先週予告いたしましたので、鞍掛山をご紹介いたします。
岩手競馬では、昨シーズンより一部の一般競走にもレース名を付けて実施しています。4月26日の9レースは、「岩手の山」シリーズのひとつとして『鞍掛山レース』がおこなわれました。
レース名になった鞍掛山は、盛岡側からは岩手山の手前に見えるこんもりとした山。岩手山に比べると小さな丘のように思えますが、標高897mと低めながらも立派な峰で、気軽な登山コースとして、小学校の団体登山からシニアクライマーまで高い人気があります。
人気がある一番の理由は、やはり山頂からの眺望でしょうね。木々の間を抜けて頂上の広場に出たとたん、これです。
目の前にどーん!と聳える岩手山。まさに「どーん!」としか言いようがありません。この景色を見れば登りの疲れなど吹っ飛んでしまうというものです。
このピークに至るには2つのルートがありますが、なだらかな尾根道を歩きながら樹間にちらちらと岩手山が望める西側コースの方がオススメ。キツイところはあまり無く、登山に慣れていない人にも難しくない山だと思います。ただし、そこには落とし穴が・・・・ やや急な上りを過ぎて尾根に出ると、ゆるやかな上りとほとんど平らな散歩道のようなルートが続きます。所々で視界が開け、牛や馬のいる放牧場や遠くに北上山地が望め気持ちの良い道なのですが、林間を登っていて前方に空が開けてくるとピークが近いように感じるもの。「よ〜し、もうすぐ頂上だ!」と思ってしまいます。しかし広場に出ると目の前にはまた上りが。これが3回ほど繰り返され精神的に疲れるルートでもあるのです(笑)
出発点は東西どちらのコースも村営の「相の沢キャンプ場」で、このキャンプ場は小岩井農場の奥にあります。山頂までの所要時間はゆっくり歩いても2時間ほどなので、早朝から登ってお昼は小岩井の牛乳とジンギスカンというのもアリかもしれませんね。
盛岡からほど近く高さも手頃なこの山は、冬でも登山客が絶えません。天候さえ安定していれば、テレマークスキーやスノーシュー(洋かんじき)で冬山を楽しみながら山頂へ達することができます。あるいはそれらを装備した人がある程度登山道を踏み固めれば、長靴でも十分。そして山頂はこの光景。
上の写真にある立て看板がすっかり雪に埋もれています。長靴でも登頂可能と書きましたが、踏み固められた1本のラインを踏み外すと膝上まで雪に埋まってしまいますよ。
このように岩手山の絶景スポットとしても人気の高い鞍掛山。位置関係から岩手山の寄生火山と思われがちですが、しかし地質的には岩手山よりも古いのだとか。それを発見したのはかの宮沢賢治といわれています。童話作家として有名な賢治ですが、地質学者としてこの周辺は何度も調査をしており、作品中にも『くらかけの雪』『小岩井農場パート1』などに描かれています。
晴れた日にはOROパークからも岩手山の傍らに見える鞍掛山。登山なんてという方もいちど散歩気分で登ってみてはいかがでしょうか。
(文/写真・佐藤到)
6月28日 ウイナーカップ(3歳オープン 水沢1400m)
1着 ダンストンジール
シルバーカテリーナが意表を突く逃げの手に出て12秒台前半のハイラップを刻む。ダンストンジールはどこからでも競馬ができるのが強みだったが、さすがにこの速いペースに戸惑って6番手をキープするにとどまる。
2コーナー過ぎ、このままでは逃げ切られてしまうと村上忍騎手が判断。目一杯に追ってスパートをかけたが、なかなか差は詰まらない。必然的に村上忍騎手の手は動きっぱなしで反応したのはようやく3コーナーから。
それでも前を走るシルバーカテリーナ、トーホクプリンスが快調に飛ばしていたため村上忍騎手の焦りがヒシヒシと伝わり、それに応えるかのようにダンストンジールは直線を向いて猛追。
シルバーカテリーナが直線を向いて失速し、替わってトーホクプリンスが先頭に立って手応えも十分だったが、ゴール寸前でダンストンジールが何とか捕らえる。
「ずっと追いっぱなしだったので正直、きつかった。やはり1400mの忙しい競馬は合わないが、このメンバーだから底力で勝ってくれた。でも途中でレースを投げ出さず最後まで頑張ったから成長しているのは確か」と村上忍騎手。
「ダートに適当なレースがないので、オパールカップに向かう。はまなす賞は久々の芝に戸惑ったが、2度目なら大丈夫だと思う。まだ幼い面を残しているが、昨年に比べれば確実に大人になっている」と村上実調教師。
