この時期の北海道の3歳戦は難しい。2歳時のトップクラスのほとんどが中央や大井などに移籍してしまい、残った馬たちはほとんどが休養明け。重賞戦線上位で活躍してきた中には成長が止まった馬たちがいるかもしれない反面、2歳時には重賞に出ていなくても、ここにきて急激に力をつけてくる馬たちもいるからだ。それゆえ開幕初日に行われた3歳1冠目の北斗盃は6→3番人気での決着。トライアルのカネヒキリ賞も2→6番人気での決着だった。おまけに1冠目の北斗盃が1200メートルなのに対し、2冠目となるここは一気に距離が2000メートルまで延びる。
中心は、これが門別では重賞初挑戦となるサントメジャー。ここまで唯一の重賞挑戦だった川崎・鎌倉記念での13着は、初めての左回りで3~4コーナーで大きく外にふくれたため。門別コースでは7戦して負けたのはデビュー戦の3着のみと底を見せていない。開幕後2連勝は、冬季に中央に移籍して力をつけてきたものと思われる。
相手筆頭にはエバーオンワード。2歳時、1800メートルのブリーダーズゴールドジュニアカップ2着に、北海道2歳優駿JpnIIIでも3着という実績。今季初戦となったトライアルのカネヒキリ賞は3着だが、そこを叩いて状態は上向きと見る。
3歳になって力をつけたのがスタープロフィット。2歳時はアタックチャレンジを勝ったのみで、岩手に遠征した南部駒賞での3着がある程度だが、今季初戦のJRAとの条件交流では4馬身差の圧勝。血統的にも、父は今ダートでもっとも勢いのあるゴールドアリュールだ。
カネヒキリ賞を勝ったモリデンクーバーは、1700メートル戦で4戦2勝、2着2回と距離が延びて力を発揮しそう。
2歳時にブリーダーズゴールドジュニアカップ4着があるピエールタイガーは、北斗盃こそ3着だったが、ひと叩きの効果と距離延長に期待。
◎サントメジャー
○エバーオンワード
▲スタープロフィット
△モリデンクーバー
△ピエールタイガー
ダービーウイークの初戦として行われる九州ダービー栄城賞は、今年から月曜日開催となった。
それにしてもリリーの荒尾ダービーでの勝ちっぷりは圧巻だった。向正面から徐々に後続を離しにかかり、最後は余裕のゴールで2着に3秒5の大差をつけた。1月の花吹雪賞、2月の飛燕賞では、ともにヒシダイアナの後塵を拝しての2着だったが、ル・プランタン賞ではマンボビーンの2着もヒシダイアナ(3着)には逆転の先着。そして荒尾ダービーの圧勝。前走、古馬B2級でも3馬身差の快勝とくれば、ますます力をつけていると見ていいだろう。九州2冠獲得の可能性は高い。
相手にはやはり実績的にヒシダイアナ。花吹雪賞、飛燕賞を連勝したあとは勝てていないが、いずれも今年はレベルの高い兵庫勢に敗れてのもの。そうした強い相手との経験は生きるはず。ただ遠征の反動でガックリという可能性も否定できない。
カノヤハヤブサは、トライアルの鯱の門特選でリネンハイブリットとの接戦を制しての勝利。中央遠征の2戦は惨敗だが、それを除けば佐賀では5戦4勝。特に中央遠征後は3連勝で、力をつけているうえに底を見せていない。前走のレースぶり、そして血統的にも距離延長は歓迎だ。この馬の一発も考えたい。
そのカノヤハヤブサと接戦を演じたリネンハイブリットにも当然チャンスはありそう。中央未勝利から転入し、4連勝で臨んだのが鯱の門特選だった。
連下の可能性としてはコスモノーズアートも。この馬も中央未勝利からの転入組で、佐賀では10戦して9戦が3着以内という堅実派。鯱の門特選は先の2頭からやや離されての3着だけにちょっと差はありそうだが、展開次第で粘れるかどうか。
◎リリー
○ヒシダイアナ
▲カノヤハヤブサ
△リネンハイブリット
△コスモノーズアート
出走11頭中、コスモバルク記念に出走していた馬が7頭。そのコスモバルク記念は、クラキンコが直線で抜け出し、ゴール前迫ったショウリダバンザイがクビ差2着。クラキンコは昨年の道営記念は5着だったが、そのとき先着された馬もここは不在。そしてコスモバルク記念にも道営記念にも出走していない馬は明らかに格下で、クラキンコの重賞連勝は濃厚といえそうだ。
コスモバルク記念出走馬は、全馬が当時と同じ斤量。となると、興味はショウリダバンザイが逆転できるかどうか。
そしてカゼノコウテイが3番手。道営記念ではクラキンコに続く6着で、コスモバルク記念は4着だった。しかし道営で重賞初挑戦となった昨年10月の瑞穂賞では、その後に道営記念を制するオネストジョン、同2着のコパノカチドキらをまとめて負かしていただけに、逆転の可能性もある。
