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やっぱり馬が好き(第38回) 旋丸 巴

ピュア・アラビアンホース・フェア

 『夢のグランプリで夢の高配当』と銘打った私の観戦ボックス予想が、またまた的中! 7500円もの配当がついたからマヌケ面で呵呵大笑していたら……。

 馬インフルエンザ騒動である。

 サラブレッドと、ほとんど接点のない、ばんえい競走馬、とは言え、感染ルートが確定されていない以上、油断は出来ない。というわけで帯広競馬場も完全防疫体制に入った。具体的には、

 ①バックヤードツアーの中止
 ②ふれあい動物園の休園
 ③協賛レースでの口取りの中止(ただし、柵越しに記念撮影はできる)

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 という措置が取られた。勿論、その他にも馬の移動の禁止やら、部外者の厩舎立ち入りの禁止など、内部的な規制は色々あるけれど、ファンに対する影響は、概ね、この3点。

 これだけで競馬が続行されるのだから、先ずはよかった、と言うべきなのだが、ここに、ひとつ、大きなインフルエンザの余波が出て、今週末25日、26日に予定されていた「とかち馬文化を支える会」主催のウエスタンショーが中止になってしまったのである。今回、予定していたウエスタンショーは、ファン参加のゲームあり、馬による曲芸あり、という楽しいもの。それだけに、私も大いに期待していたのだけれど、この中止……。ううむ、インフルエンザが憎い!

     *     *     *

 というわけで、今回は中止になってしまった「支える会」主催のイベントだけれど、さかのぼって先月の29日には、同会主催によるイベント第1弾がめでたく開催されたから、その御報告をば。

 その記念すべき第1回目の「支える会」主催イベントは、他ならぬ私が担当。「2007ピュア・アラビアンホース・フェア」と銘打って、十勝に繋養される6頭のアラブ馬を披露。スタンド南側にパドックを作って、そこに親子のアラブ馬を展示したり、馬車を運行したり。メインイベントとして、スタンド前アラブ馬によるパレードも行うというもの。

 また、これに付随して、アラブ馬ブースを設置してグッズ販売やDVDの上映をしたりしたのだけれど、当日は朝から豪雨。開門時には一旦、空が晴れ上がり快晴……と歓んだけれど、3時過ぎには再び激しい暴風雨が吹き荒れるという、最悪の天候。

 ではあったけれど、しかし! そんな悪天候にも関わらず、ファンの人達は、アラブ馬に触ったり、馬車に乗って記念撮影をしたり。パレードでは、小雨が残っていたにも関わらず、50名ほどもの人がスタンドから出て熱心に写真を撮って下さっていたから、胸が熱くなってしまった。

 胸が熱くなったと言えば、お手伝いをして下さった皆々さんにも、感動、感激の連続。当日、アラブ馬を連れて来た我が日本純血アラブ馬協会の面々は、馬の世話におおわらわ。そんな私達を手伝って下さったのが、競馬場で顔見知りになったファンの人達や、厩舎関係者の面面。

 私が会場に到着した時には、既に、服部先生はじめ厩舎の皆さんが、馬の繋ぎ場やパドックを設営して下さっていたから、もう、この時点で、感謝に心震えたけれど、その後も、フットワーク軽く、かゆいところに手の届くケアをしてくださって、勿論、その中に、我らが谷さんもいてくれたから、嬉しかったのなんの。

 厩舎関係者の方については、もうひとつ、関心、感謝したことが……。

 牝馬を見て頭に血を昇らせてしまった1頭のアラブ馬。前足を高く掲げて阿波踊りするこの馬を、しかし、厩務員さん達は全く臆することなく引き馬して下さり、その度胸と心意気に「ひぇ~」と驚かされたのである。さすがは、日頃、巨大な競走馬を扱っているだけある。ばんえい競馬界の底力を見せ付けられた気分であった。

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アラブ馬による馬車運行

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服部会長もアラブ馬と記念撮影

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アラブ馬に観客も興味津々

 ファンの皆さんの応援も、これに負けず劣らず凄かった。馬車の案内から、グッズ販売、果ては馬糞拾いまで、自発的にどんどん手伝って下さったのだから恐縮至極とはこのこと。

 こうして厩舎関係者やファンの人々のご厚意に助けられて、無事にイベントは終了。

 馬運車に愛馬を積み込んで門を出る時に、新聞売りのおばさんが、馬運車から顔を出す私の愛馬を指差して、

 「あっ、あの馬達よ、さっきパレードしてた馬。綺麗でしょ~」

 まるで我が馬のように自慢気に話すおばさんの声を聞きながら、ふっふっふっと、ほくそ笑んで、しかし、次の瞬間にハッと気が付いた。

 ばんえい競馬を応援するため、と、人助けのつもりで手弁当で頑張った当イベントではあったけれど、実のところ、助けられたのは我々だったのではないか、と。

 少なくとも、「北海道の多彩な馬文化を御紹介したい」という我々の願いは、ばんえい関係者のお陰で叶えられたわけで……。

 「馬好きは相身互い」「情けは人のためならず」を実感した1日だったのでした。

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