先週7日から舞台は水沢競馬場に替わったが、同時に格付けも再編成。大幅なクラス変動があった。岩手在籍馬は前12走、転入馬は全20勝の獲得賞金によって格付けが決まる。
一つの例でいえば15日(日)、第1Rに出走するクリノケンリュウ。中央ダート4勝、高知7勝、園田C1級、笠松A級、門別A1級から転入。獲得総賞金は6千900万円余りだが、岩手で一度A級で走って、今回から最下級C2へ大降格。過去12走で稼いだのは笠松時代のA3級5着時の4万円。これが格付け賞金となってクラスが一気に下がった。
以上は岩手競馬の格付けルールの基本。クリノケンリュウが本命視されるのも理解いただけると思う。パドック解説でも意識的に伝えているのは格付け方式を分かって欲しいから。クラスが下がったからといって必ずしも全馬が勝つわけではないが、メンバー有利は明らか。今週も格重視で印をつけた。
15日メインはA級二組「爽秋特別」(水沢1600m)。各馬が一長一短のメンバー構成で波乱の可能性が高く、悩み多い一戦となった。
主軸にハクシンパーソナルを推す。追い込み脚質のため後方のままに終わるケースも多いが、5走前の水沢1600m戦を快勝。また前走は準重賞・桂樹杯で2着に突っ込み高配当を演出した。成績が安定しないのが気がかりだが、相手が大幅に緩和。勝機をがっちりとつかむ。
セイキングダムはシーズン当初は仕上がり途上のため精彩を欠いていたが、徐々に良化を示して3走前2着から目下2連勝中。好タイムを連発した。今度はB1級からA級へ復帰。勝ち星のない水沢へコースが替わるなど不安要素はあるが、勢い重視。好枠から主導権を握り、3連勝に王手をかけた。
ロワマージュは中央ダート3勝、南関東B1級から昨年7月に転入。当初2戦はA級で走ったが、冒頭に記した格付け再編成によってC2へ降格。今年2勝2着1回も含めて10戦連続で連対を果たして、A級へ復帰。初戦は3着にまとめたが、以降は苦戦の連続。夏負けも影響したが、ここにきて復調ムード。
ダブルラッキーは実戦を使われながら調子を上げて前々走3着から前回快勝。待望のシーズン初勝利を飾り、その後は北海道で放牧。今回は2ヵ月半ぶりの実戦で仕上がりがカギだが、気分リフレッシュできたのは確か。
アサンテギアは決め手が冴え渡り、盛岡短距離戦で3連勝をマーク。充実ぶりが目覚ましい。1600m戦は4戦ぶりだが、過去実績から守備範囲。スローに落とされると不発も考えられるが、流れ次第で一気突き抜ける。
ビッグタマテルーフは牝馬準重賞・フェアリーカップでミニアチュールの2着。コンスタントに結果を出せるタイプではないが、流れが合えば反撃必至。
◎⑪ハクシンパーソナル
〇④セイキングダム
▲⑩ロワマージュ
△②ダブルラッキー
△⑦アサンテギア
△⑤ビッグタマテルーフ
<お奨めの1頭>
9R トキノパイレーツ
今シーズンは3着1回が最高だが、オープンからC1へ降格。相手が大幅に甘くなり、絶好の勝機を迎えた
9月8日(日) 「第42回ビギナーズカップ」(2歳 水沢1400m)
枠差を利してステイクラッシーが逃げ、2番手外にラポジート、3番手にポマイカイ。4番手インにピカンチフラワー、5番手に1番人気サンカリプソ。続いてコニパ、2番人気マツリダマスラオは7番手を追走した。
レース前はハイペース模様が予想されたが、思った以上に先行有利の流れ。勝負どころの3コーナーでラポジートがステイクラッシーをあっさり交わして先頭。ポマイカイ、ピカンチフラワーも遅れず追走し、中団につけていたサンカリプソもスパートをかけて進出。直線を向いてラポジートのスピードは衰えず、そのまま押し切って2馬身半差でゴール。2着にポマイカイが粘り、一度3番手に進出したサンカリプソは脚が上がって4着。替わってピカンチフラワーが3着を確保した。
1着・ラポジート=岩本怜騎手
