先週7日、盛岡ダート1200mで行われた「第11回絆カップ」はキラットダイヤが単勝120円の圧倒的1番人気に応え、10馬身差で逃げ切りを決めた。ただ2着は7番人気ゲンキチハヤブサが入り、馬連複4900円、馬連単6080円の高配当となった。
キラットダイヤはサウスヴィグラス産駒。中央ダート1000m2勝から転入。初戦の水沢1400mは3着に終わったが、2戦目から早池峰スーパースプリント(水沢850m)、岩鷲賞(盛岡ダート1200m)、ヴィーナススプリント(同)と重賞3連勝。今回もワンサイド決着で連勝を4に伸ばした。
板垣吉則調教師「内のきゅう舎に来たときは動きがちょっと堅かったが、夏の放牧から戻って堅さがなくなった。それでどんな調教でもできるようになった。この後は条件が合うレースがないので完全休養。来春から始動します」
注目してほしいのはキラットダイヤのローテーション。早池峰SSから岩鷲賞まで1ヵ月半、ヴィーナススプリントは2ヵ月のレース間隔を開けて出走。そして今回も約1ヵ月半ほど開けて絆カップへ臨んだ。
これまで短距離路線はクラスターカップを頂点に、重賞だけではなく一般戦(A級)でも1000m前後のレースが多数組まれているが、まったく見向きもせず目標を1本に絞って調整。岩手競馬では考えられなかった使い方で重賞4連勝を飾った。
さらにレース前には勝っても負けても絆カップを最後にシーズンオフは決定済み。この潔さには感服し、実際に圧勝してしまうのだから頭が下がる。もしかすると、岩手に新風を吹き込むかもしれないと思った。獲得賞金も1000万越え。来春、リフレッシュして英気を養って戦列に戻ってくるキラットダイヤとの再会を楽しみにしたい。
15日メインは岩手県調騎会騎手部会協賛「夢・希望 未来へ前進」(B1級一組 盛岡ダート1800m)。実力プラス、距離対応がカギを握る一戦となる。
ブルーノバローズは函館芝2000m1勝から転入。初戦は2着に終わったが、2戦目からダート芝で2連勝。あっさりA級へ昇格したが、2戦5、7着。オープンの壁が厚かったようだが、今回は再びB1級へ降格。また中央時代のメイン距離は芝2000mで、芝2600mでも5着1回。1800m延長は望むところ。
ダンサーズドリームは2歳時に岩手入りして1勝マーク。順調な滑り出しだったが、3歳途中まで勝ち切れないレースの連続。頭打ちかと思わせたが、7月にシーズン初勝利をあげると6勝を荒稼ぎ。奥手が本格化を迎えた。今季もなかなか軌道に乗れなかったが、B1級へ降格した前走2着。本来の伸びを見せてくれた。上昇ムードに乗って待望の白星ゲットまで十分。
コログレッツォは典型的な追い込み馬。そのため展開に左右される面があるが、今季も4勝マーク。健在を誇示している。2連勝で臨んだカシオペア賞はJRA相手では5着も仕方なし。1800m延長で前々走の再現を狙う。
マラジェッツは南関東B3級から転入。軌道に乗るのに時間がかかったが、前回快勝で弾みついたのは確実。南関東2000mで1勝2着1回の実績から、まとめて負かすシーンまで。
ナムラバンザイは今季1勝2着4回。盛岡巧者に定評がある。近走は伸びを欠いていたが、B1降格の前走3着。やはりマークは欠かせない。
ポエムロビンはすんなりの競馬に持ち込めるか否かがすべて。今回のメンバーならそれができる可能性がある。
◎⑤ブルーノバローズ
〇③ダンサーズドリーム
▲⑦コログレッツォ
△⑫マラジェッツ
△④ナムラバンザイ
△⑨ポエムロビン
<お奨めの1頭>
11R ナンヨーヴィヨレ
前走は超ハイペースの2番手を追走しながら2着。改めてこの馬のポテンシャルの高さを実感した
14日メインは"GRANDAME-JAPAN2021"2歳シーズン・セミファイナル「第37回プリンセスカップ」(盛岡ダート1400m)。
同レースが"GRANDAME-JAPAN"に組み込まれたのは2012年。一貫して水沢1400mが舞台。盛岡で行われるのは2011年、東日本大震災で水沢開催が12月までずれ込んだとき。それ以前も盛岡で何度か実施されたことがあったが、基本は水沢で行われている。
交流格上げ後、北海道4勝、岩手3勝、浦和1勝。一見すると岩手勢も健闘しているな―と思うだろうが、3勝はゴールデンヒーラー、サプライズハッピー、ブリリアントロビン。共通するのは牡馬相手にも重賞制し、互角以上の勝負を演じてきた強豪牝馬のみ。冷静に考えれば北海道優位と見るのが妥当だろう。
