10日メインは今シーズンの盛岡競馬で行われるラスト重賞「第14回絆カップ」(盛岡ダート1200m)。3歳馬から10歳馬まで幅広くエントリーし、牝馬も12頭中7頭。盛岡重賞フィナーレを飾るにふさわしいメンバーが顔をそろえた。
このレースに合わせてゴールデンヒーラーが戦列に戻ってきた。2歳時から主役を演じ続け、牡馬も相手に重賞11勝。2歳時、最優秀短距離馬、3、4歳時には最優秀牝馬に選ばれた強豪牝馬。今シーズンは短距離路線にシフトして白嶺賞を皮切りに栗駒賞、岩鷲賞と重賞3勝をマークし、4戦4勝のパーフェクト成績。破竹の進撃を続け、クラスターカップ挑戦も視界に入れていたが、体調が思わしくなく断念。生まれ故郷の北海道へ移動して休養に入った。
今回は4ヵ月ぶりの実戦となるが、休み明け実績4戦4勝。まったく苦にしないどころか、久々の方がレースに集中できるのがゴールデンヒーラー。ご存じの方も多いと思うが、今年一杯で現役にピリオド。来期から生まれ故郷の下河辺牧場で繁殖に入るため、競走生活も残りわずか。重賞12勝目に王手をかけた。
トーセンキャロルは3歳時、ひまわり賞(オークス)、OROオータムティアラの牝馬クラシック二冠を獲得。翌年は重賞・岩鷲賞を制し、絆カップ2着。冬場は南関東へ移籍して4戦消化後、3ヵ月半の休養をはさんで帰郷。OROターフスプリント4着、ヴィーナススプリント3着。前走は5着止まりだったが、1000mの忙しい競馬が合わなかった。
今度は4戦1勝2着2回の盛岡ダート1200mが舞台。状態も申し分なく、ゴールデンヒーラーがもたつくようなら逆転の目は十分ある。
グットフォーチュンは中央ダート1400m1勝、ダート1000m1勝から転入。水沢2戦・早池峰スーパースプリント9着、前々走・ヴィーナススプリント8着に凡走。輸送競馬が合わない印象だった。対して盛岡は6戦2勝2着2回3着2回とすべて3着以上。交流・OROターフスプリントはマッドシェリーに0秒1差の惜敗だった。
前走は伸びを欠いて3着止まりが不満だが、盛岡戦も今回がシーズン最後。何とか勝利を飾り、重賞初制覇で締めくくりたいところだろう。
ジュランビルは中央芝3勝、ダート1勝・オープンから南関東へ移籍。以降は積極的に遠征し、イヌワシ賞(金沢)2着、佐賀ヴィーナスカップ優勝、秋桜賞(名古屋)3着。その後、半年の休養を経てOROターフスプリント5着から転入。ヴィーナススプリントで2着を確保した。1200mは芝2勝、前走・水沢1400m2着なら距離は問題なし。好メンバーがそろったが、格でアッサリのシーンまで。
ウラヤは中央3勝クラスから転入。余裕の2連勝を飾り、青藍賞で1番人気に支持されたが、好位一杯6着。南部杯13着と2戦着外に沈んだが、今回はメンバー緩和。1200mは未経験だが、タイプ的にはむしろ合いそうなムード。
ルチルクォーツは水沢1300mのコースレコードを更新。ヴィーナスSP4着、前々走3着に終わったが、前回直線一気を決めて快勝。これで勢いを取り戻した。
◎⑧ゴールデンヒーラー
〇⑤トーセンキャロル
▲①グットフォーチュン
△④ジュランビル
△②ウラヤ
△⑨ルチルクォーツ
<お奨めの1頭>
4R ドリーミンマン
デビュー戦の東京ダート1600mで6着を確保。今回は5月以来の実戦だが、能力検査を使って態勢は整った
11月3日に行われた2歳牝馬の地方競馬全国交流重賞『プリンセスカップ』は門別勢対岩手勢の構図。結果は門別勢が3着まで独占、勝ったのは1番人気のエイシンナデシコでした。
岩手ラポジートの逃げを門別勢が追う形になった序盤、エイシンナデシコは馬群の中5番手あたりを追走。意外に落ち着いた流れになり門別勢が動き出したのは4角が近づいてから。馬群を捌いて抜け出してきたのがスティールブライト、エイシンナデシコは外に持ち出して追い上げる態勢、ここまでが緩い流れだっただけに最後は各馬同じような脚色の競り合いが続きましたが、一歩前を行くスティールブライトを外からエイシンナデシコが捉えたところがゴール。クビ差の決着は1番人気に軍配が上がりました。
