フサイチバルドルの実績が断然。昨年のこのレースを制して以降、前走まで10戦9勝、2着1回。そのうち5勝が重賞。唯一、黒潮マイルチャンピオンシップで先着されたジョインアゲンが不在というメンバーなら負けられない一戦だ。
フサイチバルドルを負かす可能性があるとすれば、ダノンムロー。前走、中央から転入初戦のA-2特別は、4コーナーでわずかに手を動かした程度で、直線はまったく持ったままでの楽勝。さすがに中央オープンの実力を見せつけた。中央では短距離を中心に使われていたが、ゆったりした流れになるであろうことと、前回1600メートルで圧勝なら1900メートルもこなせるのではないか。
ウィザードブラストは、前走A-1特別で、フサイチバルドルに最後まで食い下がって1馬身半差の2着。内をまわって相当うまく乗っていただけに真っ向勝負で逆転までは難しいかもしれないが、再び脅かす場面はあるかもしれない。
中央から再転入したハンドシェイクは、その後A-1,2で5戦2勝。いずれも掲示板を確保と堅実に走っている。一昨年の高知県知事賞で2着、今年2月20日のだるま夕日特別ではジョインアゲンを負かしているだけに、重賞でも勝負になる力はある。
サムデイシュアーは昨年の高知県知事賞でフサイチバルドルの2着。とはいえ5馬身と決定的な差をつけられていた。前走も5着に敗れたが、1900メートルの距離でどこまで巻き返せるか。
◎フサイチバルドル
○ダノンムロー
▲ウィザードブラスト
△ハンドシェイク
△サムデイシュアー
兵庫3歳3冠の初戦。ここまで6戦6勝、そのうち重賞3勝という、兵庫のこの世代では絶対的存在のオオエライジンが脚部不安のため回避となったのは残念。
そのオオエライジンと同厩舎で、ここまで一度も対戦することなく、遠征競馬を中心に使われてきたエルウェーオージャが主役をつとめる。重賞タイトルは昨年9月に金沢に遠征した兼六園ジュニアカップのみだが、JpnIIIの兵庫ジュニアグランプリでは、勝ったリアライズノユメからコンマ6秒差3着(同着)の成績が光る。その後は遠征が続き、強敵相手の競馬で勝ち星がないが、地元馬が相手なら経験の差は大きいはずだ。
相手には、これが重賞初挑戦となる牝馬のナナクサ。北海道でのデビュー戦は、不運にもこの世代トップクラスと評判だったラフメット(現在は骨折休養中)との対戦となってしまい、それでも1馬身差の2着。しかしそれでリズムが狂ったか、北海道では4戦未勝利のまま兵庫に移籍。園田では5戦3勝、2着3着各1回という成績。特に前走、このレースの前哨戦といわれた3歳特別では、オオエライジンのナンバー2、ナンバー3の存在と目されていたホクセツサンデー、グリーンアイズ(今回は出走取消)を相手に逃げ切って見せた。今回もハナを奪って粘り込みを図る。
ホクセツサンデーは、10月の兵庫若駒賞でオオエライジンの2着に、園田ジュニアカップでも3着。兵庫ジュニアグランプリJpnIIIで7着に負けた以外は3着を外さないという安定した成績だ。
以上3頭はいずれにもチャンスがありそうで、オオエライジンの居ぬ間にタイトルをと狙っていることだろう。
ニシノイーグルは、兵庫若駒賞、園田ジュニアカップでは差をつけられて負けているように、実績的にはやや落ちるが、ここのところ4戦連続連対と力をつけてきている印象がある。
◎エルウェーオージャ
○ナナクサ
▲ホクセツサンデー
△ニシノイーグル
今シーズンの東海地区3歳戦線は大混戦だ。2歳時からここまで、重賞は笠松で4戦、名古屋で3戦行われているが、そのうち1番人気の連対が4戦あるものの、あとの3戦は3番人気以下同士での決着となっている。重賞2勝は牝馬のミラノボヴィッチのみだが、そのミラノボヴィッチにしてもここ2戦は大敗という状況だ。
ここはマルヨコンバットの巻き返しに期待したい。秋風ジュニアを圧勝し、単勝元返しで臨んだ金沢・兼六園ジュニアカップは3コーナー過ぎで楽勝かと思ったところ、4コーナーで外に逸走して2着。前走ゴールドジュニアは2番人気に支持されながら見せ場なく7着に敗れたが、3か月ぶりの久々の実戦だった。ひと叩きして重賞初制覇を狙いたいところ。
人気になるのはアポインホープだろうか。昨年12月以降は5戦4勝、2着1回と安定した成績。前走スプリングカップは6番人気という低評価ながら、2番手追走から直線で抜け出すという正攻法の強い勝ち方だった。今回はマークされる立場になってどうか。
2歳時にゴールドウィング賞を勝ったミサキティンバーは、その後に重賞で2着2回。前走スプリングカップは7番人気でアポインホープの2着だった。展開に左右されるタイプだけに、これといった逃げ馬がいない今回、前走のようにゴール前の追い込みに賭ける競馬では少々厳しいかもしれない。
オーナーシップはここまで11戦してそのうち10戦が3着以内という安定した成績。重賞でも3戦して3、3、4着と堅実に走っているだけに、ここでも馬券圏内は十分に狙える。
オグリシュンコーは重賞初挑戦となったスプリングカップで1番人気に推されながら3着に敗れたが、今回人気を落とすようなら配当的に狙っておもしろそう。
◎マルヨコンバット
○アポインホープ
▲ミサキティンバー
△オーナーシップ
△オグリシュンコー
