこ賞は498キロ。
確かに幅が出てきただけではなく、全体が大きくなった印象を受ける。初勝利まで7戦を要したのは、まだ幼かったから。体に実が入り、それに伴って頭角を現してきた。それゆえやまびこ賞優勝はフロックではない。南関東で揉まれたことも自身の成長の糧とした。
残された課題は2000mの距離。父キングヘイロー、母父ファスリエフはスピードタイプの印象を受けるが、ダンシングブレーヴ2×4のインブリードは長距離歓迎。小回り水沢に替わるのもプラス材料になるはず。
ハドソンホーネットは船橋3勝から転入。オーナーの大久保和夫さんはベンテンコゾウも所有馬。岩手ダービーダイヤモンドカップ狙いは明らかだろう。
4年前、北海道1勝からヴイゼロワンを移籍させ、2連勝で岩手ダービーを優勝。このパターンと一致する。しかもハドソンホーネットは激戦区・南関東からの移籍。当然勝ち負けに持ち込める実績だ。右回り未経験、距離も未経験だが、いきなりのシーンまで。
ダンストンレガーメはあやめ賞、留守杯日高賞を連勝。牝馬No.1の座を射止めた。前走・はまなす賞7着は初芝で基準外。牡馬相手でも軽視できない。
グラマシーは留守杯日高賞クビ差2着だったが、レースを作った上での結果。転入初戦を余裕で逃げ切り、伸びしろ十分。ステイヤー血統も見逃せない。
◎⑨サンエイリシャール
〇⑦キングジャガー
▲⑩ハドソンホーネット
△③ダンストンレガーメ
△⑤グラマシー
<お奨めの1頭>
7R アサクサキンボシ
南関東から再転入後、1勝2着2回。今回はメンバーが大幅に緩和され、勝機ガッチリとつかむ
まずは先週2日間連続で行われた重賞・かきつばた賞、早池峰スーパースプリントを振り返ってみたい。
芝2400m重賞・かきつばた賞は6頭立ての少頭数。序列もほぼ決まっていたが、サンエイゴールドが4馬身差で圧勝。2着は逃げの手に出たブレークビーツを直線でブレイズアトレイルが捕えた。
注目してほしいのは馬体重。休み明け初戦の前走はプラス10キロの502キロ。正直、5ヵ月ぶりの実戦で太目残りもあったと思っていたが、今回じっくりチェックしてみて驚いた。体が一回り、いや二回りも大きくなっていた。
元々、黒鹿毛の馬で見映えのするタイプだったが、縦にも横にも伸びて成長の跡がはっきり。これでさらにパワーアップしたのは確実。今後の活躍も楽しみになった。
続く早池峰スーパースプリントはエーシンシャラクが完勝した。当日は雨が断続的に降り続け、高速決着の連続。持ち時計のないエーシンシャラクには決してプラスとは思えず、不安が増したのは否定できなかった。しかも2番枠。内で包まれる可能性も大きかった。
しかしエーシンシャラク=高松亮騎手は果敢に逃げた。外からスティルプリンスも必死に追ったが、ハナを譲らなかったのが最大の勝因。直線でも伸び脚は衰えず2着キングオブローに1馬身半差。重賞挑戦13度目で悲願の重賞タイトルを手にした。まさに"あっぱれエーシンシャラク、あっぱれ高松亮"だった。
10日メインはB1「ねむの木賞」(水沢1600m)。開催替わりで馬場傾向が把握できていないが、どんな流れになってもヴィグラスムーヴを追いかける手だろう。
中央2戦0勝から転入後、一度1着失格をはさんで8勝。実質9連勝と見て差し支えない。時に近2走は差しに転じて快勝。自在脚を身につけたのが何よりも心強い。
残された課題はマイル延長だが、控える競馬もできれば問題なし。実際、サウスヴィグラス産駒は北海優駿でベンテンコゾウが、東京ダービーでヒガシウィルウィンが優勝。距離も克服できることを証明している。
