先週14日から岩手競馬がようやく再開した。長い間、待ちわびていたファンが盛岡競馬場へどっと押し寄せ、初日14日が本場入場者数が3402名。驚いたのは2日目15日で何と6542名!。前年比で20%以上、1000人以上も上回った。
これが岩手競馬ファンの気持ちだったと受け止めて間違いないだろう。またネット投票でもみなさんから応援をいただき、我々関係者もファンの温かさ、熱心さに対し感謝の念に耐えません。本当にありがとうございます。
21日メインはA級二組「ハヤチネウスユキソウレース」(盛岡ダート1600m)、10頭立て。翌日に特別「あすなろ賞」が控えているが、なかなかの好メンバーがそろった。
盛岡マイル適性、仕上がり比較からアドマイヤサムライが中心となる。昨年4月、中央1勝から転入。いきなりA級馬相手で4番人気にとどまったが、後方待機策からひとマクリ。1頭だけ大外をブン回ったのにもかかわらず、一気に突き抜けて4馬身差。衝撃の岩手デビューを飾った。
その後も白星を積み重ねていったが、好、凡走の落差が激しく信頼度の点では見劣りした。理由は気性難が災いしたから。折り合いがうまくつかないと直線で伸びを欠いて凡走。特に小回り水沢で顕著に現れ、終盤4戦もパッとしなかった。
しかし、今回の舞台は盛岡ダート1600m。コーナーがわずか2つのコース形態はアドマイヤサムライに願ってもない条件。事実、盛岡ダ1600m6戦3勝2着2回と抜群の連対率を誇っている。
もう一つ終盤で凡走したのは調子もひと息だったから。疲れが溜まると切れる末脚が不発に終わるケースが多かったが、今度は万全の状態で臨めることも心強い。好発進を決める。
ブライティアピアも同じく中央1勝からの転入だが、こちらはB2スタート。メンバーにも恵まれたが、圧巻の5連勝。そのほとんどをワンサイドで決め、ついにA級入りを果たした。
文句のつけようのないレース内容からオープンでも通用は疑いのないところ。ただ連勝よりも馬の調子重視。長丁場なのであわてず、じっくりの陣営方針から対抗格とした。
サウンドサンデーは昨年、南関東代表でOROカップ(盛岡芝1700m)へ参戦してコスモヴァシュランの2着確保。実力のほどは証明済みだし、レベル差歴然の南関東で通算11勝マーク。
岩手2戦後、川崎オープンへ挑戦(12着)し、その後は園田へ移籍。結果は振るわなかったが、3月30日までレースを使われてきたのが最大の強み。移動で極端に体重が減っていれば話は別だが、470キロ台をキープできていれば当然、勝ち負けに持ち込める。
スクリームイーグルは冬場にハリを打ってリフレッシュさせたと佐藤祐司調教師。追い切り時計は強めに追ってラスト14秒1と平凡だったが、このひと追いで気配が変わる可能性もあるし、おそらく実戦になると一変のタイプ。岩手入り後、すべて馬券対象になっているように軽視すると痛い目にあうだろう。
評価に迷うのがマイネルリファイン、イシノウォーニングの4歳2頭。不来方賞でロックハンドスターに離されたが2、3着に気を吐いて実力はお墨付き。ただマイネルリファインは叩き良化型、イシノウォーニングは終盤はともかく本質的には水沢巧者。その点で今回は若干割り引いた。
◎(2)アドマイヤサムライ
○(4)ブライティアピア
▲(7)サウンドサンデー
△(9)スクリームイーグル
△(3)マイネルリファイン
△(10)イシノウォーニング
3連単は2、4、7の3頭ボックスが本線。あとは2、4から9、3、10へ3着流し
馬複は 2-4、2-7、2-9、2-3
<お奨めの1頭>
10レース ライジングヤマト
岩手2戦目は伸びを欠いて3着だったが、極端に深い馬場に泣いた。ここは仕切り直しの一戦で、その名のとおりライジングあるのみ
震災による影響を経て、約4ヶ月ぶりに再開された岩手競馬。その初日・二日目は好天にも恵まれ、競馬場はたくさんのお客様で賑わいました。
ちょっと風が冷た目でしたが日差しはすっかり初夏のそれで、ずいぶんと開放的な感じでもありました。実際、5月頃と秋の10月前半あたりの盛岡競馬場は過ごしやすいし景色も綺麗だし、1年の中で一番良い時期なのは確かですよね。今日も岩手山が綺麗に見えていました。こんないい時期の競馬場を、できるだけたくさんのファンの皆さんに楽しんでいただきたいですね。
そんなこんなでこの土日、荒れる時はドカンと荒れるのはそういう"読みづらさ"があるせいなんだろうなと感じています。
さて予想です。いろいろ悩みつつ本命は(2)タカラムーンを指名しました。昨季終盤に移籍してきて2連勝、それもほぼワンサイドの勝利。まあ、連勝とはいえB2でもわりと下位、B2特別レベルで好走していた馬たちに比べれば若干の格下感があるのは確かですが、例えば2走前で破ったコスモローダンセが今季B1でソコソコ、というところから比較するとこの馬もB1で足りておかしくない、という計算は可能です。
