
3月9日(日)から再開した岩手競馬。翌日10日から二けた10℃を超えたが、先週は寒波が襲来。一転して雪が舞い散り、17日(月)は第6R以降は走路悪化のため取り止めの措置が取られた。しかし今週の奥州市周辺の予想最高気温は3月23日(日)が12℃、24日(月)が15℃、25日(火)が17℃。岩手県民の感覚では相当暖かいと感じるはず。
馬も人も戸惑うと思うが、油断は禁物。水沢競馬場を訪れるときは無駄だと思っても防寒具を持ってきた方がベター。この時期は寒暖が読めないので風邪などを引かないようにしてください。
24日メインは「夢・希望 未来へ前進」。今回はB1級三組・水沢1600m条件で行われる。今回は4歳から11歳まで幅広い年齢構成。格上馬を重視するか、上がり馬を重視するかが焦点となった。
レールガンは徹底した追い込み馬。昨年12月31日、大みそかに行われたファン投票・桐花賞で0秒5差6着。メンバー最速の上がりを駆使したが、惜しくも入着を逃した。それでも末脚健在を誇示し、冬休み明けはB2へ降格。相手が緩和されて早めスパートをかけ、2着モンサンイルベントをきっちり捕らえて快勝した。今回はB1へ昇級するが、ここは追いかける手。A級復帰へまい進する。
ダブルラッキーは昨年A級に在籍して1勝2着1回3着1回。成績が安定せず不本意なシーズンとなった。昨年終盤からB1級へ降格しても伸びを欠いていたが、今季初戦は最内1番枠が災い。伸び切れず4着止まりだったが、今度は一転して大外12番枠。距離ロスはあっても自分の競馬に徹することができ、反撃に転じる。
ウインダークローズは中央ダート3勝、高知C2から転入。岩手C1編入にも恵まれて3勝2着2回と連対パーフェクトを続けている。前走は2秒3差に敗れたが、勝った相手が強すぎたため。むしろ2着を死守した点を評価したい。ひと叩きされた良化も見込める。
マルケイアローは岩手生え抜きで通算9勝。相手なりに駆ける堅実さが持ち味で大崩れなし。前走は馬券対象を果たせず4着だったが、元々が叩き良化型。メンバー比較からもアッサリあって不思議はない。
モレッキは前回快勝。鮮やかな直線一気を決めて好発進を決めた。成績ムラだが、ツボにはまれば相手関係なし。理想はハイペースだが、平均に落ち着いても台頭の可能性は十分ある。
マナマカナはただ1頭の4歳馬。昨年10月から4勝2着2回の快進撃を演じ、本格化を迎えた。前走7着に敗れ、連勝は3でストップしたが、C1級から一気にB1級へジャンプアップして流れにもとまどった。条件2度目で前進が期待できる。
◎⑨レールガン
〇⑫ダブルラッキー
▲⑥ウインダークローズ
△⑧マルケイアロー
△⑩モレッキ
△⑪マナマカナ
<お奨めの1頭>
1R ナナドリーム
B1級からC2へ降格して前走1番人気に支持されたが、逃げ一杯2着。久々の実戦もこたえた。今度は首位を譲れない
23日メインは"GRANDAME-JAPAN2025"3歳シーズン・留守杯日高賞トライアル「第50回あやめ賞」(水沢1400m)。再転入組3頭、新参1頭、岩手在籍馬の力量比較がカギを握る一戦となった。
スノーミックスはデビュー戦2着後、遠野馬の里へ移動。リフレッシュと坂路で鍛え直して帰厩。2戦連続で圧勝し、心身ともにパワーアップしたことを証明した。続いて寒菊賞でエントリー。その時点での実力を測る予定だったが、降雪の影響で開催取り止め。再び遠野馬の里へ入り、今年2月に帰厩した。
春の目標は今回のあやめ賞。一度実戦を叩いて臨みたいと考え、出走登録。予定では3歳A級戦だったが、獲得賞金と頭数の関係でスプリングカップへ編入する運びとなった。キャリア3戦でいきなり牡馬一線級と戦うのは不安だったが、3着ミヤギヴォイジャーとはアタマ差4着。
