松尾康司 1958年青森県出身。「テシオ」編集長 。思い出の馬は伝説の名馬トウケイニセイ。横川典視 1969年高知県出身。『いわて競馬マガジン テシオ』編集記者として活動中。東北の馬産地との繋がりも深い。
松尾康司 1958年青森県出身。「テシオ」編集長 。思い出の馬は伝説の名馬トウケイニセイ。横川典視 1969年高知県出身。『いわて競馬マガジン テシオ』編集記者として活動中。東北の馬産地との繋がりも深い。 現在、盛岡競馬は交流レース真っただ中。9月2日(火)にはJpnII「第57回不来方賞」(盛岡ダート2000m)が行われ、まさにジャパンダートクラシック・トライアルにふさわしいメンバーがずらり。詳細は次週に報告するが、翌週7日(日)は"GRANDAME-JAPAN2025"古馬シーズン「第51回ビューチフルドリーマーカップ」(盛岡ダート2000m)。先日、各地区の代表馬が発表された。
◇他地区地方競馬代表・グレースルビー(大井)、ザオ(船橋)、ポルラノーチェ(門別)、マテリアルガール(浦和)、ラブラブパイロ(大井)、ローリエフレイバー(大井)、ワラシベチョウジャ(大井)*五十音順、補欠・省略
迎え撃つ岩手勢はトライアル・フェアリーカップの上位3頭ミニアチュール、ケープライト、ポンヌフが有力どころ。特にミニアチュールはBドリーマーC2連覇の期待がかかる一戦。今シーズンは好走を続けながらも未勝利だったが、フェアリーCを2秒差で圧勝。これまでのうっ憤を一気に晴らした。
勝利インタビューで佐藤祐司調教師は「今年は善戦はしているし馬の調子が悪いと思ったことがなかったが、流れが悪かったのが心配だった。でも今回すっきり勝ってくれたのでホッとした。次走はビューチフルドリーマーカップだが、JBCレディスクラシック(船橋)へ行ってみたいと思っている」。ミニアチュールの動向に注目してほしい。
25日メインはC1特別「御所湖賞」(盛岡ダート1400m)。8頭立ての少頭数だが、好調馬がそろった上、生きのいい4歳馬が5頭エントリー。ハイレベルの戦いが期待できそうだ。
チアフルヴォイスはデビュー4戦目の京都ダート1400mを快勝。その後、1勝クラス・京都ダート1200mで4着(1分13秒2)と好走して転入。C2編入にも恵まれてアッサリ2連勝を飾った。今回はC1へ昇級するが、2戦のレースパフォーマンスを信じる手。3連勝に王手をかけた。
ネオゴールドはダート短距離2戦3着から門別条件交流を快勝。1勝クラスで3戦とも二けた着順に終わり、岩手入り。初戦をあっさり逃げ切った。前走2着だったが、勝ったアメイジングスターはB2でも勝ち負けの実力馬。逆転首位まで十分。
サンエイキャノンは2歳時2勝、3歳重賞・スプリングカップ3着など好走したが、気性難が出世をさまたげて好、凡走の落差が激しかった。今季も6戦着外だったが、前回2番手キープから完勝。これで負の連鎖を断ち切った。
アナザークイーンは中央1勝クラス、南関東2勝・B3から転入。岩手2勝はコース問わず1400m戦。前走6着はマイルに敗因を求めれば見限るのは早計。距離短縮で反撃に転じる。
ハーツケリーは今年5月、生涯初の勝利を飾った。C1昇級後は4着最高だったが、前走鮮やかな逃げ切りを決めて完勝。1400m1分26秒7の好タイムもマークした。今回も絶好枠に入った。
リーガルスピードはムラなタイプ。自己ポジションを取れないと後方のままに終始するが、好位キープできれば粘りを発揮。加えて盛岡1400m4勝とベストの条件。
◎⑧チアフルヴォイス
〇⑥ネオゴールド
▲⑦サンエイキャノン
△④アナザークイーン
△②ハーツケリー
△①リーガルスピード
<お奨めの1頭>
2R ダンジュカリユシ
4ヵ月の休養明け2戦目から圧巻の2連勝。破格のタイムもマークした。C2据え置きならもう一丁いける

