今開催(9月3日)から格付け変動があったため、とまどっている方も多いと思う。岩手在籍馬(2、3歳馬、転入馬を除く)は前12走の持ち賞金によってクラスが移動した。
9月4日(月)で最もわかりやすいのが第5R・C2級四組(水沢1300m)。④マコトダイトウレンは佐賀A2から岩手B1級に編入して3、2着。14走前、船橋B3級・1200m戦を勝っているが、1着賞金240万円が格付け賞金から外れたため最下級C2へ降格した。
同じく⑧アナンクスも名古屋A級から再転入時はB1級で走って9、4、3着にまとめていたが、同じくC2級へ降格した。当然だが、B1級とC2級ではクラスの違いが明らか。必然的に格上馬に強い印が打たれることになる。もちろん結果がイコールではないが、今開催は降格馬重視がセオリー。クラス変動が重要なファクターとなった。
4日メインは岩手県調騎会騎手部会協賛「夢・希望 未来へ前進」。今回はB1級スプリント 水沢1400mの条件で行われる。実力伯仲のメンバーがそろって波乱の要素も含んだ一戦となった。
ビッグタマテルーフは2歳時1勝、3歳時1勝のみだったが、3歳牝馬交流・留守杯日高賞で2着に善戦し、3歳牝馬・OROオータムティアラ3着。ダービーグランプリにも挑戦した。
勝ち味の遅さがネックで今季も精彩を欠いた時期があったが、2勝2着1回。近走の安定感が目につく。前走・秋桜賞も好調メンバーがそろいながら3着に健闘。今回も骨っぽいメンバーだが、前走タイムを重視する手。
モレッキはシャープな切れを武器にA級でも勝ち負けを演じてきた実力馬。盛岡よりも水沢が合い、今季3勝はすべて水沢1600mでマークした。ただ前走4着止まりだったように展開に左右される面があり、それでスプリント1400mにエントリー。ペース速くなれば一気突き抜けるシーンまで十分。
アザルは中央1勝クラスから転入後、芝ダートを舞台に4勝2着2回。前々走の芝1600m5着だったが、マークがきつかった印象。前回快勝で軌道修正に成功した。走破タイム比較では見劣るが、水沢1400m2勝と適性一目。
アブシンスはマイル4勝だが、4月以降は短距離路線へシフト。それが功を奏して1勝2着4回の好成績。秋桜賞は7着に終わったが、大外11番枠がこたえた一戦。巻き返し必至とみるべき。
アウデリアは北海道1勝、南関東3勝。近走は伸びを欠いているが、岩手B1なら通用の実績。
フェブサンカラは中央芝1200m1勝から転入。岩手1勝は芝1700mでマークしたが、ダートもこなせる。
◎⑦ビッグタマテルーフ
〇⑤モレッキ
▲⑨アザル
△⑥アブシンス
△⑪アウデリア
△②フェブサンカラ
<お奨めの1頭>
5R マコトダイトウレン
佐賀A級からB1編入して3、2着。今回は1300mが舞台だが、もちろん守備範囲。C2クラスなら順当に勝機
3日メインは岩手クラシック最終三冠目「第55回不来方賞」(水沢2000m)。すでに報道でもあったとおり、来年度から不来方賞はJpnIIへ昇格。現行スタイルの岩手クラシックは今年で終止符を打つ。そのラストイヤーに2010年、ロックハンドスター以来の三冠馬誕生の可能性が非常に高くなった。
ミニアチュールは昨年12月、北海道2勝から転入後、圧巻の7連勝中。ダイヤモンドカップ、東北優駿(岩手ダービー)の二冠を制し、ひまわり賞(オークス)も圧勝。重賞6連勝と破竹の進撃を続けている。ひまわり賞優勝後、「不来方賞へ直行する」と佐藤祐司調教師。今年は猛暑の連続。各陣営とも夏負け対策に苦労している中、ミニアチュールは体力も消耗がなく、不来方賞へ向けて態勢万全。水沢2000mも東北優駿完勝で問題ないことも証明済みとほぼ死角なし。岩手競馬史上初の牝馬による牡馬三冠制覇へまい進する。
