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やっぱり馬が好き(第25回)  旋丸 巴

マツノコトブキの忘れ形見 アンローズ

 先週末は矢野さんも斎藤さんもロンシャンにお出かけ……だって、いいわねっ! 私なんか暴れ馬やら暴れ娘相手に平々凡々の週末だったのにっ。ふ~んだ。

 と羨望に悶絶しつつも、しっかりパリ在住の義兄にメールして、凱旋門賞の馬券は買ってもらったけどね。ふふふ

 でも、しかし、凱旋門賞ばかりが競馬じゃない。10月1日、その日は我らがばんえい競馬にとっても重大な日であって、そう、言わずと知れた「愛しのアンローズが岩見沢記念に挑んだ日」。このレースに勝てばアンローズは岩見沢記念3連覇。ばんえい史上初の「牝馬による同一重賞3連覇」ということになるのだけれど……。

 ご案内の通り、結果は堂々の優勝! 終始馬群をリードする完勝だった訳で……偉いぞ、アンローズ!

 トモエパワーとの連を買っていた私は馬券で撃沈。それでも、アンローズの走りっぷりの良さに大満足したのでありました。

 これでアンローズは、前述の記録を達成した上に、8月の、ばんえいグランプリから4連勝。いやはや、凄い勢い。

 昨年度末ばんえい記念で競走中止した時には、「アンローズもそろそろ引退かな」などと予想し、覚悟した私の、そんな感傷なんか木っ端微塵の岩見沢での大活躍。こういうことで予想が外れるのは嬉しいね。

 はてさて、そんな凄いアンローズだけれど、こんな女傑でありながら、美形である。その点に私はいたく感動するものであって、天は二物を与えるんですねぇ。

 アンローズを初めて見たのは、忘れもしない2002年1月1日の黒ユリ賞。つまり、この年も私は元日から競馬に出かけていた訳で……というような感慨はさておき、この、アンローズを初めて見た時のことは生涯忘れられない。何しろ、一目見た瞬間に背中に電撃が走った。それほどの美形で……と書くと、読者各位は、「そんな大袈裟な」と思われるかもしれない。けれど、これホント。ただし、単に美形であるだけなら、こんなに衝撃は受けなかったのであって、私が驚いたのは、あまりにも彼女が父マツノコトブキに似ていたから、である。

 マツノコトブキが大種牡馬であることは、本欄読者には釈迦に説法。今更説明する必要もないだろうし、平成6年から5年連続リーディングサイヤーに輝いた伝説的名種牡馬ということは、読者諸氏のよくよく知るところ。

 ではあるけれど、そのマツノコトブキが稀に見る美男子であることは存外、知られていない。何しろマツノコトブキは蹄葉炎のために未出走のまま引退してしまったから、その姿を公にすることはなかった訳で……。

 そんなマツノコトブキに会いに行ったのは、更に溯って、15年ほど前のこと。当時、ばんえい競馬について、ほとんど知識のなかった私が、知人に「馬好きなら絶対に見ておきなさい」と連れて行かれたのが、マツノコトブキが繋養されていた池田町の中村牧場。

 そこで対面したマツノコトブキは……!

 気品。まずもって、この言葉が私の貧相な脳みそを直撃した。小柄ながらバランスの取れた体型も素晴しかったけれど、何と言っても驚愕すべきは彼の顔。固く絞られた耳といい、黒々と見開かれた大きな瞳といい、これほど「気品」を感じさせる馬は稀有。ポニーから重種まで、豪州から欧州、中国まで、星の数ほど馬を見て来たつもりだったけれど、これほど「気品溢れる馬相」は5頭と知らなかった。という訳で、一瞬にしてマツノコトブキに魂を奪われてしまった私。以降、この大種牡馬の産駒を応援して、随分、財布も暖かくしてもらったから、コトブキに対する思慕は益々深くなったという次第。

 そんな大大だ~い好きなマツノコトブキに、瓜二つ、いや、割らずそのまんま、というほど容貌の似ているアンローズに、だから、私が電撃ショックを受けたのも、むべなるかな。

Photo_53  私の言ってることが嘘でない証拠に、ここに貴重な「マツノコトブキ当歳時の写真」を掲げるから、アンローズとの酷似を、読者自身が体感していただきたい。

 コトブキは、私が初めてアンローズに会った黒ユリ賞から僅か2カ月後、この世を去ったから、私にとってアンローズこそがコトブキの「忘れ形見」。どんなに負けても応援しようと心に誓ったのだけれど、負けるどころか、アンローズは勝ち続けて、今や、ばんえい界を代表する、いや、ばんえい競馬史に名を刻む名牝に成長した。

 今年も秋の色が深まって、短い北見開催が終われば、また、帯広で彼女に会える。それが、今から、とっても楽しみな私なんである。

 もっとも、アンローズにしてみれば、「私、あんまり帯広の馬場とは相性が良くないんだけど」と、得意の岩見沢競馬を去り難く思っているのかもしれないけれど。

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