2着 トーホクプリンス
1周目スタンド前は無理をせず6番手を追走。2コーナーから馬なりで前へ進出し、4コーナー手前でシルバーカテリーナの直後につける。
直線に入ってもスピードは衰えず、シルバーカテリーナが一杯になったのを尻目にラスト100mで先頭。そのままゴールまで押し切る勢いだったが、最後の最後で交わされる。
「先頭に立つのがちょっと早すぎたかも」と阿部騎手は語ったが、最も中味のあるレースをしたのはこの馬。
前走・ダイヤモンドカップでは押し出される格好で2コーナー先頭。直線で一杯となって馬群に飲み込まれて7着に沈んだが、距離短縮で持ち味のスピードを存分に発揮。短距離なら折り合いもつくし、鞍上の指示にも鋭く反応。今後もマイル以下なら活躍できそうな印象を周囲に与えた。
3着 シルバーカテリーナ
戦前はフジフーフー、トーホクプリンスが先陣を形成するかと思っていたが、シルバーカテリーナの「スタートが良かったので逃げてみた」(菅原勲騎手)そうで、先手を奪ってからは正確に12秒台前半のラップを刻む。そのスピードは5ハロン、前半1000mまで持続したが、さすがにラスト400mから脚色が怪しくなる。
おそらく菅原勲騎手はスピードの持続力にかけてみたと思うが、この馬場を12秒ペースで凌ぎ切るのは至難の業だった。
4着 センリグランピー
終始後方2番手の位置から3コーナーでスパート。終い勝負に賭けたが、結果的にハイペースだったとは言え中団より前にいた馬で決着。ダイヤモンドカップでは3着に入ったが、直線短い水沢では門別のように一気に伸びてくるのはきついかもしれない。
先日、青森・諏訪牧場を訪れました。牧場の方に教えられて行った木陰には小さな石碑が木漏れ日を浴びていました。2007年に亡くなったタムロチェリーのお墓でした。
2001年の阪神ジュベナイルフィリーズG1、小倉2歳ステークスG3を勝ち、同年のJRA最優秀2歳牝馬に輝いたタムロチェリー。グリーングラス以来の青森産G1馬としても話題となりました。
03年夏に引退した彼女は生まれ故郷に戻り繁殖生活に。競馬場にいる間にバナナが大好物になって・・・というお話は以前「テシオ」でも書いた事があります。牧場に帰ってすぐの03年秋でした。
G1馬という勲章に加え、諏訪牧場が育ててきた母系血統という事もあって、繁殖馬として大きな期待をかけられていたタムロチェリー。ですが、わずかに3頭の仔を送り出しただけで、07年夏にガンのため急逝してしまいました。あまりにも早すぎる出来事でした。むしゃむしゃと無心にバナナをほおばる彼女の姿、昨日の事のように思い出されます。
来年末には諏訪牧場から歩いていけるくらいの所に新幹線の七戸駅が開業します。牧場の風景はあの頃と変わらないけれど、取り巻く状況は大きく変わるのでしょう。
月曜のメインレースはみなづき賞。B2級の1800m戦です。先週の月曜メイン・焼石岳賞も似たような状況だったのですが、このレースは出走10頭すべてがハンデ対象のうえ、+3kgが1頭、+2kgが4頭もいます。+2kgの有力馬が内枠に揃い、+3kgのセユウブラボーは不利な大外に。その辺のハンデと枠順の影響具合が鍵でしょうか。
本命は(1)キングバッハを推します。昨季はA級下位〜B1級でもそこそこに走っていただけに、最下級スタートとなった今季の5戦4勝2着1回という成績はなんの不思議もない物です。形の上ではメンバーが強化された事になっているものの、昨季の成績からはまだ問題ないレベル。距離経験が豊富な点も強みです。
ただ、JRA時代を含め57kg以上では9戦して5着が一度のみという所が若干の不安材料。案外カンカン泣きするタイプなのかもしれず、その辺に注意。
対抗は(5)ワイルドシャトー。盛岡戦ではイマイチ伸び切れませんでしたが、得意の水沢であっさり変身。調子の方はずっと悪くなかっただけに水沢開催の間にもう一丁。
(3)エーシンスローインは1800mは気持ち長い気がするし57kgを背負うのも初めて。しかし調子の良さ・勢いならメンバー中最右翼に思え、その勢い重視で。
気になる馬を挙げるとすればまず(6)シュクジャンヌ。今季はずっとB2級の上位で好走していますが、勝ち星が1つという事でハンデ1kg増に留まっています。焼石岳賞2着のドーリーゴンザレスと似たパターンでこれは有利。
