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2006年10月 アーカイブ

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今週のみどころ(10/21〜10/23)

 先週行われた「全道祭典ばん馬1歳馬決勝大会」は、雄の部はゴールドシャインが、雌の部はニシキフジが優勝しました。ゴールドシャインは父ブラックジョージ、母タケノレンショウ(その父キタノローメイ)という血統。ニシキフジは父シンリュウザン、母ツベツユウ(その父富士)の血統で、現2歳で活躍しているコーネルフジの半妹に当たります。そのコーネルフジも昨年のこのレースを制しており、兄妹制覇となりました。この日走った彼らのデビューを、期待して待ちたいと思います。
 21日(土)は温根湯特別(3歳以上800万円未満)が行われます。650万クラスからの昇級組も多くやや難解ですが、ここはイッスンボウシの実力に期待したいと思います。近2走は4着に敗れていますが、戦ってきた相手がカネサブラックやプリンセスサクラコ。オープン混合戦での入着は、単純に評価できるでしょう。北見では未勝利というのが気がかりですが、このクラスなら争覇圏です。もちろん前走の北見えぞまつ特別快勝のホクリュウイチも有力。ナリタボブサップやスーパークリントンなどの昇級組にも期待できそうです。
 22日(日)のメインレースは、二世ロッシーニ記念特別(3歳以上オープン)。サダエリコやミサキスーパーなどのオープン一線級がエントリーしていますが、注目はなんといってもカネサブラックフクイズミの2頭でしょう。これまでのように楽なレースとはいきませんが、上位陣が近走モタついている印象だけにチャンス十分です。トカチプリティーは先週中1日で連続2着。安定したレースぶりは評価できるもので、ここでも上位争いに加わる可能性は大きいといえます。同じくタケタカラニシキも好勝負圏内。実績馬の巻き返しも期待でき、楽しみな一戦といえそうです。
 23日(月)は川湯特別(3歳以上650万円未満)が行われます。混戦が予想されますが、まず注目されるのはプリティブライトでしょう。前走阿寒湖特別はミスターハヤサキの2着で、障害6番手から豪快に伸びました。そのレースぶりからも注目でしょう。その阿寒湖特別で4着だったユウセイマーチの巻き返しも期待。前走は昇級戦ということもあり「メドが立った」と見るべきでしょう。ほかトミサトクイーンやイケダガッツ、ミスターセンプーも争覇圏です。

レース回顧(10/13~10/16)

2006年10月17日(火)

 8日(日)の代替開催として行われた13日(金)のイオンカップ(3歳以上オープン)は、岩見沢の勢いをそのまま持ち込んだアンローズが優勝。ばんえいグランプリ以来の連勝を4に伸ばしました。道中は、馬場水分が3.9%ということもあって早めの展開。第2障害をトップでクリアしたアンローズは、いったんトカチプリティーに先頭を譲るようなシーンも見られましたが、確実な末脚を発揮してこれを振り切ると、そのまま先頭でゴールしました。アンローズには突き放されたトカチプリティーでしたが、こちらも後続の追撃を振り切って2着。3着はタケタカラニシキが障害3番手から粘り込みました。
 14日(土)のメインレースは阿寒湖特別(3歳以上650万円未満)。近走不振が続いていたミスターハヤサキが、復活を告げる快勝を演じました。第2障害は3、4頭と並んで下りましたが、そこからジリジリと脚を伸ばして他馬を突き放す強い勝ち方。6番人気と低評価だったものの、初夏に4勝を挙げた実力をいかんなく発揮しました。2着は2番人気のプリティブライトで、障害6番手から豪快に追い込んで連対を確保。トミサトクイーンが僅差の3着に入線しています。
 15日(日)に行われた北見えぞまつ特別(3歳以上800万円未満)は、2番人気のホクリュウイチが優勝。近2走連続2着の鬱憤を、ここで晴らしました。道中はアオノキセキが引っ張る流れでしたが、障害を先頭で越えたのはツルマキシンザン。これを2番手から追走したホクリュウイチが交わすと、終いはやや甘くなったものの、こらえきってゴールを迎えました。ゴール寸前まで2番手をキープしていたツルマキシンザンは、3頭に交わされて5着。中団から追い込んだキングシャープ、カツテンリュウが、それぞれ2、3着に食い込んでいます。
 その前、第10レースに行われたのは、3歳以上オープン勝入混合別定。7日の石北特別、13日のイオンカップ出走馬による2度使い戦です。ここを勝ったのはカネサブラックで、障害先頭クリアから他馬の追撃をしのぎきりました。イオンカップ2着のトカチプリティーがここでも2着。中1日の強行軍ながら好成績を残しています。3着はプリンセスサクラコで、障害3番手から粘り込みました。
 16日(月)はメインレースに屈斜路湖特別(3歳以上混合650万円未満)が行われました。ここを制したのはナリタボブサップ。障害巧者らしく先頭でこれをクリアすると、並んで越えたスーパークリントンをいったん突き放す展開に。例によって終いは甘くなりましたが、スーパークリントンの逆襲を振り切り、6月以来久々の勝利を挙げました。2着スーパークリントンで、3着は久々の出走となったエンジュダイヤ。なお4着にウィナーサマーが入り、4歳勢の上位独占となりました。

