
追悼・トーホウエンペラー②
トーホウエンペラーは当初、中央デビューの予定だったが、慢性的な脚部不安を抱えてたため未出走で岩手入り。常に脚元と相談しながら、3歳・12月31日、ようやくデビューにこぎつけた。
さすが後のGI2勝馬。無敗9連勝を飾った。東京カップけやき賞4着に敗れたが、オープンまで出世したJRA・ウインマーベラスでは仕方なし。その後は軌道修正し、翌年の12月31日、桐花賞を優勝。わずか丸1年で最下級から岩手トップを極めた。
菊池武くんが振り返った。「現在も馬にかかわっていますが、あれ以上の馬に出会ったことがありません。とにかくパワフルでした。球節に爆弾を抱えていましたし、骨が固まるのも遅かったけど、体力がけた違いでした。IQも高かったと思います。桐花賞の勝利は村上忍くんといっしょに考えた頭脳プレー。バンチャンプがいましたから、意識的に下げたのも勝因でした。桐花賞の勝利は大きかったと思います。これで全国でも通用する手ごたえをつかみました」
翌シーズンも快進撃を続け、赤松杯、シアンモア記念を連勝し、帝王賞へ挑戦。初グレードがいきなりGIだったが、5着に健闘。続いてマーキュリーカップ3着、エルムステークス2着、青藍賞1着、マイルチャンピオンシップ南部杯2着。グレード制覇も手の届くところまで近づいた。
*このコーナーは次週に続きます。
11日メインはA級一組「晩秋特別」(盛岡ダート1600m)。年度代表馬を目指すヒロシクンが登場。トウケイニセイ記念の前哨戦にこの一戦を選んだ。
ヒロシクンは中央1勝クラスから転入後、B1級で3連勝をマークして岩手の伝統重賞・一條記念みちのく大賞典へ強気の挑戦。メンバーが一気に強化されたが、鮮やかな逃げ切りを決めた。最大勝因は淡白な性格を高松亮騎手が理解していたから。自分の型に持ち込まないと走る気をなくす癖を分かっていたので、強気に攻め続けて金星をあげた。
マーキュリーカップ13着後、福島へ移動して休養。青藍賞で復帰して2着に0秒8差で完勝。秘めた才能を全面開花させた。南部杯15着後、適クラがなかったが、トウケイニセイ記念へ向けてひと叩きが欲しかった。佐藤雅彦調教師「確認したところ56キロで出走できると聞いたので、この一戦を使います」。トウケイニセイ記念へ向けて弾みをつける。
グローリーグローリは昨年、中央オープンから転入後、赤松杯、あすなろ賞と重賞2勝。今季当初は脚元不安から順調さを欠いたが、徐々に調子を上げて1勝2着3回。夏に弱いタイプで2ヵ月半休養し、復帰2戦目の前走2着。これで本来の動きを取り戻した。
ボウトロイは調子の波が少なくコンスタントに結果を出すタイプ。準重賞・桂樹杯優勝を含めて今季4勝2着2回3着5回。前走3着だったが、気配落ちなく上位争いの一角を形成する。
マツリダワールドは先行力と粘りを身上に毎回好走。今回は願ってもない1番枠を引き当て逃げ必至。あとはヒロシクンが可愛がってくれるかどうか。楽に逃げることができれば残り目は十分。
サクラトップキッドは東北優駿でフジユージーンの2着から重賞・やまびこ賞を快勝。待望の初重賞を手にした。古馬初対決の青藍賞でも3着を確保したが、すずらん賞7着。展開に注文つくが、決め手上位。
セイバイラックは通算1勝のみだが、一連の安定度一目。前走A級一組2着も評価に値する。
◎⑦ヒロシクン
〇⑥グローリーグローリ
▲②ボウトロイ
△①マツリダワールド
△④サクラトップキッド
△⑤セイバイラック
<お奨めの1頭>
5R アージェント
転入初戦を持ったままで圧勝。能力の違いを見せつけた。1400m延長も問題なく、追いかける一手
10日メインは今シーズンの盛岡競馬で行われるラスト重賞「第14回絆カップ」(盛岡ダート1200m)。3歳馬から10歳馬まで幅広くエントリーし、牝馬も12頭中7頭。盛岡重賞フィナーレを飾るにふさわしいメンバーが顔をそろえた。
このレースに合わせてゴールデンヒーラーが戦列に戻ってきた。2歳時から主役を演じ続け、牡馬も相手に重賞11勝。2歳時、最優秀短距離馬、3、4歳時には最優秀牝馬に選ばれた強豪牝馬。今シーズンは短距離路線にシフトして白嶺賞を皮切りに栗駒賞、岩鷲賞と重賞3勝をマークし、4戦4勝のパーフェクト成績。破竹の進撃を続け、クラスターカップ挑戦も視界に入れていたが、体調が思わしくなく断念。生まれ故郷の北海道へ移動して休養に入った。