2着はスティールブライトが確保、接戦の3着はリコーシュペルが粘り切って"表彰台"は門別勢が独占。5着も門別ハッピータレイアでしたが地元ピカンチフラワーが4着に食い込んで気を吐きました。
11月6日のメインレースは12Rの『夢・希望 未来へ前進』B2級三組・ダート1600mの12頭立て。本命は(6)ライジングサミットを採りました。
転入後3連勝中、川崎のB2B3から岩手のC2級転入はさすがに楽だったという事になるのでしょうが、連勝している事によって走る度に相手強化があり、加えてコース替わりや距離延長もありながら連勝、それも強さを増すかの走りを見せているのは降級だけが勝利の要因では無いと見るのが妥当でしょう。
そして走破タイムの比較でも、自身の前走はC1級でのものですがB2に入ったここでも全く遜色ないと言える時計です。さらに言うならば今回のメンバーの多くは夏のクラス替えでB2に上がってきたばかりで"昇級"というほどの相手強化感もありません。ここでも主役になる事ができる可能性は大と見ます。
対抗は(7)フェルサイト。こちらは3歳未勝利からの転入でしたが着実に勝ち星を重ね、古馬に編入されても勢いは通用しました。前走も初マイルで歯ごたえある古馬を破っていますし、◎同様昇級となっても力量通用と判断。
(8)ピースワンドルチェが三番手。ここまでの勝ち星は全て1200m~1400mの範囲にある馬ですが近走や昨年の走りからもマイルがダメという事はないはず。昨年もそうでしたが秋頃もこの馬が走るタイミングと思えますし、ここでは伏兵以上の評価をしてみたいところです。
以下、昇級で苦戦の形も時計の差はあまりない(2)ニーケススマイル、降級だけで無く前半戦の頃よりも気配が良く感じる(10)レベランスを穴っぽいヒモ候補に。3着あたりはもつれてもおかしくないメンバー構成でしょう。(横川典視)
●12Rの買い目
馬単(6)=(7)、(6)=(8)、(6)=(2)、(6)→(10)
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10月25日(金)、トーホウエンペラー(父ブライアンズタイム)が繋養先の静内フジカワ牧場で永眠した。28歳だった。当初は中央デビューの予定だったが、球節部分に慢性的な不安を抱えていたため、中央未出走で岩手入り。1999年12月31日、ようやく3歳ギリギリでデビューにこぎつけ、翌年の12月31日、岩手版グランプリ・桐花賞を優勝。最下級スタートから一気に岩手の頂点に君臨した。
出世はとどまらずさらに飛躍。2001年、朱鷺大賞典(当時GIII・県新潟競馬)で初グレードを制し、浦和記念(GII)2着から東京大賞典(GI)を優勝。メイセイオペラも果たせなかった岩手所属馬で初めて同レースを制した。翌2002年には名古屋大賞典を制し、10月にはマイルチャンピオンシップ南部杯を優勝。2着にも岩手所属バンケーティングが入り、ファンから大喝采を浴びた。
同年12月、東京大賞典8着を最後に現役を引退。北海道・アロースタッドで種牡馬入りし、2005年生まれのトーホウノゾミが2007年、南部駒賞を優勝。父に初重賞をプレゼントした。しかし2014年に種牡馬生活にピリオド。静内フジカワ牧場で余生を送っていた。
現在、盛岡競馬場アトリウム1階でトーホウエンペラーの献花台、記帳台を設置しているが、先日、担当きゅう務員だった菊池武くんから電話が来た。菊池武くんは元騎手で208勝をマークしたが、減量苦がたたってドクターストップ。志半ばで騎手を引退し、2年後にトーホウエンペラーに出会った。
*このコラムは次週もお伝えします。菊池武くんが思い出を語ってくれました。
