松尾康司 1958年青森県出身。「テシオ」編集長 。思い出の馬は伝説の名馬トウケイニセイ。横川典視 1969年高知県出身。『いわて競馬マガジン テシオ』編集記者として活動中。東北の馬産地との繋がりも深い。
松尾康司 1958年青森県出身。「テシオ」編集長 。思い出の馬は伝説の名馬トウケイニセイ。横川典視 1969年高知県出身。『いわて競馬マガジン テシオ』編集記者として活動中。東北の馬産地との繋がりも深い。28日メインは牝馬クラシック三冠目「第6回オータムティアラ」(水沢1900m)。同レースは2020年に創設。牝馬も三冠体系が確立され、当初4回は盛岡ダート2000mを舞台に実施。OROオータムティアラの名称で行われていたが、昨年は水沢1900mへ移行。それに伴い、OROの冠名が取られた。
本命はミナトミナイト。2歳時は5戦未勝利に終わったが、今季3戦目を快勝。待望の初勝利を飾った。以降は伸びを欠いたが、3走前1着から岩手版オークス・ひまわり賞を快勝。鮮やかなロングスパートを決めた。続いて3歳以上牝馬交流・ビューチフルドリーマーカップへ挑戦。さすがに相手が強く2秒8差6着に終わったが、古馬オープンの流れを経験したのは貴重。今回は同世代の地元3歳馬が相手。水沢周りに若干不安はあるが、牝馬二冠制覇に向けて態勢は整った。
ナムラクレープはダート1800m3着1回から高知へ移籍。初戦は4着に終わったが、2戦目から3連勝マーク。直後に岩手入りし、盛岡1400mをハイタイムで完勝した。一度、実戦を叩いてオータムティアラ挑戦は予定どおりのステップ。兄ナムラマホーホは東海地区で21勝を上げて重賞6勝。1900m延長、血統背景を味方に逆転首位まで十分。
クラリティーはデビュー2戦の芝で着外後、4ヵ月の休養を経てダート1800mにシフトして2着。続く小倉ダート1700m5着後に岩手入り。若干レース間隔が開いたのは爪の状態が思わしくなかったからだが、セレクトセール出身の期待馬。1900mは望むところ。素質でアッサリまで。
コックリサンは中央6戦0勝から転入。4勝2着3回の好成績を収め、重賞・ひまわり賞でも2着に健闘した。JpnII・不来方賞11着はともかく、前走10着は疲れも残っていたか。今回は3勝2着2回3着1回と得意の水沢コースが舞台。ひまわり賞の再現を狙う。
プレシャスアセットは中央3戦二けた着順だったが、岩手の水が合って頭角。3歳芝交流・オパールカップで3着を確保し、続く3歳B1戦で初勝利。前走はJRA勢を一蹴し、上昇一途をたどっている。ダートに替わっても目が離せない。
オールニッポンは中央芝2000m以上を専門に使われて福島芝2600m5着から転入戦を快勝。好発進を決め、重賞・ひまわり賞へ挑戦。マイペースに持ち込んで5着入線を果たした。ゆったりと流れる1900mで反撃。
◎⑨ミナトミナイト
〇④ナムラクレープ
▲⑩クラリティー
△⑤コックリサン
△①プレシャスアセット
△⑧オールニッポン
<お奨めの1頭>
6R ルジュウェール
中央時代にダート短距離をメインに使われて転入。好調馬がそろったが、持ちタイム上位。初戦からいける

9月21日 「第33回青藍賞」(水沢1600m)
内2番枠に入ったヒロシクンが好スタート決め、楽に先手を取った。2番手インにヘリオス、3番手マイネルアストリア、4番手にスプラウティング。7番手ライアン、注目のフジユージーンはダッシュひと息で8番手からの競馬となった。
ペースが落ち着いた2コーナー過ぎからフジユージーンが進出。3コーナーでヒロシクンに1馬身差まで詰め寄ったが、高松亮騎手=ヒロシクンは折り込み済み。一気にスパートをかけるとヒロシクンも反応。直線を向いて3馬身ほどリードし、あとは余裕でゴール。2着フジユージーンに4馬身差をつけて完勝した。