相手筆頭はオメガブレイン。中央準オープン、園田A級から転入し、A級2戦6、5着から今季B2へ降格。勝てなかったのは巡り合わせが悪かっただけ。メイカップを6馬身差で圧勝してうっ憤を一気に晴らした。元オープンの格上馬が弾みつけた。
トーホウパルサーはスピードを武器にA級で2勝、今季もB1で1勝。ここ2戦はコスモジョイジョイに完敗だったが、連対を確保して面目躍如。大外に入ったので▲としたが、スンナリ逃げれれば強じんな粘りを発揮。
スパンコールは追い込み脚質のため流れに左右されるが、切れる末脚が武器。多少でもペースが速くなれば台頭の可能性十分。
トーホクアローにも同じことが言えるが、コース替わりは基本歓迎。前崩れの展開が理想。
アイアムプレシャスは同型トーホウパルサーとの兼ね合い次第だが、小回り水沢に替わるのは好材料。
◎⑤ヴィグラスムーヴ
〇①オメガブレイン
▲⑪トーホウパルサー
△②スパンコール
△③トーホクアロー
△⑩アイアムプレシャス
<お奨めの1頭>
4R ダーリンラブラ
前走は出遅れに加え、不良馬場の盛岡芝にとまどって3着。ダートに戻って雪辱必至
★重賞・かきつばた賞/サンエイゴールドが快勝
せきれい賞トライアル・古馬の芝2400m重賞『かきつばた賞』は1番人気のサンエイゴールドが2着に4馬身差をつけて快勝、人気に応えました。
6頭立てとなったレースではまず3番人気ブレークビーツがハナを主張。横に2番人気ブレイズアトレイル、直後にはサンエイゴールドの順で人気3頭がレースの流れを作ります。
勝負所で仕掛けたサンエイゴールドに対しブレークビーツも粘りますが及ばず、サンエイゴールドは直線だけで4馬身引き離す完勝。そして2着争いはブレイズアトレイルが交わして先着。勝ったサンエイゴールドは初の古馬重賞タイトル獲得となりました。
★重賞・早池峰スーパースプリント/9歳エーシンシャラクがV
日曜日に行われたダート1000mの重賞『早池峰スーパースプリント』。こちらも1番人気のエーシンシャラクが勝ちました。
スプリント戦らしい猛烈な先行争いを凌ぎ切って勝ったエーシンシャラクは今年9歳馬。一昨年の転入後から何度も重賞に挑んできたものの最高で2着とタイトルに届きませんでしたが、9歳の夏にして待望の重賞制覇を果たしました。
近年は高齢馬の活躍が多くなり、岩手でもナムラタイタンが高齢になっても好走していたので目立たなくなりましたが、9歳馬の重賞制覇、それも9歳にして初重賞という例はなかなかレア。エーシンシャラクに脱帽ですね。
本命は(13)ダイワスペシャルを狙います。以前は短距離戦をメインに戦っていましたが年齢を重ねた最近はズブさが出てきたのかむしろ長めの距離の方が好相性。そして芝との好相性ぶりも前走を見る限りまだまだ健在ですから、距離が長いということで軽視されるのなら逆に狙い目になる存在と見ます。
相手は(9)ユナイテッドボス。こちらも最近は勝ちきれずにいますが、激戦でこそ上位に飛び込んでくるのはベテラン馬の地力なのでしょう。もとより芝も距離も問題ない馬。魅力は十分。三番手は(8)ダンストゥナイトを。盛岡芝の経験は少なめながらも崩れたことがほとんど無い隠れ芝巧者です。ここにきて調子が上がってきている印象もあり、鞍上も意外性十分。一発ならこれでしょう。
あとは(5)カタオモイ、(3)シャンテヴィーヴァと鞍上のわりに人気がなさそうな馬をピックアップ。昨年のこのレースではそれまで芝は未勝利だった8番人気馬が激走して3連単27万円越えの大波乱になりました。もともと一筋縄ではいかない騎手対抗戦だけにそのつもりで組み立てた方がベターでしょう。パドックの気配が良さそうなら人気薄でも押さえておくのも手かも。
