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7/26ばんえい大賞典プレビュー

2009年7月24日(金)

 7月26日(日)のメインには3歳三冠の初戦・第34回ばんえい大賞典が行われます。三冠中で唯一の別定重量戦。2歳三冠を分け合った牡馬2頭、キタノタイショウ、ホクショウバンクが出走を回避し混戦ムードが漂います。
 270万円条件のアオノレクサス・670キロから、120万円条件の牝馬ワタシハキレイズキ・630キロまで40キロ差がつきました。しかし前日から雨予報が出ており、馬場が軽くなりそうな今回は、重いハンデでもそれほど気にする必要はなさそうです。
 となれば、アオノレクサスの出番でしょう。前哨戦のとかちダービー(6月7日・3歳オープン)では第2障害へ止めずに挑むと、そのまま押し切りました。その後270万円未満で、逃げて第2障害で苦戦、追い込んで届かずといった不本意なレース続きでしたが、強豪相手の前走白夜賞(芦毛馬選抜)で5着。同世代同士の戦いに戻り、軽馬場でのスピード勝負が見込めるここは勝利の可能性が高そうです。
 牝馬は4頭が参戦。牝馬重賞バレンタインカップ、黒ユリ賞でともに1、2着に入ったウィナーミミワタシハスゴイが実績上位でしょう。しかしこの2頭と同重量で差のない競馬をしていたタワノアヤカが今回は10キロ軽い640キロでの出走です。2歳時には牡馬相手の重賞で3着2回の実力馬も、今季は初戦のとかちダービー8着、黒ユリ賞を出走取消と流れに乗れませんでした。しかし、前走180万円未満で約7カ月ぶりの勝利を挙げ、復調を感じさせます。あまり忙しい競馬は向かない印象だけに、荷物が重くなりペースが落ち着きそうなここは持ち前の決め手を発揮してくるでしょう。
 一発ありそうなのがワタシハキレイズキ。極端に軽い馬場になれば最軽量を利して逃げ切ってしまう可能性もありそうです。

出走表はこちら

【参考レース】

 2/15 バレンタインカップ(勝ち馬:ウィナーミミ)
 3/15 イレネー記念(2着馬:アオノレクサス)
 6/ 7 とかちダービー(勝ち馬:アオノレクサス)

※映像はこちら。またこれらを含めた2カ月前までの映像はすべてオッズパークにてご覧いただけます。

今週の見どころ(7/25〜7/27)

 7月26日(日)のメインには第34回ばんえい大賞典が行われます。
 当日、ばんえい競馬の場外発売(第6〜第12レースをリレー発売)が行われる金沢競馬場では、『ばんえい十勝 in KANAZAWA Horse Park 2009』と題したイベントが行われます。園田・姫路競馬のレース実況アナ・竹之上次男さんと当情報局の重賞予想でおなじみの山崎エリカさんによる「ばんえい十勝トークショー&場立ち予想会」や、プレゼント抽選会などが予定されています。お近くの方はぜひお立ち寄りください。

 7月25日(土)のメイン第11レースは入道雲特別(270万円未満・20:00発走予定)
 メンバー10頭中、前開催の深緑特別(270万円未満)出走馬が7頭を占めますが、ここは前走ライラック賞(4歳オープン)で4着のフレイムスワローに期待。スタートにやや難がありますが、それをカバーできる障害力があります。今季この条件では3、2、1、1着と安定しており、初の特別挑戦でも期待できそうです。
 スギノディアスは前走深緑特別まで3戦連続して3着。不向きな軽馬場でもしぶとい走りをみせており、調子のよさがうかがえます。
 深緑特別2着のライデンヒーローや、ライラック賞3着のアカダケキングは、マイペースの逃げに持ち込めれば力を発揮するタイプ。この条件で好走を続けるマックスセンプーにも注目です。

 7月26日(日)のメイン第11レースは3歳三冠の初戦・第34回ばんえい大賞典(20:05発走予定)です。このレースは別掲ばんえい大賞典プレビューをご覧ください。

 この日の第6レースに2歳-A1が行われます。
 前開催の2歳A-1を好位からの抜け出しで制したホクショウバトル、スピードに任せたレースでここまで無敗のミスタートカチ、3勝馬同士の初対決に注目が集まります。
 ただ、2頭とも負担重量が5キロ加増となるだけに、レットダイヤテンマデトドケらが割って入る余地もありそうです。

