
今週から岩手のオープンクラスがスタートした。まだヒロシクン、ミニアチュール、ノーブルサターンなどトップグループはじっくり待機。おそらく各陣営とも赤松杯から始動する可能性が高い。また年度代表馬および3歳最優秀馬フジユージーンはぶっつけでシアンモア記念へ向かう予定。各馬の動向は分かり次第、報告したいと思っている。
一方、オープン短距離路線は17日(月)、12R「スプリント特別」(水沢850m)からスタートするが、先週11日(火)、B1級・850m戦で余裕の逃げ切りを決めたアップテンペストも春のスプリント重賞・早池峰スーパースプリント(6月15日 水沢850m)へ向けて好発進を決めた。
昨年の覇者ダイセンメイトが引退し、繁殖入り。今回のスプリント特別はポスト・キラットダイヤ、ダイセンメイトを占う意味でも重要な一戦となった。
主軸にサラサワンを指名する。中央1戦0勝(2戦目は競走除外)から3歳時に岩手入り。あっさり3連勝を飾った。続くC1特別・岩洞湖賞は1600mの距離が長く9着に終わり、直後に南関東へトレード。9勝2着2回3着2回の好成績をあげ、A2級まで出世した。
不安は転入前2戦連続で着外に沈み、850mも未経験だが、川崎900m1戦1勝なら問題なし。何よりも岩手在籍馬が12月以来の実戦に対し、サラサワンは2月まで使われてきた点が強味。仮に今回を快勝するようなら短距離界の主役に躍り出る可能性も高く、注目の一戦となった。
カタナは中央ダート4勝・オープンから大井、名古屋を経て転入。スプリントをメインに使われて通算8勝をマークした。昨年はA級で2着1回3着1回からシーズン途中でC1へ降格。メンバーが大幅に緩和され、5勝3着2回の快進撃を演じた。今回はオープン復帰戦となるが、水沢850m6勝と最も得意とする条件。あっさり首位まで十分。
レディブラウンは昨年、7勝2着5回3着1回。重賞・絆カップでウラヤの2着確保と充実したシーズンを送った。持ち味は牝馬らしくシャープな切れ。昨最終戦もきっちり勝利で締めくくった。気になるのは初の850m戦。過去最短は1000mで3戦2勝。ひとまず短距離適性は問題ないようだが、850m戦は何度も記したが、特殊レース。実力は認めても▲評価に落ち着く。
オスカーブレインは2歳時にサッポロクラシック(門別1200m)、3歳交流・ハヤテスプリント(盛岡1200m)と重賞2勝。昨年12月に転入し、3戦とも着外に終わったが、冬休みでリフレッシュ。自分の競馬ができればアッサリまで。
ファルークは函館ダート1000m1勝、南関東C1級を経て2022年に岩手入り。最下級C2からスタートして8勝マーク。ついにオープン入りを果たした。相手は強化されたが、850m5勝2着3回。適性は引けを取らない。
◎④サラサワン
〇②カタナ
▲①レディブラウン
△⑤オスカーブレイン
△⑦ファルーク
<お奨めの1頭>
1R トラネスハープ
B1級・850mで3着2回4着1回の成績をあげ、最下級C2へ降級。メンバーが大幅に甘くなり、順当に勝機を迎えた
先週9日(日)から再開した岩手競馬。11日(火)、第4Rで1着グレースアイリス(11番人気)、2着ハーツケリー(6番人気)、3着ドナマギー(5人気)の順で入線し、3連単817万1760円。いきなり岩手競馬の最高配当を記録した。
従来の記録は2009年12月13日。水沢競馬の537万8990円。約300万円も上回る特大万馬券が飛び出した。勝ったグレースアイリスはドゥラメンテ産駒で中央未勝利から転入。5戦目に3着、9戦目で初勝利を飾ったが、その後は入着止まり。しかも今回はC2級五組からC2級一組に入り、メンバー強化。11頭立て11番人気だったが、低評価を見事覆した。
好走要因は4番手インに入れて、うまく流れに乗れたこと。前半3日間の傾向は逃げ有利、差し有利ではなくインで脚を貯めていた馬の好走が目についた。人気薄でもうまく内で競馬ができるか否か。今週は傾向が変わる可能性も高いが、まずは内有利だったことをインプットしてほしい。
