グランダム・ジャパン3歳シーズンは、初戦の浦和・桜花賞が中止となり、福山・若草賞に続いてここが2戦目。5月2日に予定されていた水沢・留守杯日高賞もすでに中止が発表され、今年のグランダム・ジャパン3歳シーズンは全5戦での争いとなりそうだ。
その初戦となった若草賞を制したのが、兵庫のリジョウクラウン。初重賞挑戦となった昨年9月の園田プリンセスカップを制し、しかしその後はなかなか勝ちきれないレースが続き、若草賞は6戦ぶりの勝利だった。後方追走から向正面でロングスパートという極端な脚質なだけに、たびたび前を捕えきれずというレースになるのは仕方のないところ。しかし初距離の1800メートル戦となった前走若草賞は、4コーナー手前で早めに前のマンボビーンを射程圏にとらえ、直線で交わし去った。今回も同じ1800メートル。ゆったりした流れで早めに先団に取りつき、抜け出しを狙う。
地元に戻って期待したいのがヒシダイアナ。前走若草賞は1番人気に支持されながら、兵庫の2頭から離されての3着。最後方に下げるという展開的に厳しい面もあった。好位から中団につけ、地の利を生かせば逆転も可能だろう。
園田クイーンセレクションを制したマンボビーンは、笠松、大井、福山と遠征経験が豊富。いずれも好走といえる内容のレースをしているだけに、今回も上位には食い込んでくるだろう。
どの程度の力を秘めているのか楽しみな存在なのが、福山のフレアリングマリーだ。道営では未勝利だったが、福山に転入後は負けなしの6連勝。しかもクラスを上げるごとに着差を広げて勝っている。初の1800メートル戦となった前走も4馬身差の完勝。今回も同じ1800メートルなら一発を期待してもいいかもしれない。
地元佐賀のリリーは、重賞での2戦ともヒシダイアナの2着に敗れているが、前走は古馬C1級との対戦で勝利。力をつけている可能性はある。
◎リジョウクラウン
○ヒシダイアナ
▲マンボビーン
△フレアリングマリー
△リリー
帯広コースにロードヒーティングが入る以前は4か月以上もシーズンオフがあったばんえい競馬だが、その後、少しずつシーズンオフが短くなり、今季はわずか中2週。しかしその間、能力検査もあったのであっという間だ。
このメンバー、この条件ならカネサブラックが断然だ。ばんえい十勝オッズパーク杯は第1回から第3回まで3連覇。昨年も1番人気で臨んだが、30キロ軽いナカゼンスピードに逃げ切られた。それでもわずかの差で2着は確保。昨シーズン末には三度目の正直で念願のばんえい記念を制したが、もともとはそれほど重くない重量のレースで力を発揮してきたスピード馬。ばんえい記念の反動は心配だが、年間を通しての安定したレースぶりは断然で、このレース4勝目の可能性は高い。
相手筆頭はキタノタイショウ。明けて5歳だが、昨シーズン終盤はオープンの一線級でも互角に戦える力をつけた。チャンピオンカップでは、カネサブラック、ナリタボブサップの2強とわずか10キロ差ながら、2頭に続く3着と好走。今回はカネサブラックやニシキダイジンなどのトップホースと同じ720キロだが、この重量なら迫る場面まであってもおかしくはない。
ライデンロックも、もともとオープンで通用すると期待された馬。昨シーズン、秋の復帰後はしばらく勝ちきれないレースが続いていたが、終盤になって出走取消をはさんで3連勝。いよいよ本来の力を発揮できる態勢が整ったと見てよさそうだ。
ニシキダイジンの昨シーズンは、北見記念と帯広記念の2勝のみ。ばんえい記念を制して以降、完全に高重量戦向きのタイプになったと見て、ここは狙いを下げた。
ホクショウダイヤは、ニシキダイジンとは対照的に800キロ前後のレースで力を示すタイプ。昨シーズンは、旭川記念こそ6着だったが、北斗賞、ばんえいグランプリはともに3着と好走した。今シーズンも狙いはばんえいグランプリあたりまでだろう。
◎カネサブラック
○キタノタイショウ
▲ライデンロック
△ニシキダイジン
△ホクショウダイヤ
近年の東海地区の重賞は、有力馬が他地区に遠征してしまうなどするとメンバーが薄くなることがたびたびあるが、今回はメンバーが揃った。注目は、8枠に入った2頭、マルヨフェニックスとキングスゾーンだ。
マルヨフェニックスは、ダートグレードと南関東での重賞を除けば、ここ1年での敗戦は昨年5月の水沢・シアンモア記念でキングスゾーンに半馬身差で2着に負けたのみ。それ以前に負けたのは、2年前のこのレースでの4着まで遡ることになる。この安定感からして、マルヨフェニックスの本命は不動、連覇濃厚だ。
相手がキングスゾーンでは、おそらく馬連複で2倍つくかどうか。なんとかこの2頭の間に割って入る馬を探そうとしたが、どうやら無理っぽい。キングスゾーンは、笠松グランプリでマルヨフェニックスの2着負けて以降、4連勝中。その中には、船橋のオープン特別もある。前走、アクアマリンオープンではマルカハンニバルに1馬身差まで迫られたが、2キロ差があってのもの。さらにスタートから終始絡んできたシンワコウジとは5キロも差があった。今回は定量戦だけに、マルヨフェニックス以外のメンバーに対しては楽にレースが進められるはずだ。