最内に入って後方からのレースを強いられ、なおかつ初めて砂を被る競馬だったが、向こう正面から動き始めて3コーナー過ぎには3番手まで進出。最後はキャリア差もあって4着だったが、収穫の多い一戦となった。
普段はおとなしいが、パドックで若干入れ込み気味だったスプリングカップ。当日の馬体重には注意を払いたいが、今度は3歳牝馬同士の戦い。ほとんどの牝馬が初対決だが、前走パフォーマンスを信じる手。重賞初制覇に王手をかけた。
フタイテンホイールは若鮎賞4着から4戦目の盛岡1400m戦を快勝後、JRA入り。芝6戦を使って7着が最高だったが、相手が牡牝馬クラシックを目指す強豪では仕方なし。むしろ揉まれて強くなったであろうと判断できる。
ダート戦は岩手時代以来だが、兄はJRA現オープン・フタイテンロック。岩手1勝から南関東へ移籍して7連勝をマークし、中央3勝クラスを快勝。父がトーセンジョーダンからモンテロッソとなったが、ダート対応は問題なし。帰郷戦を勝利で飾る。
サンカリプソはスノーミックスと同じタワーオブロンドンの初年度産駒。門別3戦1勝から転入戦・ビギナーズカップ4着から2戦目を快勝した。以降は3戦着外に終わったが、終盤2戦3、1着。水沢替わり、1400m短縮も好走要因だった。今季初出走だが、意欲的に乗り込まれて態勢万全。ベストの水沢1400m戦で上位進出をもくろむ。
ピカンチフラワーは昨年の2歳新馬(盛岡1000m)勝ち第1号。続く2戦目2着から休養に入り、復帰戦ビギナーズカップ3着。ネクストスター盛岡は7着に沈んだが、牝馬交流・プリンセスカップで見せ場を作って4着。その後、大井2戦を使って里帰りした。転入前の大井1200mは4着だったが、最内1番枠で痛恨の出遅れ。それで4着なら上々の内容。いきなり勝ち負け必至。
ミカヅキカネミツはデビュー戦の門別1000mを1秒7差で逃げ切って圧勝。その後、園田へ転籍して4着最高。岩手初戦も2番手から失速したが、逃げタイプが絶好の1番枠。前走が大外だっただけにこの枠が味方する可能性もある。
ラグーンは高知2勝から南関東へトレード。3着が最高だったが、地区レベルから争覇圏内に位置するのは疑いないところ。
◎⑤スノーミックス
〇⑨フタイテンホイール
▲③サンカリプソ
△⑥ピカンチフラワー
△①ミカヅキカネミツ
△⑦ラグーン
<お奨めの1頭>
2R モモダンゴ
南関東から転入戦2着だったが、わずか0秒1差。水沢コースにも慣れて今度は首位を奪取する
3月10日(月)、第1R・C2級(850m)で2番人気に支持されたスピードスターが、2番手キープから逃げた1番人気ナナドリームをゴール前できっちり捕らえて快勝。陶文峰調教師が開業2戦目でうれしい初勝利を飾った。
前日9日(日)、岩手競馬の再開初日第3R・C2戦でメルティーショコラで調教師デビュー。3番人気4着だった。厩舎第1号を送った陶文峰調教師。「今までと違う"ドキドキ"を感じました。騎手時代と違って見守るしかできないですけども、その分違う目線で見ることができているのは新しい感覚です。結果4着でしたが、良いレースをしてくれたと思います。調教師としては新人で、分からないことがまだ多いので、これからも勉強して覚え ていきたい。最初から多くは望まないようにして、とにかくまず人馬とも怪我なく無事に完走できること。その後に結果がついてくれば良いのかなと思っています」
調教師デビュー後、以上のコメントを残したが、翌日2戦目で早々と初勝利を飾り、幸先のいいスタートを決めた。再び陶文峰調教師「思ったより早く初勝利をあげることができました。スピードスターは門別で1勝。大井で2勝。南関東C2級へ在籍していましたし、2月まで実戦を使っていた。それに前で競馬ができるのでゲート前からドキドキして見守っていましたが、ジョッキーがうまく乗ってくれました。馬主さんも水沢にいらっしゃっていましたから、いいタイミングで勝てました。いっしょに口取り写真も撮れましたから非常にうれしいです」