リッキーナイトは北海道から岩手3戦2勝2着1回後、南関東へ移籍。船橋2戦を使って再転入。スプリングカップ、ダイヤモンドカップ、東北優駿と3戦連続でミニアチュールの2着を確保した。その後は遠野馬の里へ移動して休養。やまびこ賞から始動したが、スタートで大きく出遅れるアクシデント。さらに道中は掛かりっ放しで11着に大敗。休み明けでいつもより入れ込みが激しかったことも影響したか。今回もスタート、折り合い面の不安を抱えているが、二冠2着で実力は折り紙付き。次位は譲れない。
ルーンファクターは北海道1勝、南関東2勝後、佐賀3戦を経て転入。佐賀栄城賞5着、2か月ぶりの実戦でやまびこ賞7番人気に甘んじたが、最後方からまくり一気を決めて快勝。上がり3ハロン36秒1の驚異的な末脚を駆使した。小回り水沢でもやまびこ賞の再現できるか、半信半疑の面は否定できないが、ひと叩きされてさらに上昇。馬群をうまくさばいて直線台頭する。
プルタオルネは北海道1勝から交流・知床賞へエントリーしたが、出走取り消し。仕切り直しで平和賞(船橋)で挑戦し完勝した。今季は北海道クラシックを目指したが、北斗盃6着、北海優駿4着。矛先を芝に変えて交流・オパールカップへ参戦して3着後、そのまま岩手入りした。やまびこ賞3番人気だったが、後方のまま10着。見せ場すら作れず評価に迷うところだが、重賞ウイナーの意地を見せたい。
マツリダワールドは昨年、芝1勝のみにとどまったが、今季はダートも克服。前回快勝も含めて1勝2着4回。ひと冬を越して成長の跡がはっきりうかがえる。メンバーが大幅に強化されたが、地力アップ疑いなし。
セイグッドラックは中央未勝利から転入後、いきなり3連勝マーク。勢いを駆って重賞・やまびこ賞へ挑戦したが、経験値の差が大きかったようで7着。しかし今回は重賞挑戦2度目。一線級のペースにも慣れたはず。
◎⑧ミニアチュール
〇⑤リッキーナイト
▲②ルーンファクター
△③プルタオルネ
△⑨マツリダワールド
△④セイグッドラック
<お奨めの1頭>
2R デルマアシュラ
中央芝1勝から転入。当初はA級へ編入して苦戦を強いられたが、今回から最下級C2へ急降格。相手が一気に甘くなった。
8月27日に行われた古馬牝馬の地方競馬全国交流重賞『ビューチフルドリーマーカップ』。7頭立て、遠征馬6頭と地元馬1頭の構図で行われたこのレースは1番人気の大井・ノーブルシルエットが優勝。自身初の重賞タイトルを獲得しました。
主導権を握ろうとした馬たちが序盤から雁行の形になり「遅いペースの割には必ずしも楽な展開ではなかった」と振り返った鞍上・笹川騎手でしたが「ここで勝てないようでは次はない」と腹をくくって強気のレースを挑みます。パートナーもそれに応えて後続を引き離しての3馬身差快勝、ここからまだまだ盛り上がっていく牝馬重賞戦線にむけて強くアピールして見せました。
8月29日のメインレースは12Rに行われる古馬マイルの準重賞『すずらん賞』。3着馬までに青藍賞の有線出走権が与えられるトライアルレースですが、その本番まで中一週ということもあり、顔ぶれとしてはこの先に向けての手応えを探るような馬たちが多いように感じます。それだけにいわゆる"どの馬にもチャンスがある"一戦とも言えそう。
すずらん賞の本命は(6)ハクシンパーソナルを狙います。
今年春に転入してきてB1スタートからA級に上がってきて4戦を経たところという同馬。重賞・準重賞は初挑戦になりますが、ここまでの内容、特にA級に上がってからの走りは今回のメンバーであれば互角にやれて良いものだと感じます。コースの左右は問わず馬場の変化にもそれほど影響されない。ちょっと気難しいところがあるようで"勝ちパターン"に持ち込むには展開の助けも少し必要になるようですが、ここは周りが強い分ある程度の流れ・動きを期待できるでしょう。