14日以降の映像はこちら

馬券おやじは今日も行く(第25回)  古林英一

2006年10月14日(土)

ばん馬の人たち~獣医さんの巻~

 昨今、北海道では、ばんえい競馬の存廃をめぐる報道が新聞紙上を賑わしている。特に、道内最大手の新聞(名指ししてるようなもんだわな)の掲載する記事数が多いのだが、どうも今ひとつよくわからん報道なのである。これは小生の当て推量なのだが、どうも競馬の法制度的仕組みをまったく理解していない記者が、市役所かどこかからリークされた情報をよくわからないままに書いているような印象である。おかげで、小生は心穏やかならざる日々を送っているのである。

 さて、このコラムでは、これまでも、小生の気の向くまま、ばんえいの周辺をちょこちょこ紹介してきたが、今回は獣医さんを紹介する。

 映画「雪に願うこと」に、突然倒れた馬のもとに獣医さんが駆けつけるシーンがある。映画に登場する獣医さんはひげ面のワイルドな先生である。そういえば、獣医さんって、映画やドラマではたいていワイルドな風貌で描かれますわなあ。

 「実際のばんえい競馬の診療所の所長さんは?」というと、これが、映画の獣医さんとは大違い、映画の獣医さんよりはるかにさわやかでスマートな好男子なのである。

 競馬場には馬主会が経営する診療所があり、この診療所の所長が森田獣医師である。まだ32歳とお若いが、すでにばん馬を相手に8年のキャリアがある。

061014  岩見沢の診療所にお邪魔したとき、ちょうど笹針治療の最中であった。笹針とは、ご承知の方も多いだろうが、馬体のあちらこちらにメスを入れ、静脈血を放出させる施術である。知識として知ってはいたのだが、小生も見るのは初めてであった(写真は笹針治療中の森田所長)。

 森田所長は「軽種とばん馬は別の動物だ」という。それはばん馬の疾患が軽種のそれとあまりにも違うからだ。ばん馬の疾患の9割は蹄の病気だそうだ。これには理由がある。ばん馬の馬力はあの巨体あってのものである。したがって鍛えながら巨体をつくっていくのである。体をつくるためには高カロリーのエサが必要である。高カロリーのエサを食ってしっかり運動することであのたくましい馬体がつくられるのである。だが、高カロリーのエサを投与し続けると蹄葉炎の発生確率が高まる。これは、喩えて言えば、糖尿病が力士の職業病であるというのに近いものがある。森田所長によると、高カロリーの濃厚飼料やストレスが胃腸障害を引き起こし、それが蹄に影響するのだそうだ。

