
11日、盛岡ダート1600mを舞台に行われた「第23回南部杯」は、オーロマイスターがレコード更新して完勝。待望の重賞勝ちが、うれしいG(Jpn)Ⅰ制覇となった。勝因は吉田豊騎手「これまで前の馬を壁にして掛からないようにしていたが、今回は2番手外でもしっかり折り合っていた。もう一つは早め先頭に立ってもソラを使わなかったこと。最後まで気を抜かないで走ってくれた」のコメントが、すべてを物語っていたと思う。
悔しかったのは栗東で5頭の出走馬をカバーできたが、美浦所属馬(オーロマイスター1頭)は時間的に回るのが厳しかったため見送ったこと。しかし栗東の関係者は異口同音に"オーロマイスターが怖い"と語っていた。特にエスポワールシチーの安達調教師は「フェブラリーSを仮に使っていたら細大のライバルだったかも」と。それで最終決断は▲としたが、まさかエスポワールシチーを破るとは微塵も考えていなかった。
ただ当日の馬体重がプラス15キロ。これはアメリカ遠征を意識し余裕を残しての調整だったと想像できるが、GⅠは甘くはなかったということか。終わってみれば仕方なしの結果だと思うが、改めて競馬の難しさを実感する次第。ただ、エスポワールシチーは昨年の優勝タイムを今年、0秒1詰めていた。陣営にしてみれば栗東の馬はすべて手中に入れていたが、ただ1頭だけの美浦・オーロマイスターは想定外だったということか。
16日(土)メインはB1級二組「南部鉄器レース」(盛岡ダート1600m)。岩手成績10戦9勝2着1回と驚異の勝率を誇るサクラカムイオーで単不動。焦点は相手捜しに絞られる。
サクラカムイオーは中央2戦0勝、北海道1戦2着1回の成績で昨年12月に転入。最下級C2から無敵の進撃8連勝。ノンストップでオープン入りすると思ったが、前々走のオーガストC2着。エムアイルシェルに連勝と止められてしまったが、これには訳があった。
サクラカムイオーは元々が跳びの大きい馬だったため、小回り水沢では何度かは僅差勝ち。最たる例が4走前のB2戦でゴール寸前で何とかサイレントステージを捕らえたが、わずかクビ差。オーガストCではそのイメージが強かったのだろう。3コーナー手前からエンジンをスパートし、4角先頭。鞍上・坂口騎手はそのまま押し切れると踏んだが、ワンテンポ仕掛けを遅らせたエムアイルシェルが大外強襲。さすがのサクラカムイオーもそれには抵抗できなかった。
つまり敗因は展開のアヤ。セプテンバーCでは慎重な騎乗ぶりに徹して3番手追走から直線抜け出しを決めて快勝。前々走のお返しをきっちりした。今回はB1昇級だが、むしろ相手は楽。ほぼ死角なしの本命と見て間違いない。
相手筆頭はエアダーミ。持ち味は先行力と粘り強さ。前走は絶妙のペースで逃げ、あわや2着かの3着に粘った。今回は願ってもない絶好の1枠を引き当て、しかも競りかけられる馬が不在。明らかにエアダーミ向きの流れとなりそうで次位は譲れないところ。
モエレアンドロメダはシーズン途中まで精彩を欠いていたが、8月の盛岡ダ1600m戦を4番手の積極策から快勝。その後は5着を繰り返し、昨年ほどの勢いはないが、それでも堅実に着を拾っている。ここなら連対突入も十分ありえる。
キングバッハは毎回のようにスローの流れに泣いて末脚が不発続きだが、それでも直線で確実に台頭。今回も流れは厳しそうだが、ノーマークにはできない。あとは熱中症明けは8着だったが、叩かれた変わり身を見込んでバンドマスターも侮れない。
◎(4)サクラカムイオー
○(1)エアダーミ
▲(3)モエレアンドロメダ
△(9)キングバッハ
△(5)バンドマスター
3連単は4を1着固定に1、3の折り返しが本線。あとは9、5も押さえ必要
馬複は 1-4、3-4、4-9、4-5
<お奨めの1頭>
6レース フレンドミリオン
2戦2着と惜敗続きだったが、前走逃げ切り勝ちで完全に吹っ切れた。1400m延長でも追いかける手
いよいよやってきたJpnI。盛岡の、いや岩手競馬最大のレース・南部杯。今年はエスポワールシチーの壮行レースという様相が濃いですが、果たしてそれでいいのか?ちょっと考えてみましょう。
昨年のこのレースの覇者でもある(3)エスポワールシチーですが、当時は南部杯がGI2勝目という、凄いけれどもまだ"一介の強い馬"レベル。実際、南部杯にしてもその前に勝ったかしわ記念にしても2番人気で、かしわ記念も恵まれて勝ったと言われていたくらいでした。
しかしその後、JCダート、フェブラリーS、そして今年のかしわ記念とダートGIを連勝しなんとGI5連勝。あのディープインパクトも「GI出走機会」なら6連勝していますが、この馬のようにGIだけを走って5連勝という馬は、過去に見あたりません。もはや自他共に認めるダートチャンピオンとなっています。
他の出走馬からも完全に「一強」と見なされ、現実にエスポワールシチー以外の古馬GI馬が登場しなかったのも同馬の強さを認めて避けたためのもの。ですが、死角はないのか?
