
中村晋典が不安定走路を制した
最終日4日目は晴れ空の良走路で開始したが、第8レース頃から天候が崩れて、以後は降ったりやんだりしながら決勝戦の発走前には再びの小雨。ブチ走路でおこなわれた試走で悪くないタイムを出した片野利沙・川原剛・吉田祐也は雨走路での連対率が高くなく、雨巧者の牛沢和彦は試走タイムが大きくなり機力面が不安な情勢。中村晋典もかつては雨の実績に乏しかったが、2021年頃から勝利や2・3着に入るケースが増えていた。
レースが始まると0ハン3車は枠ナリに出たが、大外3号車の中村晋は牛沢を捲ってすぐ2番手。そして2周回1コーナーで片野を差して先頭に立つと、あとはマイペースで逃げ切り。2007年8月以来、通算7度目の優勝を飾った。
文/鈴木
53度目の挑戦で遂に...
試走から前へ詰める動きあった吉田恵輔が1番人気に推された。2004年の選手デビューから苦節20年、得意の雨で人気を集めながら進まなかったり、自分の展開を作れてもS級レーサーに捌かれたり...53回目となる晴れの舞台で遂に決めてみせた。
0ハン2車並びの内枠の北渡瀬充を叩いた吉田恵が、単独で逃げた落合淳を1周回3コーナーで差して早々と先頭に立つ展開。レース中盤は田中哲が差を詰めそうな気配もあったが、吉田恵は自分のペースを冷静に守り、初優勝のゴールへ先頭で飛び込んだ。
ピットに戻ると多くの選手仲間に出迎えと祝福を受けて、そのあとは満面の笑顔でウイニングランを飾った。
文/鈴木
久門徹が最後方から追い込んで優勝!
0ハン単騎の片岡賢がイン粘り込み、阿部仁は追走がいっぱい。仕掛けどころを探っているが、なかなか入り切るまではいかなかった。20線勢は最内の石本がスタート先行し、一つ外の森本が続く。大外の荒尾は青島と久門を包んで出るスタートで、悪くない位置取りに成功した。まず動きがあったのは森本。前を走る石本を交わすと片岡賢、阿部仁で回っていた前団も攻略し先頭を奪取。そのまま押し切るかに見えたが、外枠の荒尾にスタート行かれて最後方からの競走になってしまった久門が強烈な巻き返しを見せる。道中で荒尾を逆転し、森本との一騎打ち態勢を築くと、そのすぐ後の5周3コーナーで森本のインに突っ込み久門が先頭に立ってみせた。
試走タイムは平凡だったしレース展開も最悪となった久門だが、この優勝戦では冷静に、そして気合を入れて走れていた。今年は今回で11度目の優出、その内優勝が3回。ここまで良い流れでこれている。次は山陽オートで特別G1プレミアムカップが待っている。最高の状態で臨めるのではないか。
勝って当たり前? 鈴木圭一郎が完全V
3日間、全く危なげなく優勝戦へ進んだ鈴木圭一郎。試走はただひとり30秒切る3.27。優勝戦のオッズも鈴木圭のアタマから。3連単8-4-5、2連単8-4、8-5で人気となる。
0ハンのトップスタートは稲川聖也だったが、岩田裕臣が付けて差す。その時すでに鈴木圭の姿があり岩田裕をインから抜いて先頭へ。抜かれた岩田裕も食らい付くが、逆転できる力はなし。稲川聖を渡辺篤が捲って離れた3着。結果は3連単8-4-7 1400円。2連単8-4が240円だったのを考えればついた方ではないか。改めて鈴木圭の強さを川口オートのファンに知らしめた。
このあと鈴木圭は山陽のG1プレミアムカップに参戦。11月半ばまで浜松での開催はないが、レース場に関係なくトップレーサーの走りとさばきを見せてくれよう。
祐定響が完全Vで初優勝を達成!
0ハンからの競争になった祐定は試走タイムこそ38で、数字としては出場選手の中で最も悪かったが、レースでは安定したコース取りでスピードに乗れていた。20線単騎の筒井は周回ごとに徐々に差を詰めてはいたが、仕掛ける射程範囲に入ることができずレースは終了。祐定が僅かに振り切り、ゴール線をトップで通過してみせた。筒井は準優勝。3着には30線最内から先行した角が入線した。
今節の祐定の走りは安定していた。上がりタイムもレースごとに少しずつ良くなっており、節間にも成長が感じられた。ここ最近は他の選手が2級車で初優勝を決めるシーンが目立っていたが、祐定も例に漏れず達成してみせた。36期は栗原圭や吉林などが同期をけん引しているが、祐定もその一角に加わってきそうな可能性を感じさせた。これからどのように成長していくのか、また1級車に乗り換わったらどんな走りを見せてくれるのか、今から楽しみでならない。