中村雅人が全日選初制覇へ!
SG全日本選抜オートレースの準決は波乱が目立った。まず9Rでは車の仕上がり悪い荒尾聡がインを締め、高橋貢や木村武之らの実力者を抑え込んだ。その間に大逃げに入ったのは早船歩。10Rは1番人気で入線の順当な決着。11Rは逃げ粘る篠原睦を浦田信輔が交わせず、むしろ金子大輔にやられて優出モレ。12Rではスタート決めた藤岡一樹がハイペースの逃げ。浜野淳のマーク追走を鈴木圭一郎は攻略できず3着止まり。更に永井大介にいたっては4番手から差を詰められない状態だった。
優出8選手の戦力分析をしてみたい。0Mオープン戦で大事なのはスタート。枠を度外視した単純なスタート力は荒尾が最上位。次いで、篠原や藤岡、浜野と続くか。
エンジンの仕上がり度合いは中村と藤岡が抜けている。準決で2着ではあったが金子の仕上がりも悪くないし、浜野もタイムは出ており上々。準決は独走でもあまりタイムが出なかった早船や、後続を抑えるのが一杯だった篠原や佐藤はややエンジン見劣る。荒尾は仕上がり不足。というよりドドドがひどいようだ。これを解消できるかどうか。
次に捌きの巧さ。これは中村が一歩抜けているだろう。次は、走りがスマートで、強引さを感じさせないからかあまり目立たないが金子もかなり技術は高い。浜野も経験豊富で、難局を切り抜ける腕がある。佐藤は、どちらかと言うと気合で乗るタイプ。
これらを総合的に考えると、やはり本命は中村ということになる。SGの優勝戦で10周回になってもバテないスタミナもある。スタート争いこそ、そこまで望めなくても、10周戦を味方に猛烈な追い込みを見せる。SGの勝ち方も知っている。
相手には藤岡を挙げたい。スタート行けなかったり、混戦になるとやや脆さはあるが、独走に入ったときの走りは驚異的。もしもトップスタートを切るようならSG初制覇も見えてくる。試走は最低でも31以下のタイムは欲しい。他では金子も上位争いに参加できそう。準決は、前を走る篠原と浦田が重なって厳しい展開だったが、しっかり割り込んで行く心臓の強さを見せた。エンジン的にはまだ余していたように見えたので、仕上がりは悪くない。浜野もスタート次第では連対ありそう。一つ外に荒尾が控えているのは気がかりだが、突っ張って行ければ見せ場を作れる。最内の篠原もスタートさえ行ければ、インを抑え込んでの残り目が出てくる。
◎中村雅人
○藤岡一樹
△金子大輔
△浜野淳
▲篠原睦
優勝戦へ向け各選手が最終仕上げに入る!
予選3日間の得点上位32人が決まり、準決レース4個が行われる。全て0メートルオープン戦でスタートがカギになるが、SGの準決なのでレースは8周戦。普段のレースより2周延びることがどのようなドラマを生むか。各レースを展望していく。
9R...スタート争いは、やはり荒尾聡か。7枠と、位置的にはやや不利だが、どこからでもダッシュを決めるスタート力がある。準決突破率も高く、序盤で逃げ態勢を作りそう。それに乗って行きたいのは木村武之。ただし、エンジンの仕上がりには一抹の不安を覚える。むしろ平田雅崇の方が今節に限っては安定感がある。スタートも切れているので、荒尾を追って行く一番手になりそう。他でエンジン良くなってきたのは池田政和。本来のスタート力も戻ってきている。実力者・高橋貢はややエンジン不足。整備でどこまで上積みできるかどうかだ。
◎荒尾聡
○平田雅崇
△池田政和
△木村武之
▲高橋貢
