松尾康司 1958年青森県出身。「テシオ」編集長 。思い出の馬は伝説の名馬トウケイニセイ。横川典視 1969年高知県出身。『いわて競馬マガジン テシオ』編集記者として活動中。東北の馬産地との繋がりも深い。
松尾康司 1958年青森県出身。「テシオ」編集長 。思い出の馬は伝説の名馬トウケイニセイ。横川典視 1969年高知県出身。『いわて競馬マガジン テシオ』編集記者として活動中。東北の馬産地との繋がりも深い。 今週は8日(月)、9日(火)、10日(水)の変則開催。次週は14日(日)~16日(火)の通常開催に戻りますので、お間違いのないようお願いします。
先週、お伝えした齋藤友香騎手を取材したので報告してみたい。「物心がついた時から父(齋藤雄一元騎手、現調教師)が騎乗する姿にあこがれていました。2年間、きゅう務員の仕事に従事しましたが、いい経験になったと思います。勝負服は父と同じ。父の師匠だった小西重征調教師から受け継ぎたいとお願いしました。大目標は父。現役ではレイチェルキング騎手が目標です。デビュー予定は3月ですが、まだまだ未熟。今後、技術をあげるように頑張りたいと思っています」
岩手デビューの女性騎手は高橋クニさん(けいが)が日本初の女性騎手。娘さんの故・高橋優子さんは平地競走第1号で齋藤友香騎手は史上10人目。平地では史上9人目の女性騎手となった。気の早い話だが、3月の再開競馬も心待ちにしてほしい。
8日メインは岩手県調騎会騎手部会協賛「夢・希望 未来へ前進」。今回はB1級・水沢1400mで行われ、格上馬、上がり馬などが入り交じり楽しみな一戦となった。
本命はメイショウイジゲン。中央3勝クラスから岩手入り。3戦目の水沢1400m・オープンを快勝した。続く1000m戦は忙しい競馬が合わず6着に終わったが、盛岡1400m戦で首位を奪回した。前々走は3番手から一杯7着に終わったが、。前走0秒3差に反撃。今度は2戦1勝2着1回の水沢に替わった上、通算4勝の1400mと好走条件がそろった印象。首位を奪回する。
逆転筆頭はサンマルクレイジー。中山ダート1200m1勝から障害を経て転入。初戦は1年ぶりの実戦で6着に敗れたが、ひと叩きされて反応が一変。圧巻の3連勝をマークした。前走・ノベンバーカップは2着だったが、58キロの酷量を背負ったのが敗因。1着ビップアクアと負担重量4キロ差が大きかった。B1昇級だが、56キロの定量に戻って反撃必至。
スノーミックスは3歳牝馬交流・留守杯日高賞3着。夏に金沢へ移籍して2戦を使って里帰り。当初は精彩を欠いていたが、一戦ごとに本来の馬体と動きを取り戻し、前々走2着から前走0秒5差で完勝。走破タイムも上々だった。今回は試金石の一戦。ここでも好勝負に持ち込めれば将来も約束された。
ポジティブスピンは今シーズン2勝2着4回。近走は入着一杯だったが、A級馬が相手では荷が重かった。しかし今回はB1へ降格。A級でも前走9着以外は大負けはなし。ペースが落ち着けば巻き返しに転じて不思議はない。
アメイジングスターはいい脚を長く使えるのが武器。目下8戦連続で3着以上を確保し、前回快勝。好調サイクルを前面に上位に進出する。
パイアイヤーはコース広い盛岡で3勝。小回り水沢に手こずっていたが、前走3着で克服のメド。ハイペースなら自慢の決め手を生かす。
◎⑥メイショウイジゲン
〇③サンマルクレイジー
▲⑪スノーミックス
△⑦ポジティブスピン
△⑫アメイジングスター
△②パイアイヤー
<お奨めの1頭>
3R グランクリュ
勝ち切れないレースが続いているが、安定度一目。今回はメンバーが甘くなり、絶好の勝機を迎えた

11月30日(日) 「第47回北上川大賞典」(オープン 水沢2500m)
8番枠に入ったサクラトップキッドが手をしごいて先手を主張。意表をつく逃げの手に出た。2番手にレライタム、3番手外に単勝1・1倍の圧倒的1番人気に支持されたリケアカプチーノ、その内にフレイムウィングス。ライアンは後方3番手に待機した。
1周目スタンド前では一度ペースが落ちたが、1コーナーを回ってサクラトップキッド鞍上・高橋悠里騎手は気合いをつけて後続を離しにかかる。逃げの手、早めスパートに周囲はとまどったが、その戦法がずばり。リケアカプチーノも向こう正面から差を詰めにかかったが、3コーナーでサクラトップキッドが再加速。直線を向いてさらにリケアカプチーノを突き放し、4馬身差でゴール。鮮やかな逃げ切りを決めた。
1着・サクラトップキッド=高橋悠里騎手
