10月13日、岩手の看板レース「第27回マイルチャンピオンシップ南部杯」(JpnⅠ)まで10日を切った。今年はGⅠホースの参戦がなく、例年に比べると正直小粒。
ひとまず人気はプロキオンステークスで鮮やかな直線一気を決めたベストウォーリアが集めると思うが、仮にナムラタイタンが出走できれば勝ち負けに持ち込める可能性大。
現時点では最終追い切り次第とのこと。動向を温かく見守りたいが、もし出走して優勝すれば2002年、トーホウエンペラー以来の地元優勝となる。次週まで待ってほしい。
今年はレースはもちろんのこと、ゲストにも注目してほしい。エスポワールシチーのコンビで盛岡・南部杯を2度制した佐藤哲三騎手が来場する。
レース日13日前日、京都競馬場で引退式、騎手免許を返上。元騎手として一発目の仕事が南部杯のゲスト出演となる。
思い出すのは2年前、4馬身差で逃げ切り2度目の南部杯優勝を果たしたが、表彰式後、佐藤哲三騎手はファンの要望に応え、誰一人もらさずサインを書いてくれた。
大震災で大変な思いをしている東北の方々に自分も何かをしたかった」とレースインタビューに答え、来場したファンに最高のプレゼントを下さった。あのときの感謝を込め、精一杯の歓待をしたいと思っている。
5日メインは北海道、岩手2歳の交流戦「第5回知床賞」(盛岡ダート1400m)。今年は4頭が遠征し、迎え撃つ岩手8頭の計12頭で覇を競う。
知床賞が重賞へ昇格後、2年連続で北海道に凱歌。今年も優位は動かないか。
主軸はコーズウェイ。デビュー戦から1700mを使って1勝マークだったが、前走は1200m戦で逃げ切り完勝。内をすくった馬を軽くあしらい、直線で一気に突き放した。レースセンスの良さが際立ち、最有力候補。
クリールジェニーは前々走、コーズウェイに完敗2着だったが、前走は内に包まれて苦しい競馬を強いられたが、直線鋭く伸びてタイム差なし2着。負けて強しの一戦だった。
対する岩手勢一番手はオールドラヴ。ビギナーズカップは先行馬が圧倒的に有利の馬場で差しタイプには厳しかった。それ以前の3連勝がすばらしかった。しかも先に行きたい馬がそろってハイペース必至。展開も向きそうだ。
未知の魅力ならスペクトル。デビュー戦を圧勝後、2ヵ月半の休養から復帰。急仕上げの感があり、850mからいきなり1400mへ延長されたが、最後まで粘って0秒1差2着。ひと叩きされて気配アップは歴然。
ラブディーバはデビュー2連勝後、勝ち運に縁がない。それでもタイム差は0秒1差内の僅差。ビギナーズカップはタイム差なしの悔しい3着。巻き返しに転じて不思議はない。
ミラクルフラワーは門別1000mの新馬戦を圧勝。重賞2戦は相手が強く着外だったが、自己条件に戻った前走2着。逃げ馬が大外に入ったので評価を下げたが、絶対能力でカバーできるか。
◎(7)コーズウェイ
○(8)クリールジェニー
▲(9)オールドラヴ
△(10)スペクトル
△(4)ラブディーバ
△(12)ミラクルフラワー
<お奨めの1頭>
2R エントラール
転入2戦ととけた違いの強さで圧勝。C2ではモノが違うのは誰の目にも明白。追いかける一手
4日メインはB1級「白神賞」(盛岡ダート1600m)、12頭立て。このレースのサブタイトルは"復興!釜石場外再開記念"。悪夢の東日本大震災から約3年半が過ぎ、ついに釜石場外が再開する。
2011年3月11日。東日本を襲った大津波によりテレトラック釜石も被災全壊し、再開のメドがずっと立たなかった。
テレトラック釜石には何度も訪れたことがある。当時、体育館のような作りで施設も非常に大きかったが、それ以上にすばらしかったのはファンの熱。岩手競馬ファンが多く、いくたびに競馬論を話しかけてくれた。
元々、漁師と鉄の町だからか競馬熱も高く、大好きなテレトラックの一つだった。ただ建設が予定どおり進まず、やきもきし続けていた。
一番問題となったのは津波対応だった。前テレトラックと同じ敷地内に作られ、防災、避難場所について万全を期すため、慎重にならざるを得なかったのだ。