10R...3日目は8枠から2番手スタートを切った佐藤摩弥が、ここも飛び出していきそう。ただし、逃げのペースは疑問で連対までは厳しいか。佐藤摩弥のスタートに乗って出るのが佐藤貴也。一対一から確実に交わし、逃げ態勢に入りそう。ペース上がればそのままゴールもあるが、8周戦を活かして追い上げてくるのは中村雅人。中村にとって周回が延びるのは好材料だ。他にも、田中茂、岡部聡、早川清太郎と周回が延びるのが有利に働く選手が多い。一発あれば、3日目のように好スタート決めたときの岩田裕臣か。
◎中村雅人
○佐藤貴也
△田中茂
△早川清太郎
▲岩田裕臣
11R...ここのスタート争いは東小野正道、篠原睦、前田淳などの外枠勢。ただし、最内の金子大輔も4番手までには踏ん張りそうで、巻き返し態勢を作っていく。そこでこのレースは金子を軸にしたい。相手は浦田信輔。スタートはそこまで行けなくても、8周戦を味方に猛烈に追い込んでくるだろう。先述のスタート巧者3名の中で一番安定感があるのは篠原。他で連絡みがありそうなのは若井友和。スタート巧者の3名が飛び出してもペースはそこまで上がらず、混戦模様になる可能性もある。となると、気合の突っ込みを見せてくるかもしれない。
◎金子大輔
○浦田信輔
△篠原睦
△東小野正道
▲若井友和
12R...3日目のレースで不安を一掃したのが永井大介。試走から好気配で、レースでも圧勝した。ここもセンターから飛び出し、ブッチ切りの走りを披露しそう。相手は難解だが鈴木圭一郎を推す。SGの大舞台でもしっかりスタートが切れているし、スピード的にも全く見劣りしない。初日などは上がりタイムで一番時計を出している。先行するようなら永井さえ振り切るアシがある。藤岡一樹も好枠なので注意したい存在。スタートの切れも良いので、3番手までには出られそう。もちろん状況によってはトップスタートもある。あとは近況乗れてる久門徹が、外寄りでもカマシ気味にスタート切る可能性があるし、ここ一番での勝負強さがある浜野淳も警戒したい。
◎永井大介
○鈴木圭一郎
△藤岡一樹
△久門徹
▲浜野淳
今年のSG第一弾・全日本選抜開幕!
毎年、2月に行なわれているSG全日本選抜も28回目を数える。各地区から強豪が集結し、その覇を争う。この開催の一つ前の川口一般開催から新タイヤが導入された。タイヤ一つ一つに当たり外れの差が出ないような作りになっている。となると、予想する上で大事なのはエンジンの仕上がり具合と選手の技量になる。地区別に有力選手を挙げていく。
まずは開催地区である浜松から。ランク最上位は木村武之。前走は船橋のGII。予選3日間は良かったが、準決では追い込みが決まらず優勝戦へは進めなかった。ただ、エンジン的にはある程度の状態にあるし、今回は地元の開催なので不安要素は少ない。ランク次位が佐藤貴也。一時期の勢いはやや薄れてしまったが、それでもエンジンはマズマズの状態を保っている。地元開催で整備もやりやすいだろうし、もっと上積みも望める。同期の金子大輔は前走が地元の一般開催。準決は3着で優勝戦には進めなかったが、4日間開催で1着が3本と悪くはない内容。
最強地区の船橋は充実している選手が多い。全国ランク1位の永井大介は、前走の地元GIIで優勝。優勝戦は重走路だったが、落ち着いて追い上げて1着ゴール。攻撃の幅が広がっている。良走路でのエンジンもかなり良さそう。2位の中村雅人は前走が飯塚GIだった。しっかり優勝戦まで進み、結果を残している。青山周平の前走は地元のGII。こちらも優勝戦まで進んできた。優勝戦ではいいスタートを切ったものの結果には繋がらなかったが、良走路でのエンジンは良さそう。浜松は特に相性のいいバンクなので注目度も高まる。新井恵匠も前走の地元GIIで優出し3着。この時は2級車で乗っていたが、開けっぷりの良さが光っていた。池田政和は前走の飯塚GIでは、かつての輝きを取り戻すかのような走りを見せた。そのままの勢いで今回に乗り込みたい。