「2連覇ができてホッとしたし、とてもうれしいです。レース前は作戦を組んでいなかったが、スタートが抜群だったので行こうと決めた。1周目スタンド前だけはペースを落としたが、スタミナ勝負に持ち込んでリケアカプチーノに上がりの競馬をさせないように考えていた。あとは4コーナーまでしのいだら直線は我慢してくれると信じていた。金沢へ2度の遠征経験も大きかったと思う。サクラトップキッドはマラソンランナーのような強い心臓を持っている。桐花賞でもこの馬の競馬に徹します」
伊藤和忍調教師
「大外だったが、スタートが決まりましたね。逃げは想定ではなかったが、砂を被る(キックバック)と嫌がるからジョッキーの好判断だったと思う。2周目3コーナーで後続を離してセーフティリードだったから、何とか我慢してくれそうだと思った。北國王冠でリケアカプチーノに先着されたが、力負けとは思っていなかった。遠征の反動もなく状態も良かったので、なんとか勝ちたかった。この勝利がきゅう舎の通算500勝でしたからね。すばらしいメモリアルレースになりました」
サクラトップキッドはフジユージーンと同期で3歳時に重賞・やまびこ賞を優勝。ただ、スロースターターのため勝ち味に遅く、以降は勝ち星なしが続いたが、昨北上川大賞典で1周目スタンド前から先頭。そのまま押し切ってステイヤーぶりを存分に発揮した。
今季も未勝利が続いたが、JpnIII・マーキュリーカップで4着に健闘するなど中身は上々。コメントにもあるとおり金沢2戦の経験が今回に生き、史上9頭目の北上川大賞典2連覇を達成した。
2着リケアカプチーノは3番手を追走し、サクラトップキッドが動いた時にも反応したが、なし崩し的に脚を使った印象。まさに高橋悠里騎手「スタミナ勝負に持ち込んだ」戦法に出られて完敗。今回は勝ったサクラトップキッドを誉めるべき。次走・桐花賞での巻き返しに期待したい。
今週の岩手競馬
12月8日(月) メイン12R「夢・希望 未来へ前進」(B1級 水沢1400m)
12月9日(火) メイン12R「ゴールデンジョッキーズシリーズ第2戦」(B1級 水沢1600m)
12月10日(水) メイン12R「アロースタッド特別」(B1級二組 水沢1600m)
12月2日のメインレースは12Rの『スプリント特別』、OP級ダート1400mの一戦。本命は(8)ミニアチュールを採りました。
8月のフェアリーカップを制してからは勝ち星から遠ざかっている本馬ですが、例えばビューチフルドリーマーCは遠征馬相手の戦い、前走のすずらん賞は牡馬の一線級との対戦。それでも大きく崩れずに来た事は高い評価をして良いはずです。今回は、あまり得意とは言えない水沢のそれも1400mが舞台に加えて57kgのハンデもありますが力量上位・実績上位の底力に期待しましょう。
対抗は(7)スプラウティング。暑い時期は調子がイマイチだったようですが秋を過ぎて復調感十分。前走絆カップは2着ではありましたが内容は上々でしたし、3月の栗駒賞を勝ったのと同じ舞台となれば今度は主役にも。
(3)レディブラウンが三番手。ヴィーナススプリントではミニアチュールを、2走前のスプリント特別ではウラヤを破って好調をアピール。牝馬らしいというべきかちょっと上下の幅があるのかもしれませんが今の勢いは侮れないものあり、でしょう。
以下はちょっと穴目で(6)ミヤギシリウス、(10)リュウノナポレオン。前者は元々世代トップクラスの一頭とみられていた馬。順調に使われれば力は出してくるはず。後者は同じ水沢1400mで重賞勝ちの経験あり。これくらいの距離が良い可能性にも注目。(横川典視)
●12Rの買い目
馬単(8)=(7)、(8)=(3)、(7)=(3)、(8)→(6)、(8)→(10)
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朗報が入った。12月1日(月)付で齋藤友香さん(19歳)、菅原学さん(41歳)がそれぞれ騎手免許、調教師免許が交付された。両人とも齋藤雄一きゅう舎所属だった。
齋藤友香騎手は齋藤雄一調教師の長女。中学校卒業後、競馬学校に入学したが、中退。父のきゅう舎できゅう務員に従事しながら受験して見事合格した。菅原学調教師は仙台育英高校時代、乗馬に親しみ岩手競馬できゅう務員に従事。調教師補佐を経て晴れて調教師免許を取得した。詳細はいずれ報告するが、8月1日付で調教師免許を取得した及川裕一調教師、西野直樹調教師ともども早ければ来年3月、特別競馬から開業する予定だ。岩手競馬に騎手1名、調教師3名の仲間が加わった。
12月1日メインは12Rではなく、11R「田瀬湖賞」(C1級 水沢1400m)。3歳馬4頭のほか8歳馬まで11頭がエントリー。また負担重量差も58キロから52キロ(減量騎手の結果も含む)まであり、勝敗にも影響する可能性は十分。