まずローテーション。5月のかしわ記念以来というローテですがこれは昨年同様で、昨年勝ったのだから特に文句をつけられないもの。陣営も夏の間にじっくり調整するという姿勢が定着しているようで、例えば大幅な馬体重の変動でもない限り問題はないでしょう。
コースとの相性・適性も、盛岡出走は一度きりですが昨年の走りからすると脚質はむしろ盛岡向き。だいたいがGI5勝のうち4勝が「左回り・マイル」。国内の古馬ダートマイルGIでは1年以上負けていない計算なのですから、これも問題ない。
意外に死角があるとすれば「強い馬が自分一頭」という状況なのではないでしょうか。昨年はサクセスブロッケンがいて、エスポワールシチー自身はそれよりも前で戦う事を選択しましたが、それは「サクセスブロッケンに自分のレースをさせない」ための作戦。サクセスブロッケンを終始意識し、言うなればサクセスブロッケンよりも前にいたけれどある意味マークしながらの戦いでした。
しかし今回は手頃な目標がいない。いや、自身が目標にされるのは間違いない。それを嫌って半端な馬を目標にすれば自分のペースが崩される・・・。
もちろん、昨年同様に思い切って行ければただそれだけでいい。昨年の焼き直しで良いのだからいろいろ心配しても杞憂でしょう。結局この馬を本命視するのは間違いないですが、万が一心技体整わない状況で出走すれば、意外な苦戦もあり得るのでは、と思ったりします。
「エスポワールシチーを破れそうな馬がいない」という状況もあります。先にも触れましたが今回の南部杯はエスポ以外の古馬GI馬が「0」。近年のこのレースにはない状況となりました。それに近い馬はいますが、さすがに「GI5勝」対「0勝」では比較になりません。
敢えて挙げるならば(1)テスタマッタでしょうか。2月のフェブラリーSではエスポワールシチーの2着。古馬GI勝ちに最も近い馬です。このレース出走に向け早めに盛岡入りし、既にコースで軽く追い切ってもみて意欲満々。
ただ、今回は骨折休養明けで日テレ盃を叩いての2戦目。元々休み明けは走らず、2戦目からグッと良くなるタイプなのですが、「故障」というファクターが加わってどうなのかがちょっと未知数。当日の気配には注意しなくてはなりません。
では(4)セレスハントはどうか?この馬にしても連勝で勢いに乗っているとはいえややメンツが緩いレベルの物。距離にもまだ不安残り、かつてのブルーコンコルドのように南部杯を勝ってマイル路線に飛躍、という感じにはまだ遠いのではないか。
左回りマイルに最も適性がありそうなのは(7)バーディバーディ。ユニコーンSの内容はいかにもこういう条件でこそ、と感じました。しかし7月のJDDは、いくら勝馬の展開に持ち込まれたとはいえろくに見せ場も作れない凡走。今回は凡走後の休養明けという微妙なローテーションでもあり、とにかく馬を見るまでは・・・としか言いようがありません。
結局、万が一の確率で苦戦するかもしれないけれど(3)エスポワールシチーの勝利を脅かすまでの馬はいない・・・という結論に達します。
となれば、同馬の優勝を見届けて、世界への飛躍が成し遂げられるよう祈る・・・というのが今年のこのレースのスタンスなのでしょう。
●10Rの買い目
馬単 (3)→(1)、(3)→(7)、(3)→(2)、(3)→(11)
まずは南部杯情報から。エスポワールシチーの相手筆頭と見られているテスタマッタが7日(木)夕方、無事に盛岡競馬場へ到着した。8日、9日とスクーリングを兼ねて馬場入れ。前日10日(日)にサァーと流す追い切りを消化し、本番に臨む予定だ。
4日前の入厩はあまりケースがなく、珍しい試み。「環境の変化に慣れさせたい」と村山明調教師が語っていたが、この意欲がレースに結びつくか応援を込めて見守りたい。
10日(日)メインはC1級・盛岡ダート1600m戦「岩洞湖賞」、12頭立て。好調馬がそろい、しかも有力馬のほとんどが3歳。中でも注目はオウシュウサンクスだ。
中央2戦0勝から岩手へ転入。持ち賞金が"0円"だったため、最下級3歳C2スタート。メンバーにも恵まれて2着に1・5秒差をつけて圧勝。期待以上の走りを見せ、続いてJRA交流・オニキス賞へ強気の挑戦。さすがに相手が大幅に強化されて4着に敗れたが、地元同士の戦いに戻ってあっさり3連勝を飾った。