昨年11月24日(日)、「第46回北上川大賞典」(水沢2500m)でサクラトップキッドに騎乗。この一戦が騎手として最後の重賞騎乗となったが、見事勝利を飾った。さらに騎手ラスト騎乗となった11月26日(火)、最終12Rではゼットセントラル(2番人気)にまたがってロングスパートを決めて快勝。引退レースを勝利で締め括った。
そして今回は調教師2戦目で早々と初勝利を飾り、陶調教師に「持ってるな!」と祝福したら、にっこり。今後の目標は?の質問には「1勝したので、次は2勝目。今年の目標はあえて作らず一つ一つ積み重ねていきたいと思っています
ちなみに厩舎ユニフォームは陶文峰調教師が騎手時代の勝負服をイメージして作られた。赤ベースに黄色星。そして厩舎スタッフと相談して黒の斜線を加えた。チャンスがあったら陶調教師のユニフォームにも注目してほしい。
今週の岩手競馬
3月23日(日) 「第50回あやめ賞」(3歳牝馬 水沢1400m」
3月24日(月) 「夢・希望 未来へ前進」(B1級三組 水沢1600m)
3月25日(火) 「タンザナイト賞」(B1級一組 水沢1600m)
3月17日、この稿からすると昨日になりますが、3月17日の水沢競馬は降雪のために6R以降が取り止めになってしまいました。
16日も小雪が舞う、今時期にしては寒い一日ではありましたが、17日は午後に入って雪が本格化。なまじ気温が高い分、凄く湿った雪で、冬場の「積もったから・凍結したから」とはまた状況が違う、雪交じりのシャーベットのようなコース状態になってしまった影響が大きかったと思います。
3月になっても積もるくらい降る事は決して珍しくはなくてですね、自分の記憶でも高速道路が通行止めになるくらいの雪が3月に降った事があったんですけども、ただ今回は量よりは状況、馬場状態の影響だったかと。
3月18日のメインレースは12Rです。A級三組・ダート1600mの『菫特別』。A級ですが実質的には昨年終盤戦でB1級、この春にA級に昇級した馬たちの戦いと見ていいところ。ただしB1級の上位組は勢いのある馬が集まることが多くわりと常に激戦。ここからより上を目指すような馬も出てくる戦いと考えたいところ。
さて本命は(3)タイセイメガロスを採りました。
昨年春に笠松から岩手に移籍、当初はA級に入り、勝ち星こそ無かったもののA級一組戦でも健闘していました。秋からはB1に降級して11月に待望の岩手初勝利。終盤、出走予定のレースが立て続けに取り止めになってしまいましたが、それが無ければもうひとつくらい勝ち星を増やしていておかしくない勢いがありました。
昨年勝った時は差し競馬だったのですが、本来は好位先行から押し切っていきたいタイプ、その意味で距離はある程度長い方がいいタイプではあります。ただマイルが短いという事は無くて、むしろマイルでも手堅く流れを作ることはできる馬。ライバルたちの距離実績から見ても展開利、有利さは十分にあると判断しました。
(4)ライトフィールダーが対抗。なかなか白星先行とは行かないのがもどかしいですが、そのかわり2歳時からダートで3着を外していない堅実な成績。3歳戦から古馬戦に入ってからも走る度にクラスに対応してきた印象があります。直近二戦は1400mですがマイルも問題は無いでしょう。ここでどれだけやれるかに期待しつつの対抗格。
三番手は(6)マルーントリックでどうでしょうか。3歳戦から古馬編入された当初は苦戦しましたがB1降級で2連勝と地力があるところを示しました。A級でも、例えば◎が昨春に戦っていた相手と、◎と同じくらいのタイム差で戦っていたのですからひとまず十分なものだったといいたいところ。ここがいわゆる試金石。