加えて4歳で10戦というキャリアもここでは魅力。昨年4月の遅いデビューからほぼ1ヶ月1走ペース。その最後2戦を連勝で締めくくったのですから、伸びていく勢いが満ちているのだと期待したくなりますよね。
対抗は(4)シャイニーハリアーで妥当でしょう。こちらも昨秋に転入してC1→B2と7戦4勝3着以下無しの安定ぶり。◎同様B2でも中位くらいでしたがレベルは決して低くなく、ここで通用する力は持っている馬のはずです。脚質的にも今の盛岡のコースが合いそうで、すんなり好位追走なら面白いレースをしてくれるでしょう。
三番手は(5)ソノマンマを採ってみました。得意は芝、ダートは軽い馬場限定という所がありつつ、それでもA級のダート戦でも格好をつけているのだから地力はやはり高い馬。すんなり先行できれば少々競り合っても・・・というタイプなのも、このメンツの中では武器になりそうです。
以下も先行馬で固めて(1)ビュレットライナーと(8)エムアイルシェルが押さえ。(1)の前走は格上挑戦の重賞、それも同型多数で全くの参考外。前々走の内容ならここでもハナ奪って・・・も可能。(8)は昨年10月以来の休み明けですが、その夏~秋頃に見せていた充実感は非常に目立つものでした。この馬も自分の流れにさえなれば非常にしぶとい先行馬。枠順が外過ぎるのがちょっと残念。
●9Rの買い目
馬単 (2)=(4)、(2)=(5)、(4)=(5)、(2)→(1)、(2)→(8)
開幕2日目から早々と今年の超目玉ホースであるベストマイヒーロー、シーグランディが対決する。舞台は盛岡ダート1800m、「七時雨賞」。
今シーズンの岩手クラシック戦線を占うだけではなく、両馬ともこれから全国に殴り込む意欲十分。私自身も非常にワクワク、ドキドキしている。シーグランディがあえてベストマイヒーローにぶつけ、勝算ありと踏んでいるからだ。
昨年、ベストマイヒーローは6戦5勝2着1回。一度敗戦を喫したのはイレ込みが激しかったテシオ杯ジュニアグランプリだけ。他のレースでは圧勝に次ぐ圧勝で5戦の合計着差が34馬身!平均6・8馬身差とけた違いの強さで2歳三冠を楽々と達成してしまった。
対するシーグランディはデビューから一貫して芝1本のローテーションを組み、2勝3着1回の成績からJRA・福島へ連続挑戦。きんもくせい賞は道中のロスが響いて5着に終わったが、続く福島2歳ステークスで2着(3着繰り上がり)。岩手所属馬で久々にJRAを舞台に好勝負を演じた。
帰郷後、寒菊賞で初めてダート戦を使い、決して適性があったわけではなかったが、総合力でカバーして完勝。以降、地元戦をスキップしJRAへ連続挑戦。結果は2度とも11着に終わり、クラシックを狙う馬たちの壁に突き当たった。
確かにこの敗戦がレベル差であったのは否定できなかったが、それ以上に収穫だったのが馬自身の成長。中山・若竹賞では馬体が寂しく映ったが、東京・セントポーリア賞では見違えるほど良化を見せ、佐藤雅彦調教師は納得の表情で「いい経験になった」とレース後、我々に語った。
その後、シーグランディは水沢へ戻らず、美浦トレセン近くの牧場で休養。当初は3月半ばに帰厩する予定だったが、あの悪夢の大震災が発生し、4月中旬まで伸びてしまった。
ところが、水沢で久々に対面した菅原勲騎手はビックリした。私にも「シーグランディがさらに良くなっていた。この時期に成長する馬は間違いなく走る」と。両馬とも菅原勲騎手のお手馬。今回、ベストマイヒーローとのコンビで臨むのが当然だが、できればシーグランディにも乗りたいと本音を漏らすほどだった。
現時点ではベストマイヒーローが上は疑いのないところ。ただ回復したとは言え、一度体を緩めたのは事実だし、久々の輸送でテンションが上がる可能性もある。たとえダートでも死角なしとは言い切れない。最終的に臨戦課程の差を熟慮してシーグランディを本命とした。
以下は大きく離された評価となるが、セリトスガッテンは寒菊賞でシーグランディの2着確保。小柄な牝馬で仕上がりに手間取らないタイプでマークは欠かせない。
凡走か、はたまた劇走かの可能性を秘めているのがトーホクスピリットだ。昨年は気性面で幼さが残り、体の方も成長途上。その象徴的なレースがテシオ杯ジュニアグランプリでスタート直後に落馬中止。また出遅れを喫した南部駒賞で10着と信頼を置けなかった。
しかし、一冬を越して心身ともパワーアップ。陣営も今年が本格化するはずとの読みがあり、大化けするか注目してほしい。あとは本調子を欠くが、先行力と粘りが身上グランプリボーイも連下押さえは必要だろう。
<お奨めの1頭>
