3日メインは今シーズン最後の3歳重賞は盛岡ダート1600mを舞台に行われる「第7回イーハトーブマイル」(年明け3月に3歳準重賞・奥州弥生賞があるが、これは現2歳のカテゴリー)。
意外だったが今回、岩手3歳タイトルホルダーが初めて勢ぞろいする。改めて地元同士の3歳戦線を振り返ってみたい。
開幕初日の牝馬重賞はエムワンピーコが優勝。前日の準重賞・スプリングカップはパンプキンズが逃げ切り、東北優駿トライアル・やまびこ賞はグレートアラカーが圧勝。
本番・東北優駿(岩手ダービー)はパンプキンズが雪辱。グレートアラカーの追撃を封じ、続くダイヤモンドカップも堂々逃げ切り、パンプキンズは岩手2冠を獲得した。
一方、3歳牝馬交流・留守杯日高賞はエムワンピーコが自重。しかし岩手版オークス・ひまわり賞を完勝し、岩手3歳牝馬No1を確定させた。
3歳交流のダート戦はすべて遠征勢が優勝。芝交流・オパールカップは地元マツリダレーベンに凱歌が上がったが、ダービーグランプリも遠征馬が上位3着まで独占。この間、臨戦過程を含め、順調ではなかった馬たちが多かった。
その意味からも「第7回イーハトーブマイル」が実質的な岩手3歳No1決定戦。ハンデ差はあるが、非常に興味深いメンバー構成となった。
ヤマショウブラックは途中参加。北海道代表で知床賞を勝ち、寒菊賞2着後、南関東へ転籍。羽田盃5着、古馬B2戦を勝って不来方賞から再転入。逃げたパンプキンズをニューホープが徹底マークから直線で競り落として先頭。そのまま押し切るかと思ったが、ヤマショウブラックが驚異的な末脚を駆使。ゴール寸前でニューホープを捕え、激戦区・南関東で培った底力を誇示した。
続くダービーグランプリは地元の期待を担って出走したが、リンノレジェンドが逃げてスローの流れ。先行3頭の決着に泣き、リンノレジェンドに次ぐ上がりを使ったが、4着に終わった。
今度は地元同士の戦い。残り600mからの勝負型でスローに落とされると届かない可能性もあるが、地力上位は証明済み。直線豪快に突き抜ける。
パンプキンズは東北優駿、ダイヤモンドカップの2冠を制し、不来方賞でロックハンドスター以来の岩手3冠を狙ったが、久々の盛岡コースに加えて2000mがこたえて3着。
血統からもマイラータイプ色が強く、陣営は南部杯挑戦を決断。超一流どころと戦って、パンプキンズのレベルアップを図った。13着は納得の結果。盛岡コースに一抹の不安があるが、逃げると強じんな粘りを発揮するタイプ。ここは何が何でもハナを譲らないはず。
ジェイケイブラックは未完の大器。まだ成長過程の真っただ中だが、圧巻の岩手4連勝。すべてワンサイドで勝利を決めている。経験不足は素質でカバー。この挑戦は注目に値する。
エムワンピーコはひまわり賞1着後、脚部不安も発生してぶっつけでダービーGPへ。臨戦過程を考えれば6着も仕方なしだったが、ひと叩きされて上昇。飼い葉食いの細さは徐々に解消傾向にあり、牡馬相手でも互角の勝負ができる。
グレートアラカーは東北優駿2着後、南関東へ移籍。古馬B3戦を使ったが、無念の競走中止。その後、一息入れて岩手へ里帰り。不来方賞を使う予定もあったが、今回までずれ込んだ。順調さでは劣るが、岩手2勝はスケール一目。全能力を出せればアッサリまで十分。
ラブヴィサージュは東京ダート1300m1勝から転入。水沢盛岡マイルを連勝した。白神賞4着が不満だが、ペースが速かったのも事実。流れ落ち着けば反撃必至。
◎⑥ヤマショウブラック
〇④パンプキンズ
▲①ジェイケイブラック
△⑤エムワンピーコ
△②グレートアラカー
△③ラブヴィサージュ
<お奨めの1頭>
7R エルラティオ
ホッカイドウから移籍2戦とも圧勝。C2では地力が違うことを証明済み。距離延長は望むところ。追いかける一手だ
いよいよ4日、「第19回JBC」が浦和競馬場を舞台に行われる。昨年はJRA京都競馬場、今年は浦和競馬場と2年連続で初の開催。各方面から注目を集めている。
JBCクラシックは2000m。JBCスプリント、JBCレディスクラシックは1400mが舞台。浦和競馬場は1周1200m左回り、直線が約220m。