16日(日)メインはA級一組「弥生特別」(水沢1600m)。当初、桐花賞1、2着ライアン、ミニアチュールの登録もあったが、新シーズンから始動予定。圧倒的な存在が不在になって各馬にチャンス十分。重賞・赤松杯にもつながるメンバー構成となった。
本命はグランコージー。昨年も3月の春競馬から始動。鮮やかな逃げ切りを決め、赤松杯、シアンモア記念と重賞2連勝。春の主役を演じた。続く一條記念みちのく大賞典で4着に敗れ、以降も粘りを欠くレースの連続。入着一杯でシーズンを終えた。
今年8歳を迎えたのは気になるが、1600m10勝とベストの距離に加え、重賞制覇過去5回のうち4勝が水沢1600m戦。今回はトップグループが不在で好発進を決めるチャンス。好枠も引き当てマイペースに持ち込んで逃げ切りを決める。
ボウトロイは昨シーズン、最も充実した1年を送った。4勝2着3回3着5回。前々走・トウケイニセイ記念では、後に4歳以上最優秀馬に選ばれたヒロシクン相手にハナ差2着まで肉薄した。こちらは盛岡、水沢を問わず1600m戦で最大能力を発揮する。
昨年も同じく弥生特別へ出走してグランコージーの1秒1差4着。この結果を重視して印の序列を決めたが、勢いはボウトロイの方が上。こちらを軸にする手も十分。
マツリダワールドも昨年5勝2着5回3着5回の好成績を収め、前走まで7戦連続で馬券対象を果たした。武器は軽快な先行力と強じんな粘り。特に水沢1400mで2勝2着1回と活躍した。今回のマイルは気持ち長い印象もあるが、それでも粘れるのが心強い。先にも記したように先週と同様、内が有利の馬場なら単まであり得る。
ドテライヤツは南関東デビューで3勝マーク。門別移籍後も4勝をあげ、2022年には重賞・瑞穂賞を6馬身差で圧勝した。昨年12月に岩手入りし、1番人気に支持されたが、粘りを欠いて9着。案外の結果に終わったが、冬場の休養で心機一転。巻き返しに転じて全く不思議はない。
フレイムウィングスは転入後は未勝利だが、桐花賞2着、北上川大賞典2着。昨年もあすなろ賞3着、すずらん賞2着などで健在ぶりを発揮した。ジリ脚タイプで勝ち味に遅く、2000m以上向きだが、地力で上位進出。
スターシューターは大井1400m以下で通算13勝。転入初戦の水沢850mで鮮やかなまくりを決めた。2戦目は3着に終わり、今回の1600mは初距離だが、小回り水沢ならこなせるはず。軽視できない。
◎③グランコージー
〇④ボウトロイ
▲①マツリダワールド
△⑤ドテライヤツ
△⑧フレイムウィングス
△②スターシューター
<お奨めの1頭>
1R ジャスタヘイロー
転入戦は3着に終わったが、初距離もこたえた。条件2度目で首位を奪取する
3月9日(日) 「第50回スプリングカップ」(3歳 水沢1400m)
昨年度までスプリングカップは岩手一冠目・ダイヤモンドカップのトライアルだったが、今年は持ち回りで行われる門別交流「ネクストスター北日本」が4月6日(日)、水沢1400mで実施。それに伴い、同レースのトライアルへ移行した、
大外に入ったミカヅキカネミツもスピードが身上だったが、ポマイカイが好スタートを決めて主導権を握る。それを見てミカヅキカネミツは2番手に控え、3番手ヴァイスウィッチ、続いてミヤギヴォイジャー、内にラヴェイ、最内枠を引き当てたスノーミックスは6番手からの競馬となった。
昨年まで折り合いが課題だったポマイカイだったが、今回は気分良く飛ばして鞍上の指示にも素直に応える。直線を向いてもスピードは衰えず、外に進路を取ったラヴェイの追撃を完封。2馬身半差をつけて1分29秒6の好タイムで逃げ切った。
1着・ポマイカイ=高松亮騎手
「ネクストスター盛岡優勝後、牧場でしっかり乗り込み、水沢へ帰ってからも順調だったと聞きたので、ボクも余計なことを考えず自信を持って臨した。逃げにはこだわっていなかったが、速かったので結果、逃げる形になった。大事にしたかったのは1、2コーナーだったが、貯めを作れましたからね。この馬の成長を感じました、次は北海道勢と戦うことになると思うが、気性面でも成長が見られたので、強い相手にもいい競馬をしてほしいと思っています」