ヒマラヤべロスは中央未勝利から転入後、初戦を快勝。2戦目は4着に終わったが、その後は圧巻の4連勝。特に前走は2着ネイチャーミヤビに1秒2差で圧勝。一戦ごとに良化一途をたどっている。今回は58キロを背負うのが最大ネックだが、今の勢いと成長度をもってすれば難なく克服。勝利を飾ってC1級を卒業する。
トウカイディアマンも同じく中央3戦0勝から転入。あっさり2連勝を飾ったが、3戦目は最内枠が災い。自己ポジションを取れず11着に沈んだが、以降は2連勝。前走タイムはレースが違ってもヒマラヤべロスと同じ1分26秒8をマークした。逃げ同型が多いのが不安だが、主導権を握ればあっさりまで。
マナホクラニは門別5戦0勝から2歳時に転入。2勝2着3回3着1回の成績を収め、門別へ里帰りしたが、4戦着外に終わり再び岩手入り。ひと頃は芝路線を歩んだが、着外が続きダートへシフト。1勝2着1回3着1回と安定した取り口を披露。ペースが速くなれば突き抜けるシーンも考えられる。
ホイッスルソングは東京芝1400m1勝、門別B3を経て転入。初戦の盛岡1200m戦で直線一気を決めた。前走より負担重量2キロ増、最内枠も不安材料だが、決め手を生かして上位進出。
ワイマングは前走7着の評価が難しいが、いい脚を長く使えるのが武器。ヒマラヤべロスと同じ58キロを背負うが、南関東時はC1級に在籍。マークが欠かせない。
スズカパンサーはB級から降格後、2勝2着1回。生きのいい若駒がそろったが、格が不気味。
◎⑪ヒマラヤべロス
〇⑤トウカイディアマン
▲⑥マナホクラニ
△①ホイッスルソング
△⑩ワイマング
△②スズカパンサー
<お奨めの1頭>
4R アーブルラーブル
中央1戦から転入後、アッサリ好位抜け出しを決めて完勝。この一戦を叩かれてさらに気配アップ確実で2連勝へまい進する

30日(日)メインは岩手競馬の最長距離重賞「第47回北上川大賞典」(水沢2500m)。8頭立ての少頭数となったが、例年以上にハイレベルであり、重厚なメンバー構成となった。
リケアカプチーノは高知から転入後、3勝2着1回。馬券対象から外れたのはジャパンダートクラシックを制したナルカミが出走したJpnII・不来方賞6着のみ。東北優駿、一條記念みちのく大賞典、トパーズカップと重賞3勝。前走は金沢で行われた地方競馬交流・北國王冠(2600m)でも3着を確保。南関東勢の古馬を相手にも勝ち負けを演じた。
夏休み明けのトパーズカップは反応ひと息だったが、元々が叩き良化型。転入時もそうだったが、3戦目の一條記念みちのく大賞典が最も強いレースパフォーマンスだった。前走で2600mをこなしたように2500mは望むところ。加えて水沢周りの方が動きがスムーズと好走条件がそろい、年度代表馬へ向けて首位は譲れない。
サクラトップキッドは昨年の北上川大賞典を完勝。1周目スタンド前で先頭に立ち、そのまま押し切って3歳馬初の同レース優勝を果たした。今季は5戦未勝利だが、JpnIII・マーキュリーカップで4着に健闘。
金沢遠征2戦も白山大賞典は7着だったが、前走・北國王冠では昨北上川大賞典と同じく1周目で早めスパート。そのまま先頭に立とうとしたが、ケイアイパープル=吉原寛人騎手が反応。さらにヒーローコールも加わり、入れ替わりの激しい競馬。厳しい競馬を強いられたが、6着に粘った。今回の北上川大賞典が最大の目標。どんな戦法を採るかも含めて注目したい。
ライアンは昨年、せきれい賞(芝からダート2000m変更)、桐花賞と重賞2勝。今季はA級特別2勝のみだが、馬場も合わなかった。せきれい賞、桐花賞とも水の浮く不良馬場。軽い走路で持てる能力をフルに発揮するタイプ。当日の馬場が速いタイム決着なら出番は十分にある。
フレイムウィングスは一昨年に岩手入り。北上川大賞典、桐花賞で2着を確保したステイヤー。昨年はすずらん賞2着が最高だったが、今季3戦目を快勝。待望の岩手初勝利を飾り、前々走で2勝目をマーク。2500mの長丁場は望むところ。
レライタムは3歳9月に去勢。それが功を奏し、4歳冬から大井で3勝。今年5月、大井2000mを快勝直後に転入し、3勝2着1回3着1回。南部杯13着後、遠野馬の里に移動し、坂路で乗り込まれて帰厩。気分リフレッシュして当初の目標だった北上川大賞典へ臨む。
レールガンは前走タイム差なし2着。北上川大賞典へ5年連続で出走。過去2着1回3着2回の好成績。有力馬がもつれれば台頭のシーンまで。
◎⑤リケアカプチーノ
〇⑧サクラトップキッド
▲④ライアン
△②フレイムウィングス
△①レライタム
△③レールガン
<お奨めの1頭>
3R プロヴァー
中央1戦から3ヵ月の休養を経て岩手入り、初戦は出遅れながらも2着を確保した。ひと叩きされて今度は首位を奪取する