1着・ヒロシクン=高松亮騎手
「自分がやるべきレースは分かっていた。序盤はフジユージーンの位置を確認しながらでもあったが、自分のマイペースに持ち込むことができた。勝負どころで迫ってきた時には、もちろん来るだろうなということは分かっていたから、自分からペースを上げていくつもりでいた。久しぶりのフジユージーンとの直接対決でどうなるかなと思っていたが、強いヒロシクンを見せることができました」
佐藤雅彦調教師
「どういうレースをするかは高松騎手もよく分かっているでしょうから全部任せていた。フジユージーンがどこから来るか、それは鞍上も予想していたと思うので、そこもしっかり乗ってくれた。3~4コーナーあたりまで来たところでいけるかなと思った。マーキュリーカップの疲れが残っていて厩舎に戻ってきたのが8月下旬。牧場でもしっかりケアしてくれた分、ちょっとギリギリでしたが状態は問題なかった。次走については今はまだ考えていない。馬主さんと相談しながら決めたいと思っています」
ヒロシクンは今春の重賞2戦でフジユージーンの追撃を封じて連勝。夏は宮城県の牧場で休養し、青藍賞で復帰。堂々2連覇を飾った。青藍賞2連覇は2018年のエンパイアペガサスを皮切りに、ヒガシウィルウィン、ゴールデンヒーラー、そして今回のヒロシクンと4頭連続となった。
フジユージーンはシアンモア記念2着後、静岡県御殿場の富士ファームで完全リフレッシュ。8月上旬に帰厩し、予定どおり青藍賞で戦列復帰を果たしたが、プラス20キロ。大幅な増加も敗因だったと思うが、馬体の張りは春に比べて数段上。ヒロシクンのマイペースに持ち込まれたにせよ、0秒7(4馬身差)で完敗。当初予定は青藍賞を叩いてマイルチャンピオンシップ南部杯が青写真だったが、現時点では白紙。次走については決断を待ちたい。
今週の岩手競馬
9月28日(日) メイン12R「第6回オータムティアラ」(3歳牝馬 水沢1900m)
9月29日(月) メイン12R「夢・希望 未来へ前進」(B1級 水沢1400m)
9月30日(火) メイン12R「アレキサンドライト賞」(B1級一組 水沢1600m)
9月21日に行われた古馬によるマイル重賞『青藍賞』。"やはりこの2頭の戦い"と思わせたレースはヒロシクンがフジユージーンを退けて優勝。ライバルを三度退けての今季重賞3勝目を挙げました。
戦前の予想通りにヒロシクンがハナを奪ってスタンド前の直線へ。一方のフジユージーンは7番手あたりになって早くもヒロシクンが主導権を握った形で開幕。ややスローに持ち込んだヒロシクンに対してフジユージーンも向こう正面半ばで仕掛けていきますが、3コーナー手前、2頭が並びそうになったところが結果的には"最小の差"となりました。
外から上昇してきたフジユージーンに対してヒロシクンも間髪を入れずスパート。前半のペースの分の余力に加えてこの日は前が止まらない馬場、そこからは2頭の差は開く一方となってヒロシクンが4馬身まで差を拡げてゴール。春の赤松杯・シアンモア記念に続いてここでもフジユージーンを退けて今季重賞3勝目、自身6つめの重賞タイトルを獲得しました。
一気に秋らしくなった水沢競馬場、9月23日のメインレースは12Rに行われるOP級ダート850mの『スプリント特別』。本命は(3)ゴールドボンドを採りました。
夏に岩手に転入してここまで2戦はいずれも盛岡1000mで、オスカーブレインに敗れる形で終わった本馬ですが、先行競り合って跳ね返された転入初戦に比べると2戦目の前走は、同様に競り合いつつ僅差に食い下がっていてこの馬としてのコース慣れ、進境は見せていたと言えるでしょう。