今年は遠征馬は北海道1頭、大井1頭、浦和1頭。計3頭は例年に比べて少ないが、北海道代表・レディーアーサーは強力。中心に揺るぎなし。
デビュー戦は2着に敗れたが、2戦目を1秒3差で圧勝。続いて2歳いの一番の重賞・栄冠賞3着から一旦休養。約2ヵ月半の休養から復帰し、イノセントカップを快勝。強烈なまくりで初重賞を手にした。
その結果からJpnIII・エーデルワイス賞でヒストリックノヴァの2番人気に支持されたが、14頭立て11番枠に入り、終始外目を回されるロス。これが響いて直線外から伸びたが、0秒3差6着に敗れた。一方、勝ったスピーディキックは内を突いたのが奏功。進路の差も明暗を分けた。
今回はエーデルワイス賞の雪辱戦。メンバー構成から負ける要素はほとんどなく、仮に制すれば15ポイントを獲得。エーデルワイス賞の2ポイントを加えると17ポイントし、暫定3位スティールルージュに並び、総合優勝圏内にも入る。
カクテルライトは北海道4戦1勝から転入。初戦はアップテンペストの2着に敗れたが、続くビギナーズカップで首位を奪回。初の1600mがネックだった若駒賞でも見事な逃げ切りを決めた。
前走・南部駒賞は4着。マークも厳しかったが、マイルが長かった。地元同士ならペース次第でごまかしもきくが、交流戦は甘くはなかった。今回も逃げの手に出てマークされるが、何といっても1400m短縮は好材料。仮にハイペースで飛ばしてもこの距離なら我慢がきくはず。
アップテンペストは水沢2戦2着1回に終わったが、盛岡に替わって圧巻の4連勝。広いコースも合った。ビギナーズカップは0秒9差2着に終わったが、前回ハイタイム完勝で軌道修正。
その後は一旦放牧に出て休養。使い詰めだっただけにちょうどいい一休み。強調材料は今回と同じ盛岡ダート1400m5戦4勝2着1回。この経験の多さに加え、リフレッシュできていれば一発の可能性がある。
ササキンローズはスタートがカギだが、2戦目でただ1頭だけ38秒0の強烈な末脚を使って直線一気を決めた。初輸送、初の左回り、初の1400mなど不確定要素は多いが、ハイペースになれば一気突き抜けるシーンまで。
ザワロインは盛岡ダートのみを使われて着外は一度もなし。前回、好タイムで初勝利を飾り、上昇ムードに乗った。
チェリースイスは知床賞6着、南部駒賞5着。いい脚を長く使えるのが武器。勝ち負けはきついが、3連モノの押さえは必要。
◎⑤レディーアーサー
〇⑧カクテルライト
▲①アップテンペスト
△⑦ササキンローズ
△④ザワロイン
△⑥チェリースイス
<お奨めの1頭>
2R エープラス
前走は1年3ヶ月の長期休養明けだったことを考えれば2着で上昇。ひと叩きされて首位奪取に燃える
11月7日に行われたダート1200mの重賞『絆カップ』。今季から1200mに短縮されて秋のダートスプリント戦となったこのレースは、今季ここまで重賞3勝を挙げているキラットダイヤが優勝。4つめの重賞タイトルを獲得しました。
スタート直後こそ競り合いに巻き込まれるかに見えたキラットダイヤでしたが、二の脚のダッシュで抜け出してリードを取るとその後は一人旅。3~4コーナーあたりでもう後続は追いつけず差は拡がる一方に。ゴールでの2着馬との差は10馬身、大差にこそならなかったものの最後まで危なげなく走り抜いたキラットダイヤの、その強さとスピードが際立ったレースとなりました。
一方2着争いは最後まで激戦となり、道中2番手で粘っていたケイアイテディをゲンキチハヤブサが交わして2着を確保。2番人気ドラセナも直線追い上げましたがこちらは4着まで、ケイアイテディが3着を守り切りました。
11月9日のメインレースは第11RのA級一組ダート1800m『晩秋特別』。本命は(9)リリーモントルーです。
成績上は「3連勝のあと3連敗」になりましたが直近の3戦はダートマイルの重賞・芝1700mの重賞、南部杯なのですから敗れた事を気にする必要はなく、むしろ南部杯での地方馬最先着、青藍賞での優勝争いに加わる3着は力量を評価して良い結果だったと考えます。
今回はA級特別戦に戻って、相手関係もこれまで何度か戦っている馬たち。1800mという距離は4走前に勝ち抜いている条件。となれば主力視は当然、この後の重賞戦線にむけて再度進撃開始を狙う一戦といえるでしょう。