2000mは2コーナーを回った直後がスタート地点で最初のコーナー(3コーナー)まで直線が約350m。コーナーを計6回回ってゴールする。一方、1400mはゴール手前200mがスタート地点。最初のコーナー(1コーナー)までの直線が約300m。やはりカーブ入りが早く、勝敗が大きく枠順に左右されるのは間違いない。
そうなると各馬に要求されるのは絶対能力+器用さ。いかに早く好ポジションを取り、うまくコーナーを回れるのかがカギとなりそうで騎手の腕も重要だ。
本家・アメリカのブリーダーズカップも基本は持ち回り。今回の浦和開催は計9か所目。地方では8か所目となる。70周年を迎えた浦和競馬がどんなJBCを見せてくれるのか。熱い視線で見守りたい。
2日10Rはオープン馬による「スプリント特別」(盛岡ダート1200m)。ラブバレットが笠松グランプリ4度目の制覇を目指して再始動する。
昨年6月、テンコートレセンを経てJRAから岩手へ里帰り。栗駒賞、岩鷲賞と重賞2連勝を飾り、健在を誇示。地元同士の短距離戦なら役者が違うとばかり、2戦とも圧勝した。
続いて今年前半の最大目標・クラスターカップへ挑戦。過去2着1回3着3回。5度目の挑戦で悲願のダートグレード制覇を狙ったが、3番手キープから直線一杯9着。初めて馬券対象から外れた。
これが年齢的な衰えとも考えられるが、メンバーがそろったのも事実。前年の走破タイムが1分10秒0に対し、今年は1分10秒2。ラブバレットは勝ったヤマニンアンプリメから1秒1離されたが、時計的にはそん色はなかった。
その後はテンコートレセンへ移動していつもどおりリフレッシュ。たっぷり英気を養って帰郷。スプリント特別を叩いて笠松グランプリへ臨む。
笠松グランプリは2015年から3年連続制覇の偉業を達成。昨年4連覇を目指したが、エイシンバランサーの4着。その雪辱を果たすためにも好発進を決めたいところ。59Kのトップハンデは地力でカバーする。
サインズストームは下級条件から着々と白星を積み重ね、昨年8月にオープン入り。無理をしなかったことも功を奏し、今年の早池峰スーパースプリントを優勝。悲願の重賞制覇を1000mレコードで果たした。
続く栗駒賞では逃げてラブバレットの2着を確保したが、脚部不安が発生。無念のリタイアを余儀なくされた。
3ヵ月休養明けの前走3着。1000mのレコードホルダーとはいえ、いきなりは厳しいかとも思ったが、0秒4差3着で底力を披露した。大型馬が叩かれて上昇確実で次位は譲れない。
メイショウオセアンは今季未勝利ながら早池峰SS2着、岩鷲賞2着。前期2頭の後塵を拝したが、短距離適性の高さを改めて誇示した。昨年の岩鷲賞を制したように1200mがベストの条件。
メスカルは今季C1スタートから5勝をマークし、牝馬準重賞・ヴィーナススプリントを快走。充実の4歳シーズンを迎えた。前走は今季初めて着外8着に沈んだが、オープンマイルは厳しかった印象。1200m短縮なら反撃の余地がある。
ミスティカルは前走・1000m戦2着。距離不足が懸念されたが、メンバー最速タイの上がりで直線猛追した。1200m延長は望むところ。先行激化なら再現の可能性も十分。
エリーティアラは中央芝1200m4勝、準オープンへ在籍。ダートは一度だけ経験して16着が気になるが、こなせれば距離適性で上位のシーンもあり得るか。
◎⑤ラブバレット
〇⑧サインズストーム
▲③メイショウオセアン
△②メスカル
△④ミスティカル
△①エリーティアラ
<お奨めの1頭>
3R エリーピクシー
北海道から移籍初戦2着。相手が強かったことを考えれば上々の滑り出し。コース2度目、メンバーも手ごろになって初勝利のチャンス
★重賞 知床賞/アクアリーブルが制して北海道勢が上位独占
10月27日に行われた北海道・岩手交流の2歳重賞『知床賞』は岡部誠騎手騎乗の北海道・アクアリーブルが優勝。北海道勢がこのレースを8連覇となりました。
北海道勢5頭対地元勢7頭という構図ではあったものの地元勢の内3頭が門別デビューからの移籍馬で、実質的には「門別デビュー馬8頭対岩手デビュー馬4頭」の形となった今年の知床賞。先手を奪いに行った1番人気スマイルエルフがコーナーで大きく膨らんでしまったのを見て内を突いたアクアリーブルがそのまま抜け出し、外から追い上げたシンボの追撃を凌いで優勝。自身4度目の重賞挑戦で待望のタイトルを獲得しました。