24日メインは地方競馬全国交流「第26回OROカップ」(オープン 盛岡芝1700m)。昨年は芝走路の悪化、さらに視界不良により取り止めしたが、今年は予定どおり実施。南関東から3頭、岩手10頭の計13頭で覇を競う。
シャイニーロックはデビュー当初、中央ダートをメインに使われて2勝。その後、芝へ路線変更して3勝。2023年、GII・読売マイラーズでシュネルマイスターの0秒1差4着。その後、大井、門別、名古屋と転籍したが、未勝利に終わり今年3月、岩手入り。最下級C2編入にも恵まれて2戦目の850m4着以外はオール1着。前走は芝重賞・いしがきマイラーズへ挑戦。1分36秒8の破格タイムで完勝した。鞍上に再び渡邊竜也騎手を指名し、芝重賞2連勝に王手をかけた。
ヴィゴーレは中央芝1800m2勝、ダート1800m1勝。2023年1月、南関東へ移籍。芝2400m交流・せきれい賞へ参戦し、快勝した。昨年連覇を狙ったが、走路悪化のため芝からダート2000mへ変更。ライアンの3着に敗れ、OROカップで雪辱を期したが、今度は競走取り止め。その後は順調さを欠いて7月30日、旭岳賞(門別)で復帰予定だったが、今度は地震による津波の影響で再び取り止め。前走・宮前オープンを叩いて臨む。
ゴールドギアは中央芝5勝から一昨年5月に転入。あすなろ賞2着から芝準重賞・かきつばた賞を優勝。せきれい賞へ1番人気で臨んだが、ヴィゴーレに屈して2着。続くOROカップ3着。昨年も芝をにらんでレースを使ったが、走路悪化のため取り止め。それでもみちのく大賞典3着、あすなろ賞2着などで好走し、桐花賞8着後、名古屋へ移籍して再転入前を快勝。好ムードで帰郷し、せきれい賞を快勝。ベストは芝2400mだが、芝1700mもひとまず守備範囲。
ギャレットは2歳時に芝・若鮎賞を制し、昨年はいしがきマイラーズを優勝。それらを含めて盛岡芝4勝2着2回3着2回。今季は5戦連続で着外と精彩を欠いていたが、前走・せきれい賞2着。ようやく復活の兆し。ベストは盛岡芝1600mだが、1700mも守備範囲と見ていいだろう。
マンダリンヒーローは南関東でデビュー4連勝を飾り、ハイセイコー記念を優勝。続く雲取賞2着からサンタアニタダービーでハナ差2着に惜敗し、ケンタッキーダービー12着。帰国後は勝ち運から見放されて2着の連続。昨年はせきれい賞へ参戦したが、芝からダート2000mに変更。またしても2着に敗れた、今季は3戦とも着外に沈み、芝で心機一転を図る。
リュウノアンは中央2戦0勝から岩手入り。芝準重賞・はまなす賞を含め6勝をマークして南関東へ転籍。長らく1勝のみにとどまっていたが、近3走の浦和2000mで2勝3着1回。上昇ムードで参戦する。
◎③シャイニーロック
〇⑦ヴィゴーレ
▲⑥ゴールドギア
△⑧ギャレット
△⑨マンダリンヒーロー
△②リュウノアン
<お奨めの1頭>
1R テンライ
前走は2ヵ月半ぶりの実戦を問題にせず0秒6差で完勝。ひと叩きされて2連勝へまい進する

8月19日(火) 「第27回ジュニアグランプリ」(2歳・地方競馬全国交流 盛岡芝1600m)
昨年は芝走路の悪化によりダート1600mで実施したが、今年は年度の予定どおり芝1600m行われ、北海道3頭、岩手10頭の計13頭で覇を競った。好スタートを切ったイタズラベガが先手を取り、2番手外にトゥーナスタディ、3番手外にラブコラージェン、その内に1番人気セイクリスティーナ。2番人気ブルーメンガルテンは6番手外、クラウニングカップは後方4番手を追走した。
ペースは明らかにスロー。先行馬有利の流れで淡々と進み、直線へ突入。先行2頭が渋太く粘り、内を追走セイクリスティーナの出場所が一瞬なくなったが、最内を突いて一気に抜け出す。外からトゥーナスタディもいい脚で伸びてきたが、半馬身差をつけてセイクリスティーナが快勝。トライアル・若鮎賞に続いて芝重賞2連勝を飾った。
1着・セイクリスティーナ=山本聡哉騎手
