
野本佳章の速攻が炸裂した
最終日3日目は今節初めての雨走路でおこなわれたが、良走路の予選~準決勝戦を勝ち上がってきた決勝戦メンバーには不思議と雨巧者が揃った。
今年3月に優勝してからハンデ重化して、最重ハンで戦うようになって数節、安定して好成績を挙げられるようになってきた野本佳章が、30メートルの最内枠から20メートルの3車をまとめて突き抜く抜群のスタートを披露。田中哲はすぐに態勢を立て直して野本の外を追走する形を作ったが、結局6周後のゴールまで追い越すチャンスは掴めなかった。
田中哲と同ハンの20線に置かれた1番人気の中野光公が追い上げて、ゴール寸前では田中哲へ急激に差を詰めたが3着まで。その中野光にレース序盤に内へ押し込められた山際真介は自分の得意なアウトコースを走れず圏内へ上がれなかった。
野本は今年2度目、通算6度目の優勝。スタートの鋭利な切れ味はオート界を見渡しても相当のレベルであり、今後も最重ハンに定着しつつ活躍を重ねていきそうだ。
文/鈴木
谷津圭治が約3年ぶりの優勝!
重走路で始まった浜松オート最終日だが、優勝戦の頃にはだいぶ走路が乾いてきた。走路上に濡れている箇所は見受けられるが、競走をする上ではあまり影響がないくらいスピード感のあるレースだった。
0ハンの和田はペースが上がらず、10線内枠の石貝が差して先頭に立つ。しかし、20線から見事なスタートを決めた谷津が石貝の後ろに付けるとあっさり捌いて先頭を奪取。そのままペースが落ちることなく先頭でゴールを駆け抜けた。抜かれた石貝は粘っていたが、鐘ヶ江に差し込まれると中村友にも交わされ後退した。
谷津は2022年5月以来となる、約3年ぶりの優勝。通算優勝回数は13となった。今年に入ってからはなかなか状態が良くならないでいたが、前節の地元から良化の兆しが出ていた。そして今回の浜松では初日から3連勝の完全優勝となった。今年、今まで良くなかった分をこれから回収したいところだ。
有吉辰也が勝負強さを発揮した
この日の雨は1レースの開始時点ですでに上がっていて、開催が進むとともに走路は少しずつ乾いていき、終盤レースへ差しかかる頃には3秒台の試走が多く見られるようになり、12レース決勝戦はほぼ良走路といえるコンディションまで回復した。
レースは20線の最内枠から山本翔が鋭くダッシュすると、1周目で10メートル前の前田淳を突破。そして2周目で0ハンの道智亮介と矢野正剛を1車ずつ捌いて、早々と逃げ展開に持ち込んだ。
今節ただひとり無敗で優出した有吉辰也も3周目に2番手へ上がり追撃態勢を整えたが、3.369秒のハイペースを作る山本翔との車間が常に2車身ほど開いていてなかなか仕掛けられない。しかしそこで終わらないのが有吉の強さ、凄さだ。最終6周回2コーナーを強力に立ち上がると、狙いすましたような差し。ワンチャンス、ラストチャンスで獲物をきっちり仕留める、さすがのレース運びだった。
通算1010勝目で68度目の優勝を飾った有吉は、17年ぶり2度目のSGオールスター優勝をめざして川口レース場へ向かう。
文/鈴木
黒川京介が今年6度目の優勝
10線2車並びの外枠から押田和也に伸び勝って先行した早津康介が1周回4コーナーで0ハン田辺誠を差して先頭に立ったが、20線の大外枠からダッシュ決めた黒川京介がその時すでに背後へ迫っていて、あっさり捌いて首位。
小林瑞季がレース中盤に2番手へ浮上したが、追い上げてきた佐藤貴也が5周回4コーナーから直線への立ち上がりで切り返し、ここで余力がなくなった小林瑞を中村雅も続いてイン攻め込んだ。
黒川は今節3戦3勝の完全V。3月31日の山陽G2『ミッドナイトチャンピオンカップ』以来、今年早くも6度目の優勝を決めた。4日後に開幕する川口ナイター『オールスター』で2冠目のSG獲得をめざす。
文/鈴木
笠木美孝が4年半ぶりに優勝
3連単オッズは、試走タイムや先行力の優劣が考慮されたのか、3番・5番・6番の三つ巴が上位人気。この3車に次ぐ試走タイムを出した鈴木宏和と石田啓貴は穴人気の位置づけ。
レースは同ハン野田光宏との先行争いを外からねじ伏せた石田啓の逃げで開始。ただ、20線の最内枠から先行した笠木美孝が1周回3コーナーで早くも野田を捌いて背後まで迫っていた。
その後しばらくは笠木の差しが先頭の石田啓へ届かないシーンが何度か繰り返されたが、4周回2コーナーの立ち上がりから石田啓の滑りが目立ち始めて、5周回1コーナーついに笠木が石田啓を差して捕えた。
20線の他4名は、鈴木宏和は同ハン2番手発進したが直後の1周回バックストレッチで車がガブられてペースダウン。伊藤信夫の外を伸びた木村武之が道中に番手を上げて2着ゴール。中村友和はレース前に先行力の劣勢を懸念されたとおり独りだけスタート大きく遅れる形となった。
笠木は2020年10月(浜松・雨走路)以来、通算20度目の優勝。3月上旬の浜松アーリーレース頃から速攻の決まるケースが増加していて、スタート力を増したことが今節の活躍につながったといえそうだ。
文/鈴木