先週6月29日(日)、水沢1400mを舞台に行われた3歳重賞「第38回ウイナーカップ」はジャイアントスターが鮮やかな逃げ切りを決め、デビュー12戦目でうれしい初重賞を手に入れた。
7番人気の低評価だったのは過去2勝がいずれも芝1000m戦。ダートでは2着が最高で前走・岩手ダービーダイヤモンドカップで果敢に逃げたが、4コーナー手前で失速。6秒5差9着に大敗直後だったから。
それを見事覆して快勝。理由はいくつかピックアップできる。距離が2000mから一気に1400mへ短縮されたこと。持ち味のスピードが生きた。
それともう一つ。前日夕方から激しく雨が降り、水の浮く極端な不良馬場。それに加えて当日は芝実績のある馬が活躍していた。実際、ジャイアントスターの2着ユナイテッドボスも芝1勝2着2回の好成績。馬場を味方にしたのも大きかった。
村上忍騎手「調子がいいと聞いていたし、距離短縮もプラス材料だった。道中は行きっぷりも手応えも抜群。これはいつものことだが、最後の詰めが課題。でも今回は終いもしっかり伸びてくれたので、ひと皮むけたと思います」
次走のジャイアントスターに注目してほしい。
月が替わって7月5日メインはA級二組「深緑特別」(水沢1600m)。次週から舞台が盛岡へ移り、水沢巧者は是が非でも好走したいところだ。
ダノンボルケーノは今季6戦3勝2着2回。昨年暮からの好調をキープし、重賞・あすなろ賞でも2着に逃げねばった。
ただ前走はコミュニティの2番人気に支持されたが、好位から失速5着。今季初めて馬券対象から外れてしまった。
これは春の特別開催から使い詰めで疲れが溜まっていたため。1ヶ月のレース間隔を開けて回復に専念した。迫力を取り戻せるか陣営も気合いが入っている。
マイネルヴァルムは南関東B1から転入。先行力と粘りを武器とし、前走は2勝マークの水沢1600m戦で1番人気に支持されたが、直線伸びひと息で5着。
評価に迷うところだが、ハイペースがこたえたと解釈。今回はさほど速い流れにはならず巻き返しに転じて不思議なし。真価問われる一戦だ。
マムティは中央0勝ながらダート1800mで2着1回。その後、園田C2へ編入して7勝マーク。B1戦で2連勝を飾って岩手入りした。
園田B1ならA級二組は通用。牝馬特有の切れる末脚がセールスポイント。ただ7勝すべて1400m戦に加え、おあつらえの展開になるかどうか。単も十分考えられるが、不発のケースもあり▲評価に落ち着く。
コスモグランツは前走、B1特別・ねむの木賞を快勝。競り合いで最大能力を発揮するタイプですばらしい根性を披露した。A級復帰でメンバーが骨っぽくなったが、勢いに乗っている今なら突破十分。
トーホクアローも前走、鮮やかな大外一気を決め、久々の美酒を味わった。マイネルヴァルムとは正反対に展開も味方に入れた。引き続き好調キープだが、前半のペースに左右されるタイプで流れ次第。
レオパルドゥスは芝2400m重賞・かきつばた賞で2着健闘。ダートに戻った前走も3着にまとめ、克服のメドが立った。
◎(2)ダノンボルケーノ
○(6)マイネルヴァルム
▲(1)マムティ
△(8)コスモグランツ
△(7)トーホクアロー
△(10)レオパルドゥス
<お奨めの1頭>
1R ラブディーバ
今季第一弾の2歳新馬戦を快勝。芝にとまどいながらも逃げ切りを図ったランデックナイトをゴール前で差し切った。父がプリサイスエンドならダート大歓迎
6月も今日30日で終了ですね。つまり2014年も今日で前半戦が終了で明日からは「後半戦」。4月開幕の岩手競馬はまだシーズンの1/3も進んでいませんが、暦の数字が進み宝塚記念も終わって中央競馬はローカル開催に・・・と聞くと、何となく気持ちが切り替わる感じがします。残り6ヶ月、どういう風に過ごしていきましょうか。
岩手はその「残り6ヶ月」のこれからが佳境です。7月21日にはマーキュリーカップ、8月13日にはクラスターカップとJpn3が続きます。10月13日にはマイルチャンピオンシップ南部杯、そして11月3日にはJBC・・・。この先はビッグレースが立て続けで、残り6ヶ月なんかあっという間に過ぎていく事でしょう。皆様も岩手競馬でじっくりとお楽しみください。
●10Rの買い目
馬単(2)=(9)、(2)=(10)、(2)→(6)、(2)→(3)
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昨年度の2歳戦線はライズライン、ラブバレットがけん引した。新馬勝ち第1号はラブバレット。その後も白星を積み重ね、ダート重賞・ビギナーズカップも快勝。