菅原勲調教師
「もう少し体重が増えてもいいかなと思ったが、落ち着いてパドックを回っていたし、レースでもリラックスして走っていたので精神面の成長を感じた。時計も速かったので納得のいく内容だった。次走はネクストスター北日本(水沢1400m)ですが、今日の感じだとマイルも持つかもしれませんね」
ポマイカイはネクストスター盛岡を快勝後、テンコートレセンへ移動。坂路を中心に鍛え直して帰厩。コメントにもあるとおり折り合いが課題だったが、逃げたとは言え、掛かる仕草をまったく出さなかった。それで菅原勲調教師がマイルも我慢できるとコメントした。ただ今回は休み明けが大きかったかも知れず、2戦目になるとテンションが可能性も否定できない。その意味でも次走・ネクストスター北日本は非常に重要な一戦となる。
2着・ラヴェイ
昨最終戦・金杯を快勝したときも仕上がりの良さが目についた。こちらもテンコートレセンで乗り込まれて帰厩。その効果が大きく、金杯以上の状態だったといっても過言ではなかった。今夏界はポマイカイは完敗だったが、1400m適性差も出た格好。マイル以上なら逆転の目は十分ある。
3着・ミヤギヴォイジャー
終始好位をキープしてレースを進めたが、勝負どころの3コーナーで次第に先行2頭から離される。直線入り口ではスノーミックスにも交わされたが、ゴール前で再び差し返して3着を死守。金杯2着の意地を見せた。
14年目の3月11日になりました。2011年のこの日起きた東日本大震災は岩手県にも大きな被害をもたらしました。以来復興が進められてきましたが、震災の影響は未だに各地に残っているように見えます。
折しも今年、そんな3月が迫ってきた時に大船渡・陸前高田で大規模な山火事が発生して、またしてもの避難生活、またしてもの被害を受けた方がおられるというニュースもありました。災害というものは常に身近にあると改めて心に刻むと同時に、山火事被害からの1日も早い復旧を、そして東日本大震災の被害を受けた方々の心の安寧を、改めてお祈りいたします。
3月9日から始まった春の水沢競馬。今月に入る頃まで、というか2月になったくらいから雪が積もるような日が増して寒さが堪えるような感じだったのですが、いざ競馬が始まるとなると日差しも一転春めいてきたように感じます。夕方からはまだまだ寒いんですけども春はどんどん近づいてきている印象。
一方競馬の面から見ると、盛岡競馬場はかなり雪の影響があったようですが、水沢競馬場の方は案外雪が少なく調教も進んでいたとのこと。馬の仕上がり具合にはまだしばらく違いというか、2月になってからのドカ雪の影響がありそうです。
3月11日のメインレースは11Rの『東日本大震災津波を語り継ぐ日』、B1級一組・ダート1600mの11頭立てです。
先にも触れた競馬場間の仕上がり具合の差と、そして今週の水沢競馬場はこの時期にしては軽めの、時計が速い・先行馬が戦いやすいコース傾向になっている点に注意しつつの予想として、本命は(4)サンエイコンドルを採りました。
昨秋以降はB1に降級していたとはいえ昨年の今頃はA級で勝ち星も挙げていた馬。その昨年4月15日のA級二組での勝利は2番手先行から圧勝しています。一組戦で大敗してからリズムを崩していた印象ですが、降級して、そして戦いやすい水沢に変わって勢いを取り戻してきたように見えます。他にも先行タイプはちらほらいますが戦法の手堅さではこちらが上位と判断。そうなれば今の馬場も味方して・・・と見ての本命視。
対抗は(3)マツリダショパン。前走は鞍上が上手く導いた印象が強いですが、前残り傾向が強かった中でマクリ差しを決めたのは馬にもそれだけの勢いがあったと考えたいもの。今の馬場傾向は味方ではないかもですがその勢い継続に期待したいし、マイルなら好位からの競馬をしていた点にも注目しつつ。
(7)フェブサンカラが三番手。昨年終盤はC級→B2級と上がってきていたところで、今回の元A級も多いB1では相手強化感があるのは確かですが、時計自体にさほど大きな差が無いのも確か。コース慣れ・クラス慣れが進んでいるとすればもう一歩前進もあっていいと判断。