今回は4ヵ月ぶりの実戦となるが、休み明け実績4戦4勝。まったく苦にしないどころか、久々の方がレースに集中できるのがゴールデンヒーラー。ご存じの方も多いと思うが、今年一杯で現役にピリオド。来期から生まれ故郷の下河辺牧場で繁殖に入るため、競走生活も残りわずか。重賞12勝目に王手をかけた。
トーセンキャロルは3歳時、ひまわり賞(オークス)、OROオータムティアラの牝馬クラシック二冠を獲得。翌年は重賞・岩鷲賞を制し、絆カップ2着。冬場は南関東へ移籍して4戦消化後、3ヵ月半の休養をはさんで帰郷。OROターフスプリント4着、ヴィーナススプリント3着。前走は5着止まりだったが、1000mの忙しい競馬が合わなかった。
今度は4戦1勝2着2回の盛岡ダート1200mが舞台。状態も申し分なく、ゴールデンヒーラーがもたつくようなら逆転の目は十分ある。
グットフォーチュンは中央ダート1400m1勝、ダート1000m1勝から転入。水沢2戦・早池峰スーパースプリント9着、前々走・ヴィーナススプリント8着に凡走。輸送競馬が合わない印象だった。対して盛岡は6戦2勝2着2回3着2回とすべて3着以上。交流・OROターフスプリントはマッドシェリーに0秒1差の惜敗だった。
前走は伸びを欠いて3着止まりが不満だが、盛岡戦も今回がシーズン最後。何とか勝利を飾り、重賞初制覇で締めくくりたいところだろう。
ジュランビルは中央芝3勝、ダート1勝・オープンから南関東へ移籍。以降は積極的に遠征し、イヌワシ賞(金沢)2着、佐賀ヴィーナスカップ優勝、秋桜賞(名古屋)3着。その後、半年の休養を経てOROターフスプリント5着から転入。ヴィーナススプリントで2着を確保した。1200mは芝2勝、前走・水沢1400m2着なら距離は問題なし。好メンバーがそろったが、格でアッサリのシーンまで。
ウラヤは中央3勝クラスから転入。余裕の2連勝を飾り、青藍賞で1番人気に支持されたが、好位一杯6着。南部杯13着と2戦着外に沈んだが、今回はメンバー緩和。1200mは未経験だが、タイプ的にはむしろ合いそうなムード。
ルチルクォーツは水沢1300mのコースレコードを更新。ヴィーナスSP4着、前々走3着に終わったが、前回直線一気を決めて快勝。これで勢いを取り戻した。
◎⑧ゴールデンヒーラー
〇⑤トーセンキャロル
▲①グットフォーチュン
△④ジュランビル
△②ウラヤ
△⑨ルチルクォーツ
<お奨めの1頭>
4R ドリーミンマン
デビュー戦の東京ダート1600mで6着を確保。今回は5月以来の実戦だが、能力検査を使って態勢は整った
11月3日(日)「第40回プリンセスカップ」(2歳 盛岡ダート1400m)
ラポジートが果敢に先手を主張。それを見てリコーシュペルは2番手に控える。3番手外にハッピータレイア、4番手インにスティールブライト。スタートで若干後手を踏んだエイシンナデシコだったが、5番手まで押し上げる。その外にヴィルミーキスミー。
前半3ハロン35秒8、上がり3ハロン39秒4。ラポジートはハイラップを刻んで逃げたが、厳しい競馬を続けている北海道勢には普段どおりだったか。後述するが、レース後、エイシンナデシコに初騎乗した山本政聡騎手のコメントでも裏付けられている。
4コーナーを回る時、ラポジートのリードは2馬身ほどあったが、後続が一気に差を詰める。最内からピカンチフラワー、中を割ってスティールブライト、外からリコーシュペルが残り200mでラポジートを交わし、その中からスティールブライトが抜け出したが、大外からエイシンナデシコが一完歩ごとに差を詰め、ゴール前できっちり差し切って快勝。初重賞を手にした。
昨年同様、1着から3着まで北海道所属馬が独占し、岩手勢ではピカンチフラワーの4着が最高。日程変更によりエーデルワイス賞出走組は今年も1頭もいなかったが、改めて北海道2歳のレベル、層の厚さを見せつける一戦となった。
1着・エイシンナデシコ=山本政聡騎手
