岩手古馬の根幹競走はシアンモア記念、みちのく大賞典、桐花賞の3つ。ほかに牝馬・ビューチフルドリーマーカップ、芝・OROカップがM1に格付けされている。
もちろん上のグレードで南部杯、クラスターカップ、マーキュリーカップがあるが、以上3レースはG(Jpn)競走。オールドファンの馴染みはシアンモア記念、みちのく大賞典、桐花賞。シアンモア記念が行われると本格的な競馬シーズン到来したなと実感する。
シアンモア記念は小岩井農場が輸入した昭和初期の大種牡馬シアンモアに敬意を表して1975年に創設され、第1回優勝はユウズル。
シアンモアは現役時代、イギリスダービー3着。日本へ輸入後、第2回から第4回まで3年連続(カブトヤマ、フレーモア、ガヴアナー)で日本ダービー馬を輩出した。
今年のテーマはズバリ、ポスト・ナムラタイタン。赤松杯で3着に敗れた後、引退を電撃発表。一つの時代に終止符が打たれた。
その赤松杯を優勝したのはイーグルカザン。9歳の高齢転入に加え、太目残りだったが、直線鮮やかな抜け出しを決めた。2着アントニオピサにつけた着差が6馬身差。開業2年目の橘調教師、転厩で心機一転を図った大坪慎騎手にうれしい初重賞をプレゼントした。
今度は舞台が盛岡1600mに替わり、折り合い面が若干不安で対抗評価としたが、重賞2連勝も十分可能だろう。
本命はプリムラブルガリス。中央芝1200mから芝1600mで5勝。オープンに在籍したが、2015年の信越ステークス後に骨折が判明。1年3ヵ月の休養に入った。
今年1月に復帰を果たし、矛先をダートに向けたが、3戦とも二ケタに終わり、岩手へ新天地を求めた。
初戦は水沢1800m戦。初距離だったが、2番手キープから3角先頭。後続に落馬のアクシデントがあったが、コミュニティの追撃を完封。2014年7月以来、久々の勝利を飾った。
先に記したように1600m短縮は間違いなく歓迎。地方ダートも難なくこなしたのも心強い。プリムラブルガリスを上位に採ったのは近走タイム。4走前の中山ダート1200m・ジャニュアリーステークス10着だったが、1分11秒5に対し、イーグルカザンは初春ステークス、ブラッドステークスで1分12秒1。最終的にこれを重視した。
アントニオピサは岩手入り後、6戦2勝2着4回。2着はすべて重賞戦と抜群の安定感が目につくが、詰めの甘さが気になるところ。コース替わりに期待したい。
ライズラインは桐花賞取り消し後に船橋へ移籍。初戦は後方のままに終わったが、497キロは明らかに太い。ひと叩きしてシアンモア記念は青写真どおりだと判断していい。
それを裏付けるのが一昨年のシアンモア記念を優勝し、昨年はナムラタイタンの2着。あらゆる距離で結果を出してきたが、盛岡1600mがベストの条件。船橋勢5度目の制覇なるか。
ミラクルフラワーは持ち前の粘りが物足りず2連続3着。6戦4勝2着1回の盛岡で反撃に転じるか。
◎⑧プリムラブルガリス
〇⑤イーグルカザン
▲⑥アントニオピサ
△②ライズライン
△⑫ミラクルフラワー
<お奨めの1頭>
4R・ホホエムオンナ
再転入戦をアッサリ逃げ切り、地力の違いを誇示。C2では役者が違いすぎる
5月1日、B1特別「石桜(せきおう)杯」へ注目のチェリーピッカーが出走。期待に違わず2着オメガスパーキングに4馬身差をつけて圧勝した。
昨年10月、中央8戦未勝利から転入後、圧勝に次ぐ圧勝で8連勝マークしてシーズンを終了。冬場にテンコートレセンで鍛え直し、4月1日から始動。
B2一組、B2特別・エイプリルカップ、そして今回、石桜杯とアッサリ3連勝。最近ではコミュニティの12連勝が記録だが、あと1勝に迫った。
