8月2日 フェアリーカップ(3歳以上オープン牝馬 盛岡ダート1800m)
(フェアリーカップ・ゴール 写真・佐藤到)
1着 クインオブクイン
他に行く馬がなく、すんなり先手からマイペースの逃げに持ち込む。前半3ハロン40秒3―前半1000mも1分7秒2で通過し、完全なスローの流れ。
クインオブクインの2番手にサイレントエクセル、3番手マツリダワルツ、その後ろにピンクゴールドの隊列は変わらず3、4コーナー中間地点でマツリダワルツの手応えが怪しくなって脱落。外からピンクゴールドが3番手に進出し、馬順が替わったのはその2頭だけ。
直線を向いて逃げたクインオブクインに、サイレントエクセルが接近したと思ったのもつかの間、再び突き放して独走。ほぼ持ったままで4馬身差をつけて圧勝した。上がり3ハロンが35秒9。逃げた馬がこのタイムで上がられては後続もひとたまりもなかった。
「マーキュリーカップから連闘だったので少し疲れが残っていた。それもあって掛かることもなく楽に逃げることができた。あまり負担をかけたくなかったので今回は理想の勝ちパターン。目標のビューチフルドリーマーカップまで1ヶ月ぐらいありますから疲れも取れるでしょうし、万全の態勢で臨めると思います」
2着 サイレントエクセル
前走比マイナス7キロの447キロで出走。450キロを割ったのは昨年12月、クイーン賞(船橋)以来。パドック解説で「この体重減がちょっと気がかり」と言ったが、今の時期はあまり気にしなくて良かったのかもしれない。
終始2番手を追走し、前半スローだったことも幸いして楽に追走。勝負どころの3コーナーからペースが上がってもクインオブクインに食い下がり、直線入り口で最接近。
さすがにこのあとは離されてしまったが、今回のレースに復調の兆しがうかがえた。
3着 ピンクゴールド
馬群がバラけて離された4番手を追走。末脚勝負に賭け、ジックリ待機策を取り、3コーナー過ぎからスパート。自身の持っている末脚は披露したが、如何せん超スローペース。クインオブクイン、サイレントエクセル4馬身。そこからまた4馬身離れての3着も仕方なしだった。
この週末、盛岡市内では『盛岡さんさ踊り』が繰り広げられています。市内の目抜き通りを一杯に使っての太鼓や踊りのパレードは壮観で、盛岡の夏が最も盛り上がる一大イベントとなっています。
さて、この『盛岡さんさ踊り』は例年8月1日から4日間(以前は3日間)の日程で行われているのですが、皆さん、気付いてました?さんさ踊りの期間中の日曜メインレースで「3番」が勝ったことがないことに。
●2008年・・・フェアリーカップ/3番エメラルドスズラン→9頭立て9着
●2004年・・・不来方賞/3番スウィープザボード→12頭立て5着
●2003年・・・エレガンスカップ/3番クインテスハート→7頭立て7着
●1999年・・・若駒賞/3番プラウドキング→8頭立て3着
●1998年・・・ビクトリーカップ/3番タカラダイリン→8頭立て5着
ちなみに上の延べ5日間の馬番3の連対数は7、連対率は12.7%。まあ悪くもないけれど良くもないというところでしょうか。
面白いのが3の倍数の6と9で、上と同じ日の馬番9の連対率が16.3%、馬番6は実に23.6%です。
えー、こうやって書いてきましたが今年の対象日は昨日の2日。3番・6番・9番の結果は果たしてどうだったでしょうか・・・?