ラブバレットがほかを離して大きくリードしたが、2歳三冠の第一弾・若駒賞でライズラインが逃げ切って完勝。
続く交流重賞・南部駒賞でもライズラインが逃げ切り、ラブバレットから主役の座を奪い取った。しかし、三冠最終戦の金杯でラブバレットが一矢。ライズラインの三冠を阻止し、ダート対決で2勝2敗の五分とした。
これで2歳戦線が終了。ライズラインは南関東へ移籍し、一方のラブバレットは自厩舎で完全休養。春を待って始動したが、スプリングカップで体重が14キロも減り、レースでも伸びを欠いて4着。岩手クラシック戦線は一気に混沌状態に陥ってしまった。
それと前後してライズラインが南関東から帰郷。やまびこ賞、岩手ダービー・ダイヤモンドカップと連勝。再び王座の座を取り戻した。
3歳重賞「第38回ウイナーカップ」は以上の流れを経て迎える。ポイントはダイヤモンドカップの舞台が盛岡ダート2000mだったが、今回は水沢1400mが舞台。
ほとんどの有力馬は距離短縮は大歓迎。中でもラブバレットには願ってもない条件となった。父がノボジャックで活躍の舞台はマイル以下。ダイヤモンドCは守備範囲を大幅に超えていたが、ライズラインに離されたが、直線でも踏ん張って3着確保。ようやく復調気配がうかがえた。ベストの舞台で復活を賭ける。
マイネルラヴォーロは中央未勝利から転入後、圧巻の3連勝。前走はJRA所属馬を相手に3馬身差で完勝。これまでダート1600mで地元3歳馬が勝利するのは至難の業。岩手の水が合い、大変身をとげた。
当初、ダイヤモンドCにも登録があったが、無理をせず自重。このウイナーカップに照準を合わせて調整を進め、満を持して登場。重賞初挑戦でタイトル制覇の期待がかかる。
シグラップロードはスプリングカップ快勝で重賞ウイナーの仲間入り。続くやまびこ賞、ダイヤモンドCでライズラインの2着を確保し、No.2を確保。前走A級戦での5着凡走が気になるが、58キロの負担重量がこたえて伸びを欠いたと解釈。反撃に転じる。
ユナイテッドボスは毎回鋭い脚を披露しながら、勝負どころで置かれて重賞タイトルを逃がしている。対策としてコーナーを重点に追い切りを消化。その成果が出るか、陣営も相当気合いが入っている。
ジャイアントスターはダイヤモンドCで9着大敗したが、元々がスピードを身上とするタイプ。1400m短縮なら軽視できない。
◎(10)ラブバレット
○(6)マイネルラヴォーロ
▲(7)シグラップロード
△(5)ユナイテッドボス
△(8)ジャイアントスター
<お奨めの1頭>
8R メイクイットホーム
デビューは遅れたが、スケール大きく3戦3勝。ウイナーカップへ出走しても勝ち負けの逸材だと断言して間違いない
先週22日、岩手伝統の「第42回一條記念 みちのく大賞典」は単勝1倍の元返しナムラタイタンが大差で圧勝した。
転入初戦の赤松杯が2着に1秒9差。シアンモア記念が2秒2差。そしてみちのく大賞典は2着に2秒4差と着差を広げる一方。
特に今回は鞍上・坂口裕一騎手が直線を向いて本気で追っていた。理由は次走・マーキュリーカップをにらんでのことだが、ナムラタイタンもその指示にこたえて加速していたのが最大の収穫。
当然だが、マーキュリーカップはかつてしのぎを削った強豪、上がり馬の参戦も予想され、これまでの3戦とは流れもペースもまったく違う。
中央所属馬は最後でもう一つ上のギアに入るとよく言われる。4年前、カネヒキリの4着に健闘したコアレスレーサー=関本淳騎手がレース後、このコメントを語ったのが印象的だった。
まだマーキュリーカップの出走予定馬はまったく分からない状態だが、GⅢ・武蔵野ステークスを優勝した実績があれば遜色はないはず。順調に乗り込まれて上半期最大の目標へ向かってほしいと切に願っている。
一方、2番人気に推されたコミュニティはスタート直後につまづいて落馬のアクシデント。その瞬間、スタンドからどよめきが起こった。元々、歩様のいいタイプではないが、まさか大一番みちのく大賞典でつまづくとは思わなかった。
今回は明と暗がくっきり浮き彫りにされたが、成長余力十分の4歳馬。これにめげず立て直しを図り、捲土重来を期待したい。
28日(日)メインはB2「ジューンカップ」。2000mへ距離延長が大きく勝敗に影響する可能性大。複眼的な馬券が功を奏すると見ている。
主軸はブラックタイガー。前走、水沢1800m戦で2番手の積極策に出て4角先頭。あとは後続を突き放し、4馬身差で圧勝。得意の水沢に替わって反応が一変した。
過去、岩手5勝はすべて水沢でマーク。あとは2000m延長と57キロのトップハンデ克服が課題だが、コース適性でカバーする。
