山口勲騎手が手綱をとっていた有力馬3頭がかち合い、選んだのはやはりマンオブパーサーだった。取りこぼしはあるものの、佐賀ではダートグレードを除けばいまだ3着を外したことがないという安定した成績。昨年のこのレースは3馬身差の完勝で、サマーチャンピオンJpnIIIでもトップハンデのスーニをしりぞけ3着に食い込んだ。今年も無事にここを通過してサマーチャンピオンJpnIIIで上位を狙いたい。
オリオンザドンペリは、中央時代は芝の短距離~中距離を使われ、準オープンで3着という実績。佐賀転入後は1400メートルで2連勝とまだ底を見せていないだけに、いきなり佐賀の頂点に立つ可能性もある。
怖いのがサクラリボルバー。佐賀では18戦17勝。唯一3着に負けたのは、これまででもっとも長い1800メートルの距離だった。前走でA2特別まで突破。重賞初挑戦となるが、4連勝中の勢いでここも一気に突破するかもしれない。
クリムゾンベガは、中央では芝のみを使われ準オープンでまで出世。転入初戦を制し、前走黒髪山特別はオリオンザドンペリに半馬身差の2着。実力的にはそれほど差はない。
カミノチカラは、九州スーパースプリントシリーズで常に上位を賑わし、前々走2000メートルのA1特別ではマンオブパーサーを相手に勝利。重賞では2度の3着が最高という成績で、ここでも上位争いには食い込める。
◎マンオブパーサー
○オリオンザドンペリ
▲サクラリボルバー
△クリムゾンベガ
△カミノチカラ
重賞勝ち馬が道営時代のアドミラルサンダーのみと、いまひとつ決め手に欠けるメンバー同士の対戦だが、実績的にはシルクウィザードが抜けている感じ。中央ではダートでオープンまで出世した実力馬。福山転入後も、地元福山でのレースでは長距離重賞・西日本グランプリこそ4着だったが、それ以外では6戦5勝。1250メートルの距離も、今年の黒船賞トライアルをレコード勝ち。重賞初制覇のチャンスだ。
相手にはサンライズアイ。中央500万からの転入初戦となった前走、天の川スプリントは、スタートからハナを奪うと終始楽な手ごたえ。直線ではムチが入ったものの、後続を寄せ付けずの逃げ切り勝ちだった。大井時代に挙げた2勝も1200、1400メートルという短距離戦。シルクウィザードと比較すると実績こそ劣るものの、この距離でこそ力を発揮するタイプ。
シルクプレストは中央時代はダートの中距離で3勝。前走あじさい賞はシルクウィザードの2馬身差2着と健闘したが、マイル以上しか経験がないだけに、この距離が課題となりそう。
ミラクルタイザンはややムラのある成績だが、5走前にこの距離のオープンを勝ち、2走前にも1800メートル戦だがA1特別を制した。重賞実績馬が少ない今回のメンバーなら上位争いできる力はある。
アドミラルサンダーは、道営時代短距離の重賞で大活躍。福山では30戦して2勝しか挙げられていないが、黒船賞トライアルでシルクウィザードに3/4馬身差の2着。この距離で目覚める可能性もある。
◎シルクウィザード
○サンライズアイ
▲シルクプレスト
△ミラクルタイザン
△アドミラルサンダー
名古屋から転入初戦を快勝したマイネルアラバンサから。もともと中央時代は芝の中距離のみを使われていた馬。1000万条件まで勝ち、準オープンは突破できなかったものの、移籍した名古屋では重賞3連勝など常にトップを争う存在だった。久々の芝でさらに力を発揮しそうだ。
北海道から遠征のマチカネカミカゼも、中央の芝で1000万を勝ち、準オープンではやや苦しいという、マイネルアラバンサと似たような成績を残していた。ただこちらは2400メートルが初距離なのに加え、北海道転入前に2戦した名古屋で勝利を挙げられなかったことから、実力ではマイネルアラバンサにやや劣る。