「今回のような2番手外からの競馬が理想。思ったとおりのレースができた。前回(7着)はテンに出しすぎてリズムが狂ってしまったので、今回はテンの入りを気をつけた。道中の手ごたえが良くて掛かり気味になったので3コーナーで早めに抜け出した。最後は脚が上がったが、気合いで押し切ってくれた。この馬は一戦ごとに成長を感じますから、次も楽しみです」
三野宮通調教師
「前回は凡走したが、渋った馬場で走る気をなくしたかもしれない。今日みたいな良馬場が良さそうだし、無理して我慢させると嫌気がさす印象。今回はリズム良く走っていたので納得の結果。これでネクストスター盛岡の優先出走権を獲得できたので直行する予定です」
ラポジートはヘンリーバローズの2世代目産駒。自身は2戦1勝で引退したが、シルバーステートの全弟の血統から種牡馬入りした。ラポジートはデビュー2連勝を飾り、3戦目も1番人気に支持されたが、2番手から失速7着。三野宮調教師のコメントどおり無理をして我慢させると嫌気がさし、リズム良くレースができるかが好、凡走の分かれ目。今回で陣営も手のうちに入れ、次走・ネクストスター盛岡も楽しみになった。
2着・ポマイカイ
3番手で折り合いをつけたのが好走要因。デビュー戦後は力みが目立ち直線一杯となったが、今回はうまく流れに乗れた。1400mまでなら目が離せない。
3着・ピカンチフラワー
6月3日、水沢1300m2着後、千葉、八幡平の牧場で放牧。3ヵ月半ぶりの実戦だったが、3着なら上々。次走への上積みも見込める。
4着・サンカリプソ
門別3戦1勝2着1回3着1回から転入。1番人気に支持され、勝負どころから進出。最後で伸びを欠いたのは距離経験が1000m戦のみ。1400m延長もこたえたが、この経験が以降に生きるはず。
9月8日に行われた2歳馬の重賞『ビギナーズカップ』。例年と若干異なり早くも今季3戦目の2歳ダート重賞となったこのレースはラポジートが優勝。2歳重賞ウイナーの列に加わりました。
4番人気ステイクラッシーが逃げてラポジートはその2番手に付ける形。そしてその直後にポマイカイ、ピカンチフラワーが付ける先行態勢。結果的にはそれら先行勢が上位を占める形になったのですがここではいったん3コーナーあたりの話へ。
逃げていたステイクラッシーが急激に失速・後退していったのが3コーナー手前。入れ替わるかのようにサンカリプソが上昇して前に迫ります。この辺の動きは急でしたが、しかし先頭はラポジートがリードを拡げて粘りこみ態勢。2着以下もそれぞれ追い上げてきますが後続との差は縮まらず、そのまま2馬身半の差を付けてラポジートが重賞制覇のゴールを駆け抜けました。
同馬は6月の新馬戦、続く2戦目を圧勝していたものの前走8月の盛岡戦では突然の豪雨に悪化した馬場に戸惑ったか7着敗戦。その影響なのか今回は5番人気の支持でしたが以前の強さを取り戻した形の完勝。改めて2歳重賞戦線の中心の一頭として名乗りを上げる結果となりました。
今週、この開催から岩手競馬は水沢に移動。10月1日までが秋の水沢競馬として行われます。調べてみたところ"10月の水沢競馬"は1995年10月以来。OROパークができるまでは南部杯が水沢競馬場で行われていたりして(というか旧盛岡競馬場がフルゲート8頭だったため交流競走はほとんど水沢で行われていました)、10月前半の開催場は水沢だったという時期がわりと長かったようですね。その95年の南部杯は、そう、古いファンの方なら忘れることが無い"トウケイニセイが3着に敗れた南部杯"のその年。10月1日のたった1日分だけとはいえ、あの年以来の"10月の水沢開催"とおもうと妙に感慨深いものがあります。
さて予想に行きましょう。9月10日のメインレースは11Rの『カペラ賞』、B1級短距離の1400m戦です。本命は(4)グラフィアスレディを採りました。