5日メインはB1級特別「ひいらぎ賞」(盛岡ダート1400m)。3歳から8歳まで幅広い年齢層が集まり、しかも好調馬がズラリ。どの馬が勝っても不思議がないメンバー構成となった。
マムティキングは南関東デビューで8勝をマークしてオープンまで出世。その後、名古屋を経て岩手入り。A級で2戦3着1回からB2へ降格してあっさり2連勝をあげた。前走はエスペルトの叩き合いに屈して2着だったが、タイム差なし。1400mは過去7勝と最も得意とする距離。首位を奪回する。
ケープライトは2歳時に若駒賞を制し、3歳時も重賞路線で活躍。今季は水沢1300m・スプリント特別3着が最高だったが、ターフスプリント8着後、目に外傷を負ったため1ヵ月半休養。復帰戦のヴィーナススプリントは太め残りで6着に終わったが、B1降格の前回快勝。これで弾みがついた。
ファルコンビークは一昨年、重賞・川崎マイラーズを優勝。障害2戦を経て転入し、A級2戦2着1回から最下級C2へ降格。余裕の4連勝。B1昇格の前走もアッサリ突破した。今回は盛岡1400mが舞台。忙しい競馬対応がカギを握るが、5連勝十分。
エスクマは前走2ヵ月ぶりの実戦を問題にせず完勝。典型的なサウスポーで盛岡1400mは5戦4勝2着1回とパーフェクト連対。ひと叩きされた上積みも見込め、上位争いの一角を形成する。
ツルマルベルは典型的な追い込み馬で行き脚ついてからの切れが武器。展開に左右されるのがネックだが、決め手勝負になれば一気台頭。
エスペルトはシーズン途中まで精彩を欠いていたが、4走前1着から状態アップ。ここ2戦を2、1着と完全復活を遂げた。
◎⑤マムティキング
〇②ケープライト
▲③ファルコンビーク
△⑧エスクマ
△⑪ツルマルベル
△④エスペルト
<お奨めの1頭>
5R ボエーム
転入戦は出遅れもこたえて3着だったが、前走2着で軌道修正。メンバーが手ごろになって勝機到来
3日メインは"GRANDAME-JAPAN2024"2歳シーズン第4弾「第40回プリンセスカップ」(盛岡ダート1400m)。北海道5頭、地元岩手9頭のフルゲート14頭で行われるが、過去のデータからも北海道優位は動かないだろう。
ヴィルミーキスミーは4戦目から2連勝をマークし、牝馬重賞・フルールカップ5着から園田・プリンセスカップへ参戦。リオンダリーナが無敗4連勝で圧勝したが、2着ラブミールイスとはクビ差3着に惜敗した。現在、グランダム・ジャパンで獲得ポイントは7ポイント。仮に今回優勝すれば15ポイントが獲得でき、一気に2位へ浮上。岩手のプリンセスカップと園田・プリンセスカップは連動性が高く、最有力候補に疑いなし。
エイシンナデシコの母エーシンエムディーは中央芝1200m3勝。近親は黒船賞を制したエイシンヴァラー。デビュー戦2着から2戦目を快勝。続いて栄冠賞へ駒を進めて4着に善戦した。一戦置いてJRA札幌芝1500m・クローバー賞へ挑戦し7着に終わったが、地元に戻って2戦連続で2着。前走1着ハーフブルーは先日のJpnIII・エーデルワイス賞4着。ハイレベル戦だった。
スティールブライトの姉スティールグレースはフローラルカップ、リリーカップと重賞2連勝を飾り、JpnIII・エーデルワイス賞で1番人気(競走中止)に支持された強豪。デビュー2戦2着、2戦目1着後、重賞路線へ名乗り。リリーカップで4着を確保した。前々走1000万レース・ネクストスター門別10着だったが、前走0秒3差5着に反撃した。
リコーシュペルは初勝利まで6戦を要したが、目下3連勝中。前走は好メンバーがそろったウィナーズチャレンジでも鮮やかな逃げ切りを決めた。コパノリッキー産駒の大型牝馬。外枠11番枠がネックだが、持ち味のスピードをフルに生かして逃げ切りのシーンまで十分。
ハッピータレイアはデビュー2戦連続2着から3戦目を快勝。以降も抜群の堅実さを発揮して2勝2着2回3着3回とすべて3着以上にまとめている。前走も2番手追走から渋太く粘ってリコーシュペルの0秒2差3着。