月曜メインはサラ系A級一組の「久慈琥珀レース」、ダート1800mです。8頭立てですが重賞勝ち馬5頭を含め重特の常連が多く、なかなかの好メンバーとなりました。馬券も、狙いようによってはどこからでも入って行けそうですね。
ここでの本命は、あえて実績上位馬を外して(2)ソフトパワーを狙ってみたいと思います。
転入初戦の前走は少頭数に加えて枠順も良く、楽に主導権を奪えました。今回は確かにいろいろ厳しくなりますが、とはいえ前走のあの内容ならここでも十分通用するはず。
そして、JRA時代のこの馬は計29戦中、右回り4戦0勝に対して左回りは25戦3勝という徹底したサウスポー。東京コースの経験も豊富で坂に対する不安も無し。これはもう、この馬を推すしかないでしょう。
(8)アンダーボナンザも当然ながら手強い存在。1400mは短すぎ、2000mは長すぎ。1800mもやや長い印象がありますが、5月には同じ盛岡1800mの特別・あすなろ賞を勝っていますし、それにこのメンバーなら追走の位置取りも楽なはず。普通に考えて勝ち負け。
(1)トーホウライデンは年齢と共にズブくなっているのか、今ならむしろ1800mくらいが合いそうな気配があります。前走もこの馬なりに悪くない戦いをしており、前走の着順だけを見て軽視するのは怖いですね。
だいたいこの3頭が優勢と見ますが、他に挙げるならまず(3)グッドストーン。忙しい距離は合わない馬で前走は度外視可。今回はここ何戦かの中で一番楽に戦える条件だけに見直してみたいところ。
3歳二冠の(7)マヨノエンゼル。現時点では走破タイムが見劣りするし、この時期に歴戦の古馬と同斤量なのはちょっと辛い条件。自身の成長力でどこまでカバーできるか、なのですが、ここで好走できれば今後が面白くなるはず。そんな期待をしながら見てみたいですね。
◆買い目
馬単(2)=(8)、(2)=(1)、(8)=(1)、(2)→(3)、(2)→(7)
2日(日)メイン10レースはオープン牝馬による『ビューチフル・ドリーマーカップ』トライアル「フェアリーカップ」(盛岡ダート1800m)。
格付け時点での頭数が12頭だったが、順調さを欠いている馬に加え、クインオブクインの登録に恐れをなしたのか回避馬が続出。5頭立ての少頭数となってしまった。表現は適切ではないが、馬なりでも勝ってしまうメンバーとなった。
クインオブクインは今年6月、旧地・笠松でスプリング争覇、オグリキャップ記念と重賞2連勝直後に岩手転入。正直、我々もこのビッグトレードには驚きを隠せなかったが、初戦の強さとパフォーマンスには驚いた。
頭をグッと下げる、いわゆる鶴首走法は何度も見てきたが、クインオブクインの仕草は別次元だった。楽々と先手を取ると鶴首のように頭を下げたかと思ったら、さらに首をヒザに近づけて手綱を持っていた村上忍騎手が落馬するのではと心配するほどの下げ方だった。
そのあたりを櫻田康二調教師に聞いてみたところ「自分も向こうのレースを見ていてビックリしました。(村上)忍君にもそのクセは伝えましたし、普段から攻め馬をつけているので大丈夫でした」
道中何度かその仕草を繰り返していたが、いざ追い出しにかかると『変なクセ』を出さずにゴールへまっしぐら。2着に6馬身差の圧勝劇を披露した。
続くマーキュリーカップは4、5番手を追走。さすがに中央勢が上位4着までを独占したが、地方最先着5着入線を果たした。
今回は牝馬同士の戦いに加え、順調度でも他を大きく引き離してリード。よほどのことがない限り負けることはないだろう。
絶対の主軸がいて、しかも5頭立て。馬券的に妙味も薄れてしまったが、そうなれば相手も絞らなければならずサイレントエクセル、ピンクゴールドの2頭をピックアップ。