前走オープン勝ちのマチカネカミカゼに、コスモバルク記念の勝ちタイムと同タイムで前走B4-1組を圧勝したリアライズトロイカが連下候補。
◎クラキンコ
○ショウリダバンザイ
▲カゼノコウテイ
△マチカネカミカゼ
△リアライズトロイカ
5月2日に行われる予定が、震災の影響で延期して行われることになった留守杯日高賞。時期がずれたことで、グランダム・ジャパン3歳シーズンでもラス前の順番になったわけだが、ここでポイントを稼いで上位を狙えそうなのは、目下9ポイントで4位のクイーンオブシーのみ。
地元岩手生え抜きの馬たちにとってはわずか2週前に競馬が再開されたばかりでもあり、力関係の比較が難しい。
ここは順調に使われていて経験も豊富な船橋のリュウノキャンドルから。前走東京プリンセス賞は最下位13着だったが、これはさすがに相手が強すぎた。門別で2歳の最後にアタックチャレンジを勝って転入した南関東では、東京プリンセス賞までは3戦2勝、2着1回。今回は、地元岩手勢に加え、金沢、東海、兵庫からの遠征馬や、東海地区からの転入馬など相手はさまざまだが、各地区の重賞で勝ち負けをしていたというレベルの馬がほとんどいないだけに、実績的には胸を張れるものがある。
地元岩手勢は、とりあえず11月のプリンセスカップの結果が比較対象となりそうだ。それを勝ったセリトスガッテンが相手筆頭。続く寒菊賞は2着に敗れたが、先着されたシーグランディは、ベストマイヒーローを別格とすれば、岩手でトップを争う存在。開幕初戦の七時雨賞は6着だったが、さすがにベストマイヒーローでは相手が悪すぎた。2歳時の成績に限れば、3着を一度も外しておらず、今回のメンバーの中ではもっとも安定した成績を残している。ただこの時期、門別の北斗盃がそうであるように、休み明けのメンバー同士では2歳時の実績があまりあてにならないというのが難しいところなのだが。
ガッテンモントレーは、プリンセスカップは5着だったものの、続くJRA認定レースで、プリンセスカップ2着だったシュクモモコを逆転しての勝利。今季初戦は門別に遠征し、コスモバルク記念で古馬と対戦しているだけに、その経験が生かせればというところ。
シュクモモコは、七時雨賞では今回のメンバー中最先着の5着。6着のセリトスガッテンに4馬身差をつけた。
金沢から遠征のアンダースポットは、もともと岩手のデビューでJRA認定レースを勝っていた。その後南関東を経由して金沢へ。金沢初戦では、その後北日本新聞杯で大差圧勝を見せるエムザックハーツに半馬身差と迫る2着だった。前走、金沢の3歳A2戦を勝って臨む一戦で、岩手在籍時より確実に力をつけていると見るべきだろう。
◎リュウノキャンドル
○セリトスガッテン
▲ガッテンモントレー
△シュクモモコ
△アンダースポット
このレース連覇のかかるヒシウォーシイが断然。前々走の名古屋大賞典JpnIII4着を別とすれば、地方同士のレースは昨年3月のマーチカップから13連勝中。前走オグリキャップ記念も完勝で安定感をさらに増した印象。川西調教師によると、夏はあまりよくないとのことで、このレースが約1カ月繰り上がったのはこの馬にはさらに有利と。実績的にも負ける相手はいない。
相手には、タフに全国を駆け回るトウホクビジン。3走前の東海クラウンは、実は地元東海地区では初めてのオープン勝ちだった。福山は09年3月に若草賞を制して以来2年2カ月ぶりだが、レース数にしてみると、なんと60戦ぶりの福山競馬場。その数字こそがこの馬のすごさだ。ときに凡走もあるが、ダートグレードでも3着、4着の力を持っているだけに、ヒシウォーシイを負かすまでは難しいかもしれないが、それ以外の馬が相手なら展開次第であっさりの場面も。
エーシンエヴァンは4走前のマイル争覇で3着、3走前のマーチカップで2着と重賞でも常に上位争い。前々走の東海クラウンではトウホクビジンにやや離されての4着だったが、近走の実績を見れば見劣りはしない。この馬も2着は狙える。
グランプリサクセスは、中央から兵庫に転入して4戦。前走兵庫大賞典は8着だったが、その前走ではA1特別を制した。中央では準オープンで2着、3着があっただけに、ここでも通用する可能性は十分ある。
地元勢ではクラマテングだが、09年のこのレースでは7着だっただけに、地方同士でも交流となるとちょっと厳しい。地の利を生かしてどこまで迫れるか。
◎ヒシウォーシイ
○トウホクビジン
▲エーシンエヴァン
△グランプリサクセス
△クラマテング