「返し馬でテンションが上がっていたし、ゲート内でも騒狂したのでヒヤッとした。スローだったので理想的なポジションが取れたが、逆に団子状態だったので厳しいポジションになった。ハミがかかっていたが、前で逃げていたのが乗っていたイタズラベガだったので、この馬の後ろだと大丈夫だと思った。中間、すごく具合が良くて掛かる予感はあった。周囲を囲まれていたが、小柄で小脚を使えるタイプですから(狭くても)迷わず行けました。前の2頭がスローで脚が貯まっていたので意外に渋太かったが、最後まで脚を使ってくれた。デビュー2戦目で勝った時、牝馬路線ではこの馬が一番と思っていたが、ジュニアグランプリを勝ったので岩手を代表する馬になると思います」
佐々木由則調教師
「パドックで最初は落ち着いていたが、周回を繰り返すごとにテンションが上がっていた。その影響もあってゲートで暴れていたのが心配だったが、うまくスタートを切ってくれた。今後は遠征も考えていない訳ではないが、この後は少し休ませて疲れを取ることに専念したいと思っている」
セイクリスティーナはデビュー戦の盛岡ダート1000mで出遅れを喫して2着に敗れたが、2戦目の水沢1300m戦を1秒6差で圧勝。続いて芝重賞・若鮎賞へ駒を進めて0秒3差で完勝。レースレコードとなる盛岡芝1600mで1分39秒1の好タイムをマークした。これで芝2連勝だが、ダートも問題ないことが2戦目で証明済み。今後の選択が注目される。なお2着に敗れたトゥーナスタディはJRA・芙蓉ステークスへ挑戦する予定だという。
今週の岩手競馬
8月24日(日) メイン10R「第26回OROカップ」(オープン・地方競馬全国交流 盛岡芝1700m)
8月25日(月) メイン12R「御所湖賞」(C1級 盛岡ダート1400m)
8月26日(火) メイン12R「初秋特別」(A級一組 盛岡ダート1600m)
8月19日のメインレースは第10Rに行われる2歳芝の地方競馬全国交流重賞『ジュニアグランプリ』芝1600m・13頭立てです。
昨年のこのレースはダートに変更して行われ、本来の芝の舞台で行われるのは2年ぶり。そして例年9月下旬に行われていたのが昨年からは8月下旬に移動していたので、この時期に行われる"芝の"ジュニアグランプリは初めてという事になります。
以前はJRAの夏の北海道シリーズ等で芝に遠征した経験がある馬が転戦してくるパターンがあり、盛岡の芝は初めてでも芝レースの経験はあるということで参考にできたのですが、今年の遠征馬は全馬初芝となって評価が難しくなりました。
遠征馬が初芝でも力を発揮するか、あるいは芝経験がある地元馬がアドバンテージを持つか?ただそれはこのレースが今後もこの時期に行われるのであれば毎年カギになってくる部分ですから今年の勝敗の行方は今後の参考にもなるでしょう。その視点からも大事な一戦になるのでは。
さて予想に行きましょう。本命は(2)クラウニングカップです。
6月の門別での新馬戦は断然の1番人気に支持されながらも2着敗戦。前評判が非常に高い馬だっただけに意外でもありましたが、今からするとこの時は真面目に走っていなかった、ということだったようです。2戦目からはブリンカーを付けてきっちり勝利、3戦目、前走は2着でしたが敗れた相手は今週木曜の門別の重賞で本命級の評価がされるだろう馬、負けて評価は下がらないものです。
まだ遊び遊び走っている、経験を積んでもっと良くなっていく馬だというのが本馬を管理する田中淳司調教師の現時点での評価。まだ成長途上なのでしょうが、それでもここまで見せたパフォーマンスは十分なものですし、初遠征・初芝でも対応できそうな血統背景も期待をかけて良いものでしょう。
対抗は(12)ブルーメンガルテン。こちらも勝ち星こそ一つに留まっているとはいえ戦ってきた相手が重賞級で・・・という評価は◎と同様。初距離になる分・マイルの8枠になる分で対抗評価に留めましたが、鞍上が全てをカバーしてしまうかも・・・の可能性も十分。例えばよほどの馬体重の増減でもない限りは軽視するのは禁物。