サイレントエクセルは昨年1勝のみにとどまり、今年は4着が最高。ひと頃の勢いが完全に薄れてしまったが、みちのく大賞典で岩手最先着4着。岩鷲賞はしんがり10着だったが、タイム差は1・1秒。決して大負けした訳ではなかった。
元々のニックネームが“夏女”。暑い季節に最も能力を発揮するタイプだけに、今回こそ2着を死守したい。
ピンクゴールドは追い込み一辺倒の脚質ゆえ、届かないケースが多々。しかしシーズン当初、減っていた馬体重も徐々に回復し、直線長い盛岡がベストの舞台。
今回は間違いなくスローペースになるだろうから、追走もおそらく楽。上がりの勝負になればサイレントエクセルに先着する可能性も十分にある。
あとはマツリダワルツも押さえたいところだが、5月25日の盛岡ダート1800m戦でピンクゴールドは1着馬から0・3秒差3着だったのに対し、マツリダワルツはほぼ同じ位置からスパートしたが、1秒差5着。これを考えると割って入るのはきついと見るのが妥当だろう。
◎ ?クインオブクイン
○ ?サイレントエクセル
▲ ?ピンクゴールド
3連単は4を1着固定に3、1の折り返し
馬複は3−4、1−4
<お奨めの1頭>
11レース ラストトレジャー
佐賀から転入後、アッサリ3連勝をマーク。今回からC1へ昇級し、距離も1600mへ延長されたが、まったく問題にしない
8月1日(土)メイン10レースはA級二組「久慈秋祭りレース」(盛岡ダート1600m)。
主軸はヒカルメイオー。Jpn?・マーキュリーカップはJRA勢が上位4着を独占したが、クインオブクインが5着入線。地方最先着を果たしたが、ヒカルメイオーも大健闘。南郷騎手の気迫が乗り移ってクビ差まで肉薄し、ゴール前では交わす勢いもあった。
ヒカルメイオーは最下級C2から驚異の連対率でA級まで上り詰め、特別・あすなろ賞で3着に食い込んだものの、勝ち切れないレースの連続。頭打ちの印象もあったが、マーキュリーC6着でようやく壁を突破したと見ていいだろう。
今回は地元同士の戦いに戻り、しかもA級でも二組の馬が相手なら恵まれた組み合わせ。順当に勝ち切って今後への弾みもつけたい。
ただ一つネックがある。大善戦したあと、凡走するケースも結構多い。おそらく激走の反動だと思うが、勝って不思議ないレースでポカもあるので当日の気配をしっかり見極めてほしい。
逆転筆頭はトロンハイム。イギリスで生まれ、南関東デビューして通算7勝。3着以内が5割以上の堅実さを身上とし、入着も生涯29戦中21回。表舞台に立ったことはないが、この実績があれば岩手で通用は当然。しかも4勝は左回り1600m戦で記録し、今回の条件はベスト。勝ち負けはもちろんのこと岩手に新風を吹き込めるかも楽しみとなった。
前走、案外の結果に終わったメタモルキング。1番人気に支持されたが、いつもの気風の良い先行策ではなく中団を追走。直線で巻き返しを期待したが、さらに突き放されて2・1秒差7着。正直、不満が残る一戦となった。
しかし早池峰賞2着、重賞・岩鷲賞でタイム差なし3着。特に岩鷲賞では逃げた1番人気フリーモアを競りつぶしあわやのシーン。勝ったダンストンリアル以上に中味の濃いレースを披露した。
果たしてこのまま引き下がってしまうか、それとも反撃できるか。今回、メタモルキングは正念場を迎えた。
ケイジーウィザードの前走9着は、実績のない芝だったためと敗因がはっきり。これで今季2度目の着外となったが、もう一戦は忙しい競馬が合わなかった緑風賞(盛岡ダート1200m)。それ以外は2勝3着2回と抜群の成績を残してきた。
自己の条件・盛岡ダート1600m戦に戻れば好勝負に持ち込めるに違いない。
ダークマターは相変わらず詰めの甘さに課題を残しているが、大崩れしないのが最大セールスポイント。前走も乱ペースをしのいで2着トーセンザオーにわずかハナ差3着。常にマークが欠かせない存在だ。