10月最後の開催日となる10月28日、メインレースは9RのJRA条件交流のダート1600m『フレンドリーカップ・プロキオン賞』。長かった盛岡開催も終盤を迎え、JRA条件交流競走もこれが今シーズンラストになります。
本命は岩手の(3)サンシャンペーンを採りました。今回はJRA1勝クラスとの対戦になるのですが、この馬は6月にJRA未勝利から転入してきた馬で未勝利時代には一桁着順がのべ17度というある意味堅実な成績を残していた馬でした。それもその終盤、マイル~中距離に距離が伸びてきて成績も良くなってきていたところでの移籍。それならば今回のJRA勢と大きな差は感じません。
そして転入後もC1からB1までポンポンと駆け上がってきており勢いは十分。距離・コース経験もあり。その点は初コースになるJRA勢に対するアドバンテージにもなるはずです。
対抗も敢えて地元(8)モズリュウオウ。JRA勢に距離経験が少ない先行タイプが多い事から、マイルでしっかりとした終いの脚を使えるこの馬をピックアップ。少し軽めの時計が速い馬場傾向が続いているのもむしろこの馬には好都合。
3番手にJRAの(12)ドヒョウギワを。デビューからの勝利は1勝のみに留まりますが、競走中止の1戦を除けば全てのレースで一桁着順という成績を残しています。距離も問題なく、あとは前が止まるような展開が希望。
以下はまず(1)テンプルツリー。ダートは1400mまでの経験しかないですし最近はずっと短距離主体に使われてきているので距離にどう対応するのか?が課題ですが、スピード優先の馬場であれば押し切ってしまえるかも。(2)アシャカドはこれが10戦目とキャリアが浅いですが戦ってきたレベルではメンバー中上位といえるでしょう。芝の方が良さげでダートなら軽い馬場。当日の傾向がどうなっているかがカギになりそうです。
●9Rの買い目
馬単(3)=(8)、(3)=(12)、(8)=(12)、(3)→(1)、(3)→(2)
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27日メインは岩手、北海道2歳交流「第10回知床賞」(盛岡ダート1400m)。
創設の背景は岩手競馬がどん底だった時代、北海道が支援策の一環として北海道、岩手2歳の交流レースを創設。1年ごとの持ち回りで門別開催のときは岩手山特別、岩手開催のときは知床賞の名称で実施された。
記念すべき1回目は2008年、門別1200mで「岩手山特別」が行われ、北海道クラフィンライデンが1着。2着に岩手センリグランピーが直線鋭く伸びて確保した。
翌年は水沢1600mを舞台に「第1回知床賞」が行われ、岩手ダンストンルティーが優勝、2着も岩手ダークライ。2010年は門別1200m。岩手から2頭が遠征したが、北海道が上位を独占した。
「第2回知床賞」は盛岡ダート1400mで行われ、アスペクトが優勝、2着エスプレッソ。2012年の門別「岩手山特別」は岩手から参戦なく、発展的解消。
一方の「知床賞」は2012年、第3回から重賞へ格上げされ、昨年第9回まで北海道勢が7連覇中。地区レベルの差を見せつけ、現在に至っている。
以上の結果と背景から序列は北海道主流が当然の選択。主軸はスマイルエルフとした。500キロ前後の大型牝馬でデビュー戦5着、2戦目3着だったが、3戦目から2連勝。
以降は3戦連続で着外だが、エーデルワイス賞は15頭立て14番人気ながら、内に包まれながらもひるまずに直線台頭。0秒7差8着に善戦した。
走破タイムも自身の最高タイムを1秒8も短縮。結果以上に中身が素晴らしく、このメンバーなら最有力候補と見て間違いない。あとは初の長距離輸送をクリアーできるか。当日の馬体重をチェックしてほしい。
アクアリーブルは女傑アスカリーブルの初年度産駒。デビュー2戦目を勝ち上がり、ほかに3着2回。近走は入着止まりだが、3走前の牝馬重賞・フローラルカップで0秒4差6着。
どうやら器用なタイプではないようで、コーナーを気にしなくていいワンターンの盛岡1400mは合うはず。母は水沢だったが、ビューチフルドリーマーカップを優勝した。その仔も岩手で素質開花させるか。