対抗は(1)プロヴィデンスを。前走はマツリダスティールにこそかなわなかったものの3着以下は危なげなく引き離しての2着確保。それが自身初めての1800m戦だったのですから高く評価していい走りだったでしょう。ここも同型がいますが絶好枠から主導権を握る事ができれば。
三番手はその"同型"(8)パンプキンズ。この馬も近走の敗戦は重賞でのもの、A級特別なら距離問わず好走できている事、その先行力もまた距離を問わない事はいまさら言うまでもありません。外枠といっても8番枠なら自身の形に持ち込めるでしょうし、そうであればこの距離でも。
ここのところ着順が振るわない(4)ヤマショウブラックですが、状態自体が着順ほど悪いようには見えません。あくまで展開や距離の影響ではないでしょうか。その意味で1800m・得意な雨馬場という事になりそうな今回は変身の可能性を意識したいもの。
また(2)マルケイマーヴェルも3走前の牝馬準重賞で1800mを勝ちきっているように距離はこなせている戦績。対牡馬のここでも力量通用と考えたいですね。
●11Rの買い目
馬単(9)=(1)、(9)=(8)、(9)→(4)、(9)→(2)
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先週10月31日、盛岡ダート1600mで行われた2歳交流「第48回南部駒賞」は北海道勢が上位3着までを独占。地区レベル差をマザマザと見せつけた。優勝はエイシンヒカリ産駒エイシンシュトルム。父に二世代目で初重賞をプレゼントした。
山本咲希到騎手「気性の危うさを考えると現状は逃げがベストですが、逃げれなくても3番手は取りたいと思っていました。1600mぐらいが一番合っていますが、初の左回りと初コースが不安でした。左回りだと外へ張り気味になりますから、外の馬(ドラゴンゴクウ)がちょうどいい壁になってくれました。2馬身差の完勝は馬の能力ができるワザですが、先頭に立って遊ばれたのが今後の課題。もっと成長してくれれば、さらにいいパフォーマンスを出せると思います。跳びが大きい馬ですから芝も合うかもしれませんね」
そのコメントを頭に入れてレースリプレイを観ると納得。やはり外に張り気味で走っていたし、4コーナーまで手応え抜群。直線でクロールキックを捕らえた後、鞍上がムチを入れて気合いをつけていたが、それで完勝なのだからスケール一目。まだまだ伸びしろがありそうな予感を抱かせた。
跳びが大きく芝が合うかも―と山本咲希到騎手が語っていたが、佐藤哲三元騎手もレースを見て同じ感想を語っていた。父エイシンヒカリはディープインパクト産駒。そして母父はディープと相性抜群のタピット。左回りにはまだ課題があるが、チャンスがあれば芝にも挑戦してほしいと思った。
8日メインは「霜月特別」(A級二組 盛岡ダート1600m)。地力アップが目覚ましいレールガンの2連勝に期待する。
2歳11月、中央2戦0勝から転入。3歳時には岩手クラシック戦線に名乗りをあげて東北優駿3着、不来方賞4着。置かれる脚質のため勝ち味に遅いタイプだが、重賞でも上位を確保した。
ひと皮むけたのは冬場に南関東へ移籍して4戦を消化。3着最高だったが、今年5月に再転入。4戦目を快勝し、古馬重賞へ挑戦。準重賞・すずらん賞ではタイセイブラストのタイム差なし2着に気を吐いた。
続く青藍賞6着、南部杯14着が相手が強く仕方なしだったが、自己条件に戻って前回圧勝。いつもどおり後方に待機し、3コーナーからスパート。あとは逃げ切りをもくろんだアドマイヤコメットをあっさり交わして4馬身差。自慢のまくり脚をさく裂させた。
脚質的な不安は常につきまとうが、今の充実度を重視。加えて先に行きたい馬がそろって前回よりもハイペース模様。2連勝のお膳立てが整った。
サンエイムサシは岩手4勝から4歳2月に南関東へ移籍。2勝をマークし、南関東B3級から里帰り。強豪相手に揉まれてきた経験を生かして、いきなり2連勝を飾った。前走も1番人気に支持されたが、直線で伸びを欠いて3着。レールガンの決め手に屈したが、逃げるアドマイヤコメットを捕えるため早めに動いたのが仇。評価ダウンにはならない。今度は先行グループの動向を見ながらレースを進め、巻き返しに転じる。
アドマイヤコメットは徹底した逃げタイプ。ここ2戦とも自らハイペースを形成しながら2着に粘った。ただ今回は外10番枠に加え、同型もそろったのがネック。先行激化なら失速のケースも考えておきたい。