サンシャインヘイロの評価が難しい。実績比較では明らかに上位なのだが、臨戦過程に若干不安が残る。アッサリもあるが、凡走のケースも考えておきたい。
◎ ?ヒカルメイオー
○ ?トロンハイム
▲ ?メタモルキング
△ ?ケイジーウィザード
△ ?ダークマター
△ ?サンシャインヘイロ
3連単は1を1着固定に8、7、9流しが本線。あとは2、4を3着押さえ
馬複は1−8、1−7、1−9、1−2
<お奨めの1頭>
9レース ブラックドーン
休み明け初戦こそ3着に敗れたが、以降2連勝と完全復活。初のマイル戦も今の勢いを持ってすれば難なく克服
7月26日 第23回ひまわり賞(3歳牝馬・地方競馬全国交流 盛岡ダート2000m)
(ひまわり賞ゴール 写真・佐藤到)
1着 アンダーゴールド
大外に入ったが、他をけん制しながらすんなり先手を奪う。あとは後続を引きつけてマイペースの逃げに持ち込む。3コーナーでちょっと手が動いたのは「一瞬、トボけた」(阿部騎手)そうだが、少し気合いをつけると4コーナーまでほぼ持ったまま。
直線を向いて満を持して追い出すと後続をグングン突き放す一方。2着に7馬身差をつけ楽々とゴールに入り、待望の重賞タイトルを獲得した。
「以前はゲートが遅かったが、ここ2戦は先行できていたので今回もスタート次第で逃げるつもりでいた。道中、うまくペースを落とすことができたし直線を向いたところで勝てるかなと思った。勲さん(シルバーカテリーナ)が来るかなと必死に追っていたらビジョンを見てびっくり。こんなに離していたとは思わなかった。2000mは初めてだったが、ほとんどの馬が同じ条件。多分、長い距離も合っていたのかもしれません」と阿部騎手。
昨年10月、プリンセスカップ4着後、骨折が判明。6ヶ月の休養を余儀なくされ、4月復帰後もひと息のレースを繰り返していた。しかし徐々にスタート難が解消され、それに伴って2連勝マーク。絶好調で臨んだことも勝因の一つとなった。
また父がホワイトマズルで母父がプラウドデボネアといかにも長距離向きの血統。ここにきて秘めた素質が開花した印象だ。
「疲れが出ているので、まずは一息入れてやりたい。ビューチフル・ドリーマーカップの選択肢もあるが、古馬が強力なので今のところ何とも言えない」と村上昌幸調教師。
2着 ダンストンメイビス
アンダーゴールド、テンショウスズラン、フェニックスクインの隊列ができ、ダンストンメイビスは4番手インを追走。1周目スタンド前で掛かる仕草を見せたが、村上忍騎手がうまくなだめる。
3コーナーでシルバーカテリーナが前へ接近し、連れてスパート。鞍上の手は動いていたが、バテることなく追走。直線でアンダーゴールドには離されてしまったが、テンショウスズランとの叩き合いの末、2着を確保した。
こちらもアンダーゴールドと同様、2連勝でひまわり賞へ挑戦。今回は格よりも上がり馬の勢いの方が上回っていたようだ。
3着 テンショウスズラン
道中ずっと2番手につけ、ダンストンメイビスとほぼ同じようなタイミングでスパート。課題だった最後の詰めの甘さを今回も見せてしまったが、411キロまで体重が減っていたことを考えれば3着は健闘と言っていいだろう。
4着 シルバーカテリーナ
前半はスタミナロスを考慮して5番手に控える。3コーナー手前で先行グループに接近したときは勝ちパターンに持ち込んだのかと思ったが、4コーナーで菅原勲騎手の手が動いても反応ひと息。直線でもどんどん離される一方で掲示板確保がやっとだった。
一冠目・留守杯日高賞を制し、その後は牡馬一線級と対戦。結果はもう一つだったが、今回は2000m経験済み、牝馬限定なら実力断然。単勝1・2倍の圧倒的な1番人気に支持されたが、まったく精彩がなかった。2000mを経験したとはいえ、失速ぶりと見ると距離が長すぎたのかもしれない。