「ゲートで腰を落としたが、すぐに態勢を立て直してくれた。相手はヴィルミーキスミーだと思ってレースを進め、あとは流れ次第。意外にペースが落ち着いたので2、3番手の馬が渋太く粘りそうなムードだったので一瞬、(山本)聡哉のスティールブライトにやられたかなと思った。この馬は仕掛け始めの反応ひと息だが、エンジンがかかってからがいい感じのタイプ。最後はしっかり伸びてくれた。前回の重賞制覇も北海道のゼロアワー(門別・フローラルカップ)ですからね。いい馬に乗せていただいて、ありがたいと思っています」
村上正和調教師
鞍上がこの馬の能力をうまく引き出してくれたと思う。ひと頃、走れない時期もあったが、よく立ち直ってくれた。まだ幼い面があってモタれたり、ササったりするが、能力は間違いなくある。今回でようやく結果を出してくれた。次走以降については考えていない。グランダムもあるし、中央入りの選択肢もありますから、オーナーと相談のうえで決めたいと思っています」
*11月6日(水)、第12R「夢・希望 未来へ」(B2級三組 盛岡ダート1600m)で1着ニーケススマイル(4番人気)→2着ホーリーバジル(8番人気)→エナジーフォルテ(10番人気)の着順で入線し、3連単340万1740円の特大万馬券が飛び出した。なお岩手競馬の最高配当記録は2009年12月13日(日)、第7R・B2(水沢1600m)の537万8900円です。
*11月7日(木)、園田競馬場で3歳・地方競馬全国交流「第58回楠賞」(園田1400m)が行われ、フジユージーン(瀬戸幸一きゅう舎・水沢)が快勝。1番人気ギガースとの叩き合い、イン強襲ストリームとの競り合いを制し、重賞7勝目。JpnII・不来方賞、JpnI・ジャパンダートクラシック挑戦の経験を生かしました。関係者の皆さん、おめでとうございます!!
今週の岩手競馬
11月10日(日)メイン12R「第14回絆カップ」(オープン 盛岡ダート1200m)
11月11日(月)メイン12R「晩秋特別」(A級一組 盛岡ダート1600m)
11月12日(火)メイン12R「2024盛岡ファイナル特別」(A級三組 盛岡ダート1600m)
11月3日に行われた2歳牝馬の地方競馬全国交流重賞『プリンセスカップ』は門別勢対岩手勢の構図。結果は門別勢が3着まで独占、勝ったのは1番人気のエイシンナデシコでした。
岩手ラポジートの逃げを門別勢が追う形になった序盤、エイシンナデシコは馬群の中5番手あたりを追走。意外に落ち着いた流れになり門別勢が動き出したのは4角が近づいてから。馬群を捌いて抜け出してきたのがスティールブライト、エイシンナデシコは外に持ち出して追い上げる態勢、ここまでが緩い流れだっただけに最後は各馬同じような脚色の競り合いが続きましたが、一歩前を行くスティールブライトを外からエイシンナデシコが捉えたところがゴール。クビ差の決着は1番人気に軍配が上がりました。
2着はスティールブライトが確保、接戦の3着はリコーシュペルが粘り切って"表彰台"は門別勢が独占。5着も門別ハッピータレイアでしたが地元ピカンチフラワーが4着に食い込んで気を吐きました。
11月6日のメインレースは12Rの『夢・希望 未来へ前進』B2級三組・ダート1600mの12頭立て。本命は(6)ライジングサミットを採りました。
転入後3連勝中、川崎のB2B3から岩手のC2級転入はさすがに楽だったという事になるのでしょうが、連勝している事によって走る度に相手強化があり、加えてコース替わりや距離延長もありながら連勝、それも強さを増すかの走りを見せているのは降級だけが勝利の要因では無いと見るのが妥当でしょう。
そして走破タイムの比較でも、自身の前走はC1級でのものですがB2に入ったここでも全く遜色ないと言える時計です。さらに言うならば今回のメンバーの多くは夏のクラス替えでB2に上がってきたばかりで"昇級"というほどの相手強化感もありません。ここでも主役になる事ができる可能性は大と見ます。
対抗は(7)フェルサイト。こちらは3歳未勝利からの転入でしたが着実に勝ち星を重ね、古馬に編入されても勢いは通用しました。前走も初マイルで歯ごたえある古馬を破っていますし、◎同様昇級となっても力量通用と判断。