この釜石によって震災前の場外施設はすべて再開する運びとなった。気になって先日8月、釜石にお邪魔したが、復興トラックが道路を行き来する中、ようやく側ができた時だった。心から再開を祝福したい。
本題に戻る。白神賞は非常に好メンバーがそろった。ここを勝ち上がった馬は即、オープンでも通用するのは疑いなし。激戦必至となった。
ニホンピロララバイは今季9戦9勝。特別開催の水沢1600m快勝後は短距離1本に絞ったローテーションを組み、連戦連勝。途中で水沢1300mレコードも更新した。
今回、メンバーが骨っぽくなり、久々のマイル戦。克服するべき課題は少なくないが、今の勢いに賭ける手。A級復帰、さらにはJBCスプリントを目指すためにも負けられない。
コスモナダルは中央1勝、南関東1勝・B1から転入。初戦はブラゾーハリーの逃げ切りに屈したが、3コーナー手前からロングスパートで2着。
前走は絆カップ(2000m)へ挑戦し、コミュニティを負かしにいって3着。直線で伸びを欠いたが、内容は評価に値。マイル短縮でも相手有利は明らか。
イマジンジョンは南関東から里帰りし12戦6勝2着4回。9戦連続で馬券対象を果たし、前回も完勝した。こちらも相手強化だが、得意のマイル戦なら上位争いに参加する。
クロワッサンは4歳を迎えてさらに成長。前々走でニホンピロララバイに完敗を喫し、しかもトップハンデ58キロを背負うが、530キロ前後の大型馬なら克服できるはず。
ダイワマックワンは園田から再転入後、2勝2着3回と連対100%。自慢のスピードが冴え渡り、軽視すると痛い目に遭う。
◎(11)ニホンピロララバイ
○(8)コスモナダル
▲(12)イマジンジョン
△(9)クロワッサン
△(2)ダイワマックワン
<お奨めの1頭>
6R ランドグローリー
転入初戦をアッサリ逃げ切って圧勝。ここでは走破タイムが抜けており、絶好の1枠を引き当てた
●JBCチャレンジ競走・続き
先週のここで"来週から『JBCチャレンジ競走』がスタート"と書きました。土曜・日曜で2つのレースが終わり、それぞれランドオウジ、コミュニティが1番人気に応える強さを見せてくれました。
27日/土曜 栗駒賞 優勝ランドオウジ
28日/日曜 絆カップ 優勝コミュニティ
これも先週書いたように、これらのレースは直接のトライアルではありません。なので優勝馬の陣営も「選ばれるなら・・・」という姿勢ではありますが、しかし「JBCにぜひでてみたい」と積極的な意志を見せました。
ランドオウジもコミュニティも、短距離・中距離での地元トップクラス。「地元代表」の看板を背負うに恥ずかしくない馬たちです。JBC出走の希望がかなう事を願っています。
●マイルチャンピオンシップ南部杯 出走予定馬発表
10月13日に行われるマイルチャンピオンシップ南部杯の出走予定馬が発表されています。
JRA所属馬
アドマイヤロイヤル
キョウエイアシュラ
グレートチャールズ
ナガラオリオン
ベストウォーリア
ポアゾンブラック
JRA補欠馬
メイショウマシュウ
キクノストーム
ケイアイレオーネ
メイショウパワーズ
エアウルフ
地方他地区所属馬
アイファーソング(船橋)
ジェネラルグラント(船橋)
タッチデュール(笠松)
トウホクビジン(笠松)
エイシンナナツボシ(笠松)
地方他地区補欠馬
バーチャルトラック(高知)
クイックリープ(高知)
サトノロマネ(高知)
ゴールドソレイユ(笠松)
岩手代表馬は選考段階ですが以下の15頭。この中から出走4、補欠2が選ばれます
コミュニティ
ドリームクラフト
ランドオウジ
ナムラタイタン
マイネルバルビゾン
マムティ
シルクランスロット
マイネヴァイザー
ブラゾーハリー
ライトマッスル
スズヨシーズン
コスモフィナンシェ
コウギョウデジタル
ウインベルカント
コスモイフリート
例年のようなGI勝馬がおらず、GIIIクラスが何頭か・・・という顔ぶれになりました。