(8)マイネルスペランザは今季3着以下がない安定ぶり。加えて非常にしぶとい走りをしている所も評価できます。この距離も流れに乗れさえすれば・・・でしょう。
なお、このみなづき賞は第11R・発走時刻17時10分となっています。お間違えのないようお願いいたします、
◆買い目
馬単(1)=(5)、(1)=(3)、(1)=(6)、(1)=(8)、(5)=(3)
◆お奨めこの一頭
2R:ヘブンオンアース
ほぼワンサイドでの2連勝。今回もさほど相手強化感なく、3連勝濃厚だ。
28日(日)メイン10レースは3歳馬による水沢1400m戦「ウイナーカップ」。春の岩手クラシック戦線はダイヤモンドカップ(6月1日)でひと段落。ランク順もマヨノエンゼル、トキワノマツカゼ、ダンストンジールで落ち着いた。
そして今回のウイナーカップから新たな路線が始まり、芝はオパールカップ(7月12日)、牝馬はひまわり賞(オークス 7月26日)、そして三冠目・不来方賞は11月22日に実施予定となっている。
このウイナーカップは様々な条件変更を経てきた。創設当初は第1回から22回まではアラブ3歳(当時は4歳表記)で行われ、23回(平成10年)以降はサラブレッド3歳の盛岡芝が舞台。そして今回は水沢1400mの条件で実施する。参考までにトータルカウントでは今年で34回目となる。
トップ2のマヨノエンゼル、トキワノマツカゼが不在ならダンストンジールで中心不動。水沢コース初勝利のチャンスを迎えた。
前々走・七時雨賞ではマヨノエンゼル、トキワノマツカゼの追撃を封じて完勝。その後の選択肢は2つあった。岩手ダービー・ダイヤモンドカップ(ダート2000m)と芝・はまなす賞だったが、陣営は適性を重視して芝に方向転換。
当然のように断然の1番人気に支持されたが、道中モタモタするばかり。格下相手の後塵を拝して4着に敗れてしまった。レース後、村上忍騎手はこうコメントした。「久々の芝に戸惑ったのかブレーキがかかりっぱなし。これだったらダイヤモンドカップに行ったほうが良かった(笑)」と。
ダンストンジールはデビュー戦の芝1000mを昨年の一番時計で快勝し、芝1600m・若鮎賞も優勝。ウイングアロー産駒には珍しく芝適性が高いと陣営も周囲も思っていたが、決してそうではなかった。能力があるからこなしたに過ぎず、本質的にはダート向き。もちろん一貫して芝を使い続けていればトップを張れるだろうが、前回に限って言えばダイヤモンドカップ選択が正しかったかもしれない。それで軌道を修正して今回、ウイナーカップに臨んだ次第。
ただ一つネックがある。水沢1400mは2度使われていずれも5着止まりで、しかも2・2秒差、2・1秒差と完敗。忙しい競馬よりゆったりとした中距離以上が合っている印象もある。
しかし気性面は当時と今では雲泥の差。「気まぐれで走るか走らないかはゲートを出てみないと分からない」(村上忍騎手)ほどムラだったが、今年は精神面の成長がハッキリ。何よりも収穫はレースに集中できるようになったことで、七時雨賞がその証明。
またはまなす賞の敗因の一つにデビュー最軽量464キロでの出走もあったはず。今回は一息入れたし、輸送のない地元競馬。順当勝ちを収めて今後にも弾みをつけたい。
逆転筆頭はシルバーカテリーナ。あやめ賞、留守杯日高賞と牝馬の重特2連勝を飾り、岩手ダービー・ダイヤモンドカップに名乗り。雌雄対決が最大の焦点となったが、4コーナーで一杯。2番手から馬群に飲み込まれ、直線失速6着に敗れた。「牡馬との差もあるが、距離が長すぎた」と菅原勲騎手。確かに距離経験が1700mまで。2000mは全馬が未知の距離だったが、一番こたえたのがシルバーカテリーナだった。
1400mは守備範囲。しかも「追ってからの反応の良さ」(菅原勲騎手)が最大のセールスポイントで、どこからでも動けるのが強み。仕切り直しに格好のレースとなった。
センリグランピーはダイヤモンドカップで本来の後方待機策に転じ、直線追い込んで3着。前に行くこともできるが、やはり追い込みに徹した方がベストのようだ。
もう一つ言えるのは短距離が意外に合うこと。門別競馬場で行われた北海道競馬との交流・岩手山特別で道中、絶望的な最後方を追走。勝ったクラフィンライデンは逃げ切ったのだが、同馬は後に東京優駿牝馬2歳で2着、地元に戻ってエトワール賞を優勝。センリグランピーはその馬を相手に直線猛追して0・2秒差2着に食い込んだ。
昨年11月以降、白星から遠ざかっているが、短距離戦でシャープな切れを発揮する可能性がある。