対抗は(4)フレイムウィングスを。マーキュリーカップ以来になりますが過去の戦績を見る限りポン駆けは効くタイプ。使い込んでいったあとよりはフレッシュな方が良さそうです。岩手転入後は未勝利ですがここ3戦は重賞で上位に入ってきており、戦いの質は着順の数字以上と見るべき。ベストは広い盛岡コースでしょうがこの頭数なら水沢でも。
三番手は(1)マイネルアストリア。今季はここまで4戦、これが5戦目。昨季に比べると大事に慎重に使われている印象です。みちのく大賞典では大敗を喫しましたがA級戦ではまだまだ上位を争える力量健在。好枠も味方になるでしょう。
以下はこの頭数でも混戦になれば・・・でまず(7)ゼットセントラル。ベストは1400mかなという印象ですがマイルも守備範囲。差しタイプゆえにまずは展開が向くかどうか?ですが、少頭数の外枠からなら全く動けないという事はないはず。そして(2)ボウトロイ。今週の水沢は良馬場の割に時計が速めで、そういう馬場はイマイチかもしれませんが、前走のような競り合いの形、タフさが活きる形になればチャンスも・・・とみます。
●12Rの買い目
馬単(6)=(4)、(6)=(1)、(4)=(1)、(6)→(7)、(6)→(2)
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28日メインはオープン「スプリント特別」(水沢850m)。岩手の短距離路線は8月15日、JpnIII・クラスターカップで区切り。あとは芝1000mを舞台に行われる地方競馬全国交流・OROターフスプリントが控えているが、こちらは芝なので別路線。今回はダート短距離馬による850m戦。決して多くはないレースだけに、各馬ともチャンスをしっかりモノにしたいところだろう。
アップテンペストは2歳時、5勝。重賞・ビギナーズカップ2着、牝馬交流・プリンセスカップ3着後、名古屋へ移籍。梅桜賞、スプリングカップと重賞2連勝を飾った。3歳夏、再び岩手へ戻り、ひまわり賞(オークス)5着から重賞・やまびこ賞を優勝し、OROオータムティアラ2着。今度は笠松へ転籍して3戦を使って里帰り。
初戦の早池峰スーパースプリントはデビュー戦以来の水沢850mだったが、2番手をキープしてキラットダイヤの2着を確保。陣営は短距離が合うと判断して以降はスプリント路線を歩むことを決断した。
続く岩鷲賞(盛岡1200m)でも2番手を追走したが、直線失速9着。この時は内有利の馬場で外を回った馬は苦戦。大本命キラットダイヤも3着に沈むほど。馬場に泣いた一戦だった。
以降は2戦連続で2着と短距離適性を改めて証明し、JpnIII・クラスターカップへ挑戦。戦前の予想どおりドンフランキーが逃げの手に出たが、2番枠を引き当てたアップテンペストも積極的に攻めて半馬身差2番手を主張。さすがに相手が強く3コーナーで一杯となったが、見せ場は作った。
3走前、盛岡1000m戦でアヴェントゥリストに0秒3差の完敗2着だったが、あえて本命にしたのは早池峰SS、クラスターCのパフォーマンス。十分逆転できると見た。
アヴェントゥリストは浦和から帰郷当初は精彩を欠いていたが、徐々に立ち直り気配をうかがわせて目下2連勝中。完全復活を遂げた。しかも水沢850mは6勝2着4回。つまり水沢の好走はすべて同条件であげたもの。自信の条件を迎えて3連勝に王手をかけた。
カッチャオも水沢850m5勝2着3回3着3回。春当時の勢いが薄れているのは否定できないが、ベストの850mで巻き返しに転じる。
エイシンハルニレは4度目の岩手転入。3歳時に芝・オパールカップ、ハヤテスプリントと交流2連勝を飾った。昨年8月以降、白星から遠ざかり、850mも未経験。不確定要素は少なくないが、実績は一番といえる。
フミタツティンクルは船橋2戦から再転入。初戦の盛岡1000m3着で高配当を演出したが、以降は鳴りを潜めているが、決め手一目。先行馬が崩れた際に浮上。