コスモリオは中央未勝利から最下級C2スタート。メンバーにも恵まれて7戦5勝2着2回。B2も楽々と突破し、目下4連勝中と絶好調を誇っている。
いきなり2000m延長だが、中央時代にダート1800mで2着1回。父がタイムパラドックスならむしろ歓迎だろう。
エイシンダッシュは中央3勝。ダートグレードにも4度挑戦した。その後、北海道、笠松A級を経て転入。あっさり2連勝マーク。中団キープからスパートをかけると一気に突き放し、底力を誇示した。
気になるのは前走4着。伸びを欠いて案外の結果に終わった。敗因は小回り水沢があわなかったのか。コース2度目で真価を問われる。もちろん克服なら単まで十分。
アドマイヤマスターは今季早くも3勝。好、凡走の落差が激しいのは逃げ馬の宿命だが、気分良く逃げれば直線でもうひと伸びをする。
その意味で距離延長よりも道中、いかにマイペースに持ち込めるか。2000mなら流れ速くなることは考えられず、有力馬の間隙を突いてまんまと逃げ切りを狙う。
タフガイは一戦ごとに調子を上げて前走はブラックタイガーの2着。イメージは短距離だったが、スンナリの流れなら折り合いもついて伸び確実。バラける展開で最大能力を発揮する。
ノーティカルスターは追い込み一辺倒の脚質。ペース遅くなると苦しいが、多少でも前が競り合うようなら台頭のシーンまで。
◎(5)ブラックタイガー
○(2)コスモリオ
▲(3)エイシンダッシュ
△(6)アドマイヤマスター
△(9)タフガイ
△(4)ノーティカルスター
<お奨めの1頭>
7R ダンスママ
転入前の門別1200m戦を快勝。このクラス編入は明らかに恵まれた。中間の追いきりでも絶好の動きを披露し、好発進を決める
この土・日は注目馬が多数登場する盛りだくさんの週末でした。
まず土曜。11Rのダート1300m戦にコスモセンサーが登場、2着に3馬身差をつけて完勝しました。
コスモセンサーは2010年のアーリントンカップを優勝し、2012年の安田記念でも3着に食い込んでいる実績馬です。ナムラタイタンほどではないにせよ"バリバリ"のオープン馬の転入は当然のごとく注目を集めました。とはいえダートでの実績がなく、ダート中心になる地方でどういう戦いができるのか?という事も同時に注目されたのですが、終わってみればスピードで圧倒する形の勝利で、力量面もダートもメドをつける事ができました。
日曜の3Rでは今季2戦目の2歳新馬戦が行われ、キモンイーグルが接戦を制しました。同馬は岩手で活躍するハカタドンタク、今年の留守杯日高賞を勝ったコパノバウンシの半妹にあたります。僅差ではありましたが2歳新馬戦は勝つ事が重要。きょうだいに続く活躍を期待したいですね。
そして日曜のメイン・一條記念みちのく大賞典。"真打ち"ナムラタイタンが登場し、2着馬に大差を付けての圧勝を果たしました。
ナムラタイタンも自身は2000mでの優勝が無く、マーキュリーカップに向けここはなんとしても勝っておきたいレース。それをきっちりモノにできたのは大きな価値がありました。次戦は予定通りマーキュリーカップ。楽しみが拡がりました。
当面のライバルとみられていたコミュニティがスタート直後に落馬するというアクシデントは残念な結末でした。ただ、ナムラタイタンの鞍上・坂口裕一騎手がレース後、「コミュニティが前に出るなら二番手でいいと思っていた」と話していた事は皆さんに覚えておいていただきたい。つまり現時点でナムラタイタンとそれなりのレースができるのはコミュニティだと、坂口騎手は考えていた・・・という事だからです。今回は残念な結果でしたが、また次の機会の対決を楽しみにしておきましょう。
対抗は(7)マイネルヴァルム。今季は3月開催も含めればA級で2勝を挙げ、この馬もこの辺なら力が上といえる段階です。盛岡での2戦と水沢での3戦を比べると水沢の方がいい印象もあって要注目。
そして三番手はダートでも勢いを買って(6)レオパルドゥスを。近二戦の好走は芝でのもの、ダートではまださほど目を惹く結果がありませんが、そんなダート戦にしても勝馬から極端に離されていた訳ではなく、この馬にとっても"このメンバー相手なら"と言えるはず。あとは水沢ダートでその勢いを活かす事ができれば・・・。
以下ヒモには(3)トーホクアロー、(2)トーホクキング。◎はじめ先行タイプが揃っただけに、それらの馬たちのやり合い方次第では上位突入のチャンスが出てくるのではないでしょうか。
●10Rの買い目
馬単(8)=(7)、(8)→(6)、(8)→(2)、(8)→(3)
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