このレース3連覇を狙うのが川崎のコスモヴァシュラン。前走中央のオープンに挑戦した夏至ステークスは勝ち馬から1秒8離されての敗戦だったが、それまでにも中央のオープンに2度挑戦して1秒3差と1秒7差。重賞の富士ステークスGIIIでは2秒差のしんがり負けと、中央芝での着差からは力を保ってるように見える。しかし今年は4~6月の地元南関東でのB級特別は4戦していずれも1秒以上差をつけられての敗戦。以前はこのクラスで負けても1秒以内の差だったので、そうした点からはやや衰えがあるのかもしれない。中央で芝実績のある上記2頭に比べると、今回はやや分が悪い。
トライアルのかきつばた賞で人気どおり1、2着だったボスアミーゴ、サウンドサンデーは、過去の盛岡芝でのコスモヴァシュランとの対戦成績を見ても連下争いまで。
◎マイネルアラバンサ
○マチカネカミカゼ
▲コスモヴァシュラン
△ボスアミーゴ
△サウンドサンデー
カネサブラック不在で定量なら、今シーズンもっとも成績が安定している(もちろんカネサブラックは除く)ニシキダイジンが中心。前走でようやく今シーズンの初勝利を挙げたが、そこまでにも旭川記念を含めて2着が3回。負担重量が800キロとなる今回はこの馬には大きなアドバンテージ。早めの仕掛けから押し切りを狙う。
相手というか、2頭軸でもう1頭の中心がギンガリュウセイ。今シーズンはまったくいいところがないが、昨シーズンは岩見沢記念、北見記念、帯広記念という王道の高重量戦で4、2、4着と上位争い。今シーズンは重賞で穴馬的な存在となるに違いないと期待している馬だけに、近走の成績は気にせず狙っていきたい。
フクイズミも今シーズンまだ勝ち星はないが、旭川記念でも4番手に障害をクリアして確実に末脚を繰り出し差を詰めて3着。旭川記念よりも負担重量が重くなったぶん、この馬の末脚が生きるはずで、障害さえ普通に越えれば当然勝負になる。
ホクショウダイヤは、今季初戦のばんえい十勝オッズパーク杯で8番人気ながら2着。その後2連勝したあとはあまりいいところがないのは負担重量に泣かされたため。実質定量の今回は巻き返して不思議はない。
5歳のキタノタイショウ、フクドリもオープン1組で勝負になる力をつけてきているだけに、あっと言わせる場面があるかもしれない。
◎ニシキダイジン
○ギンガリュウセイ
▲フクイズミ
△ホクショウダイヤ
△キタノタイショウ
△フクドリ
重賞勝ち馬がミラノボヴィッチ1頭のみで、ほかに重賞で上位争いをしているのもナナクサのみというメンバー。
成績の安定度と、近走の状態から、ナナクサに重賞初制覇のチャンスが巡ってきたと見てよさそう。菊水賞では直線まで逃げ粘ってホクセツサンデーの2着。のじぎく賞でもマンボビーンからコンマ4秒差の4着とまずまずの好走。ホクセツサンデーといえば、菊水賞のあとには中央馬相手の兵庫チャンピオンシップJpnIIで2着に入った実力馬。そしてマンボビーンといえば、グランダム・ジャパン3歳シーズンのチャンピオンとなった馬。今年の兵庫の3歳世代はレベルが高い。兵庫ダービーはやや離された5着だったが、勝ったオオエライジンが無敗で底知れない強さをもっており、ホクセツサンデーも菊水賞時より力をつけていると見れば、その敗戦もあまり気にすることはないだろう。
相手にはフレンドミー。JRAで2歳時に新馬戦を勝ったのみだが、転入初戦の前走は古馬B4特選で惜しい2着。3歳馬同士、しかも牝馬同士なら勝ち負けのレベルだ。
ミラノボヴィッチは、2歳時にプリンセス特別、そして3歳では出世レースとして知られるゴールドジュニアを制した。しかしその後のスプリングカップ、若草賞はともに惨敗。3カ月半の休養をとって、以前のスピードが戻っていれば巻き返しも十分。ナナクサとの先行争いも見どころだ。
ベラトリックスは、2歳の道営時代にアタックチャレンジを制し、名古屋転入2戦目に勝利。その後は勝ちきれないレースが続いているが、ここ4走は3歳1組特別で1秒以内の好走を続けているだけに、ここでも差のないレースはできるだろう。
◎ナナクサ
◯フレンドミー
▲ミラノボヴィッチ
△ベラトリックス