  7月27日(月)のメイン第11レースは虹色特別(混合オープン・20:00発走予定)
 ギャンブラークインは7月11日のオープン特別でナリタボブサップの僅差2着に入り、今季開幕からの連続連対を6に伸ばしました。
 オレワスゴイは6月20日のオープン混合で格上のライデンロック相手にコンマ4秒差の2着。続く前走の世代限定オープンでは障害に苦戦し5着も、今回は立て直してくるでしょう。
 ここはこの2頭の実力が抜けている印象。障害次第でツジノコウフクが割って入れるかどうかといったところでしょう。

ばんえいジョッキーファイル(31) 長澤幸太

2009年7月22日(水)

第31回 ばんえい競馬の申し子 長澤幸太

 最後のジョッキーファイルは長澤幸太騎手です。

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--- 騎手になられたきっかけを教えてください。おじいさんが馬主さんだったんですよね。

 はい。周りにもいっぱい馬主がいるんで。家にも馬がいました。
 騎手を目指したのは中学1年生くらいですかね。そのころから、冬休みと夏休みは服部厩舎に手伝いに行ってたんで。

--- 服部先生とつながりがあったのでしょうか?

 小学生の時から(服部厩舎所属の)大河原騎手と知り合いでした。じいちゃんが知ってたんで。

--- 船山蔵人騎手と同じ道東の浜中町出身ですが、蔵人騎手のことは知っていましたか?

 知ってました。小学校、中学校も一緒で、よく遊んでました。

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--- 浜中では草ばん馬に乗っていたんですよね。

 はじめて乗ったのは中学3年生くらいからですね。最初、難しくって……。草ばんばってコースが決まってないから、馬がまっすぐ走らなくって。
 難しいから、やっていくうちにもっとうまくなって勝ちたいなって思って、どんどん乗り方を覚えていきました。
 今はもう浜中では草ばん馬はやってないです。

--- 自然に騎手になる道を進んだのですね。中学卒業後に来ようとは思わなかったのでしょうか。

 中学卒業してすぐ来ようと思ったんですけど、うちの(服部)調教師が最低高校は行っとけっていうんで行きました。
 それとその頃、ばんえいの経営が微妙な状態だったから……。

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--- でも、競馬場に入ったのが新生ばんえいスタートの年だから、高校の時に存廃問題が起きたんですよね。

 もう、なくなったらなくなったでその時考えようと思ったんで。
 うちの家族にも、その時考えれって言われました。

--- そして、騎手試験は一発合格。

 奇跡の。

--- そんなことないでしょう!

 いや、奇跡だよ!

--- そして1月10日、デビュー戦をリアルスペシャルで初勝利です。その時のことを教えてください。

 すごい雪降ってたんで、勝つとかじゃなく、走路の中をまっすぐに人に迷惑かけないで走ろうと思ってました。
 ゴール前は奇跡的に……(笑)
 どっちが勝ったかわからなかった。

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--- そしてここまで51勝(2009年7月23日現在)。素晴らしい活躍です。

 今年のほかの新人よりはちっちゃい頃から馬も触ってるから。他の人と一緒じゃ子どもの頃、何をしてたんだっていうことになるんで。同じ新人には負けたなくい。一番乗ってるし。
 厩舎の人もすごい応援してくれています。

--- 服部厩舎は大河原、鈴木恵介、細川とすごい騎手ばかり所属していますよね。

 はい、教えてもらっています。怒られるし。主にカワさん(大河原騎手)が教えてくれます。一緒にご飯食べに行ったり。その時に話したり、レース終わってからも、どこがだめだったとか。
 自分でビデオ見て、こういうところ失敗したなとか、確認もします。

--- 勝負服を見ても大河原騎手の影響がわかります。

 パクり(笑)。

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--- 貝和騎手が長澤騎手と仲がいいと言っていました。ばん馬の話をしたりしますか?

 ばん馬よりプライベートの話ですね。若い感じの会話で(笑)。
 サッカーチームも一緒に入ってるんで。

--- ばんえいリッキーズですね。

 活動は週2回かな。火曜が社会人との試合で、水曜が練習です。
 試合後にはばんばのティッシュと無料招待券を相手に配っています。

--- 何かスポーツはされていましたか?

 野球です。高校ではセカンドとピッチャー。小中高って野球やってて、キャプテンでした。

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--- なかなか時間はないと思いますが、プライベートはどうされていますか?