残念ながら浦和・桜花賞が中止となり、グランダム・ジャパン3歳シーズンの初戦となる若草賞。地元福山勢は2頭とやや寂しいながらも、笠松、兵庫から各2頭、大井、高知、佐賀から各1頭の遠征があり、全国交流のこのシリーズらしいメンバーが揃った。昨年のグランダム・ジャパン2歳シーズンで総合3位のマンボビーン、4位のリジョウクラウン、6位のミラノボヴィッチがここでいきなり顔を合わせるというのも興味深い。
笠松・プリンセス特別、園田クイーンセレクションで1、2着を分け合い、しかも勝ったのはそれぞれ地元コースだったというミラノボヴィッチ、マンボビーンが、ともに福山に遠征しての勝負となる。
ミラノボヴィッチの前走スプリングカップは、2番人気と期待されながらも最下位12着に敗れた。しかしこのときはハナに行きたいミラノボヴィッチにとって、外の8番枠からのスタートで、先行争いで脚を使ってしまっての惨敗。マンボビーンに敗れた園田クイーンセレクションも大外12番枠だった。1番枠に入った今回は、ハナを奪ってそのまま逃げ切りを狙う。
マンボビーンは、前々走の園田クイーンセレクションが昨年7月のデビュー戦以来の勝利。とはいえ、それまでは連対を外したのが2回という堅実な成績。前走、中央挑戦は好位を追走し、着順こそ10着だったが勝ち馬からは1秒1差と、初芝ながらまずまずの走りを見せた。芝のスピード競馬を経験したことで、力をつけている可能性はある。
昨年9月の園田プリンセスカップを制したリジョウクラウンは、その後はなかなか勝ちきれないレースが続いている。ただ、後方追走から向正面ひとまくりという極端な脚質だけに、展開の助けは必要。上位2頭が再びハナ争いとなるかもしれないだけに、ハイペースの前崩れとなれば一発の可能性はある。
花吹雪賞、飛燕賞と連勝したヒシダイアナは、まだ底を見せていないだけに怖い1頭。父のヒシミラクル同様、ミラクルを起こせるかどうか。
大井から遠征のクイーンオブシーは、一般戦しか出走がないもののここ2戦で1、2着と好走。地区レベルの違いを見せられるかどうか。
◎ミラノボヴィッチ
○マンボビーン
▲リジョウクラウン
△ヒシダイアナ
△クイーンオブシー
ばんえい記念で自信を持ってナリタボブサップを本命にしたのは2008年だったか。あの年は、帯広記念をトップハンデの900キロで勝ったのを見て、その時点でナリタボブサップと決めたのだった。しかし結果は6着。ばんえい記念が1000キロで争われるようになってからもっとも遅いタイムでの決着となり、2連覇を果たしたトモエパワーから1分30秒近くも離されていた。そして今年は、3年越しでナリタボブサップに期待してみることにした。昨年のばんえい記念では、第2障害を越えて一旦は完全に先頭に立ち、そのまま押し切るかという勢いだったが、ゴール線上で止まってしまい3着。勝っていてもおかしくないレースだった。その2009年のシーズンは重賞を1勝もすることができなかったナリタボブサップだが、今シーズンは、ばんえいグランプリ、ドリームエイジカップと2つの重賞を制した。ナリタボブサップを本命にすると決めたのは、やはり帯広記念。結果は2着だったものの、20キロ軽いニシキダイジンと抜きつ抜かれつの接戦の末、僅差の2着だった。昨シーズン見られた末の甘さも解消された今なら、最高峰のタイトル奪取も夢ではない。
2番手には、連覇を狙うニシキダイジン。97~98年のフクイチ以降、ばんえい競馬の勝ち馬はいずれも2年以上の連覇を果たしている。そうした傾向からすれば今年もニシキダイジンとなる。フクイチはどちらかといえば重い重量でこそというタイプだったが、その後のシマヅショウリキ、サカノタイソン、スーパーペガサスは、いずれも700キロ台のシーズン当初のわりと軽い重量からばんえい記念の1トンまでこなすというタイプだった。しかし近年のトモエパワー、ニシキダイジンは、軽い重量だとまるっきりというタイプ。2007年シーズンのトモエパワーは、岩見沢記念のわずか1勝のみの成績でばんえい記念を制し、翌08年シーズンはなんとシーズン中1勝も挙げられないまま、それでもばんえい記念では1番人気に支持されて3連覇を果たすこととなった。重い重量でこそというニシキダイジンの今シーズンは、北見記念と帯広記念の2勝のみ。07年シーズンのトモエパワーの再現となる可能性もかなり高い。
3番手にカネサブラック。古馬重賞の予想でカネサブラックを▲以下にしたことが何度かあるが、そのたびにこんな低い印でいいのかと悩む。連対を外すことがきわめて少ないという安定感は抜群だからだ。このばんえい記念は2年連続で2着。3度目の正直となるかどうか。
勝つのはこの3頭のどれか。フクイズミにも印をつけたが、正直、勝ち負けまでは厳しいように思う。帯広記念を勝って、初めて挑戦した昨年のばんえい記念は4着。今シーズンは障害のキレがどうにも悪く、いくらフクイズミの末脚でも980キロで差し切る場面までは想像できない。
4勝目を目指すトモエパワーだが、いくらシーズン中未勝利でばんえい記念を勝ったことがあるとはいえ、今シーズンのレース内容でいきなりはないと思う。
◎ナリタボブサップ
○ニシキダイジン
▲カネサブラック
△フクイズミ