実は前回の盛岡JBCの2002年も同様のメンバー構成になり、伝説の"岩手ワン・ツー"のみならず地方馬が3着まで独占するという結果になっています。
そしてその時の優勝馬トーホウエンペラーはJRA未勝利から転入して岩手でのし上がった馬。それは奇しくもコミュニティも通ってきた道。これは地元勢が勝つフラグか・・・!?と思っちゃったりなんかしちゃうんですが、さてどうでしょうか。
●10Rの買い目
馬単(2)=(9)、(2)→(3)、(2)→(4)、(2)→(1)、(2)→(8)
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28日(日)はダブルメイン。10R(発走:16時35分)はJBCクラシックチャレンジ競走「第4回絆カップ」(盛岡ダート2000m)。11R(発走:17時10分)に地方競馬全国交流「第16回OROカップ}(盛岡芝1700m)の重賞2連発が組まれた。
OROカップは今年で16回目を数えるが、一つの完成型を見た。地方競馬だが、元中央オープン馬がズラリ。スマイルジャック、コスモセンサー、シルクアーネスト、カリバーン、ドリームバスケット。名前だけ並べれば中央重賞と錯覚してしまうほど豪華な顔ぶれとなった。
彼らは中央でオープンまで出世し、重賞ウイナーにもなった強豪。その象徴がスマイルジャック、コスモセンサーだ。
スマイルジャックはスプリングカップを制し、日本ダービーはディープスカイの2着。その後も関屋記念、東京新聞杯を優勝。しかし以降は安田記念3着などにも健闘したが、勝ち星から見放され、昨年11月に南関東へトレード。新天地を求めたが、船橋記念の5着が最高。パワーの要るダートに手こずり、大敗を繰り返している。
またコスモセンサーはアーリントンカップを優勝し、2012年の安田記念3着。ほかに東京新聞杯2着、読売マイラーズカップ3着など重賞の常連だったが、2013年1月から1年1ヶ月の休養後は精彩を欠くレースの連続。岩手なら芝もあるし、ダート短距離も大丈夫だろうとビッグトレードに至った。
両馬は年齢が加算され、高速決着に苦戦したが、小回りで時計のかかる盛岡芝なら復活の可能性も十分。仮にOROカップを優勝した場合、かつてのファンも喜ぶに違いない。それが芝ダートがある盛岡競馬場の活きる道だと確信している。
言うまでもなく走っていてこそ競走馬。超狭き門の種牡馬になれる道もなく、それでも引退するには惜しい馬が数知れずいる。当のオーナーももう一度夢を見たいはずだ。
盛岡芝には中央の舞台のように華やかさがないかもしれない。賞金だって世界的に見れば決して安くないが、中央に比較したら微々たるもの。
それでも1着でゴールする感動は何にも変えがたい。今年は究極のOROカップだと断言しても大げさではない。
主軸はカリバーン。かつてオールカマー3着、アルゼンチン共和国杯4着などの実績があったが、前走・せきれい賞優勝は2011年1月以来のこと。南関東移籍4戦目で久々の美酒を味わった。今回は芝2400mから芝1700mへ短縮だが、吉原寛人騎手の腕で盛岡芝重賞2連勝する。
逆転筆頭はコスモセンサー。トライアル・桂樹杯は重馬場の芝にのめって2着だったが、反応の良さは改めて芝馬だと思った。今度は良馬場の可能性が高く、全能力を発揮できる。
シルクアーネストは重賞にこそ縁がなかったが、今年5月の新潟芝1600m・谷川岳ステークス0秒1差3着。現役バリバリと見て間違いない。
ドリームバスケットも中央芝6勝。笠松移籍後も中央芝へ2度挑戦。前走・小倉日経オープンで5着確保なら、ここで勝ち負けは必至。
ドリームフォワードは1000万下と格では見劣るが、転入初戦の桂樹杯でコスモセンサーを尻目に逃げ切り圧勝。盛岡芝適性あることを証明したのが心強い。
あとは3歳馬ブラックヘブンにも注目。オパールカップはライズラインに完敗2着だったが、重馬場にとまどいながらの結果。コース2度目でさらに上積みが見込める。