S級選手が最も多いのは飯塚地区。ほとんどの選手の前走は地元のGIだ。そのGIで優勝したのが大将格の浦田信輔。優勝戦では好スタートを切り、自分の展開に持ち込みV。近況の充実度で言えば、永井と同じくらいあると言える。その大会で優出したのは他に、篠原睦、久門徹、岩見貴史。特に久門は、優勝した浦田を差し返すくらいの動きがあった。流れは悪くないだろう。篠原や岩見にしても武器のスタートが決まっているし、エンジン面も良い方だ。スランプから脱出した荒尾聡は、前走のGIではイマイチだった。しかし、整備力があるのでシッカリと立て直してくる。
川口地区のランク筆頭は森且行。前走は船橋のGII。相性の良くない船橋で優出する活躍を見せた。準決の良走路では試走27をマークするなどエンジンの仕上がりっぷりが目立つ。初のSG制覇へ向け気合も入っている。同期の若井友和は前走が飯塚GIだったが、成績はイマイチだった。初日のレースまでにどこまでエンジンを直せるか。かつて所属していた飯塚のGIで優出したのは平田雅崇。連日スタートが切れており、今回のような短ハンデ戦では大きな武器になる。佐藤裕二も飯塚GIで走っていたが、マズマズの成績でまとまっていた。
個性派が多い山陽地区のランク筆頭は前田淳。前走は飯塚GIで、初日から2連勝を決めたがその後は失速。近況はエンジンが安定していない。岡部聡も同じ開催で3日目までは良かったが、準決では力を出せなかった。むしろ岩崎亮一の方が、エンジンは好調。5日間を通して大きな着はなかった。実力者・浜野淳は前走の船橋GIIで優出。ここ一番での勝負強さは抜群だ。佐々木啓は前走の川口一般開催で優出。予選道中の安定感はかなりのモノがある。松尾啓史はこのところ軽いスランプに入っているか。
伊勢崎地区からのS級は3人のみ。絶対王者・高橋貢は前走の飯塚GIでは、3日目のレースが終わってから身体故障で早退となった。エンジンの方も仕上がりを欠いていたので不安は残っている。早川清太郎は前走が地元のGIで、レースは約1ヶ月ぶりだ。練習などで乗る感覚を取り戻すと同時にエンジンの方も仕上げていきたい。浅香潤の前走は船橋のGII。エンジン的には全く良くなかったので、早々に整備に入るものと思われる。
S級以外で注目なのは鈴木圭一郎。1級車に乗り替わってから3節目になる。初節の地元GIIでは優出し5着。2節目の飯塚GIでもしっかり優出し3着。着実にキャリアを形成しつつある。今回はSGの大舞台になるが、精神面は強いので気持ちで負けることはない。台風の目的な存在になる可能性は大だ。
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主な出場予定選手
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木村 武之〔浜松 S-6(26期)〕
佐藤 貴也〔浜松 S-7(29期)〕
永井 大介〔船橋 S-1(25期)〕
中村 雅人〔船橋 S-2(28期)〕
青山 周平〔船橋 S-3(31期)〕
高橋 貢〔伊勢崎 S-4(22期)〕
浦田 信輔〔飯塚 S-5(23期)〕
田中 茂〔飯塚 S-8(26期)〕
森 且行〔川口 S-10(25期)〕
前田 淳〔山陽 S-11(27期)〕
S級選手不在で優勝争いは難解!