ブルードプリュスは大井1200m・2歳新馬戦でタイム差なし2着後、転入。初戦を豪快なまくりで完勝した。3戦目は初の左回りが不安視されたが、3着確保。これでメドが立ち、前回勝利を飾った。メンバーは大幅に強化されたが、素質一級品。
◎⑩ヴィルミーキスミー
〇⑨エイシンナデシコ
▲⑥スティールブライト
△⑪リコーシュペル
△⑬ハッピータレイア
△⑧ブルードプリュス
<お奨めの1頭>
8R ブライティアブエナ
前走7着に大敗したが、1600mが長かった。古馬B2級2度目、1200m短縮で反撃必至
10月27日に行われた重賞『すずらん賞』。北上川大賞典のトライアルにもなっているこのレースには牡馬の実績馬も多数登場してきましたが、その中で頂点に立ったのは牝馬のミニアチュール。自身の5連勝を重賞3連勝で飾りました。
戦前の予想通りグランコージーが逃げてミニアチュールはその2番手。後方に有力馬を従える形になった同馬は「後ろから捲られてしまう前に自分から行ってしまおうと(佐々木志音騎手)」と3角で先頭に。ノーブルサターンはじめ有力馬が入れ替わり立ち替わり攻めて来る攻防になりましたがミニアチュールは結局その接近を許さず、2馬身のリードを保ったままゴールイン。牝馬の頂点のみならず古馬戦線全体の中でも頂点と言える見事な勝利を収めました。
大接戦の2着争いは7番人気フレイムウィングスが先着、3着は6番人気ゴールドギアが食い込んで、勝ったのが1番人気にもかかわらず馬番3連単は9万2340円の波乱。2番人気ライアンは6着、3番人気ノーブルサターンは5着と、僅差ではありましたが馬券圏外に終わっています。
10月29日、10月最後の盛岡競馬のメインレースは11Rに行われる『ヤングジョッキーズシリーズトライアルラウンド盛岡第2戦』、ダート1600mの12頭立てです。
JRA・地方競馬の若手ジョッキー達の戦いも今年8年目。これまでは7月頃から10月一杯くらいにかけて各地でトライアルラウンドが行われていたYJSでしたが、今年は8月上旬に行われた門別を除けば9月・10月に全て集中する形に変わりました。
盛岡でのトライアルラウンドも例年は7月とか8月とかの真夏でしたから、冬が近い晩秋におこなわれるとなるとなんとなく違うシリーズのような印象がありますね。
岩手からは佐々木志音騎手、坂井瑛音騎手が出場。いずれも遠征場でのTRを経験していています。地元戦でポイントを加えて上位に食い込んでほしいもの。
さて11R、本命は(7)マルケイアローです。
前走が昨年7月以来の勝利となった同馬でしたが、B1からC1に降級した分だけでなく、一番暑い夏の時期を乗り越えて調子が戻ってきていた部分も大きかった印象です。人気薄でポンと勝ったりして当てにしづらい面もありますが距離に関しては実績豊富、苦手感無し。それだけでもこのメンバーの中では強気になれる材料でしょう。
対抗は(10)フェブサンカラ。芝向きのイメージがあって今のタフな馬場がどうか?はありますが、C1級マイルでも遜色ない立ち回りは連下の期待をかけていいもの。
三番手は(6)ブルースカイラニを狙ってみます。マイルが凄く良いという印象までは無いですが、南関時代はマイルで崩れず戦っていましたし、直近も距離対応の手応えを見せています。勝ち切れないまでもの調子の良さも推してみたい点。
(3)スラーヴァを△にするのはちょっともったいないですが、距離にまだ手がかりが無い点から今回はこの印に。しかし左回りはもう問題ないでしょうし、マイルでも強さを見せてきてもなんら不思議はないでしょう。
もう一頭は(4)デルマアシュラ。この馬ももう少し軽い馬場の方が良いのかとは思いますが、降級して戦いやすくなっている点に注目して。(横川典視)
●11Rの買い目
馬単(7)=(10)、(7)=(6)、(10)=(6)、(7)→(3)、(7)→(4)
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