(8)ピースワンドルチェが三番手。ここまでの勝ち星は全て1200m~1400mの範囲にある馬ですが近走や昨年の走りからもマイルがダメという事はないはず。昨年もそうでしたが秋頃もこの馬が走るタイミングと思えますし、ここでは伏兵以上の評価をしてみたいところです。
以下、昇級で苦戦の形も時計の差はあまりない(2)ニーケススマイル、降級だけで無く前半戦の頃よりも気配が良く感じる(10)レベランスを穴っぽいヒモ候補に。3着あたりはもつれてもおかしくないメンバー構成でしょう。(横川典視)
●12Rの買い目
馬単(6)=(7)、(6)=(8)、(6)=(2)、(6)→(10)
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10月25日(金)、トーホウエンペラー(父ブライアンズタイム)が繋養先の静内フジカワ牧場で永眠した。28歳だった。当初は中央デビューの予定だったが、球節部分に慢性的な不安を抱えていたため、中央未出走で岩手入り。1999年12月31日、ようやく3歳ギリギリでデビューにこぎつけ、翌年の12月31日、岩手版グランプリ・桐花賞を優勝。最下級スタートから一気に岩手の頂点に君臨した。
出世はとどまらずさらに飛躍。2001年、朱鷺大賞典(当時GIII・県新潟競馬)で初グレードを制し、浦和記念(GII)2着から東京大賞典(GI)を優勝。メイセイオペラも果たせなかった岩手所属馬で初めて同レースを制した。翌2002年には名古屋大賞典を制し、10月にはマイルチャンピオンシップ南部杯を優勝。2着にも岩手所属バンケーティングが入り、ファンから大喝采を浴びた。
同年12月、東京大賞典8着を最後に現役を引退。北海道・アロースタッドで種牡馬入りし、2005年生まれのトーホウノゾミが2007年、南部駒賞を優勝。父に初重賞をプレゼントした。しかし2014年に種牡馬生活にピリオド。静内フジカワ牧場で余生を送っていた。
現在、盛岡競馬場アトリウム1階でトーホウエンペラーの献花台、記帳台を設置しているが、先日、担当きゅう務員だった菊池武くんから電話が来た。菊池武くんは元騎手で208勝をマークしたが、減量苦がたたってドクターストップ。志半ばで騎手を引退し、2年後にトーホウエンペラーに出会った。
*このコラムは次週もお伝えします。菊池武くんが思い出を語ってくれました。
5日メインはB1級特別「ひいらぎ賞」(盛岡ダート1400m)。3歳から8歳まで幅広い年齢層が集まり、しかも好調馬がズラリ。どの馬が勝っても不思議がないメンバー構成となった。
マムティキングは南関東デビューで8勝をマークしてオープンまで出世。その後、名古屋を経て岩手入り。A級で2戦3着1回からB2へ降格してあっさり2連勝をあげた。前走はエスペルトの叩き合いに屈して2着だったが、タイム差なし。1400mは過去7勝と最も得意とする距離。首位を奪回する。
ケープライトは2歳時に若駒賞を制し、3歳時も重賞路線で活躍。今季は水沢1300m・スプリント特別3着が最高だったが、ターフスプリント8着後、目に外傷を負ったため1ヵ月半休養。復帰戦のヴィーナススプリントは太め残りで6着に終わったが、B1降格の前回快勝。これで弾みがついた。
ファルコンビークは一昨年、重賞・川崎マイラーズを優勝。障害2戦を経て転入し、A級2戦2着1回から最下級C2へ降格。余裕の4連勝。B1昇格の前走もアッサリ突破した。今回は盛岡1400mが舞台。忙しい競馬対応がカギを握るが、5連勝十分。
エスクマは前走2ヵ月ぶりの実戦を問題にせず完勝。典型的なサウスポーで盛岡1400mは5戦4勝2着1回とパーフェクト連対。ひと叩きされた上積みも見込め、上位争いの一角を形成する。
ツルマルベルは典型的な追い込み馬で行き脚ついてからの切れが武器。展開に左右されるのがネックだが、決め手勝負になれば一気台頭。
エスペルトはシーズン途中まで精彩を欠いていたが、4走前1着から状態アップ。ここ2戦を2、1着と完全復活を遂げた。
◎⑤マムティキング
〇②ケープライト
▲③ファルコンビーク
△⑧エスクマ
△⑪ツルマルベル
△④エスペルト
<お奨めの1頭>
5R ボエーム
転入戦は出遅れもこたえて3着だったが、前走2着で軌道修正。メンバーが手ごろになって勝機到来