8月18日に行われたダート1000mの地方競馬全国交流重賞『OROターフスプリント』。当初の芝1000mからダート1000mに変更して行われたレースは川崎・マッドシェリーが逃げ切り勝ち。同馬および鞍上の神尾香澄騎手は昨年に続いて連覇達成となりました。
芝からダートに変わっても問題なしという快速自慢が揃っただけあって1000mの戦いは序盤から激しい先行争いに。なかでもマッドシェリーと岩手・グットフォーチュンは2頭で先頭を奪い合いながら直線に飛び込み、そこでもさらに一進一退の攻防を繰り広げます。
手応えはグットフォーチュン優勢かと見えたゴール寸前、しかし盛り返したのはマッドシェリーの方。ゴールでの着差は半馬身でしたが力強く、決定的な勝利でした。
マッドシェリー、同馬を管理する山田質調教師、そして鞍上の神尾香澄騎手はいずれも昨年に続いての連覇。昨年はダート1000mのレコードタイムとして、今年はレース史上2頭目の連覇達成として、歴史に名を刻みました。
8月20日のメインレースは11Rの『かきつばた賞』。先に触れたOROターフスプリントしかり、先週取り上げたはまなす賞しかりで、このレースも本来は芝の準重賞だったものがダート1600mで実施されます。メンバー的には取り止めになったOROカップからの転戦組が約半数。ここから青藍賞を目指す馬も少なくなさそうな顔ぶれです。
さてこのレースの本命は(8)グランコージーです。
マーキュリーカップ後はダート変更になったOROカップに進んでというローテーションだった本馬でしたが、それが取り止めになってここに矛先を変えた形。結果的には1ヶ月ほどレース間隔が開いて、ローテーションに余裕ができたようにも見えます。
直近の二戦は良い結果になりませんでしたが春からシアンモア記念までの3連勝、それもいずれも逃げ切り勝ちは見事な戦績でした。ここも、同型がいたとしても逃げあるのみというレースをするでしょう。通常なら先行争い激化で・・・という話にもなるわけですが、今週の傾向は"少々先行争いが激しくなっても行ききってしまった方が有利"と言える状況です。パワーがある先行タイプのこの馬にとっては絶好の条件になったのでは。
対抗は(4)ゴールドギア。芝専用ではないとはこの馬が出てくるレースを予想する度に書いてきた事。そして末脚がもの凄く切れるタイプではないのでむしろ今週のようなパワータイプ向きのダートも悪くないはず。
(5)ライアンが三番手。小回りの水沢よりは盛岡の方がスピードに乗りやすい印象で、実際前走は2000mのせきれい賞でしっかり勝ちきっています。状態安定、コースも手の内に入っており勢い注目の存在。カギはやはり距離。シアンモア記念、同じ盛岡マイルのレースではグランコージーの逃げ切りを許しています。パワーを要求してくる馬場ももうひとつなのかも、と考えて▲の評価。
(7)ファルコンビークは前走で見せた直線の伸び脚に見せ場あり。その前走より歯ごたえが増した相手で同じ形になるかどうか?ですが、侮れなくなったのは確か。そして(2)マツリダワールドも、理想は単騎逃げですが揉まれず行ければ番手でもレースはできる馬。馬場傾向も味方になる可能性あり。この2頭を△としてピックアップします。(横川典視)
●11Rの買い目
馬単(8)=(4)、(8)=(5)、(4)=(5)、(8)→(7)、(8)→(2)
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19日メインはC1級馬による「御所湖賞」(盛岡ダート1000m)。近2年は芝1000mで行われたが、今年は芝レースはダートへ変更して実施。この一戦もダート1000mで行われる。
シンキングスカイは南関東C2級から転入。初戦の盛岡1400m戦は逃げ一杯7着に終わり、以降は短距離路線へシフトして本領を発揮。4戦連続で連対を続けている。一度2着は相手が強く仕方なし。前後して3勝マークと好成績を収めている。