地元の大将格(8)セイクリスティーナが単穴三番手。若鮎賞での勝ちタイム1分39秒1はここまでの同レースで最速。今年7月頃の芝は状態が良く時計も非常に速かったので、以前の8月中~下旬、芝の時計が落ち始めた時期の若鮎賞と単純比較してはいけないかもしれませんが、これだけの好時計ならの魅力は十分。現に盛岡の芝を勝っている地元の利、アドバンテージも武器になっていいでしょう。
以下、(10)ベイビーザロックはここまでの実績比較では他に比べてやや物足りませんがダートより芝の方が走りやすそうなフットワークに注目しての印を。(13)トゥーナスタディはデビュー時こそ成長途上ですぐには勝てませんでしたが、直近3戦で2勝2着1回、芝でも連続好走と完全に軌道に乗りました。大外枠を上手く乗り切れれば上位に。(横川典視)
●10Rの買い目
馬単(2)=(12)、(2)=(8)、(12)=(8)、(2)→(10)、(2)→(13)
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明後日19日は2歳・地方競馬全国交流「第27回ジュニアグランプリ」。昨年は芝走路の悪化によりダート1600mで実施したが、今年は当初の予定どおり盛岡芝1600mを舞台に行われる。今年は門別から3頭が参戦。いずれも芝競走は未経験だが、一昨年から過去10年の地区別優勝は北海道(門別)7勝、岩手3勝と北海道勢が優位に立っている。果たして今年は北海道に軍配があがるか、それとも岩手勢が2020年(マツリダスティール)以来の勝利を飾るか、注目の一戦となった。
18日メインはB1級馬による特別「秋桜賞」(盛岡ダート1400m)。前走1着馬は10頭中4頭。さらに1400m適性も重要なファクターとなり、馬券的にもおもしろいメンバー構成。
主軸にウイニングライブを指名する。新潟芝2000m1勝から昨年9月に転入。当初は未経験のダートにてこずって1勝2着1回3着2回にとどまったが、今季5戦4勝4着1回。ジューンカップ(B2)を皮切りに、特別3連勝中。充実一途をたどっている。最大ネックは未知の1400m。過去最短は1600m戦で忙しい競馬にとまどわないかが不安だが、勢い一番。コース広い盛岡なら十分克服できる。
逆転筆頭はビクトリーサイト。南関東デビューで6勝2着6回。B1級まで出世し、名古屋へ転籍。2着1回3着1回が最高に終わり、岩手入り。A級3戦で5着1回が最高だったが、B1降格戦を完勝。2番手の積極策から4角先頭に立ち、そのまま押し切った。今回、負担重量58キロだったが、関本玲花騎手が騎乗するので2キロ減56キロ。弾みついてもう一丁いけそう。
キャンドルベリーは中央4戦0勝から南関東へ移籍。5戦4勝の成績を収めて再び中央入りしたが、4戦着外に終わり岩手に新天地を求めてきた。その選択が正解。先行力と粘りを武器に3勝2着3回3着3回とすべて馬券対象。前走もハイタイムで逃げ切りを決めた。すんなりの流れならあっさりまで。
ツルマルベルは典型的な追い込み脚質で取りこぼしも多いが、1400m専門に使われて2勝2着1回。前々走、見事な追い込みを決めた。先行激化すれば一気突き抜けるシーンまで。
ウインチャチャは中央未勝利、高知1勝、南関東5勝・B3級から転入。2戦目から1勝2着2回3着2回にまとめ、安定ぶりを発揮している。
タイセイアゲインは中央ダート3勝、南関東1勝・A2級から転入。B1へ再降格2戦目で反撃に転じる。
◎③ウイニングライブ
〇⑤ビクトリーサイト
▲⑦キャンドルベリー
△⑨ツルマルベル
△⑥ウインチャチャ
△②タイセイアゲイン
<お奨めの1頭>
1R ポムファッジ
南関東C2から転入後、盛岡1000m戦をあっさり連勝。地力の違いを見せつけている。相手強化感もなく、もう一丁いける