今回もそんな"天敵"オスカーブレインとの対戦になりますが、これまでは向こうがより内枠・自身が外枠だったのが今回は一つとは言え自身が内枠。また自身にとっては初コースになる水沢850mですが、転入前は園田の820m、姫路の800mで実績を積み重ねたように右回り短距離の経験は豊富にあります。これは逆転、雪辱できる舞台設定と判断していいでしょうし、前走で見せた進境の、さらに上積みも期待したいところ。
対抗は(4)オスカーブレイン。4着に敗れた前走は、結果としては重賞で勝ち負けの実績を持つ馬たちに先着されたもの、そんなライバルが不在のここではやはり主力視するのが当然というもの。ゴチャつかずに戦える盛岡がベストではありますが水沢でも850mではスピードを活かした戦いができており、◎の出方、兼ね合いはカギになりますが主導権を握れたらそのまま逃げ切れる可能性も十分。
三番手は(1)グアドループを。今回からA級入りで相手強化は確かですがここまでのレース、走破タイムでは通用して良いものを見せています。間違いなく競り合いになるだろう◎○のどちらかが崩れたら・・・も想像しやすいかも。
以下、現時点では◎○と少し差がある戦績ですがこの馬も右回り・短距離の条件が悪くないはずの(7)カリュウ、一昨年の話にはなりますがこの距離で好タイム3連勝している(6)チベリウス。これらにとっても◎○の競り合い方次第では好機が到来していいでしょう。(横川典視)
●12Rの買い目
馬単(3)=(4)、(3)=(1)、(4)=(1)、(3)=(7)、(3)→(6)
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9月16日(火)、第4R・2歳戦(水沢1400m)でハプニングが起こった。7枠4番に入ったクリエ(父エポカドーロ)はマツリダゴッホでお馴染み"マツリダ"の勝負服で出走予定だったが、勝負服を間違えたため改めて着直して登場。さらにスタートで出遅れて最後方からの競馬だったが、鮮やかなまくりを決めて快勝。5番人気の低評価を覆し、単勝1450円の高配当を演出した。
鞍上は岩本怜騎手。9月16日終了時点で45勝、8位をキープしているが、昨年9月に通算500勝を達成。またデビュー2年目、2019年12月28日中山競馬第7Rのヤングジョッキーズシリーズファイナルラウンド中山第1戦をクリノオスマンで制し、JRA初騎乗初勝利の快挙。さらに、同ラウンドで62ポイントを挙げ総合優勝。2019年、NAR優秀新人騎手賞を受賞したつわもの。今回の勝利でもメイクドラマで周囲を沸かせた。さすが岩本怜騎手でした。
22日メインはC1級特別「焼石岳賞」(水沢1400m)。前走1着馬が3頭、2着馬が4頭、3着馬が3頭。好調メンバーがそろい、激戦必至となった。
コモリリーガルは門別3戦目から2連勝を飾り、積極的に遠征。園田プリンセスカップ、プリンセスカップ(盛岡)と牝馬交流2連勝。その後、園田、門別と転籍して3歳7月から岩手入り。3歳重賞・やまびこ賞5着からひまわり賞(オークス)を5馬身差で圧勝した。
同年11月、絆カップ8着後、高知、佐賀と渡り歩いて再び転入。A級4、牝馬重賞・フェアリーC9着からC1へ降格。メンバーが大幅に緩和され、得意の1400m戦で2秒4差で圧勝。能力の違いを見せつけた。コースが替わっても同じ1400m戦で2連勝に王手をかけた。
ダークファンタジーは中央芝1800m3着2回から南関東C2級を経て転入後、2勝2着3回。連対を外したのは前々走4着のみと抜群の安定感を誇っている。前走2着だったが、走破タイム1分26秒7は優秀。次位筆頭と見る。
ビクトリーサイトは南関東6勝、名古屋B級から転入。オープン3戦からB1へ降格して完勝。秋桜賞は6着に終わったが、C1へ降格してアッサリ逃げ切りを決めた。今度は舞台が水沢に替わるが、地力上位は明らか。