以下、まず(2)ジャッジ。勝ち星からは少し遠ざかっていますが、昨年の終盤は復調気配濃厚で勝ち切れなかったのは展開が向かなかっただけの印象がありました。あとは仕上がり具合がカギ。(6)エイシンガネーシャも昨年後半は勝ち切れないながらの安定感、存在感は戻ってきていた印象。こちらも流れひとつで上位食い込みがあっていいでしょう。(横川典視)
●11Rの買い目
馬単(4)=(3)、(4)=(7)、(4)→(2)、(4)→(6)
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岩手競馬の再開を前に残念なニュースがあった。岩手競馬の最年長ジョッキー・関本淳騎手が2月20日(木)付で騎手免許を返上。弟さん関本秀幸さんの牧場で新生活を送っている。通算成績21594戦2315勝、重賞33勝。ツルマルダンサー(南部駒賞)、スパートクロス(山形記念樹氷賞、ラ・フランス賞)、コアレスレーサー(みちのく大賞典)、プレイアンドリアル(ジュニアグランプリ)など数々の強豪とコンビを組んだ。
2月22日(土)、関本淳さんの送別会には多くのジョッキー、一部調教師も参加。関本淳さん、第二の競馬生活を見送った。2003年、上山競馬が廃止後、翌年から岩手競馬に移籍。ともに苦楽を共にした板垣吉則調教師が"兄ィ"の騎乗、人柄を誉め讃えた。それにこたえて関本淳さん「突然になってしまいましたが、還暦を迎えて騎手免許を返上しました。ですが、今後は弟の牧場で働きますので競馬からは離れません。またどこかで会えると思っています」。42年の騎手生活にピリオドを打った関本淳元騎手。またお会いした時はよろしくお願いします。お疲れさまでした。
師匠でもある晴山厚司調教師も2月28日(金)、調教師免許を返上した。調教師通算917勝。2002年の第30回みちのく大賞典をシネマパラダイスで優勝した。元スピードスケート選手でもあった晴山さん。きゅう務員時代も含めて大変お世話になりました。ありがとうございました。
10日メインは岩手県調騎会騎手部会協賛「夢・希望 未来へ前進」(B1級 水沢1400m)。幅広い年齢構成となったが、フレッシュ4歳2頭を本線に採った。
フェルサイトは新潟(2014年)で行われたスプリンターステークスを制した数少ないスノードラゴン産駒。中央4戦0勝から転入後、5勝2着1回。馬券対象から外れたのは3走前、B2昇格戦の4着のみ。続いて2、1着に反撃してクラス通用を証明した。今度はB1メンバーが相手だが、成長を続ける4歳馬。好発進を決め、オープン入りを目指す。
プリンセスナイトは中央3戦0勝から岩手入り。4勝2着3回3着1回。3走前8着と着外に沈んだが、以降1、3着に反撃した。フェルサイトとは昨年2度対戦して2度とも先着を許したが、わずか半馬身、ハナ差負け。まだ完全に勝負づけは済んでいない。こちらも自在脚質で展開不問。流れ次第で逆転の可能性は十分にある。
コンバットココは門別2勝2着2回から南関東へ移籍。初戦を2着にまとめた。転入前3戦は着外に終わったが、南関東C1→岩手B1編入なら間に合う格付け。仕上がりの早い小柄な牝馬で初戦から勝ち負けに持ち込める。
アーバンキッドは中央芝3勝オープンから障害を経て2021年に転入。いきなりOROカップで2着に気を吐いた。当初は芝が主戦場だったが、年を重ねるごとにダートも克服。昨年も1勝2着4回3着3回で健在を誇示した。12歳でも軽視できない。
ブライリーは昨春、2連勝を飾ったが、4月30日5着後、脚部不安が発生して無念のリタイア。同年10月に復帰し、徐々に調子をあげていた。
ツルマルベルは成績安定しないが、時に大駆け。ペースが速くなれば台頭の可能性がある。
◎⑨フェルサイト
〇①プリンセスナイト
▲④コンバットココ
△⑤アーバンキッド
△⑦ブライリー
△②ツルマルベル
<お奨めの1頭>
1R ナナドリーム
3走前、B2級850m戦を快勝。適性を証明し、今回からC2へ一気に降格。メンバーにも恵まれた