◎(13)カリバーン
○(4)コスモセンサー
▲(8)シルクアーネスト
△(9)ドリームバスケット
△(6)ドリームフォワード
△(11)ブラックヘブン
<お奨めの1頭>
3R ラーニー
今シーズン最後の2歳新馬戦。トレーニングセール出身馬で乗り込みも万全。好スタートを決める
先週21日、2歳交流「第16回テシオ杯ジュニアグランプリ」(盛岡芝1600m)は1番人気に支持されたパーティメーカーが快勝した。
ただ、一瞬ヒヤッとさせる場面もあった。逃げたネガティヴの2番手を追走したが、向正面からスパートをかけたエクストリングラン、ロゾヴァドリナが4コーナー手前で交わし、一旦4番手に下がってしまった。
齋藤雄一騎手いわく「外から被せられてひるんでしまった」パーティメーカー。普通ならば失速するケースだったが、直線で差し返す2歳馬離れした芸当を披露。ゴールでは1馬身差突き抜け、齋藤雄一騎手は珍しくガッツポーズを見せた。
「レース前は大外がきついかなと思ったが、スタートが速く不利に感じなかった。できれば前につけたかったので理想的なポジションで競馬ができた。3、4コーナーでひるんで下がったが、直線で行く気を見せたので差し返せるなと思った。力のあるフットワークで坂も苦にしない。どこかでチャンスがあったら、また騎乗してみたいですね」
この後、南関東・浦和の小久保智厩舎へ転籍。年内は芝をメインにローテーションを組み、当面の目標は500万下・百日草特別(東京芝2000m)。そこでどんなレースを見せてくれるのか。応援かたがた注目してみたい。
27日(土)メイン11レースはJBCスプリントチャレンジ競走「第26回栗駒賞」(盛岡ダート1200m)。アラブ競走時代を含め、2011年、盛岡ダート1400mで行われた以外、すべて舞台は水沢。今回に限り、JBCスプリント指定競走として実施される。
本命はランドオウジ。過去に4度の骨折がありながら、それを克服して今年、早池峰賞、すずらん賞と重賞2勝。8歳にして遅ればせながら花を咲かせた。
不思議なタイプで地元水沢だと反応ひと息だが、盛岡に替わるとガラリ一変。担当厩務員の話によると輸送が入ると闘志に火がつくのだそうだ。
確かに重賞2勝はいずれも盛岡。早池峰賞は生涯初めての1200m戦だったが、抜群の手応えで完勝した。
青藍賞3着は折り込み済み。それを叩いて栗駒賞は予定どおりのステップ。JBCスプリント挑戦に向けて好発進を決める。
マイネルバルビゾンは南関東B2から転入。初戦の水沢1400m重賞・岩鷲賞で豪快なマクリを決めて快勝した。
その後は暑い夏を避けて放牧でリフレッシュ。青藍賞から復帰したが、マイルも長くレース勘も取り戻していなかったため4着。
しかし今回は叩き2戦目に加え、通算5勝の1200mが舞台。左回りは未経験だが、コーナー2つの盛岡なら苦にしないはず。ベストの条件で逆転を狙う。
スズヨシーズンは典型的な追い込み馬。エンジンのかかりは遅いが、直線の伸びは岩手でも1、2の存在。展開に左右される嫌いはあるが、マイネヴァイザーが飛ばし、1枠のライトマッスルもいればハイペース必至。一気台頭のシーンまで。
そのライトマッスルは前回、待望の今季初勝利を飾った。昨年までは入れ込みが激しかったが、今年はズブさが出て我慢がきくようになったのが収穫。
ダイワスペシャルは中央芝1200m2勝、芝1400mで1勝。南関東2戦を経て転入し、ダートは未知数だが、短距離は合うはず。仕上がりも上々だ。
コスモフィナンシェは近走、新興勢力の台頭に押され気味だが、調子落ちはなく。巻き返すきっかけがほしい。
◎(2)ランドオウジ
○(8)マイネルバルビゾン
▲(9)スズヨシーズン
△(1)ライトマッスル
△(5)ダイワスペシャル
△(3)コスモフィナンシェ
<お奨めの1頭>
5R イケイケヒカル
前走8着に沈んだが、敗因は水沢と1400m延長。盛岡1200mで2勝マークし、走破タイムも出色。反撃のお膳立ては整った