レースぶりも豪快そのもの。今回はスタートで若干後手を踏み後方からの競馬だったが、鞍上・山本聡哉騎手は動じることなし。3コーナーへ入る時点で早くも4番手につけ、直線入り口で先頭。あとはほぼ持ったままで余裕のゴールを決めた。
チェリーピッカーはカフェオリンポスの貴重な産駒。意味を調べたら「おいしそうなサクランボを摘む人」から転じて「おいしいところ取りをする人」。いずれにせよオープン入り確実だし、マイルまでなら重賞でも通用する器。今後もチェリーピッカーの動向に注目してほしい。
6日メインは「スプリント特別」(オープン 盛岡ダート1000m)。6月4日、「早池峰スーパースプリント」と同じ条件で行われ、まさに直結する一戦となった。
主軸にスマートアレンジを指名。中央4勝・準オープンから南関東B1を経て転入し、移籍3戦目・ヴィーナススプリントで最優秀牝馬となったミラクルフラワー相手に6馬身差で圧勝。周囲の度肝を抜いた。
続くハーベストカップ(芝1000m)で6着に敗れ、脚部不安が発生。6ヵ月の休養を余儀なくされた。
復帰初戦は4月23日、スプリント特別(水沢850m)。3番人気に甘んじたが、逃げたカミノマンボの外2番手を追走。直線で一度先頭に立ったが、内から差し返されてアタマ差2着に敗れた。
最後は久々の分だけ伸びを欠いたが、上々の再スタートを切った。今度は舞台が盛岡ダート1000mに替わるが、むしろ歓迎。中央4勝のうち2勝が1000m戦。ひと叩きされて勝機到来。
逆転筆頭はキングオブロー。中央5勝オープンから4ヵ月半の休養を経て転入。仕上がり途上に加え、いきなり850mの競馬にとまどって離れた4番手を追走。それでもメンバー最速タイの上がりで3着を確保した。
距離延長はもちろん歓迎だろうし、変わり身必至。中央ダート2勝の適性を発揮する。
カミノマンボは再転入初戦を快勝。幸先のいいスタートを切った。スマートアレンジに交わされながら根性を発揮。オープン通用のメドが立った。ネックは未経験の盛岡ダート。芝は一度経験したが、ダートは初めて。問題なければ連勝十分。
エーシンシャラクは今季初戦の水沢1400m戦を完勝。年をまたいで3連勝を飾り、健在を誇示した。
前走は2枠に入り、外から被せられて一旦下がったのが致命傷。直線で盛り返したが、850m戦では4着も仕方なしだった。
本質的には水沢1300m~1400mがベスト。盛岡ダート短距離は割り引きが必要だがそれでも持ちタイム59秒7は優秀。巻き返しに転じて不思議なし。
◎⑦スマートアレンジ
〇⑤キングオブロー
▲①カミノマンボ
△③エーシンシャラク
<お奨めの1頭>
9R ジョリヴィサージュ
11月以来の実戦だったが、アッサリ抜け出して圧勝。走破タイムもすばらしく2連勝もらった
★2017年シーズンの盛岡競馬開幕
4月29日(土)から2017シーズンの盛岡競馬が開幕しました。昨年11月以来約半年ぶりとなる盛岡競馬は好天にも恵まれ、GWスタートともあいまってたくさんのファンで賑わいました。カレンダーで4月のうちに始まる盛岡競馬は1996年以来22年ぶりです。
盛岡競馬の注目はやはり芝でのレース。今開催はまだ芝戦はありませんが、5月13日からの第2回盛岡競馬から今シーズンの芝レースがスタートする予定です。
★重賞・やまびこ賞はキングジャガーが接戦を制する
30日・日曜日に行われた3歳馬の重賞『やまびこ賞』は2番人気キングジャガーが1番人気サンエイリシャールの追撃を凌いでV。自身初の重賞制覇を達成しました。
キングジャガー号は昨年6月に盛岡の芝1000m戦でデビュー。初勝利が11月と遅くなり2歳重賞戦線には参戦できなかったものの、冬季の南関東移籍で力をつけたか岩手復帰後は重賞で2着・1着と連続好走。ダイヤモンドカップの有力馬に名乗りを挙げました。
●11Rの買い目