●11Rの買い目
馬単(13)=(9)、(13)=(8)、(9)=(8)、(13)→(5)、(13)→(3)
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★オッズパークLOTO 5重勝/6月5日(対象8R~12R)
買い目:2,4→4,11→4,13→9,11→8
8R/評価A: 4番、 2番 評価B: 7番
9R/評価A:11番、 4番 評価B: 7番
10R/評価A:12番 評価B: 4番 穴:14番、3番
11R/評価A:13番、 9番 評価B: 8番 穴:5番、3番
12R/評価A: 8番 評価B: 3番 穴:5番
好評を博す芝1000m交流・OROターフスプリントは今年7回目を迎える。超スプリント決戦は当然のことだが、スピード満点。一瞬で決着するのがファンの支持を集めている。
そして4日、ダート1000mを舞台に行わる「早池峰スーパースプリント」は今年で2回目。前身は旧盛岡のオープン特別・早池峰賞(1100m)。当時、長距離偏重の流れの中、個性派が続々と優勝馬に名乗り。個人的にも大好きな一戦だった。
それを引き継いで水沢1400m、新盛岡競馬場(OROパーク)ダート1200mで実施していたが、発展的に解消。昨年、潔く第1回として早池峰スーパースプリントを名称も変更して実施した。
記念すべき第1回の覇者はサカジロヴィグラス。逃げたエゴイストを徹底マークから競り落として59秒1。1000mレコード(当時 後にトドイワガーデンが58秒8に更新)に0秒1に迫る好タイムをマークした。果たして今年優勝するのはどの馬か。
総合力でエーシンシャラクがリード。最有力候補にいる。岩手転入後、着外に沈んだのは昨年7月、調子を崩していた重賞・すずらん賞8着一度のみ。ほかはすべて入着を果たし、抜群の安定感を誇っている。
今季も3戦2勝。さすがに前々走・水沢850mの超スプリントは忙しすぎて4着だったが、前走・盛岡ダート1000m戦を3馬身差で完勝。きっちりお返しをした。
59秒前半の決着になると年齢的にも厳しいが、1分を切るぐらいなら前走の再現濃厚と見るのが妥当だろう。
逆転候補はスマートアレンジ、キングオブロー。スマートアレンジもエーシンシャラクと同様、短距離のスペシャリスト。中央ダート1000m2勝、ダート1200m2勝と実績は一番。
岩手でも移籍3戦目のヴィーナススプリント(水沢1300m)を6馬身差で圧勝。周囲の度肝を抜いた。
続くハーベストカップ6着後、リタイアを余儀なくされて今年4月、水沢850m戦で復帰。いきなりタイム差なし2着にまとめ、絶対スピードを誇示した。
気になるのは前走3着だが、競馬に二走ボケはよくあること。そう解釈すれば休み明け3戦目の今回こそ真の実力を発揮。
キングオブローは中央ダート1200m2勝、芝1200m3勝でオープンまで出世。転入直前の芝1200m戦も11着ながら0秒8差。
岩手初戦は4ヵ月半ぶりの実戦に加え、850mが合わず3着だったが、前走2着。1000m延長も味方にした。格でアッサリまで。
タイセイメテオが最大の惑星馬。中央未勝利、園田1勝・C1から転入でオープン格付け。厳しい条件かと思ったが、芝・OROターフスプリント、桂樹杯2着。すずらん賞3着など重賞でも活躍し、大変身を遂げた。
冬場は南関東へ移籍して4着最高。再転入戦も6着だったが、昨年の早池峰スーパースプリントでエーシンシャラク4着に先着3着。高速馬場になれば、大物食いの可能性も十分ある。