今季ここまでまだ1勝にとどまっている同馬ですが、とはいえ盛岡・水沢を問わず大きく敗れたのは6月16日の水沢戦くらい、あとは勝ち馬から1秒圏内に食い下がる堅実な戦いを続けています。レースぶりも気配も安定していると感じる近走ですしこのコース・距離も苦手感無し。相手関係も近走で差が無く戦ってきている馬がほとんど。勝機は十分にあると考えていいのでは。
対抗は(6)マナホクを。最初に言ってしまうなら、今週の水沢は先行有利の傾向が強く本格的な差し馬はかなり不利。なので最後方近くからの捲りになりがちなこの馬にとっては戦いやすいとは言えない状況ですが、しかし二走前なども前が止まらない流れの中を追い込んできて勝ち切っていたりして地力はやはり高いものがあります。ここはその底力に期待しての対抗評価。
(10)セイシークエンスが三番手。A級からB1に降級していた前走をあっさり勝って1年ぶりの勝利を手に。短距離の差し馬的なイメージが強いだけに1400mという距離でもちょっと不安に感じますが、しかしかつてはマイルでも好走していましたし、調子を上げてきた勢いの方を魅力とみて▲に。
以下、まず(3)ハピネスガッサン。1400mくらいであればコースは問わないし、脚質のイメージの割には盛岡はちょっとハマらないこともあるので直近勝ち切れずにいる点も気にしなくて良いでしょう。もう一頭は(8)ミヤコプレジールを。ちょっと勝ち切れないというか、ちょっと取りこぼすというかなところがある馬ですが力量はA級通用のもの。上位争いに加わっていて不思議は無いはずです。(横川典視)
●11Rの買い目
馬単(4)=(6)、(4)=(10)、(6)=(10)、(4)→(3)、(4)→(8)
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今週8日から水沢に替わったが、同時に格付けが再編成された。岩手在籍馬は前開催から前15走の持ち賞金によってクラスが移動した。特に顕著なのが最下級C2級でA級から一気に降格した馬が多いのに気付いたと思う。
そうなると比較基準が難しい。クラスが大きく下がるということは、必然的に今季成績が悪い馬。着外続きだった馬は賞金獲得もなく、着順は度外視したい。特に注目するべきなのは走破タイム。A級、またはB級で10着でも盛岡戦の走破タイムで通用する。一つの例でいえば1200mタイムが1分15秒を切っていれば狙いが立つ。しかもペースも緩くなり追走も楽になる。極端な場合は最後方からの競馬から一転、逃げの手も打てる。
もう一つ役に立つのは連対時の脚質。近走は後からの競馬でも過去に逃げ、先行実績があれば前に行けるケースも多く、近走脚質で展開を組まない方がベター。以上は岩手競馬の馬券検討には欠かせない作業となる。あとは馬場傾向だが、コース替わりには必要不可欠。水沢適性もしっかりチェックしてほしい。
*木曜日にアップした先週のレース回顧の追加情報です。フジユージーンの次走は現在未定。「レース後の状態を見ながらの状態です。次走については1週間ほど時間をください」と瀬戸幸一調教師。決定を待ちましょう。
9日メインは岩手県調騎会騎手部会協賛「夢・希望 未来へ前進」(B1級一組 水沢1600m)。今回は開催替わり週のため、ローテーションの狭間。準メイン11R、メイン12Rとも5頭立てで行われる。特に今年の夏は猛暑が続き、競走馬の体調管理に苦労し、少頭数もやむなし。馬券もできる限り絞って購入したい。
本命はラブロック。今季も2勝2着1回と健在を誇示。3走前の盛岡マイル戦をアッサリ逃げ切った。以降2戦は6、7着に沈んだが、敗因は展開。ハナを奪うことができず直線失速した。しかし今回は少頭数に加えて単騎逃げが明白。マイペースに持ち込んで首位を奪回する。