馬単(4)→(10)、(4)→(2)、(4)→(7)、(4)→(3)
岩手競馬の全レース予想を公開中!「岩手競馬・勝ちそーチャンネル」へ
★オッズパークLOTO 5重勝/5月1日(対象7R~11R)
7R/評価A: 2番、 7番 評価B: 4番
8R/評価A: 8番 評価B: 4番 穴:5番
9R/評価A: 8番 評価B: 6番 穴:5番
10R/評価A:10番 評価B: 7番 穴:4番
11R/評価A: 4番 評価B:10番、2番
4月30日メインは3歳重賞「第30回やまびこ賞」。舞台は盛岡ダート1800m。6月11日に行われる"ダービーウィーク2017"「岩手ダービー・ダイヤモンドカップ」へ直結する一戦。昨年はエンパイアペガサスが完勝し、堂々、岩手ダービー・ダイヤモンドカップ、不来方賞の2冠を手にした。
奥州弥生賞を圧勝した2歳最優秀馬ベンテンコゾウは北斗盃を制し、北海優駿(6月1日)へ直行。よって今回のやまびこ賞、岩手ダービー・ダイヤモンドカップをスキップ。不在を寂しいと思う一方で、逆に闘いとしてはおもしろくなった。
サンエイリシャールは距離延びて頭角。ビギナーズカップ、若駒賞と重賞2連勝。若駒賞ではベンテンコゾウを退け、2歳戦線のトップを独走した。
しかし南部駒賞を境にベンテンコゾウとの主客が逆転。重賞2連勝の疲れが残っていたのか南部駒賞5着、寒菊賞3着、金杯2着に終わった。
その後、放牧に出たのが功を奏し、完全リフレッシュ。スプリングCの返し馬で鞍上・山本聡哉騎手は「力強さが戻っていい競馬ができる」と確信。結果も逃げたキングジャガーをアッサリ捕えて0秒2差。久々の勝利をモノにした。
迫力を戻せば実力は世代屈指。距離が1800m延長も折り合いがつくので問題なし。最有力候補と見るのが妥当だろう。
キングジャガーはデビュー当初が470キロ台で現在が500キロ超。体質が弱かったのだろう、なかなか勝ち切ることができなかったが、7戦目に初勝利をあげ、2連勝をマーク。直後に南関東へ移籍して2戦2着から3戦目を逃げ切り勝ち。
いい形で岩手へ里帰りしてスプリングカップ2着。先行力と粘りに磨きがかかった。父がキングヘイロー、母父ファスリエフは短距離向きのイメージだが、配合が興味深い。ダンシングブレーヴ2×4のインブリードがかかっている。
ダンシングブレーヴといえば凱旋門賞、キングジョージなどを制した1970年代最強馬。最高レイティング141ポンドに評価され、長い間、トップを堅持した強豪。このインブリードなら1800mも克服できると判断した。
最大の惑星馬はブラックロード。デビュー2戦目の大井1400mを勝ち、移籍直前の川崎1500mで2勝目をマーク。馬格にも恵まれ、何よりも激戦区で揉まれてきた経験が光る。移籍初戦でいきなり重賞制覇のシーンまで。
オールザベストは奥州弥生賞でベンテンコゾウの2着からスプリングカップ1番人気に支持されたが、水を開けられた3着。調子も本物ではなかった。その後は立て直しに専念し、やまびこ賞へ直行。輸送のない地元盛岡で反撃をもくろむ。
メモリーダンスは長距離向きだが、スプリングカップ4着。現状は入着止まりの評価に落ち着く。コンバットパンチは前崩れの展開で浮上あるかも。
◎⑩サンエイリシャール
〇⑥キングジャガー
▲⑧ブラックロード
△④オールザベスト
△②メモリーダンス
△⑦コンバットパンチ
<お奨めの1頭>
7R ウップスアデイジイ
今季初戦2着は相手が強すぎた。2戦目を順当勝ちし、これで弾みがついた
今週からゴールデンウィークに突入するが、岩手競馬も舞台が水沢から盛岡へ移行。まずは4月29日から6月5日まで、木々の変化と合わせてお楽しみください。