サンエイバラードは芝ダート兼用のタイプ。成績どおり一戦ごとに勝利をモノにしている。特に盛岡ダートでは連対を外したのは一度のみ。前走3着のうっ憤を晴らす。
グランフォロミーは左回りに不安を残すが、前走4着で克服のメドが立った。東北優駿(岩手ダービー)2着の実績からも軽視できない。
ラフレシアオジョーはA級に入ると展開の手助けが必要だが、今回はハイペース必至。しっかりした末脚を生かせるかもしれない。
◎⑥レールガン
〇⑨サンエイムサシ
▲⑩アドマイヤコメット
△①サンエイバラード
△③グランフォロミー
△⑫ラフレシアオジョー
<お奨めの1頭>
1R サイタオフェーリア
転入戦をあっさり逃げ切り、1秒7差で圧勝。同じ1000m戦なら追いかける一手
7日(日)メインは「第11回絆カップ」(盛岡ダート1200m)。創設は2011年。東日本大震災からの復興を祈念して創設。第1回は10月10日、盛岡ダート1400mを舞台に行われたが、当日、東京競馬場では『岩手競馬を支援する日』と題して「マイルチャンピオンシップ南部杯」を特例で実施。
一方、岩手競馬ではこの絆カップが行われ、東京競馬場のターフヴィジョンでも放映。ファンが大歓声でレースを見守ってくれた。その後、JBC盛岡開催のとき、2000mで行われた以外は盛岡ダート1600mで実施されていたが、今年は距離が1200mへ変更。今年、絆カップは新たな道を歩むことになる。
それに伴い、出走メンバーも一変。絆カップ2年連続の出走馬は1頭もなく、短距離のスペシャリストがずらり顔をそろえた。
中心はキラットダイヤで迷いなし。中央ダート1000m2勝から今年3月に岩手入り。初戦は水沢1400mの距離が長かったため、スティンライクビーの3着に終わったが、2戦目から圧巻の重賞3連勝中。
今年、水沢850mで行われた早池峰スーパースプリントを好位抜け出しで完勝し、続く岩鷲賞を1秒差で圧勝。コース替わり、1200m延長がネックだったが、あっさりクリアー。牡馬を一蹴した。
その後は夏休みに入り、牝馬重賞・ヴィーナススプリントで復帰。牝馬同士なら能力が違いすぎるとばかり、2着マルケイマーヴェルに1秒6の大差をつけて逃げ切った。
最大のライバルは同厩のコンサートドーレだったが、無理せず自重。すでに勝負付けが済んだメンバーに加え、盛岡1200m2戦とも圧勝。ヴィーナスS後は絆カップ1本に絞って調整を進め、態勢も万全。重賞4連勝に王手をかけた。
ドラセナは中央2勝。芝1800m、ダート1400mでそれぞれ1勝をマークして転入。初戦の盛岡ダート1600mを豪快なまくりを決め、0秒4差で完勝。続いて南部杯へ駒を進め、結果9着だったが、前走タイムを大幅に更新した。
前走は矛先を変えて1200m戦へ出走。スタートで出遅れたのが致命傷かと思ったが、メンバー最速の36秒5の上がりを披露してコンサートドーレの2着に突っ込んできた。この決め手が最大の武器。仮にキラットダイヤに競りかける馬がいれば一気突き抜ける可能性もある。
スティンライクビーは南関東から再転入。あっさり2連勝を飾った。以降は重賞挑戦などで相手が強かった上、条件も合わず入着一杯だったが、平場戦に戻って前々走1000m戦を快勝。軌道修正に成功した。前走も直線でジワジワと伸びて3着確保し、ここでも目が離せない。
ケイアイテディは中央ダート1200m1勝から南関東900m(川崎)1勝、名古屋7勝、金沢の交流・日本海スプリント(900m)3着から転入。初戦1000m戦2着、前走1200m戦4着と通用を証明した。キラットダイヤが逃げ、以下のグループが追いかけず流れ落ち着けば残り目は十分。
サンエイロードは南関東デビュー2連勝後、脚部不安のため約1年休養。復帰戦も白星で飾ったが、以降は勝ち切れないレースの連続。900m2着2回が最高で岩手へ新天地を求め、初戦のマイル戦を完勝。久々の美酒を味わった。前走は3着止まりだったが、1200m短縮を味方にしたいところ。
ツルオカボルトは南関東時代を含め、通算8勝のうち4勝が1200m戦。ひと叩きされて良化が見込めるはず。
◎④キラットダイヤ
〇⑨ドラセナ
▲③スティンライクビー
△⑧ケイアイテディ
△①サンエイロード
△⑩ツルオカボルト
<お奨めの1頭>
3R メイジュスマイル
前走2着だったが、相手が強すぎた。休み明け3戦目と走り頃を迎え、メンバーも手頃。待望の白星は目前に迫った