 最近結婚したんで、早くに……。

--- 帰って来いと(笑)。騎手になったら結婚するとの約束を果しましたね。おめでとうございます。今は厩務員として働いている沙也佳さんですね。

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キタノタイショウと共に

 レース(1着に)持ってきても……すごいうるさいんですよ。帰ってきたら「(障害に)かけるの遅い!」

--- (笑)。同じ高校から長澤騎手のいるばんえいの世界に入られて頑張っていますよね。もともとばんえいは見ていたのでしょうか?

 見てないですね。競馬場入ってからです。最初はもう、馬触るのもおっかながって……。
 今はもう馬の背中に乗ったりズリ挽きしています。頑張ってるなーって。

--- なかなか男性でも出来ないことを、よくこなしていて素晴らしい女性ですね。さて、最近50勝して減量特典がなくなりました。

 ☆取れちゃった。
 でも、10kg軽くなったからって乗り方変えようとは思ってないんで。

--- 以前より、特別戦など減量特典のないレースは乗られていましたが、10kgの違いは感じますか?

 ゴール前とか、普段乗ってる馬でもあれ? こんなのかな? って。
 たかが10kgだけどすごいなーって思いました。

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--- 目標を聞かせてください。NARグランプリ新人賞に近いところにいますね。

 出来たら取りたい。
 取ることによってばんえいの宣伝にもなるし。

--- では最後に、ここを見てくれ!というところを教えてください。

 障害!
 騎手と馬が呼吸を合わせて上ってくところが見所かな。

--- ばんえいの場合、騎手と馬が6:4や7:3といいますが。

 自分はほとんど馬かな?(笑)


 あれだけの成績を残しているのに謙虚な姿勢の長澤騎手。技術だけではなく、このような姿勢が騎乗数に結びついているのでしょう。
 長澤騎手はインタビュー後、大怪我をしてしまいました。蹄鉄を打っていた馬を持っていた時にその馬が立ち上がり、脚で顔面を蹴られてしまったそうです。即手術をしましたが、鼻と顎の骨は亀裂が入ったまま3週間で復帰。その日の第5レースで、初勝利となったリアルスペシャルで早速勝利をあげました。
 病院から競馬場が見えていたそうで、もどかしい気持ちの中、体を鍛えていたそうです。
 馬に乗れる楽しさを改めて感じたそうで、この経験を積んだ長澤騎手は鬼に金棒ですね。
 長澤騎手がベテランとなり、平成のミスターばんえいと呼ばれるまでの姿を見守りたいと思います。


 ジョッキーファイルはこれで最後となります。今までありがとうございました。
 ばんえいがなくなるかもしれなかった時、一番強く思ったのは「この人たちを騎手でいさせたい、ずっと騎乗している姿を見ていたい」ということでした。
 多くの人に騎手の素晴らしさを紹介したいと思っていた時にお話をいただき、自分なりに頑張ってきたつもりですが、まだまだ伝えきれない部分がたくさんあり、力のなさを痛感しています。でも「読んでからあの騎手のファンになった」と言われることがとても嬉しかったです。
 これからも皆さんには、ばんえい騎手の魅力を感じていただいて、もっともっとばんえいにハマっていただきたいと思います。
 その機会を作っていくのが『とかち馬文化を支える会』。9月18日には恒例の『騎手交流会』を行います。魅力を生で感じにぜひご参加下さいね!


取材・文・写真/斎藤友香

7/19北斗賞回顧

2009年7月19日(日)

カネサブラックが今季重賞2勝目!

 19日(日)は重賞・北斗賞(3歳以上オープン)が行われ、カネサブラックが勝利。4月のばんえい十勝オッズパーク杯同様の高速決戦を制すとともに、重賞7勝目を挙げました。

 雨こそやんだものの、7.4%と高めの馬場水分のなかで行われたこの一戦。道中はナリタボブサップがハイペースで飛ばし、1馬身ほど抜け出た状態。その他の各馬はほぼ横一線で第2障害を迎えました。
 ひと息入れて真っ先に動いたのはナリタボブサップで、トカチプリティーとトモエパワーがこれを追撃。しかし抜群の掛かりを見せて、カネサブラックがひと腰でクリア。やや遅れてナリタボブサップとスーパークリントン、さらにホクショウダイヤもこの一角。フクイズミは7番手で障害を下りていきました。
 しかし先頭のカネサブラックの逃げ脚は快調。軽馬場を味方にスイスイと脚を伸ばし、激しい2着争いを尻目にそのまま先頭でゴールを駆け抜けました。残り10メートル付近で2番手に浮上したホクショウダイヤが2着。3着にはナリタボブサップが踏ん張り通し、追い込んだフクイズミは4着まで押し上げるのが精一杯でした。