フジフーフーは豊かなスピードを前面に、再転入後はすべて逃げの手。2歳時にはダンストンジール相手にビギナーズカップ2着、りんどう賞3着と水沢1400m戦で先着した実績を誇る。トーホクプリンスとハイペースを形成すれば苦しいが、すんなり先手ならアッサリのシーンまで。
あとはレース運びが巧みなテンショウスズランも押さえたい。
◎ ?ダンストンジール
○ ?シルバーカテリーナ
▲ ?センリグランピー
△ ?フジフーフー
△ ?テンショウスズラン
3連単は8、5の1、2着折り返しから1、2、9流し
馬複は5−8、1−8、2−8、1−5
<お奨めの1頭>
9レース エクストラポイント
中央で2着1回、笠松で2勝マークならB2通用は当然。先に行ける脚もあり、初戦から
開催前の狭間。岩手競馬は水沢、盛岡の2つの競馬場があり、盛岡開催の場合は水沢所属馬が輸送、逆に水沢開催の場合は盛岡の馬が輸送してレースを使う。その狭間で今回は自重して盛岡開催まで待機するケースも多い。しかも岩手地区はここにきて、いきなり気温が急上昇。そんなこんなでメイン10レースのB1級「奥州前沢よさこいフェスタレース」(水沢1600m)は、少頭数6頭立てとなってしまった。
言うまでもないが、競走馬は生き物だし、各陣営の描いているローテーションも様々。よって少頭数も仕方なし。その分も6頭に白熱レースを期待したい。
(ヤマニンエレメント 写真・佐藤到)
本命はヤマニンエレメント。前走はワラッテオクレヨ、カツイチヴィーナス、コスモアンファンが横一線でゴール。ヤマニンエレメントは0・2秒離された4着に敗れたが、これはカツイチヴィーナスが自らハイペースを形成して逃げ、それを追走した馬たちが撃沈。
結果、最後方にいたワラッテオクレヨが1着、後方2、3番手にいたコスモアンファンが3着。前で粘って残ったのはカツイチヴィーナス2着の1頭のみだった。
今回、そのカツイチヴィーナス、コスモアンファングの登録もあったが、自重。先着を許した上位馬が不在なら、ヤマニンエレメントに勝機到来は疑いないところ。しかも少頭数で俄然、レースがしやすくなったに違いない。
逆転候補はドリームアプローチ、ヒシリーガルが有力か。ドリームアプローチは中央では未勝利に終わったが、園田との条件交流で2勝。その後、名古屋へ転籍してA2へ編入。白星をあげることはできなかったが、一度2着に入るなどして今年5月に転入。
岩手では2戦とも5着だが、前走は展開にも恵まれて4着ヤマニンエレメントから0・1秒差5着だった。
今回はハイペースを望めそうにないが、ドリームアプローチは追い込み一辺倒の脚質ではなく、前に行ける脚もあり、地力で台頭できるはずだ。
一方、ヒシリーガルは前走、カツイチヴィーナスのハイペース逃げを深追いした格好で直線失速8着。敗因がハッキリしており、今度は二のテツを踏まず巻き返し必至と見るべきだろう。
評価に迷うのがマルタラヴ。中央3戦0勝から05年に岩手転入し、アッサリ2連勝をマーク。再び中央へ戻り、東京ダート1300m戦で1勝。その他にも上位入線をしたこともあったが、07年8月、函館で2着以降はずっと着外に沈み、戦いの場を再度岩手へ求めてきた。
中央格付けが1000万下。それでB1格付けなら当然通用するが、今回は如何せん4ヶ月ぶりの実戦。その点から△評価に収まったが、アッサリあっても不思議はない。
トウショウグローズも少頭数を歓迎のクチ。前回はハイペースをしのいで2着に粘ったように自分の競馬ができれば勝ち負けに持ち込める。今回は強力逃げ馬ノースアルテミスがいるので2番手の競馬になるかもしれないが、ペースが速くなることは100%あり得ない。よって流れ込みの線も可能だろう。
まとめると軸はヤマニンエレメントで不動だが、2着争いが混戦。馬券はオッズと相談して絞って買いたい。
◎ ?ヤマニンエレメント
○ ?ドリームアプローチ
▲ ?ヒシリーガル
△ ?マルタラヴ
△ ?トウショウグローズ
3連単は3を1着固定に2、5の折り返し本線。あとは1、4を3着に少々
馬複は2−3、3−5、1−3、3−4
<お奨めの1頭>
11レース コスモフェデラー
本日から“ミスターピンク”内田利雄騎手が岩手で騎乗開始。早くも初日から6レースの騎乗依頼があり、何勝するか楽しみ。コスモフェデラーは前回8着に敗れたが、芝が敗因。ダートに戻って巻き返し必至