4レース ケイジーウィザード
09年まで岩手へ在籍し、A級3勝を含め、通算12勝をマーク。南関東から再転入し最下級C2へ編入。このメンバーでは実力が違いすぎる。
東日本大震災により、被災されたみなさまに心よりお見舞い申し上げます。
岩手競馬の各施設も甚大な被害を受け、釜石場外は閉鎖。宮古、三本木場外は復旧工事のため当面休止。そして水沢競馬場も損壊部分が大きく、今シーズンは盛岡競馬場1場での開催となった(水沢場外は開設します)。
それに伴い、5月14日から12月5日までの90日間開催。当初予定の124日から4分の3まで縮小されたが、競走馬たちは元気一杯。いつ再開しても大丈夫のように十分に乗り込まれています。
今年度も岩手競馬をよろしくお願いします。
開幕14日(土)メインはB1級馬による盛岡ダート2000m戦「岩手日報杯」。いきなり2000mが舞台で実力比較だけではなく、距離適性、仕上がり度合い、さらには展開のファクターも加わり、波乱の目も十分。開幕初日から馬券妙味たっぷりの一戦となった。
仕上がり一番はコアレスランナー。昨年終盤で六華賞、ダイヤモンドダストカップと特別2勝。両レースは水沢2000m条件で行われ、距離OKをアピールした。今回の追い切りでも鋭い反応を披露し、仕上がりも万全で臨む。
ただ、一つ不安材料がある。水沢<6.3.2.2>に対し、盛岡<0.1.1.3>。水沢コースに絶対の自信を持っているが、盛岡に替わると伸びを欠くケースが多く、いまだ未勝利。盛岡坂に戸惑っているのは明らかである。
主軸にクリスティラビットを抜擢する。時にモロさを出す面もあるが、得意パターンに持ち込むと強いこと、強いこと。実際、ひいらぎ賞でコアレスランナー相手に6馬身差、そして昨年最終戦となった銀嶺賞でもコアレスランナーを3着に葬った。盛岡戦で5勝マークも心強い材料となる。
こちらの不安は2000m経験がない点。前々走・ゴールデンステッキ賞(水沢1900m)で絶妙の逃げを打ちながら直線で一杯3着に敗れ、距離克服できるかが最大ネック。
しかし全馬が休み明けに加え、いきなり2000m戦ならスローペース必至。競りかける馬が不在でマイペースの逃げに持ち込めるに違いない。鞍上は昨年、素質が一気に開花した菅原俊吏騎手。彼の腕に託してみたい。
オンワードアコールは中央12戦0勝(他に北海道1戦3着1回)で終わったが、岩手で大変身。最下級C2からいきなり5連勝を飾り、続く芝で8着に沈んだが、ダートに戻って反撃。芝8着、出遅れが致命傷だった銀嶺賞7着以外はすべて馬券対象と抜群の安定感を誇っている。あとは距離2000mを克服できるかどうか。
過去実績でメンバー中、断然のヒカルメイオー。往時に比べて迫力感に欠ける面は否定できないし、相手関係にかかわらず詰めの甘さも目につくが、このメンバーならアッサリまで十分。
もう1頭、侮れないのがケージーカツタロウだ。C1から2ランク上がってB1昇級。相手強化は誰の目にも明白だが、終盤の3連勝は圧巻の一言。570キロを超す大型馬が本格化を迎えた。ここで通用すればA級まで上り詰める可能性も秘めている。
◎(8)クリスティラビット
○(3)コアレスランナー
▲(5)オンワードアコール
△(2)ヒカルメイオー
△(7)ケージーカツタロウ
3連単は8、3の1、2着折り返しから5、2、7へ3着流し
馬複は 3-8、5-8、2-8、7-8
<お奨めの1頭>
6レース ブローザウインド
中央、南関東で短距離のスペシャリストで鳴らした。年齢的な衰えは否定できないが、1200m戦ならかつての顔で主役を演じれる
岩手競馬が冬休みの間、昨年話題の人・これから話題になるだろう人・遠征中の騎手達のお話をうかがう『この人に聞く』を掲載します。
第5回はこの春新規開業した千葉幸喜調教師です。
2月1日付けの調教師免許なのですがまだぜんぜん形になっていなくて。とりあえず厩務員は一人、ベテランが入ってくれるので安心ですが、これからどうやって管理馬を増やしていこうかと考えると落ち着かないですね。
3月の開催から出走できると思う。思うんだけど、その辺まだ実感は全然。馬の事もあるけども、今日だってこの後、馬の運動を済ませてから盛岡に行って新調教師講習。書類作ったり出したり、なにもかにもが慌ただしくて。もうちょっとしたら落ち着いて、調教師の気分も出てくるかな。
馬は、いずれ春になれば・・・という話もあるんですが、それだけというわけにもいかないし、今は一生懸命営業活動中。初めて岩手に馬を入れる・・・という馬主さん、初めて馬を持ってみようか・・・という新規の馬主さんを募集中です。とにかくがんばりますのでよろしくお願いします。【談・取材日2月21日】
※写真は厩務員時代の千葉幸喜師