 カネサブラックは、今季早くも重賞2勝目。卓越したスピードはばんえい十勝オッズパーク杯で証明していましたが、当時より80キロも重い800キロを曳きながら1分26秒4の走破時計をマーク。他馬は手も脚も出せないままで終わってしまいました。前走の旭川記念(4着)はフクイズミの大駆けと10キロのハンデ差が響いただけ。定量戦で、持ち味のスピードが生きる馬場状態のここなら、この圧勝ぶりも納得です。
 ホクショウダイヤが旭川記念に続いての2着で、松井浩文厩舎のワンツーフィニッシュ。これまで800キロ以上の高重量戦では結果が出ていませんでしたが、770キロで馬場水分4.6%だった旭川記念での好走を考えれば、素直にパワーアップを果たしたと見るべきでしょう。障害を4番手でまとめたのも地力強化の証明で、悲願の重賞初制覇も時間の問題です。

成績はこちら
映像はこちら

松田道明騎手「乗りやすく正直な馬なので、不利がなければ勝てるだろうと思っていました。レースではナリタボブサップがハナに行きましたが、5メートル差なら射程圏だと思い、安全策で少し下げました。馬場が軽くて前半でみんなが強めに追っていただけに、うまく障害を上げることに集中しました。障害さえまとめれば抜群の切れを持っている馬ですからね」

7/19北斗賞予想 山崎エリカ

カネサブラックの巻き返しに期待!

 前回の旭川記念は密かに自信がありました。私はノミの心臓ゆえ、それを公の場で書いてしまうと、もし外れた時のクレームが怖いからあえてそれを主張しませんでしたが(自信があると言っても外れることもしばしばあるし)、私の中ではイケ、イケ、ゴー、ゴーで、ばんえい競馬ではめったに1万円も馬券を買うことがないのに、久々に1万円も買っちゃいました。

 そしてその儲かったお金の一部で、帯広競馬場に菜の花畑を作り、十勝街道をヒマワリでつなぐ夢の企画、バンバオーレクラブに入会しました。帯広競馬場へ足を運んでくれるみなさんが、黄色いじゅうたんの情緒を感じながら競馬できたら素敵だなぁ〜というボランティア精神と、9月以降になるとその菜の花畑で撮影したお気に入りのばんばの写真がもらえるという少し横しまな考えから入会したのです。

 私はフクイズミが好きなので、今回はフクちゃんとの写真を第一希望でお願いしましたが、『ばんえい競馬情報局』でまた予想が当たったら(対象馬がフクちゃんだった場合を除く)、その馬に対するお礼も込めてまたもう一口……というように徐々に口数を増やしていきたいです。だから今回の北斗賞もあまり自信がないけれど当てたい! 神様、当てさせて下さい!!

 そんなわけで定量戦の北斗賞。◎にしてみたいのは、前走の旭川記念は障害でヒザを折ってしまって力を発揮することができませんでしたが、1開催休ませてここを目標にキッチリと調整したらしいカネサブラックです。前回の旭川記念の見解でも述べたように、同馬は2開催に1度のアベレージで出走してくるあたりが、「強い競馬をすると実は大きく疲労が残る虚弱体質なのでは?」と思わせるタイプです。だからこそ休ませた後の一戦は“買い”なのです(1開催以上休ませた直後の連対率は100%で、重賞でも昨年のばんえい十勝オッズパーク杯1着、今年のチャンピオンカップ1着、ばんえい記念2着、ばんえい十勝オッズパーク杯1着はすべて1開催以上休ませての結果でした)。だから今回は人気に逆らわずにカネサブラックで行きます。

 ○には日曜日は雨模様ということで、馬場水分8.8%の今年のばんえい十勝オッズパーク杯で◎に次ぐ2着に好走しているように高速適性(軽馬場適性)もあり、昨年の北斗賞の覇者でもあるナリタボブサップ。▲には馬場水分8.8%の6月のレーシングカップで◎に次ぐ2着があり、5月のさつき特別や旭川記念でナリタボブサップに先着しているホウショウダイヤ。あとは△に旭川記念、白夜賞を制しているように、馬場水分4.0〜5.0%が理想的ではありますが、第2障害をトップで越えられるのは地力強化の証だけに軽馬場でも侮れないフクイズミ。

 ◎ カネサブラック
 ○ ナリタボブサップ
 ▲ ホウショウダイヤ
 △ フクイズミ

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