マチカゼは中央芝2勝、大井2戦、門別を経て転入。OROカップは相手が強く10着に敗れたが、2戦目の芝オープンで2着に反撃した。ネックは実績のないダート対応だが、C1馬が相手なら上位争いに持ち込める。
ヴィキャンデルは中央未勝利、門別1勝、南関東3勝、門別B3から転入。B2級3着、C1級2着で通用は証明済み。1400m短縮も望むところ。
ジョリーロジャーは大井C1から転入。堅実な差し脚を発揮して2勝2着1回3着1回。引き続きマークが欠かせない。
◎⑦コモリリーガル
〇⑧ダークファンタジー
▲⑪ビクトリーサイト
△⑨マチカゼ
△⑫ヴィキャンデル
△③ジョリーロジャー
<お奨めの1頭>
6R ゴレイジョウ
中央1勝クラスから転入後、圧巻のタイムで2連勝。今度は水沢850mに替わるが、C2では能力の違いが歴然

21日メインはJpnI・マイルチャンピオンシップ南部杯トライアル「第33回青藍賞」(水沢1600m)。1着馬に優先出走権が与えられる。
フジユージーンは昨年、無敗8連勝でダイヤモンドカップ、東北優駿と岩手二冠を獲得。圧勝に次ぐ圧勝の連続でJpnIIへ昇格した不来方賞へ挑戦。サンライズジパングの4着に敗れ、ダート三冠目・ジャパンダートクラシックは10着に終わったが、3歳地方交流・楠賞(園田)を快勝。全員一致で年度代表馬へ選出された。
今季は赤松杯から始動。ヒロシクンの逃げ切りに屈して2着に終わり、続くシアンモア記念も同じくヒロシクンの2着。本来の動きを取り戻していないと陣営は判断して再び静岡県御殿場の富士ファームでリフレッシュに専念した。水沢帰厩は8月上旬。当初の予定どおり青藍賞から復帰。JpnI・マイルチャンピオンシップ南部杯を目指す。中間に破格タイムを連発し、態勢は整った。
ヒロシクンは昨年、中央1勝クラスから転入。B級で3連勝を飾り、一條記念みちのく大賞典へ挑戦。鮮やかな逃げ切りを決めた。続くマーキュリーカップ13着後、夏休みを取って秋は青藍賞から始動。2着に5馬身差をつけ、マイルCS南部杯15着からA級戦1着からトウケイニセイ記念へ出走。執拗なマークに遭ったが、ボウトロイの追撃をハナ差で封じ、重賞3勝目。以上の活躍から4歳以上最優秀馬に選出された。
今季も健在を誇示して赤松杯、シアンモア記念でフジユージーンの追撃を完封。重賞2連勝を飾った。続くみちのく大賞典は3歳馬リケアカプチーノとのデッドヒートを演じ、ハナ差2着。連覇はならずマーキュリーC10着後、夏休みに入り青藍賞2連覇を狙う。
ライアンは南関東4勝、障害を経て昨年4月に転入。芝からダート変更・せきれい賞、大みそかの桐花賞と重賞2勝をマークした。今季は重賞・みちのく大賞典4着だったが、平場戦で2勝。良馬場、マイル対応も可能になった点は心強い。
ヘリオスは中央ダート8勝。ダートグレードの常連で名を馳せて今季転入。2戦4着止まりだったが、3戦目で重賞・あすなろ賞を快勝。古豪健在を誇示した。6月、さきたま杯10着後は自きゅう舎で調整。格で上位争いに持ち込む。
スプラウティングは中央3勝クラスから転入。初戦で水沢1400m重賞・栗駒賞を快勝した。続く一戦も快勝し、岩鷲賞5着、クラスターC9着。前走は自己条件に戻って首位を奪回した。マイル延長がネックだが、小回り水沢なら克服圏内。
シンヨモギネスは中央ダート1700m2勝。2勝クラスでは勝てなかったが、2着9回。岩手入り後も未勝利ながら2着3回。マーク欠かせない。
◎④フジユージーン
〇②ヒロシクン
▲③ライアン
△①ヘリオス
△⑩スプラウティング
△⑧シンヨモギネス
<お奨めの1頭>
1R フェズカズマ
園田A級から岩手最下級C2へ編入して初戦を完勝。今度は850mが舞台だが、中央ダート1000m1勝クラスを快勝。絶対能力でカバーする