可能性があるとすれば、上記2頭とは初対戦となる福山のシルクウィザード。中央ではオープンの経験があり、福山に転入してから3連勝と、地方ではまだ底を見せていない。ただ、中央オープンとはいっても、最後の2戦はともに勝ち馬から6秒3も離されていた。マルヨフェニックスやキングスゾーンに真っ向勝負ができるほどの実力があるかどうか。
シンワコウジは、前走アクアマリンオープンで2番人気に支持されたものの、4コーナー手前から後退して4着に敗れた。キングスゾーンより5キロも軽い斤量だけに決定的な差だ。とはいえ、久々の1400メートル戦だったのに加え、キングスゾーンよりも外の枠から競りかけたのでは厳しかった。内から先行できそうな今回は、もう少し見せ場はあるかもしれない。
マルカハンニバルは、名古屋のA1特別では7戦4勝、2着3回と、ほぼ完璧な成績だが、やはり上位2頭が相手ではちょっと荷が重い。
◎マルヨフェニックス
○キングスゾーン
▲シルクウィザード
△シンワコウジ
△マルカハンニバル
金沢の古馬戦線は、昨年あたりから充実が見られ、全国区でも通用しそうな馬が目立つようになってきた。
その筆頭はジャングルスマイル。09年秋に転入して以降、19戦15勝、2着3回。1度の着外は船橋に遠征したJBCクラシックJpnI(9着)だからこれはしかたない。中日杯ではタートルベイに直線で交わされ、1馬身半差の2着に敗れたが、3着とは9馬身も離れていた。そのタートルベイは、東京大賞典JpnI(11着)後に船橋に移籍。どうやらそのまま船橋にとどまるようで、ジャングルスマイルにとっては最大のライバルが不在で負けられない一戦だ。
全国区での活躍いえばもう1頭、ナムラアンカーへの期待も大きい。中央未勝利で転入し、サラブレッド大賞典を大差の圧勝。水沢に遠征したダービーグランプリでも3コーナー手前で先頭に立って見せ場をつくった。ロックハンドスターにこそ交わされはしたものの、1番人気の羽田盃馬シーズザゴールドを抑えて2着と好走した。地元に戻っての古馬A3特別では向正面から追走一杯でようやく3着を確保するという結果だったが、年明けのA2特別では向正面から徐々に後続を離し、2着に3秒1の大差をつける圧勝で昨シーズンを締めくくった。ジャングルスマイルにどこまで迫れるか、今シーズン、古馬になっての活躍が楽しみな存在だ。
キタイセユニバースは北國王冠2着に中日杯4着。ただ着差で見ると、勝ったタートルベイからそれぞれ1秒8、2秒7という決定的な差をつけられた。その後2強不在のA1特別を勝ち、昨シーズン金沢最終戦のA1特別はジャングルスマイルに4馬身差の2着。その後の冬季休催中も名古屋で使われていたというアドバンテージはある。
ゴールデンミションは09年の中日杯を制したが、昨年の北國王冠、中日杯はいずれもキタイセユニバースよりもさらに離れて4、6着。その後の2戦もキタイセユニバースに先着されているだけに、3着争いに食い込めるかどうか。
一時は金沢で不動のトップにいたビッグドンも11歳。昨年のこのレース以降勝ち星がなく、10月以来約半年ぶりの実戦となるが、その休養で調子を戻していれば上位を争う場面もあるかもしれない。
◎ジャングルスマイル
○ナムラアンカー
▲キタイセユニバース
△ゴールデンミション
△ビッグドン
正月の福山大賞典でスタートからほぼ一騎打ちを演じた2頭、クラマテング、フォーインワンによる再びの決戦となりそうだ。
前走ファイナルグランプリでは地元の期待を背負って2番人気に支持されたクラマテングだったが、結果は4着。しかしゴール前は5頭横一線の激戦で、ほとんど差のない決着だった。そのとき先着されたウォーターオーレ、ビービーバイラは今回不在。仮にその2頭がいたとしても、実力ではクラマテングが上だろう。
明けて4歳になったばかりのフォーインワンが、福山大賞典でクラマテングに食い下がり、最後は離されたものの、それでも1馬身半差の2着に入ったのには正直驚かされた。前走ファイナルグランプリでも4着クラマテングにクビ差の5着。実力差はほとんどない。逆転のチャンスはある。
3番手には、勝負付けが済んだメンバーよりも、今回が重賞初挑戦となるフェアームーランを狙ってみたい。中央から転入してA級で6戦3勝、2着3回。前々走、啓蟄特別では1番人気に支持され、クラマテング、ウォーターオーレと大接戦を演じ、勝ったクラマテングからアタマ差2着。このときはクラマテングより1キロ軽かったのが、同斤量となる今回も迫れるかどうか。
ファイトオングラスは福山大賞典で3着。なかなか勝ち切れないが、大崩れもなく、A級でも勝ち馬から1秒以内の好走が多い。逆転までは難しいだろうが、馬券圏内なら十分狙える位置にいる。
ナリタブラックは、昨年正月の福山大賞典を1番人気で制したが、それ以降はA3特別とA2特別でそれぞれ1勝ずつがあるのみ。ここ2戦は遠征競馬で強い相手との対戦だっただけに惨敗はしかたないが、長丁場でゆったり流れる展開ならまだまだ上位食い込みが狙える。
◎クラマテング
○フォーインワン
▲フェアームーラン
△ファイトオングラス
△ナリタブラック