参考までに水沢競馬場の桜並木はすでに全国にも知れ渡っているが、盛岡の向う正面にも桜が山の斜面に植えられている。盛岡競馬場の開設時に植林されたが、なぜか思った以上に生育が遅い。それでも慎ましく桜が咲き始めている。来場した方はご確認してほしい。これからさらに大きく育ってくれるに違いない。
コース替わりは荒れるのが定説。特に水沢と盛岡は右と左回りと正反対だけではなく、盛岡はバンケットコース。上り坂の攻防も見どころの一つ。
まだ実際のレースが行われていないため時計が速いか遅いか、はっきりとは言えない。水曜日に雨が結構降って軽くなっているが、当日にはどうなっているか。想定では平均より1秒ぐらい速いと思うが、29日(土)初日からしっかりチェックしたい。それが盛岡競馬の必勝法だ。
29日メインは「南関東ジョッキーズフレンドリーマッチ」(2戦)。第1戦は9R、B2級1400m戦で第2戦が10R、B2級1600m戦。両レースとも水沢では見られないフルゲート14頭立てで実施する。
ただでさえ開催替わり初日は難解だが、14頭立てが難解さに輪をかけているのは確実。高配当が期待できそうだ。
9R「南関東ジョッキーズマッチ第1戦」は盛岡ダート1400mが舞台。多頭数でもヴィグラスムーヴの中心は動かない。
中央2戦0勝から転入後、圧勝に次ぐ圧勝。12月の一戦は失格のため敗戦扱いとなったが、実質7連勝。今季もズブい面をのぞかせながら2連勝。どこまで成長続けるか楽しみな1頭。
今回はB2昇級戦だが、1400mなら問題なし。2戦の走破タイムはすでにB1以上ともっぱらの評価だ。ここも追いかける一手だ。
ハブーブが逆転筆頭。園田C2から転入後、圧巻の3連勝。いずれも強さが際立っている。初の盛岡が若干不安だが、突破できればさらに上を望める。
サインズストームは初戦、離された3着だったが、チェリーピッカー相手では仕方なしだったし、積極的なレース運びに好感が持てた。
レイズアスマイルは折り合いが課題だが、盛岡2勝とコース広い方が合うタイプ。反撃一考。
タイセイマジックは今季2戦目の水沢1300m戦を快勝。前走・エイプリルカップは距離が長く、短縮は歓迎。
レオディーセは一戦ごとに良化を見せ、前走2着でメドが立った。
◎⑥ヴィグラスムーヴ=高松亮
〇①ハブーブ=中野省吾
▲⑪サインズストーム=山本政聡
△⑨レイズアスマイル=山本聡哉
△⑫タイセイマジック=高橋悠里
△⑬レオディーセ=村上忍
10R、「南関東ジョッキーズフレンドリーマッチ第2戦」はオメガブレインが中心。昨年暮、中央4勝、園田A1から転入。2戦目のA級戦を5着にまとめ、今季はB2へ降格。2戦とも2着だったが、相手が強すぎた。特に前走・エイプリルカップはチェリーピッカーがけた違いの強さで圧勝。2着でも良しとしなければならなかった。
今度は相手が甘くなって絶好の勝機。格上の実力を存分に発揮する。
逆転筆頭はシーザドナルド。5ヵ月ぶりの前々走を圧勝。2戦目・大屋梅賞は4着止まりだったが、出遅れと距離短縮が敗因。マイル、盛岡が舞台なら巻き返しに転じて当然。
ブラックスナイパーは転入後7戦6勝。唯一の2着もハナ差負けで底を見せていない。前走時計で▲としたが、4歳馬の成長力で突破十分。
ヤマニンスワンキーはエイプリルカップで厳しい流れをしのいで2着死守。非常にいい内容だった。チェリーピッカー不在なら好勝負必至。
他に盛岡が合うメイショウテンロウ、相手なりに駆ける堅実派セカンドユウゼンも軽視できない。
◎⑧オメガブレイン=伊藤裕人
〇⑥シーザドナルド=達城龍次
▲①ブラックスナイパー=中野省吾
△⑫ヤマニンスワンキー=酒井忍
△④メイショウテンロウ=村上忍
△②セカンドユウゼン=岡田大
<お奨めの1頭>
4R・ホホエムオンナ
岩手3勝馬が中央から再転入。C2でも18組は恵まれすぎ。順当に白星をゲットする