特に前々走の盛岡1000m戦は1秒差で逃げ切り圧勝。川崎900m3勝の実績がダテではなかったことを証明した。逃げタイプがそろってハイペース必至だが、控える競馬もできるのが強味。負担重量も56キロ据え置きなら、もう一丁いける。
ビービーグリッターは門別0勝、岩手1勝、南関東0勝から今年4月に再転入。3勝2着1回3着5回、着外は一度のみと抜群の安定感を誇っている。課題だった詰めの甘さも盛岡1000mで目下2連勝中で解消。2戦とも36秒台前半の脚を駆使し、強さが際立っている。
不安は内3番枠に入り、馬群をさばくのに手こずることだが、先行タイプがそろってハイペースは確実。自分のポジションをしっかりキープして直線一気につきぬける。
スカイルークは一昨年11月以降、一貫して1200mを使われてきた。今季は水沢850m2着1回が最高で、昨年8月以降は白星から遠ざかっているが、前走3着で良化の兆し。しかもB2からC1降格も見逃せず、盛岡1000m6勝2着3回。ベスト条件でエンジン全開といきたい。
アガットは2、3歳時2着6回。なかなか未勝利を脱出できなかったが、4走前・盛岡1000m戦で待望の初勝利をマーク。これできっかけをつかんで前回も快勝し、今回はB2からC1へ降格。同型が多く展開がカギだが、勢いに乗っている。
アルティジャナーレは中央ダート1400m3着、ダート1200m3着から転入。移籍2戦目を快勝した。今シーズン当初は精彩を欠いていたが、徐々に良化を見せて3走前から3、1、2着。復調した今なら1000m対応も問題ない。
ソルエストレーラは中央芝短距離で2着3回、南関東0勝から転入。当初4戦とも着外だったが、前回ハイタイムで圧勝。これで今後のメドが立った。
◎(4)シンキングスカイ
〇(3)ビービーグリッター
▲(11)スカイルーク
△(7)アガット
△(8)アルティジャナーレ
△(5)ソルエストレーラ
<お奨めの1頭>
6R ミツカネエリーズ
小倉ダート1000mで5着入線を果たし、中山ダート1200mで1分13秒1をマークすれば3歳C2はフリーパス
18日メインは地方競馬全国交流「第14回OROターフスプリント」。今年はすでに発表どおりダート1000mで実施。ダートで行われるのは2年連続。昨年、雨で走路悪化で芝からダート変更になった。
主軸はイッツクール。2歳時に芝1200m、芝1400mを快勝し、GI・朝日杯フューチュリティステークスに出走して9着。4歳1月からダート路線へシフトして中京ダート1400mを快勝してオープン入り。重賞へも2度挑戦したが、2022年に門別へトレード。A1戦・1200mで3勝をマークした。
重賞では道営スプリント4着が最高だったが、今年3戦目・門別スプリントで3着。馬群に揉まれながらも直線で伸びてきた。前走・ポラリスサマースプリントは逃げて9着に終わったが、優勝スペシャルエックスはJpnIII・クラスターカップで5着に健闘。盛岡1000m戦へエントリーしてきた。今の北海道スプリント路線は層が厚く、メンバー有利と見るのが妥当。
グットフォーチュンは東京ダート1400m1勝、札幌ダート1000m1勝。2勝クラスから今年5月に転入。初戦2着、2戦目3着にまとめて早池峰スーパースプリントへ挑戦。850mの忙しい競馬にとまどって9着に終わったが、盛岡に戻って2連勝。前走・1000m戦では強引に先手を主張して58秒2の破格タイムで圧勝した。
今回は交流戦でメンバーは骨っぽくなったが、1000m適性は相当レベル。前走後はOROターフスプリントに合わせて調整を進め、態勢万全。ツーエムマイスター以来、4年ぶりに地元優勝を果たす。
マッドシェリーは昨年、ダート1000m変更のOROターフスプリントをコースレコードで完勝。神尾騎手、山田質調教師に嬉しい初重賞をプレゼントした。遠征前2戦は11、14着に終わったが、相手も強く仕方なし。3走前に船橋1000mを快勝したように復調確か。絶好の1番枠を引き当て2連覇を狙う。