◎⑥アップテンペスト
〇⑤アヴェントゥリスト
▲②カッチャオ
△④エイシンハルニレ
△⑦フミタツティンクル
<お奨めの1頭>
4R ココリアイランド
ダート未経験だが、一連の走破タイムが優秀。格付けに恵まれて初戦からいける
27日メインは"GRANDAME-JAPAN2023"古馬シーズン第7弾「第49回ビューチフルドリーマーカップ」(水沢2000m)。遠征馬6頭に対し、岩手はミツカネラクリスの1頭のみ。正直、拍子抜けの印象があるのは否定できないが、出走見送りには背景がある。
ビューチフルドリーマーカップがグランダムジャパンに指定されたのが2010年。同年は地元代表マイネベリンダが逃げ切って優勝したが、以降は12年連続で遠征馬が優勝。北海道7勝、南関東5勝。近年は4年連続で南関東代表馬が制している。対して岩手勢は2018年以降は1着から3着まで遠征馬が上位を独占。2020年に至っては1着から6着まで。つまり遠征馬がすべて上位を占めたこともある。
岩手勢が馬券対象となったのは2017年、スパンコール2着、3着ミラクルフラワー。北海道代表ジュエルクイーンが2年連続(最終的に3連覇)で優勝したが、以降は馬券対象すらなし、と惨たんたる結果。
仮にトライアル・フェアリーカップを圧勝し、復活宣言したゴールデンヒーラーなら互角以上の競馬ができると思うが、現時点でのローテーションは青藍賞2連覇、南部杯を予定。陣営はマイルがベストの舞台と判断している。
以上のことから今年も遠征馬の天下。主軸はノーブルシルエットで異論はないだろう。中央ダート1800m4勝、ダート1600m1勝、オープンに在籍した。今年7月、4カ月の休養を挟んで南関東入り。初戦のスパーキングレディーカップ(JpnIII)で逃げ粘って5着。実力に片りんを垣間見せた。
しかし2戦目・フリオーソレジェンドカップ10着。崩れないのを身上としていたが、生涯2度目の二けた着順に沈んだ。敗因は先行馬が総崩れの流れと逃げた馬と3番手外を追走した間に入り、息の抜けない展開となったため。今回は7頭立てに少頭数に加えてメンバーも有利。チャンスをしっかりとつかみ、今後に弾みをつけたいところだろう。
レスペディーザは中央ダート1700m~1800mで1勝2着2回3着2回から今年5月に門別へ移籍。初戦はニシケンボブの2着に終わったが、2戦目から連勝。牝馬交流・ノースクイーンカップを0秒4差で完勝した。中央1勝クラスで格比較で見劣るが、地方ダートで素質開花したと解釈。過去、ビューチフルドリーマーカップを3度制した実績を誇る田中淳司きゅう舎が自信を持って送り込んでくる。
サルサレイアは中央ダート2勝2着7回3着5回。安定した取り口を披露して南関東へトレード。1勝のみながらJpnIII・クイーン賞3着。ほかのレースでも大崩れなく入着回数も多々。勝ち味に遅いのがネックで一昨年のBドリーマーカップも4着止まり。ただ常に一線級と戦ってきたことも事実。仮に優勝できればサルサディオーネと姉妹連覇の偉業がかかっている。
ティーズハクアは北海道1勝2着1回3着3回から南関東入り。2勝2着7回と堅実さを発揮し、浦和・桜花賞2着、ロジータ記念2着。兵庫サマークイーンは0秒9差5着だったが、2000m以上では4戦して2着3回。唯一連対を外したのはJpnII・関東オークス(9着)のみ。距離を味方にアッサリまで。
トップザビルは中央2勝クラスから南関東移籍後も1勝マーク。東京シンデレラマイルでスピーディキックの2着の実績も光る。
◎⑥ノーブルシルエット
〇⑤レスペディーザ
▲④サルサレイア
△①ティーズハクア
△③トップザビル
<お奨めの1頭>
4R ボンバーキャット
南関東C3から転入後、3戦連続で2着。ここでは前走タイムでは抜けており、勝機到来