前々走・夏油賞から古馬へ編入。当然のように1番人気に支持されたが、思った以上に厳しい流れとなって2着敗退。しかし先行した馬はすべて着外に沈み、オウシュウサンクスの実力を再認識。案の定、前走は好位追走から力強く直線抜け出しを決めた。
この後の予定は3歳重賞・不来方賞、復活したダービーグランプリ。地元ではロックハンドスターが大きく立ちはだかるが、その期待を持ってオーナーが転厩させた馬。C1あたりで足踏みはできないだろう。
ラヴァリーズームも連戦連勝。転入2戦目から5連勝をマークした。前走は出走取り消し直後で2番人気に甘んじたが、アッサリ逃げ切り勝ち。マイルは生涯初めてだが、今の勢いを持ってすれば難なく克服できる。
ドリームガイアはレースセンスの良さが最大の特長。前々走でタケショウナイトに逃げ切りを許し、連勝をストップさせられたが、そのお返しとばかり0・9秒差をつけて圧勝。今回はC1昇級初戦だが、走破タイムから勝ち負けに十分持ち込めるはず。
あとは前走・騎手ハンデ戦で2キロの負担重量増がこたえて5着プリンセスマオの巻き返し、逆に騎手ハンデ戦を快勝シルクナトゥールも押さえが必要。
◎(10)オウシュウサンクス
○(8)ラヴァリーズーム
▲(6)ドリームガイア
△(2)プリンセスマオ
△(7)シルクナトゥール
3連単は10を1着固定に8、6の折り返しが本線。あとは2、7を3着押さえ
馬複は 8-10、6-10、2-10、7-10
<お奨めの1頭>
3レース ニシノサンダー
2戦連続でタイム差なし2着のうっ憤を前走で見事晴らした。これで弾みがついてもう一丁いける
今週5(火)、6日(水)と栗東に行ってきた。もちろん10月11日、南部杯の出走予定馬を取材するため。昨年に続いて2度目の栗東だが、今回は"岩手のアイドル"ふじポンも合流した。彼女は5日、東京でグリーンチャンネル「地方競馬最前線」の収録後、新幹線に乗ってそのまま京都、草津へ移動。翌日は早朝から栗東入りする強行軍を敢行した。
ところがバテていたのは小生の方だったようだ。5日朝から栗東で取材し、朝から晩までトレセンを走り回った結果、ふじぽんと合流した6日朝、「顔が白い」と言われてドキッ。でもトレセンの入場口『凱(かちどき)門』を通過したら、どんどん赤味を帯びてきたそうだ。
なるほど。これが競走馬で言う「気合いが入った」ことだと納得。確かに指摘され、戦闘モードにスイッチが入ったのが自分でも分かった。要は馬も人も同じ。今年も南部杯の季節を迎え、気合いの入り方も半端ではない。
9日(土)メインはA級三組・B1一組の混合戦「二戸市 金田一温泉レース」(盛岡ダート1600m)。上位3頭トーホウライデン、ポアントゥブルボン、モンセルバンは実力伯仲だが、マイルで抜群の強さを披露するポアントゥブルボンを主軸視する。
冬休み明けから2連勝を飾り、秘めた素質が開花。オープンまで突っ走るかと思ったが、その後は足踏みが続いて歯がゆいレースを繰り返していた。敗因は相手よりも自分自身と距離。なかなかレースに集中することができなかったし、1800mもちょっとばかり長すぎた。
しかし今はムラさも解消。2番手キープから直線抜け出す理想的なレースで2連勝を飾った。今回はメンバーが強化されたが、マイルなら持てる能力を存分に発揮できる。加えて有力馬がいずれも差しタイプだけに、先行力があるポアントゥブルボンには絶好の流れ。マイペースの逃げ切り有望。
逆転首位まで十分がトーホウライデン、モンセルバン。トーホウライデンは元A級の格を前面に、常に上位争い。オープン馬相手の早池峰賞でもベルモントシーザーの2着を確保した。その半面、勝ち運に恵まれず2着6回。最後の詰めがネックだったが、前走は自力で3角から動いて快勝。ようやく両目を開けた。
おそらく人気はトーホウライデンに集中しそうだが、前走は前の2頭が着外に失速。先に記したようにスローペースになる可能性が高く、その点でポアントゥブルボンに若干分があると判断した。