ラビュリントスは2歳時に知床賞(盛岡1400m)、ジュニアグランプリ(芝1600m)を快勝。3歳時にオパールカップ(芝1700m)を勝ち、盛岡コースは鬼的存在。軽い走路が合う。ここ2戦はJRAへ挑戦して前走は9着ながら0秒5差。1000mは門別デビュー戦2着以来だが、一発十分。
ダイセンメイトは早池峰SSを優勝。最下級から大出世を遂げた。今回の盛岡1000mは7戦3勝。今季も4着2回と気持ち長いが、経済コースを走れば克服圏内。位置取り次第で馬券対象になる。
エイシントゥランは昨年2着。インからいい脚で伸びてきた。近走は精彩を欠いているが、軽視できない。
◎⑬イッツクール
〇⑥グットフォーチュン
▲①マッドシェリー
△⑫ラビュリントス
△⑧ダイセンメイト
△⑭エイシントゥラン
<お奨めの1頭>
6R アイフィロス
転入戦を2秒差で圧勝。走破タイムも文句なしだった。好メンバーがそろったが、絶好枠から2連勝を飾る
8月14日(水) 「第29回クラスターカップ」(JpnIII 盛岡ダート1200m)
ドンフランキーが楽に先手を取って主導権を握る。「スタートに集中して普通に出たが、二の脚がすごく速かった」(池添謙一騎手)。昨年のクラスターCと今年のラップを比較すると勝因がはっきり出る。昨年は12秒2-10秒4-11秒0(前半3ハロン33秒6)。内アップテンペストも引き下がらなかったため超ハイラップが刻まれた。
今年は12秒5-11秒3-11秒7(前半3ハロン35秒5)。上がり3ハロンも34秒5でフィニッシュ。このタイムで逃げ切られては後続はひとたまりもなし。2着との着差は半馬身差だったが、ドンフランキーは自分のペースに持ち込んで、後続の追撃を難なく封じた。
1着・ドンフランキー=池添謙一騎手
「昨年はリメイクに負けて悔しい2着だったが、今回は斤量が重くても、力どおりに走ってくれれば十分チャンスがあると思っていた。返し馬もゆるくはなく、いいフットワークで走って状態はいいと思ったが、レースが水曜日に延期された分、600キロの大台になって最後はしんどくなりかけたが、何とか踏ん張ってくれた。ビジョンで確認したら外から迫ってきたが、交わされる感じではなかったので強いレースができたと思う。次回はアメリカ遠征のプランを練っているみたいですから、乗せてもらえるようこれから一つ一つ頑張っていきたいと思っています」
齋藤崇史調教師
「レースが順延されて3日間は運動だったので、その分だけ体重は増えていた。今回は100%の状態じゃなくても勝てたので、次につながる内容だったと思う。この一戦を叩いてさらに良くなってくるはずだから、脚元さえ不安がなければアメリカへ行きたいと考えています」
2着・クロジシジョー
東京スプリントでは出遅れたが、今回は好ダッシュを決めて先団の後ろにつけた。残り400mからスパートをかけると鋭く反応。直線で猛追したが、0秒1差届かなかった。戸崎圭太騎手「ペースが落ち着いて前残りの競馬になったのが痛かったが、いい脚を使ってくれた」
3着・ケイアイドリー
中東2戦から帰国初戦で過去最高体重の533キロで出走。2番手の積極策に出て直線でも粘りを発揮したが、ラストで太目がこたえた印象。次走は確実に変わってくるはず。
4着・ジレトール
行き脚がつかず最後方からの競馬。しかし残り600mからスパートをかけると鋭く反応。上がり33秒5の脚を駆使して大外から一気に伸びてきた。武豊騎手「スタートはおとなしかったが、直線はいい脚で伸びてきた。これならば重賞でも通用する」
8月11日 第38回ひまわり賞(オークス)」(3歳牝馬 盛岡ダート1800m)
前走・やまびこ賞と同じくコモリリーガルがマイペースの逃げ。2番手にコンバットスプーン、3番手外にリケアマロン。道中も隊列は変わらず前残りの競馬だが、コモリリーガルのスピードは衰えず5馬身差で圧勝した。
1着・コモリリーガル=村上忍騎手