 獣医師として重要なことは「決断のための知識」であると森田所長はいう。家畜は口をきくことができない。「何が原因なのか」「誤診のおそれはないのか」、常に自問自答しつつ、果敢に診断を下さざるを得ない。直るのか直らないのか、仮に直るとしても高い費用のかかる手術が必要かもしれない。安楽死を選ばざるを得ないこともあろう。馬主にこれらすべてのことを短時間に納得してもらわねばならない。この精神的な負担が大きいと森田所長はいう。果敢な決断を下すためにはそれだけの知識と経験が必要だ。

 「ばん馬の獣医としては自分は日本一だ」と森田所長は自負する。ばん馬を専門にしている獣医は殆どいない。日本一であるという自負は、日本一であらねばならないという使命感の裏返しでもある。セカンドオピニオンのない世界なのである。

 獣医さんの目から見た強い馬とはどのような馬かと尋ねてみた。馬券オヤジとしてこれはぜひ聞いておかねばならないところである。筋肉のつきかたとか内臓の強靱さといった馬体そのものに関わる答えを小生は予期したのだが、森田所長の答えは実に意外なものだった。「“意志力”の強い馬が強い」というのが森田所長の答えであった。確かに、スーパーペガサスの走りっぷりを見ると、2障害を越えてゴールに向かう直線の足取りはいつもしっかりしている。これは類い希な意志の力なのかもしれない。

 「気合いと根性じゃあっ!」。これは小生が大学時代世話になった先輩の口癖だ。確かに馬でも人でも最後は気合いと根性であろう。自分でいうのもなんだが、学者として小生はせいぜい「170万円下」(未勝利と言わないあたりが自分への甘さである)である。下級条件に甘んじてしまったのは、やはり「気合いと根性」が欠落していたからである。あらためて「スーパーペガサスに脱帽!」なのである。

今週のみどころ(10/13〜10/16)

2006年10月12日(木)

 8日(日)に開催取り止めとなった関係で、今週13日(金)に代替開催が行われます。通常の土~月開催と合わせての4日間連続開催となりますので、ご注意ください。
 13日(金)は、8日の開催分がそのまま移行します。従って、この日のレースについては前回の記事を再掲いたします。

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■13日(金)開催分

 8日(日)はイオンカップ(3歳以上オープン)が行われます。アンローズを筆頭にオープン馬10頭がエントリーしてきました。もちろん好調のアンローズに注目したいところですが、北見競馬場は[5-2-2-12]と岩見沢ほどの信頼を置けない成績。ただ岩見沢記念のレースぶりを見る限り好調なのは確かですし、そこは勢いで押し切ってくれるのではないでしょうか。コース実績で特筆すべきはサダエリコ(※回避しました)で、北見競馬場[7-2-4-1]の好成績。近走、らしさが見られないだけに狙いづらいと思いますが、一発の可能性は十分に秘めているといえましょう。今季この路線で安定しているトモエパワーも[6-7-3-5]と、北見でなかなかの成績を残しており、他馬に強調材料が見られない今回はチャンスです。ほか多数の実力馬が名を連ねており、楽しみな一戦となりそうです。
 この日の第10レース、3歳以上470万円未満の一戦には、現在10連勝中のハイタワーが出走を予定しています。7月以来およそ3カ月ぶりの出走だけに、当日の状態をよく見極めたいところ。

