いよいよやってきたJpnI。盛岡の、いや岩手競馬最大のレース・南部杯。今年はエスポワールシチーの壮行レースという様相が濃いですが、果たしてそれでいいのか?ちょっと考えてみましょう。
昨年のこのレースの覇者でもある(3)エスポワールシチーですが、当時は南部杯がGI2勝目という、凄いけれどもまだ"一介の強い馬"レベル。実際、南部杯にしてもその前に勝ったかしわ記念にしても2番人気で、かしわ記念も恵まれて勝ったと言われていたくらいでした。
しかしその後、JCダート、フェブラリーS、そして今年のかしわ記念とダートGIを連勝しなんとGI5連勝。あのディープインパクトも「GI出走機会」なら6連勝していますが、この馬のようにGIだけを走って5連勝という馬は、過去に見あたりません。もはや自他共に認めるダートチャンピオンとなっています。
他の出走馬からも完全に「一強」と見なされ、現実にエスポワールシチー以外の古馬GI馬が登場しなかったのも同馬の強さを認めて避けたためのもの。ですが、死角はないのか?
まずローテーション。5月のかしわ記念以来というローテですがこれは昨年同様で、昨年勝ったのだから特に文句をつけられないもの。陣営も夏の間にじっくり調整するという姿勢が定着しているようで、例えば大幅な馬体重の変動でもない限り問題はないでしょう。
コースとの相性・適性も、盛岡出走は一度きりですが昨年の走りからすると脚質はむしろ盛岡向き。だいたいがGI5勝のうち4勝が「左回り・マイル」。国内の古馬ダートマイルGIでは1年以上負けていない計算なのですから、これも問題ない。
意外に死角があるとすれば「強い馬が自分一頭」という状況なのではないでしょうか。昨年はサクセスブロッケンがいて、エスポワールシチー自身はそれよりも前で戦う事を選択しましたが、それは「サクセスブロッケンに自分のレースをさせない」ための作戦。サクセスブロッケンを終始意識し、言うなればサクセスブロッケンよりも前にいたけれどある意味マークしながらの戦いでした。
しかし今回は手頃な目標がいない。いや、自身が目標にされるのは間違いない。それを嫌って半端な馬を目標にすれば自分のペースが崩される・・・。
もちろん、昨年同様に思い切って行ければただそれだけでいい。昨年の焼き直しで良いのだからいろいろ心配しても杞憂でしょう。結局この馬を本命視するのは間違いないですが、万が一心技体整わない状況で出走すれば、意外な苦戦もあり得るのでは、と思ったりします。
「エスポワールシチーを破れそうな馬がいない」という状況もあります。先にも触れましたが今回の南部杯はエスポ以外の古馬GI馬が「0」。近年のこのレースにはない状況となりました。それに近い馬はいますが、さすがに「GI5勝」対「0勝」では比較になりません。
敢えて挙げるならば(1)テスタマッタでしょうか。2月のフェブラリーSではエスポワールシチーの2着。古馬GI勝ちに最も近い馬です。このレース出走に向け早めに盛岡入りし、既にコースで軽く追い切ってもみて意欲満々。
ただ、今回は骨折休養明けで日テレ盃を叩いての2戦目。元々休み明けは走らず、2戦目からグッと良くなるタイプなのですが、「故障」というファクターが加わってどうなのかがちょっと未知数。当日の気配には注意しなくてはなりません。
では(4)セレスハントはどうか?この馬にしても連勝で勢いに乗っているとはいえややメンツが緩いレベルの物。距離にもまだ不安残り、かつてのブルーコンコルドのように南部杯を勝ってマイル路線に飛躍、という感じにはまだ遠いのではないか。
左回りマイルに最も適性がありそうなのは(7)バーディバーディ。ユニコーンSの内容はいかにもこういう条件でこそ、と感じました。しかし7月のJDDは、いくら勝馬の展開に持ち込まれたとはいえろくに見せ場も作れない凡走。今回は凡走後の休養明けという微妙なローテーションでもあり、とにかく馬を見るまでは・・・としか言いようがありません。
結局、万が一の確率で苦戦するかもしれないけれど(3)エスポワールシチーの勝利を脅かすまでの馬はいない・・・という結論に達します。
となれば、同馬の優勝を見届けて、世界への飛躍が成し遂げられるよう祈る・・・というのが今年のこのレースのスタンスなのでしょう。
●10Rの買い目
馬単 (3)→(1)、(3)→(7)、(3)→(2)、(3)→(11)