コマビショウは中央ダート4勝、南関東、笠松、名古屋を経て転入。初戦は競走除外、2戦目は8着に終わったが、3戦目から鮮やかなまくりを決めて3連勝、スタートがカギだが、ロングスパートを決めた。ここ2戦は2、3着だったが、相手も強かった。スロー必至だが、自力で動けるのが強み。
モールは今シーズン最下級C2へ降格。メンバーに恵まれて4勝2着1回。前走8着に終わったが、夏負けの影響。今週に入って岩手は日中はともかく朝晩はかなり涼しくなり、それに合わせて回復。巻き返しに転じる。
エスペルトは昨年4戦3勝だったが、9月以降はリタイア。復帰後は伸びを欠いているが、徐々に復調ムードを漂わせている。
◎(3)ラブロック
〇(2)コマビショウ
▲(5)モール
△(1)エスペルト
<お奨めの1頭>
2R リッチアロマ
南関東C1から転入後、アッサリ2連勝。格の違いを見せつけた。今度は水沢850m戦だが、川崎900mで4勝マークなら問題ない
今週から戦いの舞台は盛岡競馬場から水沢競馬場へ。6月25日(火)以来、約2ヵ月ぶりの開催となる。コース替わりを歓迎する馬がいれば、逆のパターンも多々。開催替わり初日9月8日のメイン「第42回ビギナーズカップ」(水沢1400m)もそれが当てはまり、コース適性も非常に重要なファクターとなった。
主軸にサンカリプソを指名する。門別1000m戦で1勝2着1回3着1回。前々走3着は2番枠に入り、初めてもまれる競馬を経験したが、それでも直線ではマズマズの脚を使って伸びていた。それを受けて前走は好ダッシュを決めて余裕の逃げ切りを決めて4馬身差。直後に岩手入りした。
不安点は1000m経験しかなく1400m延長がカギを握るが、決して逃げにはこだわらない印象。内の動きを見ながらレースができれば問題ないと判断した。加えて先日(8月25日)に行われたジュニアグランプリ(ダート1600mへ変更)はキングミニスター、キングリーエアーと入り、門別所属馬で1、2フィニッシュ。若鮎賞を6馬身差で圧勝し、岩手大将格で臨んだサウザンドマイルは0秒9差3着。以上のことを考えればサンカリプソで十分間に合う。
ステイクラッシーはデビュー戦を競り合いの末に快勝。2戦目は休養明けでいきなり850mから1600m延長。普通ならば失速のパターンだが、渋太く粘って3着。前走はアッサリ逃げ切りを決め、若鮎賞3着がダテではなかったことを証明した。同型が多く展開は楽ではないが、こちらも控える競馬もできると見た。
マツリダマスラオはデビュー戦2着だったが、地元水沢に戻って完勝。素質の片りんをのぞかせた。以降は3、2、3着と最後の詰めが課題だが、盛岡コースも合わなかったか。今回に限れば大外枠も強運で先行激化は必至。終いの脚を生かせればあっさり首位まで。
ピカンチフラワーはデビュー戦で出遅れながらも直線抜け出しを決めて完勝。2戦目はマツリダマスラオに完敗2着に敗れ、その後は千葉、岩手八幡平の牧場で休養。たっぷり英気を養って帰厩した。今回は3ヵ月ぶりの実戦がネックだが、暑い時期を避けたのが吉と出る可能性は十分。
ポマイカイはデビュー戦の盛岡1000mを1秒8差で圧勝。今年、早池峰スーパースプリントを優勝したダイセンメイト譲りのスピードが冴え渡った。しかし以降は折り合いをつけるのに苦労して2、6、2着。気性面の解消が課題となった。その意味で1400mは歓迎。折り合いがつけば連対を果たせる。
コニパはデビュー戦の盛岡1000mを2秒2差で逃げ切り、1分00秒9の破格タイムもマーク。キャリア一戦、1400m延長などクリアーする課題は多いが、絶対スピードで克服するか。
◎⑨サンカリプソ
〇③ステイクラッシー
▲⑪マツリダマスラオ
△②ピカンチフラワー
△⑦ポマイカイ
△④コニパ
<お奨めの1頭>
1R スノーミックス
タワーオブロンドンの初年度産駒。当初予定は盛岡1000mがデビュー戦だったが、頭数不足で不成立。今回は仕切り直しの一戦となった。850m、輸送など不安があるが、地力を信じる手。