「ここを目標にしたので結果を出せてホッとしている。攻め馬の動きが良くなって前走(やまびこ賞5着)より数段上の感触で行けた。掛かる馬ではないが、あまり抑え過ぎないで自分のリズムで走ると持ち味が生きるタイプ。やまびこ賞は3コーナーから周りの圧力があって苦しくなったが、今日はスムーズな展開になったのも良かった。去年、初めて騎乗(プリンセスカップ)させてもらってポテンシャルを把握していた。さらに今回は距離もこなせることが分かったので、今後も楽しみです」
*瀬戸幸一調教師は不在のためコメントなし。
今週の岩手競馬
8月18日(日) メイン11R 「第14回OROターフスプリント」(地方競馬全国交流 盛岡1000m)
8月19日(月) メイン12R 「御所湖賞」(C1級 盛岡1000m)
8月20日(火) メイン11R 「かきつばた賞」(オープン 盛岡1600m)
12日(月)に予定されていた盛岡競馬は台風上陸の影響で取りやめ。14日(水)に代替開催され、全レースもそのままスライド。メイン12RのJpnIII「第29回クラスターカップ」(盛岡ダート1200m)も同メンバー、同枠順で行われる。
ドンフランキーはデビュー2戦で芝を使って2、5着。3戦目の阪神ダート1400mを逃げ切って初勝利。以降はアーリントンカップを除き、すべてダート戦のみを使われてきた。重賞初制覇は4歳7月、プロキオンステークス。1番人気はリメイクに譲ったが、鮮やかな逃げ切りを決めた。
続くクラスターカップでは逆にリメイクの末脚に屈したが、東京盃をコースレコードで逃げ切り。2011年、スーニが保持していた大井1200mレコードを0秒1を更新した。重賞2勝目を手にした。
年が明けてフェブラリーステークスは距離が長かった上、前が総崩れの展開にも苦しみ9着に沈んだが、ドバイ・ゴールデンシャヒーンでは逃げ粘って2着。リメイク(4着)に先着を果たした。今回は帰国初戦で4ヵ月半ぶりの実戦。仕上がりがカギだが、大型馬でもテッポーが利くタイプ。秋のビッグレースへ向けて弾みをつける。
クロジシジョーはデビュー戦の芝1200m8着後、ダート短距離にシフト。4戦目の阪神ダート1400mで未勝利を脱出し、以降も安定。昨年、芝1200mを2度使って8、14着に終わり、再びダート短距離路線へ戻って2勝マーク。前走・東京スプリントが初の地方ダート戦だったが、出遅れを喫しながらもメンバー最速の上がりを披露してジャスティンの2着に突っ込んだ。1200mのスペシャリストぶりを存分に発揮する。
コスタノヴァはビュー戦の芝1600mは11着に大敗を喫し、2戦目からダート路線へ変更。5勝2着1回と連対パーフェクトを続け、目下3連勝中。出遅れながらもすぐに回復して余裕でゴール。スケールの違いを見せつけている。距離最短は前走の欅ステークスだが、タレースレコードタイの1分21秒9をマーク。今回のクラスターカップの結果次第ではダート短距離界に新風を吹き込める。
ジレトールはデビュー戦の新潟芝1400m5着から2戦目、中京ダート1400mを完勝。以降もダート1400mで3勝をマークしてオープン入りを果たした。今年2月、小倉芝1200m8着後、ダート1200m戦へシフト。3、1、1着と再度上昇ムード。母サンビスタはGI・チャンピオンズカップ、JpnI・JBCレディスクラシックを含めて重賞6勝をマークした強豪牝馬。素質開花の期待がかかる。
ケイアイドリーはデビュー当初はダート中距離を使われていたが、4歳4月から短距離メインにシフト。昨年6月、JpnIII・北海道スプリントカップを快勝した。続く東京盃9着、JBCスプリントは9着に終わったが、兵庫ゴールドトロフィーで2着に反撃。59・5キロの酷量を克服した。今回は中東遠征帰りで4ヵ月半ぶりの実戦。仕上がりがカギを握る。
◎(7)ドンフランキー
〇(11)クロジシジョー
▲(12)コスタノヴァ
△(2)ジレトール
△(9)ケイアイドリー
<お奨めの1頭>
1R リッチアロマ
名古屋、南関東900m以下で4勝マーク。最高格付けが南関東B3なら格付け有利は明らか