この開催の直後にSGがある関係で、S級選手は一人もいない。A級選手でさえ24名の予定で、むしろB級選手がメインとも言える。番組構成としては、初日と2日目までは各レースA級選手2名、B級選手6名で組まれる予定。A級選手が順当に追い込むのか、それともB級選手の健闘があるのか。
地元A級で調子が良いのは間中大輔と吉田祐也。共に前走の地元開催では優勝戦に乗っている。間中はエンジンが良いのに加えて、ハンデ位置が良いのも好成績の要因。そろそろハンデが重くなる可能性もあるので、初日の番組には注意を払いたい。吉田は最重ハンの10M前で走っているが、ハンデ位置的に最内に置かれる事が多い。枠ナリスタートを死守して快速を発揮している。他でも篠崎実が元気一杯の走りを見せているし、山際真介もスピード感ある走りができている。ランク的には秋田貴弘が最上位だが、前走はイマイチだった。それでもエンジンさえ折り合えばスピードに乗って走ることができる選手。
外来勢で最も注目なのは伊勢崎の松本やすし。1級車に乗り替わったばかりの前走浜松一般開催では完全優勝を決めた。元々、素質の高い選手で評判だったが、1級車に乗って才能を開花させた形。この勢いで今回の大会でも大暴れするかもしれない。船橋の森谷隼人や鈴木将光は前走の企画レースで2級車に乗っていた。今回は1級車に乗り戻りだが、グリップの開けっぷりが良くなっている可能性大。新井淳はS級にいてもおかしくない実力の持ち主なので、連日車券に絡んでくるだろう。
今回多く参戦するB級選手の中でも、気にかけたいのは32期の選手達。岸萌水を除き、前走あたりから1級車でのレースになっている。この時期は特に成長が著しいので、どの選手からも目が離せない。
特に、浜松の中村友和は前走の地元開催で準優勝。優勝戦は先述の松本やすしに先行され、振り切られてしまったが、後ろからやってくる先輩勢は何とか振り切ることができた。更に、地元の益春菜は前々走の優勝に続き、前走でも良い走りを見せていた。船橋の中山光も逃げ展開なら快速を発揮できる状態。浜松の岡谷美由紀は1級車になってから、車券に多く絡むようになった。伊勢崎の藤本梨恵は前走の最終日に落車してるのでやや不安残り。初日に試走には注目したい。
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主な出場予定選手
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秋田 貴弘〔川口 A-52(23期)〕
掛川 和人〔川口 A-65(22期)〕
高塚 義明〔川口 A-68(29期)〕
柴山 信行〔川口 A-88(19期)〕
森谷 隼人〔船橋 A-40(29期)〕
番田 隆弘〔山陽 A-64(24期)〕
新井 淳〔伊勢崎 A-98(23期)〕
松本 やすし〔伊勢崎 A-231(32期)〕
浦田信輔が人気に応えた!
優勝戦は良走路で行われ、試走は鈴木圭一郎が34と一番悪く、平田雅崇と岩見貴史が33。久門徹と篠原睦が32、池田政和と浦田信輔、中村雅人の3人が31で一番時計だった。
当ブログ本命の鈴木は、エンジン劣勢だったがスタートは決めた。最内からしっかり先行すると逃げ態勢を作るには作った。しかし、ペースは上がらず久門に差されてしまう。そこからは久門が逃げるかに見えたが、試走一番時計タイの浦田がマーク差し。抜かれた久門は浦田に離されず追走して隙を窺っていた。何回かはインを狙うそぶりはあったが入りきれず。浦田がそのまま押し切った。8枠の中村は道中の伸びを欠き4着止まりだった。それ以外の選手達はいいところがなかった。
優勝戦の浦田は流石の走りだった。地元走路で外来勢に好き勝手にはさせないという意思を感じられた。もちろんエンジンの状態が良かったのもあるが、今回に関しては気合勝ちの面もあった。久門も久しぶりに良い走りを見せた。浦田に抜かれただけでは終わらせない意地を示した。あとちょっと伸びがあったら逆転できていたかもしれない。
注目の鈴木はエンジン仕上がらず残念だったが、今後の楽しみは十分感じさせられた。準決からはハンデが重くなり、10Mオープンになっても強豪相手にスタートで負けることはなかった。更に、レース終盤に迫ってきた中村のチョイ差しを何とか振り切った。優勝戦はエンジン不足だったが、これから整備力は上がっていくだろうからエンジン面での不安も減っていくことだろう。