モンセルバンは中央500万下から転入。初戦は体が太く後方から差を詰めただけの7着に終わったが、ひと叩きされて気配が一変。あっさり2連勝をマークし、その後も白神賞3着、前走はトーホウライデンの2着。直線で確実に台頭できる差し脚が最大の武器。
カギを握るのは当日の馬体重。510キロ台だと切れが鈍る印象があり、前走の510キロがギリギリの範囲。それを超えるようだと割り引きが必要で、理想は505キロ以下。輸送のない地元競馬だけに、仮に絞れていないようだと不安材料となる。
ヤマトスピリットは昨年、オープン特別・白嶺賞で競走中止。6戦連続で連対中だっただけに、残念無念だった。しかし阿部騎手が早めに下馬したのが好判断。大事には到らず9ヵ月半の休養を経て戦列に戻ってきた。
それゆえ前走は恐る恐るの騎乗だったが、それでも直線ではジワジワと伸びて1秒差6着。改めて底力のあるところを見せてくれた。この一戦を叩かれて上昇必至。今度は勝ち負けに持ち込めるに違いない。
センリグランピーは近走、もたつき気味だが、水沢1600mを舞台に2連勝。後方タイプが一転、積極策に出て連勝した。同様のレースができれば3着1回が最高の盛岡ダートでも怖い存在となる。
◎(9)ポアントゥブルボン
○(5)トーホウライデン
▲(7)モンセルバン
△(1)ヤマトスピリット
△(6)センリグランピー
3連単は9、5、7の3頭ボックスが本線。あとは1、6を3着押さえ
馬複は 5-9、7-9、1-9、6-9
<お奨めの1頭>
11レース ローランダイキチ
前走はマークがきつく厳しい競馬を強いられたが、それでも2着確保。今回はメンバーも楽になり、首位を奪回
4日の盛岡競馬場で行われるSJT(スーパージョッキーズトライアル)はWSJS出場権をかけた地方のリーディングジョッキーの戦いです。
全国から集まった14人の名手がたったひとつのイスを目指して戦うわけですが、まずはこの盛岡での前半2戦、そして来週の門別競馬場で行われる後半2戦の計4戦のポイントで最上位となった者がその権利を得る事になります。
勝負は後半2戦、かもしれませんが、前半でどれだけポイントを稼いでおけるか?も非常に重要。最後は数ポイントの差で順位が変わったりしますから、例え優勝争いではなくともひとつでも順位を上げ、1ポイントでも多く奪い取っておく事が最後に効いてきたりします。
もちろん、競うのは全国の名手。ポイント争いはそれとして、ただその手綱捌きを、名手同士のぶつかり合いを見るだけでも、十分にいつもと違った見応えがあると思いますよ。
本命は(6)オヤマハリケーンで良いのではないでしょうか。今季はさすがは元A級という戦いぶりでここまで掲示板を外すことなくやって来たのですが、先行だけでなく控える形の競馬でも格好をつけるあたり、よほど好調サイクルに乗っているのでしょう。
盛岡競馬場は依然として先行有利の状況だけにこの馬の思い切った先行が嵌る可能性は大。鞍上の荒尾・杉村騎手も盛岡での騎乗経験があって心配は特になし。
●10Rの買い目
馬複 (6)=(14)、(3)=(6)、(3)=(14)、(6)=(8)、(8)=(13)
★ゴールデンホイップ賞(11R・盛岡ダート1600m/発走16時45分)
こちらの本命は(3)オンワードアコールに期待します。岩手のダートでは8戦して連を外していない超堅実派。わりと最近C級から上がってきたばかりですが格下感は全くなく、ここでもむしろどこまでやれるか楽しみです。
対抗は素直に(4)サクラアーバンで。前走では圧勝、牝馬のオープン級でも好走しているように能力は格上のものがある馬。流れが激しくなりそうな14頭立てをうまく捌けるかどうか?そういう馬かどうか?にちょっと疑問符をつけて対抗評価としましたが、鞍上は南関のトップジョッキー、全くの杞憂になることでしょう。
三番手には(7)ジーアイジェーンを抜擢します。日曜からの雨は月曜も続く予報。こうなるとこの馬向きのコース状態になるのはほぼ確定。軽い馬場で走るタイプだけに注目。
押さえは(8)(5)あたりでしょうか。ここは10Rのような引っ張り役はいないし、ある程度先行できつつ末も使えるタイプで固めておくのがベターでは。
●11Rの買い目
馬複 (3)=(4)、(3)=(7)、(4)=(7)、(3)=(8)、(3)=(5)