カミノマンボは南関東から里帰り初戦の水沢850m戦を逃げ切り勝ち。スマートアレンジとのマッチレースを制した。前走・盛岡ダート1000m戦でも先手を奪ったが、直線一杯4着。マイペース条件付きで押さえ。
あと注目はスティルプリンス。現在、C1。いきなりオープン馬が相手でしかも同斤量57キロ。常識的には厳しいが、前々走タイム1分1秒3は通用のタイム。格度外視で狙える要素はある。
◎②エーシンシャラク
〇③スマートアレンジ
▲⑧キングオブロー
△④タイセイメテオ
△⑤カミノマンボ
△⑦スティルプリンス
<お奨めの1頭>
4R レオチェックメイト
前走2着は相手が強かった。このメンバーなら首位は譲れない
先週の3歳芝2400m重賞・サファイア賞はブラックロードが優勝。直線半ばで一旦サンエイジャックに交わされながら、差し返す味な芸当で初重賞を手にした。
ブラックロードはシンボリクリスエス産駒で南関東2勝から岩手転入。初戦のやまびこ賞で穴人気に支持されたが、伸びひと息6着。続いて芝・はまなす賞へ挑戦したが、忙しい競馬が合わず8着。
母父がブライアンズタイムなら長距離2400mは歓迎だろうが、移籍2戦の結果から7番人気に甘んじたが、その低評価を見事覆した。
阿部英俊騎手「前回、はまなす賞を使って芝適性があると思いましたが、距離が短すぎた印象でした。それで先生(佐々木由則調教師)に、芝2400mのサファイア賞を使いたいとお願いしました。
レース前から行けるなら行こうと考えていたので作戦どおり。速からず遅からず、後ろから突かれないように逃げたのも良かったんでしょうね。
直線で一旦サンエイジャックに交わされましたが、自分の馬に手応えがあったので慌てることはないと。向うは捕えるのに脚を使っていたでしょうしね。並ばれてから、またハミを取ってくれました。
走法からダートより芝向きですし、長い距離の方が合いそうです」
さすがベテラン。ここ一番でブラックロードの持てる能力を最大限に発揮した。走破タイム2分34秒3は第7回・オールマイウェイ(2分33秒1)、第9回・レジェンドロック(2分33秒6)に次ぐサファイア賞史上3番目の時計。
レジェンドロックはその後、オパールカップ3着から古馬・せきれい賞を優勝。オールマイウェイも翌年だったが、かきつばた賞優勝、せきれい賞3着に健闘した。ブラックロードにはぜひ、せきれい賞へ挑戦してほしい。
3日は古馬による芝2400m戦「第20回かきつばた賞」。4歳の若武者サンエイゴールドで中心は動かない。
今回の6頭中5頭が前走・ターフ特別に出走。サンエイゴールドは5ヵ月ぶりのハンデがあったにもかかわらず4馬身差で圧勝。最優秀ターフホースの実力をマザマザと見せつけた。
この一戦を使ってかきつばた賞は予定どおりのステップ。盛岡芝2400mもサファイア賞優勝、せきれい賞0秒1差3着とまったく不安なし。ほぼ死角なしの大本命といっても過言ではない。
ブレークビーツはサンエイゴールドの2着を確保。ダートでは苦戦の連続だったが、芝に替わって動きが一変した。昨年はかきつばた賞を逃げ切って快勝。今年は少頭数で楽にハナに立てるのは確実。
ブレイズアトレイルは南関東から再転入初戦3着。マズマズの再スタートとなった。昨かきつばた賞はブレークビーツのハナ差2着。今年こそ雪辱を果たすか。
ナンヨーケンゴーは中央芝3勝、障害1勝から2ヵ月休養明けに転入。福島芝2600m1勝が不気味。
◎④サンエイゴールド
〇⑥ブレークビーツ
▲②ブレイズアトレイル
△③ナンヨーケンゴー
<お奨めの1頭>
4R ラヴァ―ゴールド
園田から転入初戦は出遅れながらも逃げて2着確保。メンバーが緩和され、順当に勝機をつかむ