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 14日(土)はメインレースに阿寒湖特別(3歳以上650万円未満)が行われます。中心視したいのはユウセイマーチで、8月以降5戦して4連対。昇級戦となりますが、そもそも800万クラスで勝ち負けを演じていた実力の持ち主だけに、ここも主役を演じられるのではないでしょうか。また、ここ2戦2、3着と復調気配を見せているミスターセンプーも争覇圏。こちらもナナカマド賞制覇をはじめ、オープンで勝ち負けを演じていただけに、実力は上位といえます。ここでまた復活を印象づけたいところ。ほか、イケダガッツやトカチタカラも虎視眈々。プリティブライトの一発にも期待できそうです。
 15日(日)は北見えぞまつ特別(3歳以上800万円未満)が行われます。フクイズミとカネサブラックがオープンに上がったため混戦模様を呈してきた800万クラス上位組ですが、ここも難解なメンバー構成となりました。そのなかで安定したレースを見せているのはライジングサン。岩見沢開催は5着以下がない好成績で、その勢いを北見に持ち込んできています。状態のよさを生かせば、ここも中心視できるでしょう。破竹の勢いで昇級初戦を迎えたカツテンリュウも注目。昨季の800万クラスでの戦いぶりを見る限り、ここを一気に突き抜けるような印象はありませんが、この馬もやはり状態のよさを生かしたいところでしょう。ほかではツルマキシンザン、エビスオウジャ、調子の上向いたアオノキセキあたりも争覇圏。スミヨシセンショーやキングシャープなどの既存勢力の一発も考えられ、手広く攻めたいところ。
 なおこの日は第6レースに2歳オープンが組まれています。コーネルフジやアローファイターなどの2歳トップクラスが出走する予定で、楽しみな一戦となりそうです。
 16日(月)のメインレースは屈斜路湖特別(3歳以上650万円未満)。800万クラスとの混合戦で、ここには昨年の3歳牝馬2強、ウィナーサマーとエンジュダイヤがエントリーしています。そのエンジュダイヤは今季6月までに3戦しましたが、6、7、10着と精彩を欠いていました。今回は、その10着に敗れた旭川記念以来となるので、当日の気配に注目したいと思います。中心視したいのはウィナーサマーで、今季大敗したのは世代限定戦のみ。古馬混合戦では3戦して1、2、1着と好成績を残しています。北見コース特有の上り勾配が気になるところですが、そこは実力で押し切ってほしいと思います。ほか、ナリタボブサップやスーパークリントンの4歳牡馬勢、安定感あるバレットドラゴンあたりまでが争覇圏でしょう。

レース回顧(10/7~10/9)

2006年10月 9日(月)

 今週8日(日)の北見開催は、大雨によりコースが冠水した影響で開催取り止めとなりました。この日はメインレースにイオンカップ、また第10レースには連勝中のハイタワーがエントリー。好メンバーが揃っていただけに取り止めは残念でしたが、これに伴う代替開催が13日(金)に行われるので、それを楽しみにしましょう。
 7日(土)に行われた石北特別(3歳以上オープン混合)は、2番人気に推されたプリンセスサクラコが優勝しました。第2障害は1番人気のカネサブラックが先頭でクリアし、プリンセスサクラコは2番手。しかし残り20メートル付近でプリンセスサクラコが並び掛けると、最後までしっかりした脚取りで歩き続け、ゴールではきっちり半馬身先着しました。カネサブラックもよく粘りましたが、この馬どうこうよりも、プリンセスサクラコの終いの脚をほめるべきで、カネサブラック自身のレースはできていたのではないかと思います。なお3着は、ヒカルセンプーが障害3番手からそのまま粘り込みました。
 9日(祝・月)のメインレースは白馬賞(3歳以上芦毛選抜)。ここはトップハンデながらフクイズミがオープン馬の貫禄を見せつけました。道中後方を進んでいたフクイズミは、障害をひと腰、3番手で越えるとジワジワ差を詰め、残り10メートルほどで交わして完勝。トップハンデが影響したか、いつもの飛ぶような末脚は見られませんでしたが、やはり末脚は確実ですし、見た目以上の完勝といえるでしょう。2着のキョウワテンリュウは、障害2番手から前を行くトウリュウをきっちり捉えましたが、さすがに相手が悪かった印象。前走競走中止の影響もなく、しっかりと立て直してきました。まだまだ中位クラスの台風の目として注目できそうです。3着のトウリュウも見事な障害の切れを見せ、好調をキープしています。

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