シンボはデビュー4戦目で初勝利を飾り、直後に芝交流・ジュニアグランプリに参戦。フジノロケットの決め手に屈したが、2着確保。見せ場も十分に作った。
北海道勢の中でただ1頭だけ長距離輸送を経験しているのが強み。ダート替わりももちろん歓迎だろう。
バイクミレーは岩手と相性がいいプリサイスエンド産駒。過去<2.2.2.2>。着外わずか一度のみの堅実さが身上。メンバーは強化されたが、前回快勝で弾みもついた。
岩手勢ではチャルメーラに注目。同馬も北海道1勝から転入だが、初戦を1秒4差で圧勝。盛岡ダート1400mを使い、実際に勝っている強みを生かす。
クロスワールドは2歳新馬勝ち。その後は精彩を欠いているが、その実績は軽視できない。
◎⑦スマイルエルフ
〇②アクアリーブル
▲⑤シンボ
△⑫バイクミレー
△⑨チャルメーラ
△⑪クロスワールド
<お奨めの1頭>
5R マースルマン
前走は軽い馬場だったにせよ1200m1分12秒1は破格。距離延長も問題なく、2連勝はもらった
26日メイン8RはB1・芝1700mで行われる特別「秋嶺賞」。5月から始まった今シーズンの盛岡芝競走もこれが最終戦。秋嶺賞がファイナルレースとなる。
改めて芝重賞を振り返ってみたい。3歳交流・オパールカップ(芝1700m)はマツリダレーベンが4角先頭から押し切り、はまなす賞、サファイア賞と3歳芝路線を総なめ。その後のリタイアが痛かったが、芝で持てる能力をフルに発揮した。
芝2400m交流・せきれい賞はダイワリベラルが完勝。中央芝6勝オープンの底力を見せつけた。
2歳・若鮎賞はシーサンプーターが優勝。パワーの要るダートに手こずっていたが、芝に替わって反応が一変した。続くジュニアグランプリは北海道フジノロケットが快勝。札幌芝を経験した強みを生かした。
OROカップはコスモリョウゲツが圧勝。中央芝1勝クラスでも頭打ちだったが、この時点で盛岡芝7戦6勝2着1回。盛岡芝との相性が素晴らしいことを証明した。
そして先週、OROターフスプリントは名古屋エイシンテキサスが鮮やかな逃げ切りを決めて優勝。鞍上・山林堂騎手に初重賞をプレゼントした。
1番人気に応えて勝ったのはオパールCのマツリダレーベン1頭のみ。今年の盛岡芝は群雄割拠の時代、波乱の連続だった。さて、秋嶺賞。果たして順当で収まるのか、それとも波乱の一戦になるのか。
主軸にオリエンタルポリスを指名する。中央1勝クラスから転入後、芝ダートでそれぞれ1勝。前々走の芝1600m戦で好位抜け出しを決めた。
前走6着に終わったが、芝替わりは望むところ。前々走と同じ11番枠を引き当て、内にいる先行馬の動きを見ながらレースを進めるのも強み。
フリームーヴメントは中央芝1200m1勝から転入。前々走のJRA条件交流(中央1勝クラスvs岩手B1下)で3角からひとまくり。あわやのシーンを作って3着を確保した。
追い込み脚質ゆえ展開に注文つく面があるが、加速ついてからのシャープな切れが売り物。流れ次第と底力で一気突き抜けるシーンまで。
ニシノヴォーカルは小柄な牡馬ながら全身がバネ。3走前のはまぎく賞で大外一気に伸びてタイム差なし2着。続く区界賞は6着だったが、不良馬場の前走ダート戦を快勝。上昇ムードに乗り、2連勝を飾るシーンまで。
スガノブリランテは休み明け2戦目の盛岡ダート1200m戦を快勝。本調子を取り戻した。1700m対応が課題だが、芝適性は3走前の姫神賞快勝で証明済み。好枠を引き当て身上の粘りを発揮する。
ウインタリエンテは逃げがベストで願ってもない2番枠を引き当てた。気分良く逃げれば強じんな粘りを披露する。
マイディアライフは中央芝で2着1回3着3回。はまぎく賞は7着だったが、4角で一旦先頭。見せ場を作った。オクトーバーCは芝からダート変更で度外視。仕切り直しで反撃に転じるか。
◎⑪オリエンタルポリス
〇⑦フリームーヴメント
▲①ニシノヴォーカル
△③スガノブリランテ
△②ウインタリエンテ
△⑥マイディアライフ
<お奨めの1頭>
7R シェアザプレジャー
移籍2戦目を圧勝し、上昇一途。走破タイムも文句なく、2連勝はもらった