△はまず(2)ホッコーライデン。ある程度スムーズに馬群を捌ける、流れに乗れる展開になればまだ侮れないものを持っているはずですし、今回のメンバーでならそれもやりやすいのでは。もう一頭は(11)サンエイブレーヴを。以前からちょっとあてにしづらいところがありますが地力は高い馬。大外枠はむしろ気分良く戦いやすいのではと考えてピックアップしてみます。(横川典視)
●12Rの買い目
馬単(3)=(4)、(3)=(6)、(4)=(6)、(3)→(2)、(3)→(11)
岩手競馬の全レース予想を公開中!「岩手競馬・勝ちそーチャンネル」へ
今週から岩手のオープンクラスがスタートした。まだヒロシクン、ミニアチュール、ノーブルサターンなどトップグループはじっくり待機。おそらく各陣営とも赤松杯から始動する可能性が高い。また年度代表馬および3歳最優秀馬フジユージーンはぶっつけでシアンモア記念へ向かう予定。各馬の動向は分かり次第、報告したいと思っている。
一方、オープン短距離路線は17日(月)、12R「スプリント特別」(水沢850m)からスタートするが、先週11日(火)、B1級・850m戦で余裕の逃げ切りを決めたアップテンペストも春のスプリント重賞・早池峰スーパースプリント(6月15日 水沢850m)へ向けて好発進を決めた。
昨年の覇者ダイセンメイトが引退し、繁殖入り。今回のスプリント特別はポスト・キラットダイヤ、ダイセンメイトを占う意味でも重要な一戦となった。
主軸にサラサワンを指名する。中央1戦0勝(2戦目は競走除外)から3歳時に岩手入り。あっさり3連勝を飾った。続くC1特別・岩洞湖賞は1600mの距離が長く9着に終わり、直後に南関東へトレード。9勝2着2回3着2回の好成績をあげ、A2級まで出世した。
不安は転入前2戦連続で着外に沈み、850mも未経験だが、川崎900m1戦1勝なら問題なし。何よりも岩手在籍馬が12月以来の実戦に対し、サラサワンは2月まで使われてきた点が強味。仮に今回を快勝するようなら短距離界の主役に躍り出る可能性も高く、注目の一戦となった。
カタナは中央ダート4勝・オープンから大井、名古屋を経て転入。スプリントをメインに使われて通算8勝をマークした。昨年はA級で2着1回3着1回からシーズン途中でC1へ降格。メンバーが大幅に緩和され、5勝3着2回の快進撃を演じた。今回はオープン復帰戦となるが、水沢850m6勝と最も得意とする条件。あっさり首位まで十分。
レディブラウンは昨年、7勝2着5回3着1回。重賞・絆カップでウラヤの2着確保と充実したシーズンを送った。持ち味は牝馬らしくシャープな切れ。昨最終戦もきっちり勝利で締めくくった。気になるのは初の850m戦。過去最短は1000mで3戦2勝。ひとまず短距離適性は問題ないようだが、850m戦は何度も記したが、特殊レース。実力は認めても▲評価に落ち着く。
オスカーブレインは2歳時にサッポロクラシック(門別1200m)、3歳交流・ハヤテスプリント(盛岡1200m)と重賞2勝。昨年12月に転入し、3戦とも着外に終わったが、冬休みでリフレッシュ。自分の競馬ができればアッサリまで。
ファルークは函館ダート1000m1勝、南関東C1級を経て2022年に岩手入り。最下級C2からスタートして8勝マーク。ついにオープン入りを果たした。相手は強化されたが、850m5勝2着3回。適性は引けを取らない。
◎④サラサワン
〇②カタナ
▲①レディブラウン
△⑤オスカーブレイン
△⑦ファルーク
<お奨めの1頭>
1R トラネスハープ
B1級・850mで3着2回4着1回の成績をあげ、最下級C2へ降級。メンバーが大幅に甘くなり、順当に勝機を迎えた